野上くんに「スキ」だって言わせたい!

藤崎羽琉

野上くんに「スキ」だって言わせたい!(脚本)

野上くんに「スキ」だって言わせたい!

藤崎羽琉

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〇学園内のベンチ

〇学園内のベンチ
  野上くんは、ちょっと感情表現が他の人とズレている。
女のコ「あたし、野上くんのことがスキ! 付き合ってください!」
野上くん「うん、わかった。いいよ」
女のコ「ホント!? やった〜〜!!」
女のコ(って、あれ?)
女のコ(あたし、野上くんから「スキ」って言われてなくない????)
女のコ「ねぇ、野上くん。君はあたしのコト――」
野上くん「じゃあ、また」
女のコ「うぇぇぇぇ〜!? 待ってよ、野上くん!!」

〇駅前広場
女のコ(今日は、いよいよ初デートの日!)
女のコ(今日こそ絶対、野上くんに「スキ」って言ってもらうんだから!)
女のコ「あ、野上くん! 待った・・・ッて!?」
女のコ「うわきゃ!」
野上くん「大丈夫か!?」
女のコ「だ、大丈夫だよ。支えてくれて、ありがとう!」
野上くん「・・・・・・」
野上くん「お前、ドジなんだから気をつけろ」
野上くん「今日は俺のそばから離れるなよ」
女のコ(・・・こーゆーコトはさらっと言いやがるのだ)
女のコ(でも、ちがう。そーじゃないっ!)
女のコ(あたしが野上くんからほしい言葉は、「スキ」の二文字なんだ!)

〇開けた交差点
女のコ(よし、まずはストレートに!)
女のコ「ねぇ、野上くん!」
野上くん「なんだ?」
女のコ「野上くんはあたしのコト、どう思ってる?」
野上くん「・・・・・・」
野上くん「スゴく可愛いと思う」
野上くん「ずっと、一緒にいたい」
女のコ「めっちゃうれしいッ・・・けれどもッ!」
女のコ「違うんだよ、野上くん! そーじゃないんだよ!!」
野上くん「?」

〇川沿いの公園
女のコ(だったら、ちょっと変化球だ!)
女のコ「野上くん、見て! お弁当作ってきたの!」
野上くん「スゴいな」
女のコ「えへへ。 ほら、食べてみてよ!」
野上くん「スゴく、おいしい・・・!」
女のコ「はい、じゃあここで野上くんに質問です!」
野上くん「?」
女のコ「料理が上手なあたしのコトが、野上くんは〜〜?」
女のコ「SAY C'MON!!」
野上くん「俺のお嫁さんにしたい。結婚しよう」
女のコ「あれぇ〜? なんか行き過ぎた!?」
女のコ「もちろんOKだけどもッ! あたしが言ってほしいのは、もうちょっと手前の言葉!!」
野上くん「???」

〇公園のベンチ
女のコ(もう、こーなったら最終手段だ!)
女のコ「はい、ではここで野上くんに問題です」
野上くん「どうぞ」
女のコ「この食べ物の最初の文字は?」
野上くん「すき焼きだから・・・「す」?」
女のコ「正解!」
女のコ「じゃあ、コレの最初の文字は?」
野上くん「キノコの・・・「キ」?」
女のコ「スゴい、大正解!!」
女のコ「はい、じゃあ今の文字を続けて言ってみよー!」
野上くん「?」
女のコ「野上くんは、あたしのコトが〜?」
野上くん「・・・す、キ??」
女のコ「うん、やっぱりイントネーションは大切だよね・・・」
野上くん「???」

〇線路沿いの道
  あたしが今日のために考えたアイディアは、ことごとく不発に終わってしまった・・・
  恐るべし、野上くん・・・!
「にゃー」
女のコ「ふぇ!?」
「にゃー!」
女のコ「こ、この鳴き声は――にゃんこ!」
女のコ「どこ? どこにいるのー??」
野上くん「あそこにいる。 電柱のとこ」
「きゃー! にゃんこちゃん、カワイイ!!」
野上くん「・・・」
「きゃー! なんで君はそんなにモフモフなの!」
野上くん「・・・・・・」
「どこのコなの? あたしのウチのコになっちゃう?」
野上くん「・・・・・・なぁ」
「お腹すいてるの? ちょっと待ってね。 さっきのお弁当の残りが──」
野上くん「なぁってば!」
女のコ「うわぁ!」
女のコ「どしたの、急に? 腕引っ張ってきたりして」
野上くん「今日は、俺のそばから離れるなって言っただろ?」
女のコ「うぇ、えぇ!?」
野上くん「お前は、俺のコトだけ見てなきゃダメだ」
女のコ「ちょ・・・ まっ・・・・・・ 顔近いぃぃぃぃぃ〜〜〜!」

〇繁華な通り
女のコ「うわぁぁぁぁ・・・ ビックリしたぁぁぁ・・・」
女のコ(やっぱり野上くんは、感情表現がちょっとズレてる・・・)
野上くん「どうした? 早く次の場所、行こうぜ」
女のコ「あ、そうだね。 次はどこ行こうかなぁ〜」
野上くん「・・・・・・」
野上くん「・・・・・・手、貸して」
女のコ「はいぃ?」
野上くん「人がたくさんいるから。 はぐれないように、手繋いでやる」
女のコ「あはは」
野上くん「?」
女のコ「あたし、やっぱり野上くんのそーゆートコがスキだなぁって」
野上くん「・・・・・・」
野上くん「・・・・・・俺も、お前のそういうとこ、スキだよ」
女のコ「ん? なになに?? よく聞こえなかったんだけど??」
野上くん「・・・いいから、早くいくぞ」
女のコ「うん、れっつごー!!」
  あたしは、まだまだあきらめない!
  いつか、野上くんに「スキ」と言ってもらうその日まで!!

コメント

  • ちょっとずれてる野上くんと、なんとかスキを言わせようとする主人公ちゃんとのやりとりが、ほっこりしました!素敵な作品ありがとうございます!

  • 読んでいて始終ほっこりしてました!
    野上君、いろんな意味で恐るべし...笑

  • 二人のやりとりがめちゃめちゃかわいかったです!!
    素敵なお話ありがとうございます😊

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