呪われエンターテイナー(脚本)
〇時計台の中
レッド「見つけたっ!」
レッド「あなたの好きにはさせないよ! 悪の怪人ドロリーノ!!」
ドロリーノ「フフフ・・・ よくここまで辿り着きましたねぇ!」
ドロリーノ「ミリタリーファイブ!!」
レッド「レディポジション!」
レッド「規則違反に下せ鉄槌! 弱きを助け、響け吉報!」
レッド「ミリタリーレッド!!」
ブルー「受け継がれし知識は未来への架け橋」
ブルー「ミリタリーブルー!!」
グリーン「報連相は最大の防御!」
グリーン「ミリタリーグリーン!!」
ブラック「きみの心の防護装備!」
ブラック「ミリタリーブラック!!」
ホワイト「みんなを導く誘導弾!」
ホワイト「ミリタリーホワイト!!」
レッド「ミリタリーファイブ! ゴー! コンバット!!」
ドロリーノ「フッ・・・」
ドロリーノ「ミリタリーファイブなど このワタクシの敵ではありません」
ドロリーノ「お前たち!」
ドロリーノ「やっておしまい!!」
レッド「えいっ!」
戦闘員「ギャーッ」
ブルー「ハッ」
グリーン「オラァッ!」
戦闘員「ギギィッ」
ドロリーノ「何を手こずっているのです! 早くミリタリーファイブを始末なさい!」
戦闘員「ガオォーッ!!」
ブラック「たぁっ!」
ホワイト「とうっ!」
レッド「残るはあなただけだよ! 覚悟しなさい!!」
ドロリーノ「キィィ〜ッ!」
ドロリーノ「本来はこのような手段、 ワタクシの美学に反しますが・・・」
ドロリーノ「仕方ありません」
お姉さん「きゃあっ! 何するの!? 離して!!」
レッド「お姉さん!」
お姉さん「やめてーっ! 助けてーっ!!」
レッド「くっ・・・このままじゃ お姉さんを助けられない」
ブルー「大丈夫よ、レッド」
グリーン「会場のみんなの力を借りよう!」
〇時計台の中
レッド「みんなの力を・・・?」
〇中庭のステージ
レッド「そうだね! みんなの応援が私たちの力になる!」
〇中庭のステージ
レッド「お願いみんな! 私たちに力を貸して!」
レッド「せーのっ!」
「ミリファイがんばれーっ!!」
「みりふぁいがんばえぇぇーっ!!」
レッド「みんなのおかげで力が溢れてきた! これなら勝てる!!」
レッド「ドロリーノ、覚悟ぉおおッ!!」
ドロリーノ「暴力反対〜!!」
ドロリーノ「あ〜れぇ〜」
レッド「ミリタリーファイブ! ミッションコンプリート!」
ホワイト「みなさん、ありがとうございます!」
ブラック「このあとは勝利の歌を捧げるぜ!」
〇遊園地の広場
お姉さん「みんな、今日は本当にありがとう!」
お姉さん「またミリタリーファイブに会いに来てね!」
スタッフ「物販はこちらでーす!」
スタッフ「チェキこちらでーす!」
〇黒背景
〇テントの中
???「はぁー、疲れた・・・」
黒澤「高橋お疲れー」
高橋「黒澤さん、お疲れさまです」
ツヴェルフ「お疲れさまー」
高橋「ツヴェルフさんも」
高橋「お二人とも、もう衣装脱いだんですね」
黒澤「暑くていつまでも着てらんねーって」
ツヴェルフ「ウィッグのせいで頭まで蒸れてるよ」
黒澤「高橋も早く脱げよ。手伝おうか?」
高橋「あ、じゃあ後ろのファスナー 下ろしてもらっていいですか?」
黒澤「はいよ〜」
黒澤「・・・あれっ」
黒澤「開かない・・・」
高橋「えっ?」
黒澤「布噛んじゃったかなぁ」
ツヴェルフ「見せてください」
ツヴェルフ「・・・・・・」
ツヴェルフ「噛んでないけど動きませんね」
高橋「ええーっ」
高橋「じゃあ先に仮面を・・・」
高橋「・・・・・・」
黒澤「何やってんの」
高橋「・・・外れない」
「えっ!?」
高橋「仮面が!」
高橋「何故か!」
高橋「外せません!!」
「ええーっ!?」
黒澤「汗でくっついたのか?」
ツヴェルフ「そんなことあります?」
黒澤「表面張力的な・・・?」
高橋「んーっ! んんーっ!!」
高橋「ビクともしません!」
黒澤「よし、俺が身体を押さえるから、 ツーさんは仮面を引っ張ってくれ!」
ツヴェルフ「分かりました! せーのっ・・・」
ツヴェルフ「えいっ!!」
高橋「痛い痛い痛い痛い!!」
ツヴェルフ「外れない!?」
黒澤「どうして!?」
高橋「なんだか皮膚のような フィット感が・・・」
ツヴェルフ「この怪人の衣装、特注でしたっけ?」
黒澤「株式会社ミルクティーってとこに オーダーメイドしたって聞いたけど」
ツヴェルフ「それ、うちの結社です!!」
高橋「結社・・・えっ・・・?」
黒澤「──ってことは!」
ツヴェルフ「俺のボスが作った 呪いのスーツに違いありません!」
高橋「ど、どういうことですか?」
ツヴェルフ「実は俺・・・」
ツヴェルフ「本物の怪人なんです!!」
高橋「・・・・・・」
高橋「え?」
ツヴェルフ「宇宙征服を目論む 秘密結社ミルクティー」
ツヴェルフ「俺はそこに所属する怪人 『変幻自在のツヴェルフ』」
高橋「・・・えーと」
高橋「言いたいことは色々あるんですけど」
高橋「本物の怪人が何で 『ヒーローがコンセプトのアイドル』を?」
黒澤「色々あってな」
高橋「だからその色々を 聞きたいんですってば!!」
黒澤「ツーさんが担当のホワイトが 2代目なのは知ってるだろ?」
高橋「はい」
黒澤「実は初代ホワイトも 本物の怪人だったんだよ」
高橋「はい?」
ツヴェルフ「俺とは敵対する組織の怪人だったし、 見解の相違もあって倒しちゃったんだ」
高橋「倒──」
黒澤「とか言ってるけど」
黒澤「レッドがそいつに攻撃されたことに キレてぶちのめしたんだよな〜?」
ツヴェルフ「別に、レッドさんだからって訳じゃ・・・」
高橋「ちょっ・・・」
高橋「つまりどういうことですか!?」
高橋「ツヴェルフさんは本物の怪人で」
高橋「ツヴェルフさんの所属する会社── いや結社のボスが作ったのがこのスーツで」
高橋「このスーツは呪われていて脱げない── そういうことですか!?」
ツヴェルフ「おおむね正解かな?」
高橋「信じられない・・・」
黒澤「変化見せてやったら?」
ツヴェルフ「それが早そうですね」
ツヴェルフ「こんな感じで──」
ツヴェルフ「12種類の姿に変化できるんです」
高橋「・・・ッ!!」
高橋「ツヴェルフさんが怪人役やった方が 諸々節約できるじゃないですか!!」
黒澤「そしたらお前、 スーツアクターのバイトなくなるぞ?」
高橋「そうだったぁ〜」
黒澤「それにツヴェルフはもうアイドルだから、 怪人役なんてやらせねーよ」
黒澤「ま、最近は特撮色が濃くなって」
黒澤「アイドルってか ご当地ヒーローみたくなってるけどな」
高橋「怪人がアイドル・・・ 怪人がヒーロー・・・」
ツヴェルフ「結社から副業許可はもらってるよ?」
高橋「宇宙征服はいいんですか?」
ツヴェルフ「結社の方針ってだけで、 俺は別にこだわってないから」
高橋「そんなんでいいの!? 怪人社会どうなってんの!?」
ツヴェルフ「君のそのスーツ・・・」
ツヴェルフ「ボスが仲間──怪人を増やすために 作った物だと思うんだ」
黒澤「ってことは、このままだと 高橋は本物の怪人になっちゃうのか?」
高橋「秘密結社に就職か・・・」
高橋「このままフリーター続けてても 先が見えないし」
高橋「悪くないかも?」
黒澤「おい、思考がだんだん 支配されてきてないか?」
ツヴェルフ「うちの結社ブラックだから あんまりオススメしないけど」
高橋「いやいやいや!」
高橋「俺の夢はプロのスタントマンになることで 怪人になることでは・・・」
高橋「ハッ」
高橋「今何時ですか!?」
黒澤「18時ちょい前だけど」
高橋「やばい! 次のバイトに遅れる!!」
黒澤「おい、スーツは!?」
高橋「生活かかってるんで」
高橋「脱げないなら今日はもう このままでいいです!!」
高橋「お疲れさまでしたーッ!!」
黒澤「・・・行っちゃった」
ツヴェルフ「大丈夫かなぁ・・・」
〇黒背景
〇コンビニのレジ
店長「高橋くん」
店長「たしかに私服で働いてもいいって 言ったけど・・・」
店長「さすがにそれはないんじゃない?」
高橋「サーセン」
高橋「スーツアクターの方の バイトの衣装なんスけど」
高橋「呪われて脱げなくなっちゃって」
店長「ええっ!? 呪われちゃったの!?」
店長「飯どーすんの!? トイレは!?」
高橋「その一言で忘れていた 空腹感と尿意を思い出しました」
高橋「どうしましょう」
店長「おい、お客さんだ」
高橋「いらっしゃいませー」
ボス「タバコの4番くださ──」
「イィィィーーーーーー!?」
ボス「きみか! ツヴェルフが言っていた面接希望者は!」
高橋「ツヴェルフさんのお知り合いですか? 面接って・・・」
高橋「あっ! もしかして 秘密結社ミルクレープのボス!?」
ボス「ミルクレープじゃなくてミルクティーだ」
高橋「何でそんな名前に・・・」
ボス「カワイイから」
店長「高橋くん、面接ってどういうこと!? 急に抜けられたら困るよー!!」
高橋「ややこしくなるんで店長は 引っ込んでてくださ──」
店長「うわぁーッ!!」
高橋「店長ーッ!?」
高橋「軽く押しただけなのに 店長が吹っ飛んだ・・・」
ボス「素晴らしい!」
ボス「スーツとの同化は順調じゃないか!」
ボス「これなら面接は免除だ! さっそく明日から──」
高橋「同化って!?」
ボス「言葉通りだ。 怪人化が進んでいるということだよ」
高橋「そんな・・・」
ボス「完全に同化してしまえば 飲食もトイレも困ることはない」
ボス「安心したまえ」
高橋「ならよかっ──」
高橋「よくないっ!!」
高橋「俺は怪人になる気はありません!!」
ボス「そのスーツは一度着ると 二度と脱げない呪いの怪人化スーツだ」
ボス「きみは怪人になるしかないのだよ」
高橋「くっ・・・」
???「諦めないで!」
レッド「助けに来たよ、高橋くん!」
高橋「レッドさ──」
高橋「・・・ピンクさん? ポジション変えたんですか?」
レッド「ピンクだけどレッドです!!」
高橋「その衣装はいったい」
レッド「これはあのバカのせいで ヒーローにさせられたせいなの」
ボス「させられたとは失礼な」
ボス「本物の力を授けて 差し上げたというのに」
高橋「本物の力?」
???「初代ホワイトを倒した時、彼女には 本物のヒーローになってもらったんだ」
高橋「どちら様っ!?」
???「あ、ごめん」
ツヴェルフ「俺だよ俺」
高橋「ツヴェルフさん!」
ツヴェルフ「彼女の力なら、きみのスーツを 脱がすことができるかと思って」
ボス「邪魔するつもりか、ツヴェルフ!」
ツヴェルフ「ボス、こんな方法使わないで きちんと求人広告を出しましょう!」
ボス「そんなん出したって集まらないよ!」
ツヴェルフ「無理矢理来させても長続きしませんって!」
高橋「秘密結社らしからぬやり取り・・・」
レッド「よし、今のうちにスーツを脱がそう!」
高橋「どうやって?」
レッド「高橋くん、歯ァ食いしばって?」
高橋「えっ?」
レッド「いくよー!!」
高橋「そっ、それは脱がすのではなく 壊すの間違いでは──」
レッド「うおりゃあああっ!!」
高橋「ギャーーーーッ!!」
高橋「痛て・・・」
高橋「仮面が割れた・・・」
高橋「スーツもない! 元に戻った!!」
高橋「やった~!!」
レッド「よしっ、ミッションコンプリート!」
高橋「レッドさん、ありがとうございます!」
レッド「どういたしまして。 明日のバイトもよろしくね?」
高橋「はいっ!!」
〇遊園地の広場
お姉さん「みんな、今日は本当にありがとう!」
お姉さん「またミリタリーファイブに会いに来てね!」
スタッフ「物販はこちらでーす!」
スタッフ「チェキこちらでーす!」
〇テントの中
高橋「はぁー、今日も疲れたー」
黒澤「高橋お疲れー」
高橋「お疲れさまです」
黒澤「今日のスーツすげーな」
高橋「筋肉モリモリ肉襦袢スーツですよ」
高橋「俺もこのくらいあったらなぁ」
黒澤「そんなにあったら 着られるスーツ限られちゃうだろ」
高橋「俺がやりたいのはスタントマンなんで」
黒澤「だとしても、 そんなマッチョな俳優いねーよ」
高橋「あっ、そうか」
ツヴェルフ「お疲れさまー」
高橋「ツヴェルフさん、 昨日はありがとうございました」
ツヴェルフ「俺は何もしてないよ」
ツヴェルフ「それより、早く着替えたら?」
高橋「そっすね」
黒澤「また手伝ってやろーか?」
高橋「お願いしゃーす」
黒澤「はいよ~」
黒澤「・・・・・・」
高橋「えっ、ちょっと・・・」
ツヴェルフ「まさか──」
黒澤「ファスナーが開かねえ」
〇遊園地の広場
ええぇぇーーーーーーっ!?
スーツアクターの戦いは続く・・・!?
ツヴェルフくんが変化自在すぎてややこしくて面白いです。素の格好で来ればいいのにコンビニに怪人の格好で来るあたり、誰?ってなりますよね。
オープニングの舞台から客席を意識させて移行する作りがスムーズでおおってなりました。
怪人☆十二面相の続編? アナザーストーリー? 最高ですね👍
素敵な立ち絵にぴったりなストーリーで、絵の魅力も存分に生かされてて面白かったです! 相変わらずボスはボケてますが、レッドの活躍を見られて痛快でした。
怪人十二面相の彼😂元気そうで何よりです
脱げない怪人スーツ着せられるわ同僚の衝撃の事実を立て続けに聞かされるわで高橋くんが気の毒…笑 最後にまた怪人スーツを着せられたってことはあのコンビニでミルクティーのボスに気に入られちゃったんでしょうか😂
世界観も話のテンポも好きですが、
一番好きなのは 「報連相は最大の防御!」 です笑