ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.20 / THE RELENTLESS ENFORCER#7(脚本)

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〇未来都市
  4日後

〇簡素な一人部屋
  俺の目の前には、エンフォーサーのスーツを着せたマネキン人形があった。
御子柴歩「ゼニスの自動工場にバックドアからハックして作らせたはいいけど、正気か俺?」
  防弾・防刃機能に加え、ゼニスのもつ技術をふんだんに盛り込んだ特別製だ。
  しかし、これを俺自身が使うかはまだ別の問題。
  しゅーちゃんなら、喜んで着て夜の街を徘徊するだろうが。
  そのとき通知が鳴り「ゼニス施設に侵入者」と表示された。
御子柴歩「また、どこかのチンピラの襲撃か?  AI、定点カメラ映像を表示」
  ウィンドウが立ち上がる。
  そこに映っていたのは、ゼニスの子会社アルゴルだった。
御子柴歩「アルゴルか。ゼニスのデータセンター」
御子柴歩「スタンドアローンの情報目当てのデータ泥棒ってところかな」
御子柴歩「・・・どこにいる?」
  ふいに、カメラが壁面をよじ登る黒い人影をとらえた。
御子柴歩「・・・いた!  AI、近くのカメラをハッキング。拡大しろ」
  映像が切り替わる。
  しかし、画面はノイズで乱れ、黒い人影の姿は不鮮明だった。
御子柴歩「この通信の乱れ・・・まさか」


〇簡素な一人部屋
御子柴歩「ナイトウォッチ・・・お前なのか?」
  ノイズで細部は確認できないが、両者の外見的特徴は、ほぼ一致している。
御子柴歩「なるほど。お前もゼニスを狙いはじめたか。 なら、うまくやっていけそうだ」
  俺はエンフォーサーのスーツを見て、苦笑した。

〇怪しいオフィスビル

〇大企業のエントランス
  アルゴル 正面ゲート
  翌日の夕方。
  アルゴルの前には完全武装のゼニス兵が立っていた。

〇大企業のエントランス
御子柴歩「警備員じゃなくて、ゼニス兵か。厳重だな」
御子柴歩「まぁ、昨晩のナイトウォッチの侵入は、目撃情報がネットに流れたし」
  それで気づいて、警戒レベルをあげた、というところだろう。
御子柴歩「でもネットに情報が出るまで、ゼニスは気付かなかった」
御子柴歩「あいつの背後には優秀なハッカーがいるな。 どうやったんだ?」
  俺は試しにAR端末を起動し、アルゴルへのハッキングを試みる。
御子柴歩「バックドアモード。音声パスワード。 KNOCK KNOCK OPEN SESAME(コンコン、開けゴマ)」
  しかし無情にも、弾かれた。
  赤い警告サインと共に「登録端末のみアクセス許可」と出る。
御子柴歩「やっぱりゼニス直轄施設へのログインは、ゼニスの正式な端末を手に入れないと弾かれるか」
  俺はゼニス兵をじっと見やった。
  あのヘルメットに内蔵された端末なら、いけるかもしれない。
御子柴歩「・・・さて、問題はどうやって奪うか」

〇ビジネス街
御子柴歩「そうなると件のハッカーはデバイスつきの端末持ち? ゼニス内部の人間か?」
久常紫雲「・・・あれ? 歩?」
御子柴歩「!? しゅーちゃん!?」
久常紫雲「なんだよ歩ぅ。いつも夜の街はキケンだってお説教するお前がこんな時間に?」
久常紫雲「早く家に帰れよなー」
  しゅーちゃんの横に、ちーちゃんが現れる。
根須戸智是「歩君。学校ぶり。ごめんね」
根須戸智是「しゅーちゃんってばいつも歩君に負けてるから、こういう時ばっか調子に乗って」
久常紫雲「な! ちーちゃん!?」
御子柴歩「いやね」
御子柴歩「この先で昨晩ナイトウォッチが、あのいけ好かないゼニスに一泡吹かせたっていうからさ」
久常紫雲「まぁね! 凄いっしょ!」
御子柴歩「なんで、しゅーちゃんが得意げなの?」
根須戸智是「・・・しゅーちゃん!」
久常紫雲「あっ。えっと。やっぱ凄いだろ?  ナイトウォッチ? 僕が言ったとおりさ?」
御子柴歩「先見の明は認めるよ」
御子柴歩「で、しゅーちゃんたちもこれから、デートのついでにアルゴルに行くんでしょ?」
久常紫雲「デート? いや・・・調査?」
御子柴歩「・・・調査?」
根須戸智是「聖地巡礼デート!  ナイトウォッチおたくに付き合わされて!」
久常紫雲「そ、そうそう! 」
久常紫雲「ナイトウォッチの調査をね! いろいろとね!」
御子柴歩「・・・?」
御子柴歩「くれぐれも危険なことは控えてよね。 あと絶対ゼニスには近寄らないで」
  俺はしゅーちゃんに詰め寄った。
  このあたりで少し釘を刺しておかないと、この人は何をするかわからない。
久常紫雲「な、なに。いきなり。コワイ」
根須戸智是「歩君ってば過保護すぎ。 もしかして、歩君って私の恋のライバル?」
根須戸智是「実はしゅーちゃんをストーキングしてたりしない?」
  ・・・鋭い。
御子柴歩「まさか」

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