それじゃあ109年後10月9日SHIBUYA109集合ね!

きたやますぎ

それじゃあ109年後10月9日SHIBUYA109集合ね!(脚本)

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きたやますぎ

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〇SHIBUYA109
  18歳の私たちにとって、渋谷は青春そのものでした
花穂「ホントにここに埋めるの?」
茉莉「最初にマルキューがいいって言い出したの花穂じゃん」
花穂「そうだけど・・・」
透子「ここに埋めてはいけないという法律はない」
マコ「花穂サイコー! 超おもろーい!」
茉莉「ホント 超いいじゃんって思ったよ ウチらの青春だもんな、渋谷は」
ふみか「ねーねー、ちょうどいいサイズの穴になったんじゃな~い?」
  高校生活を一緒に過ごした友達とタイムカプセルを作ったのですが、
  それを、どこに埋めようかという話になって・・・
  私は、みんなの笑った顔を思い浮かべていたら、つい「マルキュー」と言ってしまったのです
  私たちの間には
  「みんなで決めた事は最後までやり抜く」
  という妙に律儀なルールがあって
  こんなふうにして誰かの突拍子もない思いつきをネタに、
  渋谷でバカばっかりやってきたのでした
ふみか「ねーねー、タイムカプセルっていつ開けるものなの〜?」
透子「明確な決まりはないが、一般的には10年後くらいが多いだろうな」
花穂「10年後かぁ〜 それまでには彼氏できるかなぁ・・・?」
マコ「その頃には、いくつ肉まん食べたかなぁ♪」
茉莉「10年くらいじゃ、みんなそんな変わってないっしょ」
茉莉「せっかくマルキューに埋めるんだしさ、109年後にしない?」
花穂「えぇっ!」
マコ「その頃には、肉まん記録1億個になってるかも〜♪」
透子「ははっ その計画だと、マコは一日に2514個肉まんを食べる計算になるなぁ」
ふみか「がんばらないとだね〜」
花穂「ちょっと待って! 肉まんの事じゃなくて!!」
花穂「109年後ってことは、全員127歳まで生きるってこと!?」
茉莉「まあ、ギリ行けるんじゃね?」
ふみか「長生きしないとだね〜」
透子「日本人女性の平均寿命はのびているし、今後の医学の進歩も鑑みると、全く無理とは言えないだろう」
花穂「ふぇ〜・・・」

〇SHIBUYA109
  そして、いつものノリでタイムカプセルは、109年後の10月9日にSHIBUYA109で開封することに決まったのです
  この時は、それが実現できるかどうかなんて、誰も真剣には考えてなかったと思います
茉莉「それじゃあ109年後10月9日 SHIBUYA109集合ね!」
「がってんだ!!」
花穂「がってんだ・・・」
  高校を卒業した私たちは、進学したり就職したり、それぞれの道を歩み始めました

〇黒
  それからすぐの事でした
  突然、大きな国と大きな国が戦争を始めました
  そして、あっという間に世界中で戦争が始まりました
  人間が使ってはいけない兵器がたくさん使われて
  いくつもの国や生き物が滅びました
  人々は地球を出て
  宇宙にできた新しい国で暮らし始めました
  私に彼氏ができる前に、地球上の生き物の数は6分の1くらいになったそうです
  それでも人は戦争を続け──
  そうこうしているうちに
  109年が経ちました

〇荒地
花穂「ここで合ってるかなぁ 誰も来るはずないよね・・・」
透子「さっき土の中にモヤイが埋まっているのを見つけたから ここはおそらく渋谷だ」
透子「もはや、今は渋谷と言えるか分からないが」
ふみか「マルキューないね〜」
花穂「透子ちゃん! ふみかちゃん!」
マコ「マコもいるよ〜ん!」
茉莉「お待たせー」
花穂「マコちゃん! 茉莉ちゃん・・・!」
茉莉「おっす 全員集まってるなー」
透子「その姿ということは、 みんな地球に残ってコールドスリープに入ったようだな」
ふみか「おかげで、体中の細胞、ボロボロだけどね〜」
透子「ああ 目覚めてから急激に肉体の腐食が進んでいるな」
透子「もってあと数時間というところか」
茉莉「床ずれマジ酷かった〜 起きてから長く動けないと思って、渋谷で冬眠しといて正解だったわ」
ふみか「何はともあれ合流できてよかったよ〜」
花穂「みんな宇宙に避難しなかったの?」
茉莉「まーなー」
マコ「タイムカプセルどこ〜? 早く開けようよー♪」
ふみか「う〜ん 残念だけど土壌汚染で溶けちゃったかな〜」
マコ「ええーーーー!!!」
マコ「109年後に、!みんなで肉まん食べようと思って入れておいたのにぃ!!」
茉莉「しゃーねーよ、マコ よしよし」
マコ「でも、みんなと会えたから満腹〜」
花穂「みんな、この日のために・・・?」
茉莉「あれから、すぐ戦争が始まってさ 世界中むちゃくちゃになって やってらんないよね、マジで」
ふみか「人生台なしになっちゃったね〜」
透子「宇宙で生き延びたとしても、国が滅んでいる以上、みんなと再会できる確率はここよりも低かっただろうな」
マコ「肉まんもないしね!」
茉莉「もういろいろ無理じゃんってなったから、大切なものだけは自分で守ろうって思ったんだ」
茉莉「花穂もそうなんでしょ?」
茉莉「それに、みんなで決めたことは最後までやり抜くのがウチらのルールじゃん?」
「がってんだ!!」
花穂「みんな・・・」
  タイムカプセルはなくなっちゃったけど、私たちがタイムカプセルに詰め込んだものは、ちゃんとそこにありました

〇黒
  それから
  109年前と同じようにみんなで穴を掘って
  5人でその中に入りました
  みんなで手を繋いで
  灰色の空を眺めていたら
  自然とまぶたが重くなってきました
茉莉「花穂 まだ生きてる?」
花穂「うん・・・」
茉莉「花穂がここにタイムカプセル埋めようって言い出したんだしさ 最期なんかいい感じで締めてよ」
花穂「え・・・えっと じゃあ」
花穂「渋谷サイコー!」
全員「渋谷サイコー!」
  私たちの友情は109年後も変わらなくて
  それはこの先も渋谷に残るみたいです
  宇宙でたったひとつの
  私たちの思い出の街に

コメント

  • タイトルの通り壮大なお話でした…!
    急な展開も簡潔な文章で読みやすく楽しませて頂きました。女の子たちの友情が尊い…。面白かったです。

  • 彼女たちの友情の美しさと、最後に終わって行く切なさがうまいことマッチしている物語でした😌
    みんなで「ガッテンだ!」というシーンから
    仲の良さが伺えて微笑ましいです☺️

  • 実は悲しい出来事でもあるのに、最後までみんな明るく楽しく振る舞っているところが印象的でした。

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