第十話「鬱々や ラムネ飲む友 ポンと消え」(脚本)
〇学校脇の道
三鷹 哲也(みたか てつや)「よっ!おはようさん!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なんだ哲也か・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんだとは、朝からご挨拶やな」
古林 一咲(こばやし いっさ)「悪い!考えごとしてて・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「おはよう哲也」
三鷹 哲也(みたか てつや)「おう! しかし昨日の夜は結構、降ったな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「もう梅雨明けちゃうか」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そうだな・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんや元気ないやん?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「あれ?そういえば恋ちゃんは?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「連絡あった。 今日は休みだって」
古林 一咲(こばやし いっさ)「久々に電車に乗ったから 疲れたんだろう」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そっか・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「事故に巻き込まれたことあるって、 絵美ちゃんから聞いた・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そら怖い思いして、 乗るのも無理してたんやろな・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・そうだな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「・・・んで」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲は、一人になって落ち込んでると」
古林 一咲(こばやし いっさ)「はぁ?なんでだよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんか後ろ姿、寂しそうやったし」
三鷹 哲也(みたか てつや)「フラれたんかと思ったわ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「バ、バカ・・・、なんで俺が恋に フラれなきゃいけないんだよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そらその方が・・・、おもろいやろ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「てぇ──つぅ──やぁ──!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ヤバっ!一咲、冗談やで冗談!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「まちやがれ!」
〇教室
三鷹 哲也(みたか てつや)「あぁっ!絵美ちゃん助けて!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「おはよー・・・!?」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「また今日も追いかけっこ? 好きだねー、二人とも」
古林 一咲(こばやし いっさ)「てぇーつぅーやぁーくーん!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ひっ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いてて、いてて──!! 頭グリグリはやめてー!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「一咲くん!一咲くん!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「蒼山さん、とめても無駄だよ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「違う違う!廊下みて!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「めぐみんの横!例のあの子!」
〇学校の廊下
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「あっ!きてる、きてる!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「おぉーい!一咲くーん!」
〇教室
三鷹 哲也(みたか てつや)「ほら、一咲!めぐみん呼んでるって!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「わかった・・・、行ってくる」
三鷹 哲也(みたか てつや)「助かったー、ありがと絵美ちゃん!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「偶然が重なっただけだよ、 でもよかったね」
〇学校の廊下
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「一咲君、彼女が山口香子さんだよぉ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「どうも・・・、古林一咲です」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「あの・・・、その・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「は、初めまして・・・じゃなくって・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「お久しぶりです・・・古林君」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えっ?おひしぶり!?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「私のこと覚えてませんか・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えーっと・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「城北中学校の・・・同級生です・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ごめん、人を覚えるの得意じゃなくて・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「そうなんだ・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)(怒らせたかな? なんかすごく見られてる・・・)
古林 一咲(こばやし いっさ)(でも、どこかで会った事あるような・・・)
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「え、えーっと。一咲君は、ねぇー」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「二年前に 金輝海上花火大会で出会った」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「自称KYって女の子を探してるんだ──」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「うん・・・5組まで、その話がきてた」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「やっぱり、噂は広がるの早い!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「そういえば香子ちゃんもKYだよねぇ!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「なんか関係あったりしてぇ──」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君・・・、」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「私、花火大会に行ってたよ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「行ってたって!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それって?二年前の花火大会に!?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「はい・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えぇ!ほんとに!? いつ、どこで俺と会った!?」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「ちょっと、ちょっと! 一咲君落ち着いてぇ!」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「ご、ごめんなさい、戻らなきゃ・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「また放課後でもいい・・・?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ・・・、じゃあ放課後」
古林 一咲(こばやし いっさ)「体育館裏でどう?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「はい・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「ふぇぇ──!!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「もしかして香子ちゃんって 例のKYなのかなぁ?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「どうだろう・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「正解は放課後になればわかるさ」
海野 桃(うみの もも)先生「あらあら、二人とも授業始まりますよー」
海野 桃(うみの もも)先生「さあ席に着いた、着いた」
〇教室
海野 桃(うみの もも)先生「ふんふんふーん♪」
海野 桃(うみの もも)先生「はい!この部分テストに出しますよ──」
海野 桃(うみの もも)先生「ちゃんとノートに重要って書いてね」
海野 桃(うみの もも)先生「はい!授業は、ここで終わります」
海野 桃(うみの もも)先生「ではでは──」
〇教室
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・よし」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲、翔!昼飯、屋上で食べてみよーや」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、いいよ!」
松尾 翔(まつお しょう )「ごめん・・・、お昼、 文芸部の部室に行くことになってて・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そっか・・・、じゃあ仕方ないな」
古林 一咲(こばやし いっさ)「翔また今度、晴れた時にな」
松尾 翔(まつお しょう )「うん・・・、ごめんね」
三鷹 哲也(みたか てつや)「謝らんでええで、その代わり・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「可愛い子いたら紹介してや・・・(ヒソヒソ)」
松尾 翔(まつお しょう )「う・・・、うん。頑張る・・・じゃ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ほな相棒!購買よって、屋上いこか」
〇学校の屋上
三鷹 哲也(みたか てつや)「へぇー、屋上も広いなぁ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「意外と人もいるんだな、 おっ!哲也あそこ空いてるぞ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ええやん、そこにしよ!」
〇フェンスに囲われた屋上
三鷹 哲也(みたか てつや)「なぁ一咲、昨日あれからどうだった?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「どうって?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「行ったんやろ?ジェラート屋に」
古林 一咲(こばやし いっさ)「な、なんで知ってるんだよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんでって俺が教えたからやろ?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「美味しかったか?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ・・・、恋も喜んでいたよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「で、二人で写真とったんか?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ブゥ──────!!!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ゴホッ、ゴホッ!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんやいきなり、どうしたんや!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「な、な、なんで知ってるんだよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「何でってオカンの新規店やし」
三鷹 哲也(みたか てつや)「どんな店かは 知っとかな、あかんやろ?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「な、何────!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あの店、哲也のとこの店──!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ご利用頂きありがとうございます、ってな」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「心配せんでも個人情報は守っとるから」
三鷹 哲也(みたか てつや)「写真とか見れへんし、見てへんし」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そ、そうか・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「で、撮ったんやろ?見せてよ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それじゃあ、 個人情報の意味ないじゃねーか!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「かたいこというなや!な!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「わかったよ・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いいやん!この初々しい二人!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺も今度、絵美ちゃん誘ってみようっと」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲、俺のパンと半分交換してや」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、いいよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ありがと」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・なあ哲也、冗談なしで聞くけど」
古林 一咲(こばやし いっさ)「絵美ちゃんのこと好きなの?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ブゥ──────!!!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ゴホッ、ゴホゴホ・・・!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「な、なんでまた、そんなこと聞くんや」
古林 一咲(こばやし いっさ)「いや・・・、本気で好きなのかなって」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ふぅ──、」
三鷹 哲也(みたか てつや)「好きやで」
古林 一咲(こばやし いっさ)「こ、告白とか考えたり?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いや・・・、告白はしない」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なんでだよ!フラれるのが怖いのか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そうやな、それもあるけど・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺、今の関係が好きなんや」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ドキドキしたり、 お互い好きなんかなって状態が・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それってありなのか?不誠実じゃないのか?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺・・・、好きって感情が いまいち、わかってないんだよ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺が初恋の人を探してるのは」
古林 一咲(こばやし いっさ)「本当に好きだからなのかなって・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そらそやろ!違ったら 皆んなの前で探してるなんて言わへんやろ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なんかよくわかんなくなってきて・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「まーた、悩んでんのか」
三鷹 哲也(みたか てつや)「それは別に普通やろ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「逆に自分のこと わかってる言う奴の方が、わかってへん」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺の気持ちが しっかりカタチ作られて なくてもいいのか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ああ、ええんや」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲・・・、そんだけ悩むってことは それだけ真剣に考えてるってことやろ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「だから会って、その時の気持ちで 決めたらええんやで!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「恋っちゅうカタチは 常に変化するもんや」
三鷹 哲也(みたか てつや)「お前の今の気持ちが 恋のカタチを作ってく」
古林 一咲(こばやし いっさ)「”恋のカタチを作る”?、 ・・・俺自身が!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そうや・・・『追う恋』もええけど」
三鷹 哲也(みたか てつや)「『今の恋』も大事にせなあかんで」
古林 一咲(こばやし いっさ)「『今の恋・・・』」
三鷹 哲也(みたか てつや)「まぁ、人間の数だけ ”恋のカタチ”はあるってこと」
三鷹 哲也(みたか てつや)「お前はお前、俺は俺の ”恋のカタチ”を作ったらええ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「悩む必要あらへんのや」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・ありがとう、哲也」
古林 一咲(こばやし いっさ)「お前と友達になれて本当によかった」
三鷹 哲也(みたか てつや)「だ、だから急に真面目になんなって!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「恥ずかしいやないかい」
古林 一咲(こばやし いっさ)(俺は俺か・・・、よし!!)
三鷹 哲也(みたか てつや)「さあ、早く食べよか! 昼休み終わってしまうぞ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、そうだな」
三鷹 哲也(みたか てつや)「放課後、頑張れよ相棒!!」
〇教室
古林 一咲(こばやし いっさ)「よし行ってくるか・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いい報告待ってるで!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「一咲君、ファイトだよ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ!!」
〇学校の下駄箱
〇グラウンドの水飲み場
〇体育館裏
山口 香子(やまぐち きょうこ)「・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ごめん待った?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「いえ・・・、今来たところです・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ん、んん──!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「単刀直入に聞くけど 二年前、花火大会で俺らは出会った?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「・・・はい」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「間接的に・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「間接的?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君、私のこと覚えてませんか?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そう言われても・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「私・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「カオルコです・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え?香子じゃなくて?カオルコ」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「図書委員で一緒だった・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あ・・・!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あああ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「カオルコ? 嘘!全然違うでしょ?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺が知ってるカオルコは もっと背が小さかったはず」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君だって、別人みたい・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「髪も背も伸びたし・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ハハハ・・・お互い様だな」
〇体育館の裏
古林 一咲(こばやし いっさ)「まさか中学で一緒だったカオルコとはな!」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「そう呼んでたの古林君だけだよ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「で、カオルコは俺に何のようなんだ?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「あの・・・私・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「その・・・、」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「二年前の花火大会のことを謝りたくて・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え?どういうこと?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「私・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「あの・・・私が・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「二年前、古林君に嘘の手紙を 書いて花火大会呼び出したの・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あの時の待ち合わせの手紙・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「ずっと謝りたかった」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「本当にごめんなさい・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そうだったのか・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「よく勇気出して話してくれたね」
古林 一咲(こばやし いっさ)「嫌な過去も、それで救われたよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ありがとう」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「ありがと・・・う・・・」
「・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「・・・花火大会の日」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「ベンチの近くに 虐められてた二人と一緒にいてたの」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「でも耐えられなくなって・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「その場から逃げ出した・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「その時ある女性とぶつかったの・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「多分その人が・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君の初恋の人だと思う!」
古林 一咲(こばやし いっさ)(俺を揶揄いにきてた二人と別に カオルコもいたのか!?)
山口 香子(やまぐち きょうこ)「わ、私・・・、」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君に謝ろうと戻ったら・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「あの女の人は、 いじめっ子の二人を叱って」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「さらに私の事まで注意してくれてた」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「その後、古林君が 金髪の男性と喧嘩になって」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「私はお巡りさんを呼びに行ったの」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そうだったのか・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)(あの時、お巡りさんが来たのは カオルコのおかげなのか)
山口 香子(やまぐち きょうこ)「それで・・・その・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「好き・・・になりました」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君の・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺の・・・?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「いつも隣にいるあの女の子の事が・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えぇぇ──!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そ、それって、誰のことかな・・・?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「バイク乗って通学している女性・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「れ、恋のこと──!?」
「・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「恋さんって言うんだ・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君は恋さんと 付き合ってるの・・・?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「いや・・・付き合ってはないけど・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「よかった──」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それにしても何でまた恋のことを・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あいつは初恋の人とは関係ないぞ」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「キーホルダー・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あの星形のキーホルダーのことか?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「どこでも売ってるだろう」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「いえ、あの星形のキーホルダーは一年に一個しか作らないんです」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なんで?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「レモネードを販売している人、 祭り界隈じゃ結構有名な人で」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「毎年一つ、自分の事を褒めてくれた人に」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「趣味のキーホルダーをあげるのを 続けてて」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「おそらくキーホルダーの裏に」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「花火大会の日にちが彫られているはずです」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「もしそうなら・・・ 古林君の初恋の人だと思う・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「私も恋さんに・・・ 会ってお礼いいたくて・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「恋が初恋の人?いや、ないない!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そもそも、 あいつは花火大会に来ていないんだ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あの子の友達である蒼山さんから」
古林 一咲(こばやし いっさ)「花火大会は、一緒にいてたと聞いてるし!」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「・・・!?」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「もし・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「嘘ついていたら・・・?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えっ?・・・まさか・・・・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「だってすごく似ていて・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「キーホルダーも一緒なんて・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)(確かに条件は揃っているが・・・)
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「一度、確かめた方がいいよ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ・・・、わかった」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「今は、私が恋さんを好きな事・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「古林君だけの秘密にしといて欲しい・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、わかった」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「恋さんがあの時の人なら・・・ 連絡してね・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ・・・」
山口 香子(やまぐち きょうこ)「ありがと、じゃ・・・」
〇学校脇の道
古林 一咲(こばやし いっさ)(恋は初恋のあの子?)
古林 一咲(こばやし いっさ)(いや、あの二人が俺に嘘つくはずがない)
古林 一咲(こばやし いっさ)(でも、もしそうなら・・・)
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああっ!わかんねえっ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「──恋!?」
恋『一咲、PINEできる?』
一咲『ああできる。それより
身体は大丈夫なのか?』
恋『心配かけた?ごめんね。
もう大丈夫だよ』
一咲『もうすぐテストだし
ノート届けようか?』
恋『ありがとう。一咲優しいね』
一咲『帰り道だから気にすんなって』
恋『一咲、今から時間ある?』
一咲『俺は大丈夫だけど。どうした?』
古林 一咲(こばやし いっさ)(あれ?返事が来なくなった・・・)
恋『一咲に伝えておきたい事がある』
一咲『なんだよ、あらたまって』
恋『はっきりさせなきゃと思って』
恋『初恋の人について話したいの』
古林 一咲(こばやし いっさ)「な!何だって!!」
一咲『それって、どう言うことだ?』
恋『詳しい事は会って話したい』
恋『米ノ原駅で降りて、待っているから』
古林 一咲(こばやし いっさ)「くそ!電話だ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「電源が繋がらない・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あいつ一体・・・」
〇田舎駅の改札
何を知ってるんだ────
話が一気に進みましたね😖
香子さんが過去のことについて話したことについて、一つの過去に精算はできたものの新たな問題が発生しましたね、、、まさかの恋ちゃんを好きになるなんて新たなライバルが出現じゃなくて、、、色々と証言が出てくる一方で、ついに恋ちゃんの方から、初恋の人についての話が出てくるとは、、、次回も楽しみです☺️
ラムネ飲むとき鳴りますか。僕は鳴らないですかね。
自作やらPJやらプライベートで忙殺されてましたが再び読ませて頂きます。おっと。匂わせてくるもすぐに疑いが晴れ、さらに恋があの子の可能性を高めましたね…さて、そろそろ決着か。
作中の"今の恋"を大事にするって台詞が恋の名前と繋がっていていいですね
衝撃的な展開😯! まさかの百合なうえにライバル!?
すごく続きが気になるし面白いです!