5話 折れた心(脚本)
〇入り組んだ路地裏
マーガル軍残党兵(魔法使い)「ハァハァ・・・」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「”退却地点”までくれば安心・・・」
マーガル軍残党兵「クソっ・・・やられた」
マーガル軍残党兵「素手で立ち向かってきた一般人に、兵士の俺が・・・クソっ!」
マーガル軍残党兵「顔の骨が痛い・・・」
マーガル軍残党兵「多分骨折してる。 ”治癒魔法”で治してくれ」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「今は無理・・・」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「この世界は魔法の源の”魔素”が薄い」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「だから新たに魔法を使えるようになるまで時間がかかる」
マーガル軍残党兵「なんてこった・・・」
マーガル軍残党兵「任務にも失敗したし」
マーガル軍残党兵「まるで”竜の巣に逃げ込んだ”みたいだぜ」
???「おい、マーガル人・・・」
眞来教団"警護"部門隊長「貴様ら・・・何故”襲撃”した?」
マーガル軍残党兵「ちょ、ちょっと待てよダンナ!」
マーガル軍残党兵「『なんで襲撃した』って、そりゃダンナに指示されたからだろ?」
マーガル軍残党兵「忘れちまったのかよ・・・」
眞来教団"警護"部門隊長「ふむ・・・確かにそうだ」
眞来教団"警護"部門隊長「だが──!」
眞来教団"警護"部門隊長「私が言ってるのは──!」
眞来教団"警護"部門隊長「貴様らなぜ我が”眞来教信徒”まで襲撃したのかを問うているんだ!!」
マーガル軍残党兵「ち、違うんだ・・・ダンナぁ、 これは手違いで・・・」
眞来教団"警護"部門隊長「言い訳するなっ!!」
眞来教団"警護"部門隊長「ヌオオオオオ!!!」
眞来教団"警護"部門隊長「この役立たずのマーガル人を処分しておけ」
眞来教信徒(警護隊員)「ハッ・・・了解しました」
眞来教団"警護"部門隊長(クソっ・・・)
眞来教団"警護"部門隊長(教団で保護したマーガル人を使って)
眞来教団"警護"部門隊長(布教地域で”わざと”襲撃事件を起こし──)
眞来教団"警護"部門隊長(信徒以外を◯害して、教団の威光を示す計画が台無しだ)
眞来教団"警護"部門隊長(下手すれば教団と導師様に対して疑問を抱く信徒が出てくる可能性がある・・・)
眞来教信徒(警護隊員)「女のマーガル人も処分いたしますか?」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「まっ、待って・・・!」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「お願いだから助けて!」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「あなた達は元々”ファージアの民”で──」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「”元マーガル人”の同胞でしょ?」
眞来教団"警護"部門隊長「確かに教団のルーツはそうだ──」
眞来教団"警護"部門隊長「だがもう我々は”血が薄い”」
眞来教団"警護"部門隊長「貴様らのことは他人としか思っていない」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「そんな・・・!」
眞来教団"警護"部門隊長「だが安心しろ、貴様は生かしてやる」
眞来教団"警護"部門隊長「但し、魔法が使えぬよう”声帯”を潰してな」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「えっ・・・?」
眞来教団"警護"部門隊長「ヤレ・・・」
眞来教信徒(警護隊員)「了解しました」
「──────っ!!」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「──・・・」
眞来教団"警護"部門隊長「連れて行け」
眞来教信徒(警護隊員)「ハッ・・・!」
眞来教団"警護"部門隊長「・・・」
眞来教団"警護"部門隊長「南無眞来、南無導師」
〇入り組んだ路地裏
???「・・・」
???「成る程・・・」
???「眞来教と異世界人は繋がって居たか──」
???「上に報告だな・・・」
〇黒背景
〇病院の待合室
木村英介「もしもし、班長・・・ええ、 ハイ・・・そうです」
木村英介「川島は街で女の子を庇って──」
木村英介「命に別状はありません・・・、」
木村英介「けど、回復するまでに長期の入院が必要らしいです・・・」
後藤3曹「了解した」
後藤3曹「この件は隊長に俺から報告する」
後藤3曹「これで川島は潜入任務から外されるだろうな・・・」
木村英介「班長・・・僕は何をすれば──」
後藤3曹「・・・任務に備えろ、自分のできることをしろ、以上だ」
木村英介「了解・・・」
木村英介(”臆病者”の僕に何ができるって言うんだよ)
〇荒廃したセンター街
──渋谷紛争にて──
川島朋也「おい木村、無線でもうすぐこっちに敵が来るって連絡が来たみたいだぜ?」
木村英介「・・・」
川島朋也「馬鹿野郎、ビビってんじゃねえよ」
木村英介「ビビッてない!」
川島朋也「嘘乙」
川島朋也「どう見てもビビッてるって」
川島朋也「けどまぁ、普段からエース(ダメな奴)だからなお前」
川島朋也「”戦場”でビビるのはしょうがねえよ」
木村英介「くっ・・・」
川島朋也「へへ、まぁ俺に任せとけって、 全員蹴散らしてやっからよ」
木村英介「お前、なんでそんな自信満々なんだ? 怖くないのか?」
川島朋也「別に、俺は”強い”から余裕だぜ!」
『我の方向に敵が接近中! 繰り返す、我の方向に敵が接近中!』
侵攻軍指揮官「全軍、突撃せよ!」
侵攻軍指揮官「敵の防御線を打ち崩せ!」
「オオオオオオオっ!!!」
川島朋也「来たぞ」
木村英介「・・・」
木村英介「イテッ──」
川島朋也「しっかりしろ!」
木村英介「うん・・・」
川島朋也「よっしゃ気合入れて敵をぶっ◯すぞ!」
木村英介「おう──っ!」
〇病院の待合室
僕は一人では怖気づいて何もできない
『渋谷紛争』を戦い抜けたのも──
川島という、”頼れる相棒”が居たからだ
木村英介「無理だ・・・僕にはできない」
〇黒背景
ホールに潜入して異世界に行く?
相棒がいないと無理だ
それに未知の世界は危険に違いない
絶対に行きたくない──!
〇病院の待合室
木村英介「・・・逃げよう」
〇街中の道路
”服務の宣誓”
木村英介(あぁそうだ、 自衛官になる時誓ったよ・・・)
〇ネオン街
”事に及んでは危険を顧みず”
木村英介(今がその時だって言うのか・・・)
木村英介(冗談じゃない、死にたくない!)
〇川沿いの公園
”身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います。”
木村英介「そんなの、僕じゃなくてもいいだろ!!」
木村英介「畜生・・・」
「ねぇねぇ、大丈夫ぅー?」
〇川沿いの公園
シオン「ねぇねぇ、君大丈夫ぅー?」
木村英介「まぁ・・・大丈夫かな」
シオン「ほんとぉ? 君、すごく苦しそうな表情してたよぉ?」
木村英介(なんだこのヒラヒラした女の子)
木村英介「ごめん・・・今はほっといてくれないかな」
木村英介「一人で居たいんだ・・・」
シオン「ふーん・・・」
木村英介「あのさぁ、話聞いてた?」
シオン「うん、聞いてたよぉ」
木村英介「だったらなんで移動しないんだ?」
シオン「だってぇ、君がぁ、 死んでしまいそうだからぁ」
シオン「”死神さん”がいっぱい君に取り憑いてるよぉ!」
木村英介「ハアアアアっ!!??」
シオン「私、霊感あるから見えてるんだぁ」
木村英介(ヤバイ電波ちゃんだ。 逃げよう)
シオン「・・・」
木村英介「なんで着いて来るんだよ」
シオン「君が”死んでしまいそう”だからって言ってるでしょ!」
木村英介「縁起でもない事言うなよ!!」
シオン「・・・」
シオン「うぅ・・・」
シオン「うえええええん!!」
木村英介「泣くなよ」
警察官「・・・」
木村英介(ゲッ・・・まずい)
〇川沿いの公園
木村英介「ごめん、怒鳴って悪かった。 だから泣き止んでくれ」
シオン「お腹すいたなぁ・・・」
木村英介「分かった、奢るからそれで勘弁してくれ」
シオン「ありがとぉ、シオン嬉しいなぁ♪」
木村英介「君はシオンっていうのか?」
シオン「うん、君のお名前はぁ?」
木村英介(電波ちゃんに本名教えたくないな、 偽名使おう・・・)
木村英介「エース・・・」
シオン「エース君・・・」
シオン「カッコイイぃー♡」
シオン「ねぇねぇエース君、着いて来て!」
木村英介「えっ・・・ちょ、引っ張るなよ」
〇シックなバー
シオン「えへへ、いらっしゃーい」
シオン「ここ、シオンが働いてるお店なんだぁ」
木村英介「・・・」
木村英介(この女ぁ・・・)
木村英介(最初から僕を連れてくるために演技を──)
シオン「むぅ~!」
シオン「その”真っ暗なおめめ”はだーめ!」
シオン「ニコニコしてぇ♪」
シオン「・・・」
タケオ「ちょっとお兄さん、」
タケオ「イラつくのもわかるが、この子の演技に騙されて連れてこられたアンタの負けだよ」
タケオ「あとシオンも、男を変に期待させて来るのも辞めろ」
タケオ「トラブルになるぞ」
木村英介「・・・」
木村英介「分かった・・・癪だけど 僕の負けを認めるよ」
木村英介(余計なトラブルを避けるためにも僕が折れておこう)
シオン「むぅ~!」
シオン「シオン演技なんてしてないもん!」
シオン「”本気”でエース君の事を心配してお店に連れて来たんだもん!」
シオン「シオンが”保護”しないと”死神さん”に連れてかれちゃうの!」
タケオ「はいはい・・・」
タケオ「お兄さん、シオンはこの通り”電波”を受信してるんだ」
木村英介「分かってるよ」
タケオ「そうか・・・」
タケオ「けどまぁ、オレはこの”電波”が面白くて、シオンに会いによく店に来るんだけどな」
シオン「タケオくぅ~んひどーい!」
木村英介(タケオ・・・”くん”?)
タケオ「さてと・・・オレはそろそろ店を出るよ」
シオン「えええ~、もう行っちゃうのぉ?」
タケオ「まぁな」
タケオ「これからオレ、デートに行くから・・・」
シオン「ええええ~!! お相手はもしかして”男の人ぉ”?」
タケオ「うん・・・」
シオン「きゃー♡ きゃー♡」
木村英介(何なんだこのノリ・・・)
タケオ「というわけだから、じゃあなシオン」
シオン「・・・わぁ、羨ましいなぁ」
シオン「素敵な男性とデートだといいなぁ・・・」
木村英介「ねぇ、注文は?」
シオン「あっ、ごめんねぇ、 何にするぅ?」
木村英介「何か食べ物がアレばなんでも、」
木村英介「あと奢る約束だから、 君が好きな料理も注文してくれ」
シオン「わぁ〜いありがとぉ♪ それじゃ持ってくるから待っててねぇ♡」
木村英介「・・・」
木村英介(はぁ・・・ こんな時になにをやってるんだ僕は・・・)
続く
おおっ、タケオじゃないか。相変わらずかわいいですね。タケオ読者にとってはちょいちょい出てきて欲しいけど世界観との繋がりが難しいところですね。
この作品の魅力はなんと言っても自衛官ならではの思考回路や作戦、物事に直面したときの反応ですね。欠員が出たなら補充が来るか…。その辺も楽しみです。
漢字が伏せ字になってる割に描写えげつないのもなかなかスパイシーで好きです。
二話から一気読みさせていただきました。
とてもリアルで実際に体験した本人の話なのかと思う世界観に脱帽しました。川島の過去は泣けますね🥲だからこその強気な態度だったのか…。木村もまた悩み苦しむ心理描写が胸を締め付けます。これぞ、れこんさんワールド!
木村の苦悩回!確かに1人になるのは寂しいですね😥復帰の糸口が気になります。
そして、タケオにキュンとしました🤭
この世界でもフツーに馴染みますね。レギュラーでも良い。そして、木村をメロメロにしてほしい😤←言いたい放題でスミマセン。
いや、メロメロにするのはシオンちゃんの方かな?
マーガル国の設定がかなり深い!慣用句まで!