〇女の子の部屋（グッズ無し）
　　──未来は、特殊能力捜査課で会った三人を思い出す。
菅沼未来「お母さん・・・」

〇警察署の入口

〇空っぽの部屋（ガムテープあり）
的場刑事「サク、どうだった？」
サク「ボクもう帰りたいんだけど」
ジョー（課長）「まあまあ、的場くんに協力してあげてよ」
サク「わかるでしょ。 俺の力頼らなくても」
中井「あんた何のためにここにいると思ってんの」
サク「”口うるさそうなおばあさんだなぁ”って」
サク「あの子の心の中」
中井「ふざけないで!!」
的場刑事「騒ぐな。中井」
サク「・・・別に普通だったよ」
サク「”この人たちどっかで・・・”」
サク「”お母さんの事故の時の──” みたいな」
的場刑事「他には？」
サク「おわり」
中井「それだけ？」
サク「そうだけど？」
サク「ボクは中井さんみたいな能力とは 違うんだからさ」
サク「正直疲れるんだよね」
サク「・・誰かの心の声なんて」
サク「だからボクは帰る」
サク「おつです」
中井「ったく」
ジョー（課長）「まぁまぁ」
的場刑事「・・・やっぱり覚えてたか」
中井「なんで彼女を連れて来たんですか？」
中井「まだ高校生ですよ」
的場刑事「・・・菅沼未来」
的場刑事「一分先の未来が見える少女」
中井「──!!」
中井「それって・・・」
的場刑事「・・・ああ」
的場刑事「爆破事件はあの日から始まってる」
的場刑事「おそらくな」

〇女の子の部屋（グッズ無し）
　　──ピンポーン。
菅沼未来「はい」
「俺だけど!!」
菅沼未来「・・・健太？」
山原健太「ういっす!!」
菅沼未来「・・・何？」
山原健太「母ちゃんがお前に持ってけって」
菅沼未来「唐揚げ!!」
　　──モグモグ唐揚げを食べる、未来。
山原健太「めっちゃ食うじゃん」
菅沼未来「うっさい」
菅沼未来「お腹空いてたの」
山原健太「こいつもあるけど食う？」
菅沼未来「・・・」
山原健太「なんだよ」
菅沼未来「なんかキモい」
山原健太「は?!」
山原健太「なんだよ」
山原健太「人がせっかく・・・」
菅沼未来「何？」
山原健太「あ？」
菅沼未来「せっかく、何？」
山原健太「別に・・・」
菅沼未来「わかってるよ」
菅沼未来「でも大丈夫だから」
菅沼未来「・・・ありがと」
山原健太「・・・」
山原健太「・・・それ食って元気になれよ」
菅沼未来「・・・」
山原健太「・・・なんだよ」
菅沼未来「別に？」
山原健太「そうかよ」
菅沼未来「・・・こないだの爆破事件」
山原健太「・・・うん」
菅沼未来「・・・子どもが居たんだ」
菅沼未来「命は助かったみたいなんだけど」
菅沼未来「その子のお母さん死んじゃったって」
山原健太「・・・」
菅沼未来「あの親子は助けたかったなって」
菅沼未来「私に何かできるわけじゃないのはわかってるんだけど」
菅沼未来「・・・助けたかった」
山原健太「よくわかんねえけどさ」
山原健太「それが大事なんじゃねーの」
山原健太「助けたい、とか」
山原健太「あの刑事も言ってたけど、 俺も助けられたわけだし」
山原健太「たぶん今までもずっと」
山原健太「・・・だよな？」
菅沼未来「・・・」
山原健太「能力だって知らなかったけど」
菅沼未来「お母さんの事故があってからなんだよね」
菅沼未来「それまでは何もなかったんだけど あの事故が起きてからちょこちょこ・・・」
菅沼未来「でもずっと先の未来が見えるわけじゃないの」
菅沼未来「ああいう危険な時に」
菅沼未来「バーッて見える感じで」
菅沼未来「事故の時にこの力があったらよかったのにね」
山原健太「・・・」
山原健太「それ、あの事故があったから 未来に能力が与えられた・・・とか？」
菅沼未来「なにそれ」
菅沼未来「誰がそんなことできんの」
山原健太「いや、知らねーけど」
山原健太「特殊能力捜査課って、 みんな未来みたいな能力持ってるんだろ？」
山原健太「よくわかんねーけど、なんか知ってんじゃね？」
菅沼未来「なんかって・・・」
山原健太「みんな見たことあるって言ってたよな？」
菅沼未来「それは・・・うん。まぁ」
菅沼未来「なんか変だよね・・・」
山原健太「?」
菅沼未来「お母さん事故じゃなかったのかな・・・」
菅沼未来「・・・」
山原健太「・・・」
山原健太「明日、どっか行かねえ？」
菅沼未来「どっか？」
山原健太「その・・・」
山原健太「気分転換ってか・・・」
山原健太「デ、デー・・・」
菅沼未来「何？」
山原健太「何でもねーよっ!!」
菅沼未来「じゃあ、行かないッ」
山原健太「そうかよっ」
菅沼未来「でも・・・」
菅沼未来「唐揚げのお礼なら・・・」
菅沼未来「・・・したい」
菅沼未来「・・・かも」
山原健太「・・・・・・」
菅沼未来「・・・」
山原健太「・・・12時に噴水公園な」
菅沼未来「うん・・・」
山原健太「・・・」
菅沼未来「・・・ただのお礼だからね!?」
山原健太「わ、わかってるわ!!」

〇噴水広場
　　──12時40分
　　早く着いちゃった・・・。
　　なんかちょっと緊張するかも・・・

〇街中の道路
　　──12時45分。
　　ちょっと早いか・・・？
　　あんま張り切ってると
　　またキモいとか言われるか・・・？
　　ギリギリにいくか・・・
　　これって、デートでいいんだよな・・・

〇コンビニの店内
　　なんか緊張すんな・・・
　　──ドンッ
山原健太「すいません」
謎の男「・・・」
　　男はニヤリと笑う。
謎の男「どっちが勝つかな？」
謎の男「ボクと・・・」
謎の男「未来ちゃん」
山原健太「!!!!?」
　　──走り去っていく男。
山原健太「おいっ!!」
　　──プルルルルル。

〇噴水広場
菅沼未来「健太？」
菅沼未来「どしたの？」

〇小さいコンビニ
山原健太「未来、大丈夫か・・・？」
山原健太「いや、今変な男が・・・」
山原健太「すぐそこ離れろ!!」
山原健太「今からそっち向かうから」
山原健太「・・・あ、それじゃダメか」
山原健太「駅まで来れるか？」
山原健太「俺もそっち向かう!!」
山原健太「とにかく早くそこから離れろよ!!」
山原健太「いいな!?」

〇噴水広場
菅沼未来「もう何・・・!!」

〇小さいコンビニ
山原健太「もしもし？」
山原健太「的場さんですか？」
山原健太「未来が危ないんですッ!!」
山原健太「すぐ来てくださ・・・!!?」
山原健太「・・・ん？」
　　──ドカーン!!

〇空っぽの部屋（ガムテープあり）
的場刑事「──!!」