プロポーズ(脚本)
〇渋谷ヒカリエ
俺は大里武史、31歳大手企業「ケンタウルス」の中堅社員として毎日忙しく働いてる。
〇渋谷のスクランブル交差点
大里武史「ごめん、待ったかい?」
付き合い始めて4年になる涼音が雑踏の中不安げな表情で僕を待っていた
谷口涼音「ウウン来たばかりよ私も」
大里武史「そうか良かった。それにしても渋谷はいつも賑わってるなぁ! 地価が銀座を追い越す訳だよな」
谷口涼音「そうね、でも今日はお話があるから静かなところがいいな」
〇シックなバー
谷口涼音「ねぇ、私達付き合い始めて長いわよね」
涼音はどこか憂いを含んだ眼で俺に訴えかけてくる
大里武史「そうかぁ? 3年目くらいかな」
谷口涼音「4年目よ!! 私も28になっちゃったし、これから私達どうなるの?」
涼音が怒り始めた事に俺はオタオタしてしまった
大里武史「そ、そんな事言われても。それに怒ることではないだろ。浮気したわけでないしさ」
谷口涼音「浮気ですって!? 何考えてるのよ。遊びだったの?私との交際」
涼音の怒りは益々ヒートアップしてくる
大里武史「遊びでなんかないよ。でもまだ身を固めるには・・・」
谷口涼音「今日なんかさ、あの鳳女史に嫌味を言われるし同期で残ってるの私だけなんだから」
最近涼音は会うと決まって結婚を迫ってくる
君島修二「よう大里仕事は終わったのかい!?」
雲の上の存在である君島支社長から突然俺の名前を呼ばれた事に俺は驚いてしまった
大里武史「き君島支社長、どうしてここに?」
君島修二「ハハハ俺だって息抜きは必要だからな、それより我が社では社内恋愛はご法度だぜ大里」
そう、何故か社内恋愛禁止なのだ世界的一流企業なのに?
大里武史「(まずい、涼音とのデートを見られてしまった)」
谷口涼音「いえ、違うんです。たまたま・・・失礼します」
俺は出て行こうとする涼音の手首を慌てて掴んだ
大里武史「支社長、仲人お願いします」
谷口涼音「武史!!」
君島修二「そうか・・・よし引き受けた」
大里武史「有難うございます。日取りは後程ご連絡いたします」
涼音は俺の顔を見て涙を浮かべた
谷口涼音「有難う・・・武史」
君島修二「ハハハ、嫁さんを食わせていけるようこれからも仕事に頑張れよな」
そう言い終わると君島支社長は手を振って出ていった
大里武史「あっ、書類忘れてる・・・支社長に届けなきゃ、俺これから支社長に渡してくるよ鈴音」
谷口涼音「気をつけてね・・・ここで待ってるわ私」
俺は急いで店を飛び出し支社長の後を追った
〇広い改札
俺は君島支社長の後ろ姿を改札で発見して声をかけた
大里武史「君島支社長、忘れ物!!」
俺に気づかずに改札を通る支社長を追いかけて俺は改札を飛び越えてようとした
恒星間鉄道保安員「君、ちゃんと切符を買いたまえ」
鉄道保安員の制止も聞かず俺は支社長を追いかけてホームに向かった
〇外国の駅のホーム
大里武史「えっ!?エイリアン何で」
俺が驚いているとそのエイリアンはそそくさと電車の中に消えて電車が動き出した
恒星間鉄道保安員「君、切符を購入してくれないと・・・」
大里武史「すみません。急いでいたもので切符を買わず・・・それよりエイリアンがいたんですけど」
恒星間鉄道保安員「当然ですよこのホームは極秘の恒星間鉄道用ホームだからね地球人の立ち入り禁止なんですよ」
大里武史「地球人って、エイリアンも渋谷に来てるんですか?」
恒星間鉄道保安員「ホワイトホールを利用した恒星間鉄道がこの渋谷駅に極秘に開設されましてね」
大里武史「それじゃあ渋谷には大勢のエイリアンが来てるんですか?でもそんな極秘事項を何故僕に?」
恒星間鉄道保安員「ご心配なく貴方を今回宇宙人と会わなかったタイムラインに戻しますから」
そう言い終わると保安員は俺に向かって眩しい光を浴びせてきた
〇シックなバー
涼音の声で目が覚めるとそこは涼音と飲んでたバーだった
大里武史「あれ?駅のホーム?」
谷口涼音「起きてよ!!何寝ぼけてるのよ全く、人の話を聞いてるかと思えば寝てるんだもの」
大里武史「それより涼音、知ってるかよ支社長がエイリアンだって」
俺がそう言うと呆れた顔で俺の顔をまじまじと涼音は見つめてきた
谷口涼音「大丈夫?武史。飲みすぎて頭がおかしくなったの?」
大里武史「確かさっき君島支社長がこの店に来て書類を忘れていったよな」
谷口涼音「ハイハイ夢でも見たんでしょ。それよりもうこの店のかんばん時間よ帰りましょ」
俺は釈然としない気持ちを抱きながら涼音と共に店を出た
〇田舎駅の改札
谷口涼音「じゃぁ、返事は今度でいいわ。お休みなさい」
涼音はいつものように軽く目を閉じ俺にキスの催促をしてきた。顔を近づけると涼音のバラの香水の香りが俺の鼻をくすぐってきた
大里武史「(人がいないとはいえ少し恥ずかしいな でも自分の気持ちを態度で示さないと)」
そして俺は涼音の愛くるしい唇に気持ちを込めてキスをした
大里武史「お休みなさい。愛してるよ涼音」
俺は駅のホームに駆けてゆく涼音の後ろ姿を愛おしく見送った
恒星間鉄道保安員「お客さん!!もう終電は終わりましたよ」
大里武史「ええっ、それじゃ涼音はどうしては入れたんだ?」
駅員は自分の腕時計で時刻を確認しながら
恒星間鉄道保安員「ああ今の時間でしたら「ケンタウルス行き」恒星間列車に乗られたんでしょう。でもそれには人間は乗れませんよ」
大里武史「そそれじゃ涼音はエイリアン?」
恒星間鉄道保安員「困ったな。悪いですが今日の彼女との記憶を抹消します」
大里武史「そ、そんなぁ・・・」
そう言うなり駅員は俺に向かい光を浴びせてきた
大里武史「終電は逃したしてしまったなぁ、仕方ないタクシーでも拾うか」
鳳千賀子「あら大里君じゃない。一緒に飲みましょうよ」
振り向くと酒の匂いをさせた俺の上司である鳳千賀子が近づいてきた
大里武史「鳳課長!!そうですね終電逃したし飲みますか」
そして鳳課長と渋谷の夜を俺は楽しんだ
女性は婚期を気にするみたいですが、タイミングを待った方が…って彼女は!
宇宙人は夢だったのかと思いきや、ラストのオチでびっくりしました。笑
記憶を簡単に消される彼がなんとなく不憫です。
最初の展開で「どこにエイリアンが出るんだろう?」と
思ったのですが、「こうきたか!」となりました😂笑
オチもまた面白いです🙆♀️笑
ええ〜!話の分かる上司が…かわいい涼音さんの記憶が…ちょっと寂しいです笑
こんな鉄道が本当にあったらいいですね!ワクワクしました。保安員が管理しているというところにグッときます。かっこいい仕事ですね。
予想もつかない展開で、登場人物も皆さんチャーミングで、面白かったです。