voice【13】きこえる。私の声、あなたの言葉(脚本)
〇女性の部屋
諸事情により、キャラクターが使えなくなりました。世界観が壊れてしまい、申し訳ございません。
穴星 紫亜、廻 心春
以上2名が使えません。ご迷惑をおかけします。無料素材で対応いたします。
「・・・みんなに謝らないとね」
〇舞台袖
木嶋 萌奈「ななみん、制服かぁ。コスプレ?」
七海 さくら「一人目が若い女の子やから。 一人二役だから着替えはもってきとるよ」
木嶋 萌奈「こ、こはるん? それ・・・」
廻 心春(代打ビジュアル)「うふ♡ あの若嫁さんはオシャレしないと思って」
木嶋 萌奈「・・・かわいいこはるんの魅力が半減ね」
「さぁて、がんばるぞー!!」
木嶋 萌奈「・・・宇野ちゃんが真面目だ」
宇野 聖羅「なにそれ、ひどー!」
木嶋 萌奈「いや、制服じゃないことが意外と言うか。 ステータス感があったというか」
宇野 聖羅「今日、声優の鏑木様がゲストでくるみたいだから! 最高のあたしを見てもらわなきゃ!」
宇野 聖羅「あ、鏑木様は「今夜君に捧ぐ」略してキミささのヒーロー役で注目されてて! 囁きボイスは・・・キャーッ♡」
廻 心春(代打ビジュアル)「わぁ・・・」
廻 心春(代打ビジュアル)「な、なんだか石動さんじゃないみたいです」
石動 凛子「廻さんは何着てもかわいいね」
廻 心春(代打ビジュアル)「よ、よろしくお願いします。 若嫁役としてがんばります!」
石動 凛子「あのさ、みんなに謝りたいことなあって」
近藤 悠太「なんスか?」
石動 凛子「その・・・練習のときとキャラがだいぶ変わるかもしれなくて・・・」
近藤 悠太「あー、なるほど」
廻 心春(代打ビジュアル)「大丈夫ですよ。 目の前の相手に向き合うだけですから」
廻 心春(代打ビジュアル)「役として、です」
石動 凛子「ありがとう」
近藤 悠太「それが一番難しいんスけどねー」
廻 心春(代打ビジュアル)「もう! 近藤くんって本当にデリカシーがない!」
ありがとう、みんな
近藤 悠太「あの服装、紫亜のむっつり爆発しそ・・・」
〇劇場の座席
穴星 紫亜(代打ビジュアル)「・・・本当に舞台でやるんだ」
穴星 紫亜(代打ビジュアル)「めっちゃ楽しみだ。 凛子さんの生演技・・・」
穴星 紫亜(代打ビジュアル)(あれ、声優の鏑木さんじゃん! あっちは脚本家の★★さん!)
穴星 紫亜(代打ビジュアル)「かっけー! やっぱプロはオーラがすげぇ!」
穴星 紫亜(代打ビジュアル)「えっと、席はここでいいか・・・」
穴星 紫亜(代打ビジュアル)「凛子さん、がんばれ」
〇小劇場の舞台
七海 さくら「あるところに、家族を失った女がおりました。 共に生き残った兄はとうに家を出ており」
七海 さくら「女は小さな村で夫と二人暮らしをしておりました。これは愛し合う男女と」
七海 さくら「戻ってきた兄夫婦が織り成す物語」
〇小劇場の舞台
近藤 悠太「兄夫婦が引越してくる!? 聞いてないぞ?」
石動 凛子「あら、言ってなかったかしら? ごめんなさいね」
近藤 悠太「お前の兄さんってほら・・・ すごい俺のこと嫌ってるだろ?」
近藤 悠太「あまり関わりたくな──」
石動 凛子「あら、さっそく。 はーい!」
近藤 悠太「・・・・・・」
廻 心春「こんにちは、お久しぶりです」
石動 凛子「あら、若嫁さんじゃないの。 兄さんはどうしたの」
廻 心春「旦那は家にいて、後から来るそうです。 先に私だけでもと思い、挨拶にきました」
廻 心春「これからよろしくお願いします」
石動 凛子「・・・」
石動 凛子「町に人が増えて嬉しいわね。 歳の近い人が来てくれて助かるわぁ」
石動 凛子「これからよろしくね」
廻 心春「・・・はい」
近藤 悠太「・・・・・・」
〇小劇場の舞台
近藤 悠太「なんで今さら引っ越してくるんだ。 呪いに怯えて逃げ出したくせに」
近藤 悠太「あぁ、でも本当に呪いがあるから あんな結末になったんだ」
近藤 悠太「・・・もう終わったことだ。 俺はもうアイツとここで──」
九条 大志「よォ、妹が世話になってますねぇ」
近藤 悠太「お兄さん!? ノ、ノックくらい鳴らしてくださいよ」
九条 大志「ここは元々オレの家だ。 家に入るのはオレの勝手だろう」
近藤 悠太「・・・どの面下げて帰ってきたんですか?」
九条 大志「ああん? なんのことだ?」
近藤 悠太「とぼけないで下さいよ! あの日、アンタの両親が俺にどんな話を──」
石動 凛子「・・・あら、お兄さん来てたの?」
九条 大志「よっ! 久しぶりだなぁ、ずいぶん老けたな!」
石動 凛子「あら、それは兄さんもよ? 誰だって歳をとるものなんだから」
九条 大志「ふん、これからは嫁共々よろしくな。 お互い子はいないし気楽なもんだ」
近藤 悠太「まったく君とは似てないな」
石動 凛子「そうかしら?」
石動 凛子「目元なんてよく似ていると思うけど」
近藤 悠太「君は本当に明るいな」
〇小劇場の舞台
廻 心春「あなた、そろそろ冬支度をしないと。 このままだと雪が降り出して 冬を越せなくなるわ」
九条 大志「イノシシも鹿もいねぇのにどうやって冬支度をしろと? 引っ越してきたばかりなんだからもらえばいいさ」
廻 心春「これ以上、 あの人たちにご迷惑をかけられないわ。 私たちがここにいるだけで不快なはず・・・」
九条 大志「黙れっ!! そもそもお前が悪いんだろう!? あんな粗相をしなければこんなことに──」
九条 大志「誰だっ!?」
七海 さくら「す、すみません。 扉が開いてたものですから」
九条 大志「く、クソッ!!」
七海 さくら「と、隣の者です。 引っ越してきた方がいると聞いて・・・」
七海 さくら「ご、ごめんなさい。 また出直すことにしますね」
こ ろ す か
〇小劇場の舞台
近藤 悠太「い、いらっしゃい。 今日は何用で?」
七海 さくら「お引っ越しされてきた夫婦、 あなた方の親族なんですってね?」
近藤 悠太「えぇ、まぁ・・・」
七海 さくら「知らなかったわ。 あなたの奥さんは天涯孤独だと思っていたから、あなたと結婚したとき安心したというのに」
七海 さくら「やっぱり呪いは本当にあったのかしら?」
近藤 悠太「・・・」
「呪いってなんだい?」
近藤 悠太「あ、いや・・・」
七海 さくら「あなたのお兄さんがよく騒いでるそうよ。 酒場の店主から聞いてね」
石動 凛子「兄さんはそんな世迷言を言っているの?」
七海 さくら「昔とずいぶん性格が変わったのね」
石動 凛子「まったく・・・。 せっかく奇特なお嫁さんがいるというのに心配かけて、不貞な兄だこと」
七海 さくら「・・・子どももいませんしね」
石動 凛子「あら、うちだっていないわよ」
石動 凛子「子どもはいないけど、私はこの人といられて幸せだよ」
近藤 悠太「・・・今日の夕飯、鹿肉のシチューだったな」
石動 凛子「あぁ、そうだ。 ここに来たなら若嫁さんも 動物を捌けるようにならないとねぇ」
七海 さくら「奥さんは本当に逞しいですね。 村一番の頼れる女性ですよ」
七海 さくら「ではまた」
石動 凛子「私ってそんなにムキムキかしら?」
近藤 悠太「そういう意味じゃないと思うよ」
石動 凛子「・・・」
邪魔ばかりね
〇小劇場の舞台
近藤 悠太「最近、めっきりと動物が減ったなぁ。 冬が近いからか?」
近藤 悠太「ん? なんの音だ?」
近藤 悠太「な、何をしてるんだ!?」
廻 心春「・・・あ」
近藤 悠太「・・・君がやったのか?」
廻 心春「ご、ごめんなさいごめんなさい」
近藤 悠太「・・・ここは俺がなんとかしよう。 あなたは家に避難しなさい」
廻 心春「でも」
近藤 悠太「大丈夫。 俺は捌くのには慣れているんだ」
廻 心春「・・・」
近藤 悠太「やれやれ、なんて皮肉な結末なんだ」
〇小劇場の舞台
石動 凛子「それ、兄さんに命令されて?」
廻 心春「・・・はい」
石動 凛子「そんなのっ──・・・ あなたにやらせるなんて酷なことを」
廻 心春「ごめんなさい。 本当にごめんなさい」
九条 大志「・・・・・・」
石動 凛子「兄さん、なんてことをしたの。 そんな状態で何故ここに引っ越して」
九条 大志「へっ・・・呪いだよ。 この家のもんはなぁ、 そういう呪いにかかっちまってるんだ」
九条 大志「お前が一番よくわかってるだろう?」
石動 凛子「何なの? いったい何を言っているの?」
廻 心春「あぁ、もうイヤ。 私耐えられない」
石動 凛子「あなたたちは──」
石動 凛子「あなた!?」
近藤 悠太「・・・村を出よう。 これ以上、この二人に関わるべきではない」
石動 凛子「どういうこと?」
七海 さくら「やっと正体を見せたわね、暗殺者」
石動 凛子「暗殺・・・者?」
七海 さくら「この男はあなたの両親を殺害しています。 生き残ったお兄様は 長年、遠縁の地にいたようですが」
七海 さくら「なぜ、今さら帰ってきたのでしょうね?」
石動 凛子「あなたがお父さんとお母さんを? あれは事故死だと・・・」
石動 凛子「私も兄さんも幼かったから、 バラバラに暮らすことになって」
近藤 悠太「・・・すまない」
七海 さくら「改めまして、私は警察です。 この村近辺の不審死が多いことから 正体を隠し、赴任してきました」
七海 さくら「さて、兄夫婦にお話を聞きたいのですが・・・」
廻 心春「ごめんなさいごめんなさい」
近藤 悠太「俺が出頭しよう。 この兄嫁さんは脅されていただけだ」
七海 さくら「犯行が明らかなのはあなただけ。 ですがお兄さんも罪状も明るみに出るでしょう」
七海 さくら「若嫁さん、あなたは共犯者。 逃れることは出来ませんよ?」
廻 心春「ヒイッ──!?」
石動 凛子「・・・夫はなぜ、私の両親を?」
七海 さくら「あなたを殺すよう雇われた暗殺者です」
石動 凛子「嘘でしょう? あんた、私と何年一緒だったと思って」
近藤 悠太「・・・そう、何年も共にいた。 情が湧かないはずがねぇ」
近藤 悠太「出会ったときに殺していれば良かった。 そうすればこんなことには・・・」
あぁ、またか
石動 凛子「大丈夫だよ、あんた。 だって私は生きているじゃないか」
石動 凛子「二人で、ゆっくりと滅んでいく。 この雪村にはピッタリの終止符じゃないかい」
近藤 悠太「お前?」
七海 さくら「えっ?」
石動 凛子「な、なんて恐ろしいことを!」
廻 心春「・・・すみませんでした。 呪いなんて、なかったんです」
石動 凛子「──っ・・・」
残ったのは私と夫
石動 凛子「・・・あんたは私を殺そうとしてたんだね」
近藤 悠太「はじめはそうだ。 だが、殺せなかった。お前と夫婦となり、 当たり前の世界に生きられることが嬉しかった」
石動 凛子「あなた。冬はこれからですよ。 雪は全てをのみこんでしまう」
近藤 悠太「・・・あぁ」
「ここは、俺たちが墓場まで持っていこう。 ゆっくりと、雪に埋もれるこの村で」
「・・・えぇ、あなた」