Ep.19 / THE RELENTLESS ENFORCER#6(脚本)
〇秘密のアジト
翌日、俺は昨晩の空き地に来ていた。
青いビニールシートがあちこちに被せられ、入り口には「立入禁止」のテープ。
奥では、警察と鑑識が慌ただしく駆け回っている。
そして、凄惨な事件現場を一目見ようという野次馬の人だかり。
おーい。歩くん!
俺のところに神保五郎刑事がやってきた。
御子柴歩「神保刑事。お疲れです。 昨晩からずっとですか?」
神保五郎「ああ。まぁね。これから学校?」
御子柴歩「ええ。登校前に、野次馬です」
神保五郎「毎度、君も好きだね。感心しないな。 この辺、昼間でも危ないよ?」
御子柴歩「この街のことは、何でも知っておきたいので。すみません」
神保五郎「・・・そうか。気持ちは、わかるよ」
俺は現場を一瞥した。
御子柴歩「ナイトウォッチ、ですか」
神保五郎「耳が早いな」
御子柴歩「五郎さんは、どう思います?」
神保五郎「・・・あくまで俺の個人的な見解だけど。 正直微妙かな」
神保五郎「犯罪組織を潰したところで後釜が次々に出てくるのがオチだし」
御子柴歩「彼の活動は無意味?」
神保五郎「ああ。いくら優れた装備と戦闘技術があっても、1人じゃ状況は変えられない・・・」
神保五郎「・・・と、思ってはいたんだけどね・・・」
御子柴歩「・・・・・・」
神保五郎「今日の現場は凄惨でさ」
神保五郎「圧倒的な力をもつ個人なら、1人でも犯罪の抑止力になれるんじゃないかって思えてくる」
御子柴歩「はやく、逮捕しないと大変ですね」
神保五郎「そうだよ! 警察の面目が丸つぶれだよ! ・・・さて、俺はそろそろ」
御子柴歩「はい。頑張ってください」
俺は改めて現場を見た。
御子柴歩「力をもつ個人なら、1人でも・・・か」
確かに昨晩のあいつなら、直接ゼニスを叩き潰すことだってできるかもしれない。
御子柴歩「AI。自動デザイン。正義の味方。 コスチューム。実用重視」
御子柴歩「追加要素は・・・そうだな。 奇傑ゾロ。・・・実行」
AR端末が反応し、AIが自動的に「正義の味方」のデザインを組みあげる。
俺の目の前に、紫のコートと帽子を纏った仮面の怪人のCGが現れた。
下には「ヒーロー名:エンフォーサー」と表示されている。
俺は思わず苦笑した。
御子柴歩「いやいや。ないない。これはない。 しゅーちゃんに影響されすぎだろ、俺」
〇ハイテクな学校
一週間後
〇おしゃれな教室
御子柴歩「・・・!?」
その日、俺は驚愕した。
俺の目の前に突然、ちーちゃんが現れた。
8年間、音信不通だったちーちゃんが。
〇おしゃれな教室
根須戸智是「根須戸智是です。 見ての通りのAR入学です」
根須戸智是「リアルでは、親の都合で海外を転々」
根須戸智是「今はニュージーランドからログインしています。よろしくお願いします」
ちーちゃんが、俺たちにウィンクする。
俺は美結と顔を見合わせ、続いてしゅーちゃんを見た。
久常紫雲「♪」
ムカつくくらいのドヤ顔だった。
〇ビジネス街
〇ファミリーレストランの店内
放課後、俺たちはショッピングモールに遊びにやってきた。
ちょっとした、ちーちゃんの歓迎会だ。
根須戸智是「うわぁ。結構賑わってる」
御子柴歩「繁華街のほうは夜危なくて、出歩けないからね。みんなここに来るんだ」
根須戸智是「にしても、しゅーちゃん遅いな」
辻崎美結「天然和牛バーガー、人気だから並んでるんだと思うよ。培養肉とは違うって」
御子柴歩「でもしゅーちゃん、ちーちゃんが食べられないのになぜ食べもの買いに行ったし」
根須戸智是「いま私、AR映像なのにね」
辻崎美結「ちーちゃんと再会できて舞い上がっちゃってるからね。頭が働いてないに一票」
根須戸智是「つまりしゅーちゃんの中では、私が実際にここにいるって認識なんだ」
根須戸智是「うっかり私の分も買ってくるかな?」
辻崎美結「うん。くると思うよ」
根須戸智是「やだ。超バカ。かわいすぎる!」
辻崎美結「しゅーちゃんだからねー」
盛りあがるちーちゃんと美結。
俺は一歩離れ、じっとちーちゃんを観察する。
あの日。しゅーちゃんが世渡に拉致された日を境に、ちーちゃんは姿を消した。
〇街中の公園
根須戸智是「明日から何日か、来れないかも・・・」
〇ファミリーレストランの店内
彼女には何か事情があったようだった。
偶然か。それとも何か関係が・・・?
そのとき、しゅーちゃんが戻ってきた。
久常紫雲「ちーちゃん! お待たせーー!」
手には「天然和牛バーガー」の包みを4つ抱えている。
御子柴歩「やっぱり4つ買ってきた!」
久常紫雲「え? でも僕、歩、美結、ちーちゃんの4人分」
久常紫雲「あ~~っ!」
辻崎美結「しゅーちゃん、超バカ~~!」
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