禁術戦争

みそきゅうり

禁術戦争(脚本)

禁術戦争

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禁術戦争
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〇湖畔
  湖のほとり、いつもは静かなその場所は今は血まみれになっていた。
  そこには6人の軍人が湖岸に腰掛け、本拠地からの連絡を待っている。
ロン・セガウラー「ふぅ〜、終わった終わった」
スピカ・ストレンス「今回は結構楽勝だったんじゃない?」
ハスラー・セルリアン「嘘つけ、苦戦してたろ」
ステラ・アストリア「まぁ、相手はあの強いオメガ国。無理もないわね」
スピカ・ストレンス「あーあ、早く帰ってお菓子食べたい!」
ツバキ・ツキシマ「もう少し待ってましょ?後でケーキ作るので」
スピカ・ストレンス「ほんと!?やったぁ〜!」
ロン・セガウラー「こら、油断しないでよ?まだ敵が来てるかもしれないんだから」
ミジア・シーク「そうだね。少し胸騒ぎがするよ」
スピカ・ストレンス「ん!また敵かな?」
ロン・セガウラー「待って!この気配はあの二人だよ」
  ロンの言葉でスピカは武器をおろす。
スピカ・ストレンス「なーんだ。また暴れられると思ったのに」
ツバキ・ツキシマ「そうやって暴れて前に大怪我したじゃないですか」
ハスラー・セルリアン「そうだぞ。心配するこっちの身にもなってくれ」
スピカ・ストレンス「へぇ〜心配してくれるんだ〜」
ロン・セガウラー「まったく、油断するなって言ってるのに」
ロン・セガウラー「で、シーナ!カイト!いつまで隠れてるの〜?」
カイト「もう大丈夫みてぇだな、行くぞ」
シーナ「ひわッ!?カイト!押さないでよぉ」
カイト・ニール「こうでもしないと怖がって動かないだろ」
シーナ・ツイスィル「そーだけどさ〜」
ミジア・シーク「2人とも来てくれたんだね。道中危なくなかったかい?」
シーナ・ツイスィル「うん、大丈夫だよ。みんながここら辺の敵をほとんど倒してくれたおかげ」
ツバキ・ツキシマ「あ、あの、、楽しい雰囲気の中水をさして悪いのですが、、」
ステラ・アストリア「どうしたの?ツバキ」
ツバキ・ツキシマ「あそこを見てほしいんです、、、」
  皆がツバキの指さす方を見ると、そこにはたくさんの人影が見えた。
スピカ・ストレンス「何あれ!?人!?」
ステラ・アストリア「いや、人には見えないわね。何人か形が崩れているわよ」
シーナ・ツイスィル「す、すごくグロい、、見たくない、、、」
ツバキ・ツキシマ「なんでしょうか、あれ、、、」
ミジア・シーク「おそらく、前に本で見た”ゾンビ”というものだろうね」
ミジア・シーク「普通ゾンビは黒魔術を使って生み出されるはずさ」
ロン・セガウラー「なら、オメガ国が黒魔術を使ってるってことでいいの?」
カイト・ニール「多分そうだろうな」
ハスラー・セルリアン「でも黒魔術って世界の法令で禁止されているはずだろ?」
ステラ・アストリア「ならそれを堂々と破ってるってわけね。裏があるのはわかっていたけど、少しやりすぎよ」
スピカ・ストレンス「あれ、倒せるかなぁ?」
シーナ・ツイスィル「だ、大丈夫じゃない?ヘッドショット狙えばさすがに」
ミジア・シーク「いや、ゾンビは不死身だと言われている。倒すのは無理だろうさ」
ツバキ・ツキシマ「その代わり、足が遅いんじゃありませんでしたっけ」
ミジア・シーク「あぁ、あの遠さならまだ追いつかれないかもしれない」
ロン・セガウラー「なら、一旦別れて退避!必ず無事に基地に到着しろ!」
ハスラー・セルリアン「了解!」

〇森の中
  森の中を進み、少し基地が見えてくるところで足が止まる。
  ハスラーとスピカは森の中の木に寄りかかる。
スピカ・ストレンス「はぁ、、はぁ、、、もう大丈夫かなぁ?」
ハスラー・セルリアン「知らない。っていうか、なんでお前となんだよ」
スピカ・ストレンス「いいじゃぁん。みんなどっか行っちゃって、ハスラーしか見えなかったんだもん!」
ハスラー・セルリアン「はぁ、とにかく基地まで行くぞ。からかうのはなしだからな」
スピカ・ストレンス「えー」
ハスラー・セルリアン「えーじゃねぇ」

〇菜の花畑
  ロンとミジアは森の端、隣国であり同盟国のワギ国に出た。
  2人は森とワギ国の境目を歩きながら基地へと向かう。
ミジア・シーク「ロン、、、」
ロン・セガウラー「どうした?ミジア」
ミジア・シーク「あのゾンビの群れ、何かおかしい気がした」
ロン・セガウラー「おかしいって?」
ミジア・シーク「上手く言い表せないが、、、あいつらの中に以前の仲間を見た気がしたんだ」
ロン・セガウラー「嘘、、、まさかオメガ国はセキュリティが厳重なあの軍の墓地に手を出したってわけ!?」
ミジア・シーク「おそらく。もしかしたら、あの多さだと、ほかの墓地からも死体を盗んでいるかもしれない」
ロン・セガウラー「なんて奴らだオメガ国、、、」
  ロンは木を殴ると座り込む。すると、ミジアがキョロキョロと周りを見渡し始めた。
ロン・セガウラー「ん、?どしたの、ミジア」
ミジア・シーク「なにか聞こえる気がするんだ。うめき声、というのか、、」
ロン・セガウラー「うめき声、、?」
ロン・セガウラー「ッ!!ミジア!後ろ!!」
ミジア・シーク「ッ!もうこんなところまで!?」
ミジア・シーク「ロン、早く逃げよう」
  しかし、ロンの応答はなかった。ロンは体をカタカ夕と震わせ、あるゾンビを見ている。
ミジア・シーク「ロンッ!?」
ロン・セガウラー「、、ル、、ルナ、、、!?」
ミジア・シーク「ルナだって、?そんなはずはないだろう。ルナは先日、流行病で亡くなって、、」
ミジア・シーク「ッ!?!?」
  ミジアは、ロンが見ているゾンビを見て目を見開いた。
  そこには確かに虚ろな目をしたロンの妹が、鉤爪のような武器を持って立っていたのだ。
ルナ・セガウラー「ねぇ、、さ、、、うぅ」
ロン・セガウラー「なんで、こんなところに、、」
ミジア・シーク「待て!ロン!近づくな!!」
ルナ・セガウラー「こないで、、ねぇさん、、、」
  ロンがルナに近づいたその時、ロンが膝から崩れ落ちる。
ミジア・シーク「ロン!どうした!?」
ロン・セガウラー「ミジア、、先に行って」
  そう言うロンの腹にはルナが持っていた鉤爪が刺さっている。
ミジア・シーク「何言ってるのさ!できるわけが無いだろう!?」
ロン・セガウラー「隊長命令だよ。行け!ミジア!」
ミジア・シーク「ッ、、、わかった」

〇菜の花畑
ロン・セガウラー「1人は寂しいもんな。これからも、ずっと緒だぞ」
ルナ・セガウラー「ご、、めんね、、、」

〇けもの道
カイト・ニール「シーナ!急げ!」
シーナ・ツイスィル「待って!カイト!」

〇けもの道
シーナ・ツイスィル「はあ、、はあ、、、」
カイト・ニール「お前、体力なさすぎだぜ?」
シーナ・ツイスィル「しょうがないじゃん。普段は非戦闘員なんだ よ?私」
カイト・ニール「まぁ、ここまで走れば安全だろう。基地までもう少しだし、休憩な」
シーナ・ツイスィル「は一、、は一、、、もう疲れたぁ」
  そう言って座り込むシーナを横目に、カイトは周りを見回す。
  ゾンビたちが来ていないかを確認する。
シーナ・ツイスィル「ねぇカイト。なんで私を守ってくれるの?」
カイト・ニール「な、なんだよ突然」
シーナ・ツイスィル「いーから答えて」
カイト・ニール「あー、、えっと、、、」
  カイトが何かを口に出そうとした時、2人の周りに何かが腐ったような腐臭が漂い始めた。
カイト・ニール「くそっ、もう来たか」
  カイトとシーナは自身の服の袖で鼻を抑える。すると、2人の目の前にゾンビが現れた。
シーナ・ツイスィル「ひっ!?ど、どうしようカイト!!」
カイト・ニール「、、、戦うしかないっ!!」
カイト・ニール「俺らのいる場所は軍基地に近い。それと同時に街にも近いんだ。ここで食い止めねぇと街にもこいつらが来る可能性がある」
カイト・ニール「シーナ ! お前は基地へいけ!」
シーナ・ツイスィル「な、なんで!?」
カイト・ニール「なんでもだ。お前を殺される訳には、、」
シーナ・ツイスィル「、、、」
シーナ・ツイスィル「いやだ!!!」
カイト・ニール「なッ!?なんでだよ!?」
シーナ・ツイスィル「私、ずっと守られてばっかなんだもん !私もカイトを守りたい!!!」
カイト・ニール「だがな、、!」
シーナ・ツイスィル「私じゃカイトを守れない、、?」
カイト・ニール「、、わかった。シーナ、後ろは任せた!」
シーナ・ツイスィル「わかった!頑張る!!」

〇けもの道
シーナ・ツイスィル「2人でやったら怖くない!」
カイト・ニール「隊長の命令、遂行できねえな」

〇小さな小屋
  ステラとツバキの2人はミジアたちとは逆に森の奥深く。ポツンと置かれた山小屋の中にいた。
ステラ・アストリア「こんなところに山小屋があるなんてね。知らなかったわ」
ツバキ・ツキシマ「っていうか、ここ山小屋だったんですね。あまりにも平面なので分からなかったです」
ツバキ・ツキシマ「とにかくどうしましょうか。ここにいてもいつか囲まれますよ」
ステラ・アストリア「そうよね、、」
ツバキ・ツキシマ「ど、どなたですか!?」
  返事はなく、ずっとガタガタと揺れている。ステラが一つだけある小窓から外を覗くと、周りにはあの死体の大群がいた。
ステラ・アストリア「あら。団体のお客様ね」
ツバキ・ツキシマ「出口が塞がれちゃいました、、!?」
ステラ・アストリア「あそこの小窓からは出られるんじゃないかし ら」
ステラ・アストリア「でも、2人とも出られるかどうか」
ツバキ・ツキシマ「、、、ステラさん、行ってください」
ステラ・アストリア「な、何を言っているのよ。そんなこと出来るわけないでしょう!?」
ツバキ・ツキシマ「私が囮になってこの爆弾を、爆破します」
  ツバキは懐からダイナマイトを出してステラに見せつける。
ツバキ・ツキシマ「私にできることは、それくらいですから」
ステラ・アストリア「でも!」
ツバキ・ツキシマ「早くしてください!」
ステラ・アストリア「ッ、、」
ステラ・アストリア「できるだけ生きて、、迎えに来るから」
ツバキ・ツキシマ「、、、わかりました」
  ステラは小窓から外に出て森を一目散に走っていった。

〇小さな小屋
ツバキ・ツキシマ「おらお前らァ!私の死に様見ながら死んで け!!クソども!!!」

〇西洋の城
  軍基地の前。人ひとりいないこの場所の近くの茂みがガサガサと揺れた。
  出てきたのはステラ。髪に葉をつけながら門の前まで歩いてきた。
ステラ・アストリア「、、、まだ、誰も来ていないようね」
ステラ・アストリア「ツバキは死ぬ気。ほかのみんなは無事だといいけれど」
???「おーーい!」
ステラ・アストリア「スピカの声が、、」
スピカ・ストレンス「ステラ姉さん!」
ステラ・アストリア「スピカ !無事だったのね!」
スピカ・ストレンス「うん!ハスラーも無事だよ!」
ハスラー・セルリアン「ッ、、お前、ツバキはどうしたんだ、?」
ステラ・アストリア「、、ツバキは、自分から囮になって、、、」
ハスラー・セルリアン「そうか、、」
スピカ・ストレンス「ししょ一達は?まだ来てない?」
ステラ・アストリア「えぇ、最初に来たのは私よ」
ミジア・シーク「おや、みんなお揃いで」
ハスラー・セルリアン「!、師匠!」
ステラ・アストリア「無事だったのね」
ミジア・シーク「あぁ、我らがが隊長はダメだったけどね」
「、、、」
スピカ・ストレンス「ほ、ほら!みんながみんな悲しい顔しない の!戦争なんだからこういうこともある よ、!、、ね?」
ステラ・アストリア「そうね、、頑張ってくれた分、立派なお墓を作りましょ」
ハスラー・セルリアン「そういや、カイトとシーナは?」
スピカ・ストレンス「まさか、あの二人も、、」
???「おい、勝手に殺すな」
  4人が声のする方を見ると、傷だらけのカイトとシーナがこちらに歩いてきていた。
スピカ・ストレンス「シーナ!」
シーナ・ツイスィル「えへへ、頑張ったよ。スピカちゃん」
ミジア・シーク「良かった。犠牲者は2人だけみたいだね」
カイト・ニール「ん、そうか、隊長とツバキは、、、」
シーナ・ツイスィル「で、でも、こんなに沢山生きててよかった!」
カイト・ニール「そうだ。俺ら、軍を辞めることにした」
スピカ・ストレンス「えぇ!?」
ステラ・アストリア「あらそう」
ミジア・シーク「そうかい。まぁ、いい頃合いだろうね」
スピカ・ストレンス「シーナと会えなくなっちゃうの寂しぃ!」
シーナ・ツイスィル「私もだよスピカちゃん」
ミジア・シーク「幸運だったね。これからも幸せに生きるんだよ」
カイト・ニール「あぁ、ありがとう」
ミジア・シーク「結局、このメンバーになってしまったね」
ハスラー・セルリアン「あぁ、もちろん隊長は師匠だろ?」
ミジア・シーク「ふ、まぁ、やってみるのもいいかもしれないね」

〇墓地
  あの日から何年も経ったある日。軍用墓地のふたつ並んだ墓の前に4人の人影があった。
ミジア・シーク「どうだいロン、ルナと喧嘩はしていないかい?」
ミジア・シーク「2人1緒の墓なんだから、喧嘩しても離れられないよ?」
ステラ・アストリア「ツバキ、あの時は助けてくれてありがとうね」
ステラ・アストリア「ダイナマイトのせいで体はバラバラになってしまったけど、1部だけでも見つかってよかったよ」
ステラ・アストリア「ここでちゃんと眠れてる?」
スピカ・ストレンス「あ!そ一だ!たいちょー !ハスラー、彼女できたんですよ~!」
ハスラー・セルリアン「おまッ馬鹿!」
スピカ・ストレンス「2人でからかってやりましょ~」
ミジア・シーク「こらこら、そうやって言わないんだよ」
スピカ・ストレンス「は一い」
ステラ・アストリア「じゃあまた来年あたりに次は入院してて来れなかったカイトたちも連れて来るわね。これからは軍をやめて、6人でやっていくわ」
  ステラはそう言い、それぞれの好きな花、椿と青いアスターを墓に置き、その場を立った。
  4人は優しい風が吹いている中、墓を後にした。

〇墓地
ロン・セガウラー「どう?ツバキ、あの6人、成功すると思う?」
ツバキ・ツキシマ「もちろん。誰よりもチームワークの良いあの人たちですよ?」
ロン・セガウラー「僕らも成仏せずに見守ろっかw」
ツバキ・ツキシマ「そうですね。死ぬまで見守ってやりましょう」
ロン・セガウラー「ルナもついてくる?」
ルナ・セガウラー「うん!姉さんが行くならついて行くね!」

〇古い本
  数年後、6人が裏路地で知る人ぞ知るBARを営むことは、また別のお話。
  禁術戦争 𝑭𝒊𝒏.

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