エピソード4 椿の気持ち(脚本)
〇レトロ喫茶
椿「・・・」
椿「フフッ」
私はいつもの行きつけの喫茶店で、
本を読んでいます。
椿「今日はお仕事もお休みの日。 ゆ〜っくり好きな本を読むのだわ〜」
パァァァ
椿「うふふふ」
カララン
「いらっしゃい〜」
本屋の主人「こんにちは! やぁ!来てたんですか!」
椿「えぇっ!なんでぇ!」
本屋の主人「そんなに邪険にしないでくださいよ〜 あ、何の本を読んでいるんです?」
椿「「饒舌な悪魔と寡黙な天使について」 ですけれど」
本屋の主人「へ〜、知りませんでした。 どなたの作品でしょう?」
椿「流石の店主さんも、知りませんか。 そうですよね」
本屋の主人「勿体振らないで教えてくださいよ〜」
椿(この方、わりとおしゃべりで軽い感じが どうも好きになれないのよね・・・)
椿「教えません!」
本屋の主人「ええ〜どうしてですか〜?」
椿「ダメです」
本屋の主人「どうしました? なんだか不機嫌なようですが」
椿「そりゃ、ワタシの快適な自由時間を 邪魔しているのですから・・・」
椿「それに、この間の読書会。 ワタシはモヤモヤしていまして」
本屋の主人「モヤモヤ?」
椿「ええ。 私はなんだか悲しかったのです」
椿「本当に本が好きで楽しんでいたのかな?と」
本屋の主人「本は好きなようでしたか・・・」
椿「彼女たちは商売道具としての本の扱いというか、そういう読み方しか、してないのかと思うと」
本屋の主人「・・・」
本屋の主人「でも売れなければ、作家さんや出版された方や、本屋も生活ができない。 ウチも、そうしなければ・・・」
椿「ええ、わかっています。 私の中のジレンマだってこと」
椿「でもわたしは、あの本が好きで、 本当に面白いと思ったのです。 彼らにも、そんな気持ちを知ってほしい、 感じてほしい」
本屋の主人「そう言ってもらえると思っていました。 アナタは、叔父様に似ています」
椿「似てる?」
本屋の主人「そうですよ。 本に対する情熱、アナタにもありますよね?」
椿「そういえば・・・。 会で話し始めたら、 恥ずかしいとか思う気持ちより 本の良いところや楽しさを語るのに 夢中になってた」
本屋の主人「でしょう? それでいいんですよ。 それを伝えるのが「言葉」なんです」
本屋の主人「あなたが思うその気持ち、 大事なんですよ。きっと」
椿「うーん店主」
本屋の主人「何ですか?」
椿「ワタシ、やってみます。 楽しさを伝えるのを」
本屋の主人「いいですね!」
椿「アナタも、たまには良いことを言うんですね」
本屋の主人「ズコー」
本屋の主人「僕はいつでも良いことを言っていますよ?」
椿「はぁ・・・」
椿(あれ?ワタシ面倒なことは やらないんじゃなかったっけ?)
椿(まぁいいか・・・)
本屋の主人「ついでですし、今これから 次の会の打ち合わせをしましょう!」
椿「ええー ワタシの本を読む時間〜」
本屋の主人「読みながらでも、いいですよ!」
〇黒
つづく