助けるまで、何度でも……

レモネード!

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〇病室
鈴木愛花「はぁ・・・・・・」
鈴木愛花「次はいつ・・・・・・退院出来るんだろう」
  私は幼い頃から体が弱くて、いつも入退院を繰り返していた。
  窓から見える景色は、大した代わり映えもしない。
鈴木愛花「それも、私にはお似合いなのかな」
鈴木愛花「変わったと思っても何も変わってない・・・・・・」
鈴木愛花「そんなダメな私・・・・・・」
  だけど・・・・・・そんな私にも、優しくしてくれる人がいた。
野原勇斗「よっ、愛花」
鈴木愛花「勇斗、今日も来てくれたんだ」
野原勇斗「今日は体調良いか?」
鈴木愛花「うん、今日はあんまり辛くないよ」
野原勇斗「そっか、良かった」
鈴木愛花「今日も来てくれてありがとね」
鈴木愛花「でも、無理しなくてもいいからね?」
鈴木愛花「私なんかより、学校とか部活の方がよっぽど大事だから・・・・・・」
野原勇斗「何言ってんだよ」
野原勇斗「俺はお前の顔みたいから、会いに来てるんだぜ」
鈴木愛花「・・・・・・・・・・・・」
鈴木愛花「・・・・・・勇斗」
鈴木愛花「そんなに私のこと好きなんだね」
野原勇斗「は!?そんなんじゃねぇよ!」
鈴木愛花「ふふ、ちょっとからかってみただけ」
野原勇斗「何だよ!」
  勇斗は小さな頃からの幼馴染。
  病気がちな私をいつも心配してくれる、とっても優しい人。
野原勇斗「あ、そうそう、これ渡しとくな」
野原勇斗「とりあえずこれが数学で・・・・・・」
鈴木愛花「いつもありがとね」
野原勇斗「それはいいんだけど」
野原勇斗「お前も物好きだよなー」
野原勇斗「学校休んでる間、「勉強しないで良くてラッキー」とか思わねぇのかよ」
鈴木愛花「あんまり思わないよ」
鈴木愛花「私みたいに休んでる子はね、置いていかれるのが凄く怖いの」
鈴木愛花「みんながどんどん先に進む中・・・・・・1人置いていかれるのが・・・・・・」
鈴木愛花「だから、せめて勉強はやっておかないと」
野原勇斗「へー、よくわかんねぇ」

〇病室
野原勇斗「じゃ、そろそろ帰るわ」
鈴木愛花「うん、今日も来てくれてありがと」
野原勇斗「また近いうちに来るからな」
鈴木愛花「・・・・・・・・・・・・」
鈴木愛花「・・・・・・私も、勇斗に何かしてあげたいな」
  勇斗はいつも私を助けてくれる
  なのに・・・・・・私は・・・・・・
  私は・・・・・・なにも・・・・・・

〇教室
  それからしばらくして、私は退院して学校にも行けるようになった。
  時々休んだり、早退したりしちゃうけど
  やっと、勇斗やみんなと同じ場所に立てた。
野原勇斗「あっづ〜・・・・・・」
鈴木愛花「おはよう、勇斗」
野原勇斗「あ〜、愛花・・・・・・」
  その日は、9月でも一際暑い日だった。
  昼間はこんなに暑かったのに・・・・・・

〇教室
  午後には強い雨の降り始める、最悪の天気だった。
鈴木愛花(頭痛い・・・・・・)
野原勇斗「酷い雨だな・・・・・・」
鈴木愛花(勇斗、何か困ってるみたい)
鈴木愛花「どうしたの?」
野原勇斗「あ、愛花か」
野原勇斗「傘忘れちまってな・・・・・・」
鈴木愛花「もう、私に言えば貸すのに」
野原勇斗「お!もしかして2つ持ってんのか?」
鈴木愛花「ううん、折り畳みの1つだけだよ」
鈴木愛花「でも、その・・・・・・」
鈴木愛花「一緒に入れば・・・・・・いいかなって」
野原勇斗「い、いや・・・・・・それは恥ずかしいな・・・・・・」
鈴木愛花「それなら、傘貸そっか?」
野原勇斗「そしたらお前はどうするんだ?」
鈴木愛花「少し待ってから帰るよ、最悪雨に打たれても──」
野原勇斗「なんで体の弱いお前が雨に打たれようとしてんだよ!」
野原勇斗「相合い傘上等だよ!行こうぜ!」

〇開けた交差点
鈴木愛花(勇斗のとなり・・・・・・)
鈴木愛花(嬉しいな・・・・・・)
鈴木愛花(でも、勇斗は私なんかに興味な──)
鈴木愛花「えっ!?めっちゃデレデレしてる!?」
野原勇斗「は、はぁ!?」
野原勇斗「デレデレなんかしてねぇよ!!!」
鈴木愛花「まあ、可愛い女の子と相合い傘してるんだもん、無理ないよね」
野原勇斗「ふざけんな!」
野原勇斗「お前のことなんか、一度も可愛いと思ったことねぇよ!」
鈴木愛花「・・・・・・そうだよね」
野原勇斗「お、おい・・・・・・逆に気まずくなるからやめろよ・・・・・・」
鈴木愛花「あはは、冗談だよ」
鈴木愛花(昔は『あいかちゃんとけっこんする』とか言ってたのにな〜)
鈴木愛花「また言ってくれたら・・・・・・嬉しいな・・・・・・」
鈴木愛花「っ・・・・・・」
鈴木愛花(ちょっと寒い・・・・・・)
野原勇斗「雨、強くなってきたな・・・・・・」
鈴木愛花「足がびちゃびちゃだよ〜・・・・・・」
野原勇斗「急ごう!」
鈴木愛花「あっ・・・・・・」
鈴木愛花(待って・・・・・・!)
鈴木愛花「うっ・・・・・・」
鈴木愛花(胸が・・・・・・痛い・・・・・・)

〇開けた交差点
鈴木愛花「ひっ・・・・・・」
鈴木愛花「雷・・・・・・嫌だなぁ・・・・・・」
野原勇斗「傘さしてると危ないよな・・・・・・」
野原勇斗「でもこの雨・・・・・・」
野原勇斗(コイツ、雷が大の苦手なんだよな・・・・・・)
野原勇斗(それに、愛花がまた体調崩しちまったら・・・・・・)
野原勇斗「愛花、近くの空き家で雨宿りしよう」
野原勇斗「愛花、近くの空き家で雨宿りしよう」
鈴木愛花「ごほっ・・・・・・ごほっ・・・・・・!」
鈴木愛花「う、うん・・・・・・おねが・・・・・・い・・・・・・」
野原勇斗「お、おい、大丈夫か?」
野原勇斗「ほら、背中に乗れ」
鈴木愛花「えっ・・・・・・?」
野原勇斗「早く!」
鈴木愛花「けほっ・・・・・・う、うん・・・・・・」

〇廃ビルのフロア
鈴木愛花「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
鈴木愛花「ごほっ・・・・・・ごほっ・・・・・・」
鈴木愛花「ごほっ・・・・・・ごほっ・・・・・・!」
鈴木愛花「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・」
野原勇斗「だ、大丈夫か・・・・・・?」
鈴木愛花「ちょっとキツいかも・・・・・・」
鈴木愛花「少し休むね・・・・・・」

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