第9話『交錯する再会』(脚本)
〇中東の街
エイリ「シュプネーとグレーシアとの 国境の宿場町”ブレム”」
エイリ「何もないことで有名な町よ」
レイド「ここで一休みして過ごそう」
レセ(エロ動画、、、)
レセ(あのエイリが俺のエロ動画に出る?)
レセ(夢でも見たのか?)
エイリ「そこ、変なこと考えてないか?」
レセ「いや、何でも」
エイリ「やっべ、効き過ぎたか」
レイド「まあ、街で休めるんだから 浮かれるのも仕方ないね」
レセ(レイドさん、すみません 不純な妄想で気が散ってます)
レセ(やはりエロ魔報士になるか)
〇島の家
エイリ「ここが僕たちの宿か」
レイド「悪いけど、ちょっと私は 別行動させてもらうよ」
エイリ「了解!」
レセ「さて、俺も観光するかな」
エイリ「こら、待てや」
エイリ「僕も連れてけ」
エイリ「あからさまに面倒そうな顔をしないでよ」
レセ「だって、お前有名人じゃん」
エイリ「だから、護衛役が必要でしょ?」
レセ「俺、魔報士だぜ?」
エイリ「魔報士も一応戦闘は出来るし 一般人よりは強いはずでしょうが」
レセ「仕方ねえな」
〇結婚式場前の広場
町人A「本当にこの町は何もねえな」
町人B「本当ね、宿しかないわ」
町長「何もないが、悪いことも何もない!」
町長「それが1番!」
〇結婚式場前の広場
エイリ「すっげえ!何もねえや」
レセ「お前、デカい声で言うなよ」
町人C「そこの旅の人」
レセ「ほら、聞かれた」
町人C「何もないでしょ、この町」
エイリ「はい!何もないっすね!」
レセ「いいのか、それで?」
町人C「何もない町ですけど 楽しんでいってくださいね」
町人C「まあ楽しむものすらないですけど」
エイリ「何もないことを楽しみます!」
町人C「ていうか、もしかして 歌姫のエイリさん!?」
レセ「いまさらかよ」
町人C「あのエイリさんが何もない町へ!?」
エイリ「旅の途中です」
町人C「いつも応援してます」
エイリ「ありがとう」
町人C「何もないですけど宿だけはあるので ゆっくり休んでいってくださいね」
エイリ「そうします!」
町人C「ごゆっくり、何もないけど」
レセ「すげえ町だな」
エイリ「何もないけどさ、自分の知らない場所を 歩くって楽しいよね」
レセ「俺はシュプネー育ちだから 授業以外で他の街に行くのすら あまりないからな」
レセ「新鮮だ」
エイリ「でも、こうして知らない街で 僕のこと応援してる言ってくれる人がいると 嬉しいもんだね」
リユ「うわああー何もねえ」
リユ「逆に新鮮だわ」
エイリ「ほら、仲間いたし、みんな同じこと思ってる」
レセ「お前ら、言いすぎると 住民から袋叩きにあうぞ」
エイリ「ここの住人たちの人ですら 何もねえって笑ってるから大丈夫」
リユ「宿場町として どうにか成り立ってるって言ってた」
レセ「なら仕方ないな」
「はははは!」
「・・・・・・」
エイリ「それでさ」
リユ「レセ君とエイリちゃんじゃん!」
レセ「このまま流れそうになって ようやくツッコミを入れたか」
リユ「君らもここにいたんだ」
エイリ「グレーシアの前の最後の宿場町だからね」
レセ「観光だ」
リユ「そうなんだ、私も自由行動中」
エイリ「リユちゃんがいるってことは あいつもいるってこと?」
リユ「もしかして、ビルデさんのこと?」
エイリ「そう」
エイリ「レセ君、宿に帰ろう」
エイリ「あいつにはあまり会いたくない」
レセ「あ、ああ」
〇可愛らしいホテルの一室
リユ「私も入れてもらってよかったの?」
エイリ「モチだよ、ダチ公」
エイリ「これ見て」
レセ「本か?」
リユ「あまり見たことない絵柄だね」
エイリ「マンガ」
リユ「マンガ?聞いたことある」
リユ「グレーシアで作られてるって」
エイリ「最近グレーシアで流行ってるんだってさ」
エイリ「札束に物を言わせて入手した」
レセ「へええ、見せてもらうぞ」
リユ「私も!」
「・・・・・・」
レセ「凄いぞ!これは!」
レセ「絵とセリフが一緒になり ストーリーを編み出している」
リユ「それだけじゃない 登場人物の心理描写も卓越している」
リユ「小説や動画じゃ表現できない 素晴らしさがある!」
レセ「すごすぎる」
レセ「ページを捲る手が止まらん!」
リユ「続きはどうなるの!」
エイリ「続きはグレーシアに行かないと 入手出来ないんだってさ」
リユ「行くしかないわね!」
レセ「ああ!」
エイリ「まあ、僕のいた世界では 人気の読み物なんだけどね」
リユ「僕のいた異世界?」
レセ「これ、異世界のものなのか!?」
エイリ「そうだよ」
リユ「ちょっと待って!」
エイリ「ん?」
リユ「エイリちゃん、自分のこと 異世界人って言ったようなもんだよね?」
エイリ「そうだよ」
エイリ「リユちゃんには特別に教えてあげる」
エイリ「僕は11年前に異世界から来たの」
リユ「マジか」
リユ「ずっとシュプネー人かと思ってた」
エイリ「まあ、そうだよね」
リユ「でも、それ私に知られて良かったの?」
エイリ「これから長い付き合いになりそうだし リユちゃんなら信用できるからね」
リユ「分かったよ」
エイリ「この世界には大勢の異世界人が 散らばってるらしいんだけど」
エイリ「特にグレーシア王国の異世界人たちは 僕の元々住んでた国の文化のマンガを 作ってるらしいの」
リユ「つまり、エイリちゃんは 同じ国の人間に会うのが今回の目的な訳か」
レセ「なるほど。意味ある訪問だったわけか」
エイリ「そういうこと」
エイリ「同じ国の出身の異世界人に会えるチャンスなんてなかなかない」
エイリ「シュプネーなんて異世界人 僕を除いていないからね」
エイリ「国によっては 評判の悪い異世界人もいるって聞く」
リユ「でも、もし元の世界の住人たちだったら エイリちゃんが異世界人だって 大陸中にばれちゃうかもよ?」
エイリ「その点は大丈夫!」
リユ「どういうこと?」
エイリ「僕、今回の慰問で歌手引退するつもりだから」
「はあああ!?」
〇城壁
ビルデ「まさか、こんなところで会うなんてな」
レイド「ああ」
ビルデ「随分と落ちこぼれているようだ」
ビルデ「前までは悪評をよく聞いていたが それすらも聞かなくなったから 死んだかと思っていた」
レイド「誰からも忘れられて 死んでるのも同じだ」
ビルデ「遺物集めで生計を立てているとは 恥すらも忘れたか?」
レイド「冒険だけはやめられないからな」
ビルデ「どういうツテか分からないが 歌姫様と一緒にお忍び旅か」
ビルデ「死神と一緒に旅とは 歌姫様も運が悪いな」
レイド「そうだな 命を賭けて守るつもりだ」
ビルデ「ちっ、昔だったら すぐに殴りかかってきたくせに」
レイド「あのときの過ちは 繰り返さないと決めたんだ」
レイド「だから、聞いてくれ」
レイド「あのときは悪かった」
ビルデ「人に頭を下げられるようになったなんて 随分と成長したじゃないか」
ビルデ「だがな!俺はあの時の屈辱を忘れていない!」
ビルデ「加害者が改心し、かつての過ちを反省し 謝罪したところで罪は消えない!」
ビルデ「貴様のその態度を美談にはさせない!」
ビルデ「俺は過去に誓ったんだ」
ビルデ「レイド・ルーツバを一生許さないとな!」
レイド「別に許してもらえるとは思っていない」
レイド「ただ謝りたかっただけだ」
ビルデ「そうか」
ビルデ「そのためだけに呼び出したのか」
レイド「ああ」
ビルデ「またな」
〇森の中
ビルデ「はあはあ」
ビルデ「今更あいつら何を言い出すんだ」
ビルデ「謝罪だと!?」
ビルデ「笑わせるな」
〇島の家
〇上官の部屋
メリティス「というわけだ、エイリ頼んだぞ」
〇洋館の一室
エイリ「はあ??」
エイリ「メリティス何言ってんの?」
エイリ「僕とあいつが一緒に仕事!?」
エイリ「聞いてないよ!」
エイリ「ちょっと話はまだ!」
エイリ「切っちゃった」
レセ「ちゃんと話せたか?」
エイリ「繋いでくれて、ありがとう」
エイリ「やっぱ、魔報士いると便利ね」
レセ「それで、メリティスさんは何て?」
エイリ「それがさ!」
エイリ「せっかく一緒になったんだから 僕とビルデで仕事しろだってさ!」
レセ「凄いじゃないか」
エイリ「全然!」
エイリ「僕、あいつ大嫌いなの!」
レセ「凄い人じゃないか」
エイリ「実力は本物だけど」
エイリ「性格が終わってんの」
エイリ「昔さ、一回だけしか仕事したことあんの」
エイリ「スタッフへの態度が悪くてさ」
エイリ「あと時間もルーズだし」
エイリ「あと香水臭い」
エイリ「あと向こうの世界で 私にいじわるしてきた男子に似てる」
レセ「イメージとかけ離れてるな」
エイリ「まあ、メリティスの頼みじゃ仕方ないか」
エイリ「これで最後だし、視聴者も 盛り上がってくれるかも知れないからね」