アイアコス

おそなえひとみ

オメルタ【血の掟】(脚本)

アイアコス

おそなえひとみ

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〇黒
  ファミリーは
  強固な信頼によって成り立つ組織だ
  例え、もっとも裏切りが多い
  共同体であろうとも

〇黒

〇シックなバー
  23時44分
  静寂とは至福の時間だ──
  葉巻を燻(くゆ)らせ、なにも考えず
  立ち昇る紫煙(しえん)を眺める
  悪くない時間だ
  この街で生きるにしては──
アイアコス(相変わらず、客はいない・・・ だが、それが良い──)
アイアコス(女と子供のいない世界は ただただ、静かだ──)
アイギナ「さっさと注文してくれないかい?」
アイギナ「・・・」
  静寂とは──この世で最も最悪な時間だ
アイギナ「早く注文しな」
アイギナ「金を使わない奴は客じゃない 断じてね──」
アイアコス「来たみたいだぞ」
アイギナ「時間だね──」
アイギナ「いらっしゃいませ、どうぞこちらへ」
ティモン「あ、あぁ・・・」
アイギナ「何を飲むんだい?」
ティモン「俺は、飲みに来たわけじゃない」
アイギナ「そうかい・・・」
アイギナ「じゃあ、客に間違いないね」
ティモン「なんのつもりだ!!」
アイギナ「落ち着きなよ?ミルクでもどうだい?」
ティモン「ふざけてんじゃねぇ!!」
アイギナ「アンタは銃をぶっ放しに来たのかい? 違うだろ?」
ティモン「俺は、話しをつけに来ただけだ」
アイギナ「ファミリーを抜けたい この時間に来る客はそういうヤツだ」
ティモン「どうしてシャッターを降ろした!!」
アイギナ「ゆっくり話を聞かせて貰いたいからさ」
ティモン「こんな状況で、ゆっくり話ができるわけないだろ!!」
アイギナ「なら、アンタに待ち受けているのは死だ」
ティモン「銃を向けているのは俺だ!!」
アイギナ「気がついてないようだが──」
アイギナ「アンタの隣人が とっくに引き金を引いてるよ」
アイギナ「殺すつもりならね」
アイギナ「我々は人間だ 命のやりとりは簡単だが──」
アイギナ「言葉を交えて迂遠な解決策を 見つけることもできるはずだよ?」
ティモン「銃を突きつけられて 落ち着けられるか・・・」
アイギナ「私は、落ち着いてみせた」
アイアコス「銃を置け──」
アイアコス「血の臭いを嗅ぎたくない 葉巻の香りが台無しになる」
ティモン「これで文句ねぇだろ・・・」
アイアコス「あぁ、君を歓迎しよう」
アイギナ「ここからは、気楽な閑談(かんだん)だ 死ぬか、生きるかを決めるだけのね」
アイアコス「酒を用意してくれ」
ティモン「水で良い・・・」
アイギナ「郷に入っては郷にしたがえ ここでの振る舞い方があるのさ これはルールだよ」
アイギナ「~~~♪」
アイギナ「ヘミングウェイ・カクテルだ」
アイアコス「別名を知ってるか?」
アイアコス「またの名を「午後の死」と言う」
ティモン「やっぱりファミリーは 俺を殺す気なんだな!?」
アイアコス「落ち着けよ、今は23時50分だ 午前になるまで、10分は猶予がある」
アイギナ「アンタはファミリーを抜けると決めた」
アイギナ「そのまま逃げることもできた だが、アンタはそうしなかった」
アイギナ「スジを通して ボスに抜けたいと願い出た これは温情だよ」
アイアコス「10分以内にファミリーを抜けるに 相応しい理由を話せ」
ティモン「・・・忠誠心を示せば良いのか?」
アイアコス「忠誠心だけではダメだ」
アイアコス「忠誠心のある人間なら、 そもそもファミリーを抜けやしない」
ティモン「信用してくれ 俺は誰も売らない」
アイアコス「言葉では何とでも言える」
アイアコス「しかし言葉で 説得するしかない時もある」
アイアコス「俺達は犬じゃない 話せばわかり合えることもあるだろう」
アイギナ「生かすも殺すもアイアコス次第だ ボスに一任されているからね」
アイアコス「俺が審判者だ」
アイアコス「生きたければ俺を説得しろ」
アイギナ「時間は有限だ、大事にしないとね」
アイギナ「もう10分を切ったよ」
アイアコス「俺が納得できなければ、午前になる前にお前を殺す」
アイギナ「先に忠告しておくが──」
アイギナ「銃に手を触れた瞬間 アイアコスはアンタの頭を吹き飛ばす」
アイギナ「生き残りたいなら、言葉で戦いな」
アイアコス「さて、話してくれ ファミリーを抜ける理由を」
ティモン「妻が病気になったんだ・・・」
ティモン「放っておけば1年持たないと診断された」
ティモン「だから、少しでも アイツの側に居てやりたい」
アイアコス「真実か?」
ティモン「本当だ、信じてくれ?」
アイアコス「お前には聞いていない」
アイギナ「真実だ。彼の奥さんはガンだった 早急な手術が必要だよ」
アイアコス「だが、ファミリーを抜ける理由には弱いな」
アイアコス「我々はファミリーだ。 君の奥さんも我々の家族だよ」
アイアコス「ボスはきっと面倒を見てくれるだろう」
アイアコス「なのに、その機会を捨てるのか?」
アイアコス「お前は医療より 呪(まじな)いを信じるクチなのか?」
ティモン「まさか・・・手術させるつもりだ!!」
アイアコス「つもり、か・・・俺はその言葉が嫌いだ」
ティモン「俺は違う・・・」
アイアコス「金はどうする、安くはないだろう?」
ティモン「家族や親戚に掛け合うつもりだ」
アイアコス「コイツの言葉は真実か?」
アイギナ「真実とは遠いね そんな金は出せそうにない」
アイアコス「だそうだ。なにか反論はあるか?」
ティモン「か、貸してくれそうな友人がいる」
アイギナ「ファミリーを抜ける奴に金を貸すバカは この街にはいない」
アイアコス「次、嘘をつけば殺す──」
ティモン「あ、あぁ・・・」
アイアコス「死んでも良い そう思ってるんじゃないのか?」
ティモン「だ、誰がだ・・・」
アイアコス「妻がだ──」
アイアコス「お前には子供が居ない、妻一人だ なら容易に替えがきく」
アイアコス「多額の手術費用を支払うより 妻を見殺しにした方が、安くつく」
アイアコス「そう思わなかったか?」
ティモン「そんなこと思ってない」
アイアコス「言っておくが、次は殺すぞ」
ティモン「・・・あぁ、頭をよぎった」
アイギナ「ボスは寛大だ 手術費用は、支払ってくれただろう」

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コメント

  • 渋い!めちゃくちゃおもしろかったです!
    1話なのにもうアイアコスが好きになりました笑

  • 立ち絵のカッコ良さを生かしたお話、面白かったです😆
    こういうのもイイですね✨

  • すっごいカッコいいですね✨☺️
    しびれます!✨
    福村さんの立ち絵がもう!!!!!!
    ばっちりハマってますね!!!✨😆👍

    緊張感がある中で進むお話に最初から最後まで目が離せませんでした✨☺️

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