読切(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
めずらしく東京に雪が降った。
渋谷のスクランブル交差点も雪で埋め尽くされる。
普段、見慣れない光景に町ゆく人々は少し浮き足だっているようだ。
森田 次郎「うぅ・・・寒い」
森田 次郎「早く家に帰って暖まりてぇ」
森田 次郎(なんで雪なんか降るんだよ・・・ 電車止まるかもしれないから急ごう)
次郎は駅に向かう。
森田 次郎「うぉ!!あぶねぇ」
スクランブル交差点の途中で滑って転びそうになった。
森田 次郎(めっちゃくちゃ滑るな!!気をつけよ)
「キャッ!!」
森田 次郎(おっ!!前の女性も転んだ。 やっぱり、滑りやすいのか)
森田 次郎(どれ紳士の俺が助けてやろう)
森田 次郎「おねぇさん。大丈夫?」
山本 あかね「うぅ・・・痛いです」
森田 次郎「あっちゃ~膝擦りむいてんじゃん。 ほら、これ使って」
山本 あかね「あ、ありがとうございます」
森田 次郎「どういたしまして。 とりあえず、交差点のど真ん中だから移動しようか」
山本 あかね「はい・・・」
森田 次郎「ほら、手貸してあげるよ。 いくよ。いっせのー」
森田 次郎「せえぇぇ!!うあぁぁあぁ!!」
山本 あかね「キャッ!!」
あかねの手を引き、持ち上げようとしたが自分も滑って転んでしまった。
森田 次郎「いてて・・・ 思ったより重くて持ち上がんなかったわ!!」
山本 あかね「ちょっと!!女の子に重いって言わないでください!!」
森田 次郎「ごめんごめん。それにしてもよく滑るなぁ」
冗談を交えつつ、次郎は立ち上がろうとする。
が、滑って立ち上がることが出来ない。
森田 次郎「あれ?立ち上がれない。 いくら何でも滑りすぎじゃ・・・」
森田 次郎「って、みんな転んでるじゃん!!」
山本 あかね「ほんとだ!スクランブル交差点を渡ろうとしてる人が全員転んでます。 流石にこれっておかしくないですか!?」
「ハハハッ!!人間ども無様だな!!」
森田 次郎「だ、誰だ!!」
大型ビジョンに奇抜な着ぐるみの少女が映し出される。
渋谷星人「あたいは渋谷星人!! あんたたちに挑戦を申し込みにきた!!」
山本 あかね「挑戦・・・?」
渋谷星人「そう、挑戦!! 今あなたたちが転んでしまってるのは、雪のせいではないの!!」
渋谷星人「あたいが地面の摩擦係数をゼロにしたのが原因よ!!」
森田 次郎「摩擦係数?」
渋谷星人「摩擦がないところでは人は立つことが出来ないの!! ドゥーユーアンダースタン?」
森田 次郎「うぜぇ・・・」
渋谷星人「そして、あたいに勝たなければ、あなたたちは一生地面を這いつくばることになるわ!!」
渋谷星人「キャハハハ♪♪♪」
山本 あかね「ひどすぎるわ!! 何でこんなことが出来るの!? 許せないわ!!」
森田 次郎「ノリノリじゃねぇか笑」
山本 あかね「えへへ、実はちょっと楽しい♪」
森田 次郎「で、どうやって勝敗をつけるんだ?」
〇渋谷のスクランブル交差点
渋谷星人「これからあたいが渋谷に関する問題を3問出すよ」
渋谷星人「3問全部に正解することが出来たら、あなたたちを解放してあげる♪」
森田 次郎「条件が渋谷星人に有利すぎる・・・」
森田 次郎「普通は1問正解したら勝ちだろうが!!」
渋谷星人「う、うるさい!!あたいの勝手でしょ!!」
渋谷星人「不戦敗になりたいの?」
渋谷星人「あんたたちの星の問題で勝負してるんだから割と公平でしょ」
森田 次郎「くそぅ・・・割と正論だ!!」
渋谷星人「まぁ、つべこべ言わずに早くはじめましょ♪」
渋谷星人「それじゃあいくよ!!」
森田 次郎「よっしゃ、かかってこい!」
渋谷星人「第1問!!」
渋谷星人「渋谷区のシンボルとして制定されている「区の花」は?」
森田 次郎「くっ、いきなり難問だ!!」
渋谷星人「あれれ~渋谷にいるのに分からないの?」
森田 次郎(さくら・・・ひまわり・・・ ダメだ!!わからねぇ)
山本 あかね「はい、分かりました!!」
山本 あかね「答えは「ハナショウブ」です!!」
渋谷星人「ぐぬぬ、正解だ」
森田 次郎「おぉ!!さすが女の子だ!!」
渋谷星人「なかなかやるな・・・」
渋谷星人「って、あんた何スマホで調べてるんだよ!!」
山本 あかね「ふえぇぇぇ」
山本 あかね「ダメなんですか?」
渋谷星人「ダメに決まってるでしょ!! これだから現代っ子は!!」
森田 次郎「さすがの俺もダメだと思うぞ・・・」
山本 あかね「えぇ~ん。次から気をつけます」
渋谷星人「まぁ、いいわ。 気を取り直して、次の問題いくよ♪」
森田 次郎「ばっちこ~い!!」
渋谷星人「第2問!!」
渋谷星人「東京都スカイツリーの高さは何メートルでしょうか?」
森田 次郎「渋谷関係ねぇーじゃないか!!」
渋谷星人「だって、問題思いつかなかったんだもん」
森田 次郎「それでよく渋谷星人を名乗れたな・・・」
渋谷星人「むぅ~東京も渋谷の一部なんだから、いいでしょ!!」
森田 次郎「逆な!! 渋谷が東京の一部なんだよ!!」
山本 あかね「細かいこと気にする男はモテませんよ笑」
森田 次郎「あんたはどっちの味方なんだよ!!」
山本 あかね「私は可愛い子の味方です!!」
渋谷星人「えへへ、ほめられちゃった♪」
森田 次郎「ちくしょう!! 俺の味方は誰もいないのかぁ!!」
森田 次郎「まぁ、いい!! 問題の答えは分かっている!!」
森田 次郎「答えはムサシで「634メートル」だ!!」
渋谷星人「ぐぬぬ、正解だ」
森田 次郎「よっしゃ!! 社会人なめんな!!」
山本 あかね「すごいです♪」
森田 次郎「さぁ、どうした。 この程度か!!渋谷星人!!」
森田 次郎「早く、最終問題にいこうぜ!!」
渋谷星人「のぞむところだぁ~!!」
渋谷星人「と、言いたいところだけど あんたたちの勝ちだよ」
森田 次郎「はぁ!?どういうことだよ!! 問題は3問なんじゃないのか?」
渋谷星人「そのつもりだったんだけど 時間(文字数)が足りなくなちゃった」
森田 次郎「グダグダじゃねーか!!」
渋谷星人「まぁ、そう言うわけだから、今日は遊べて楽しかったよ♪」
渋谷星人「また、遊ぼーね!!」
こうして、渋谷星人は台風のように去っていった。
山本 あかね「何だったんでしょうね・・・」
森田 次郎「きっと、渋谷星人は人間と遊びたかったんだ」
森田 次郎「でも不器用だから、 こんなやり方になってしまったんだよ。 きっと・・・」
山本 あかね「私もそんな気がします」
渋谷星人のいなくなった渋谷は少しさみしく感じる。
でも、またいつか会えるような・・・
そんな気がする。
そう思いながら、俺たちは
また平凡な日常を頑張っていく。
おわり
飲んでいたコーヒーを吹き出し、スマホが大変。久しぶりの体当たりナンセンスギャグ炸裂、笑わせていただきました。いいんですか、いいんです。
メタ発言があったり色々と斬新で
ついクスッとしました😊笑
「可愛い子の味方です!」に全力同意です🙆♀️笑
みんなノリがよくて笑いました!いい感じのラストがまた素敵です。しかも勉強にもなりました…。日本中を案内してほしいです。楽しいお話をありがとうございました!