エピソード1(脚本)
〇カウンター席
ここは後悔を取り消してくれるカフェ
『ロイエ』
今日はどんなお客様が来るでしょうか
ヨモギ「あの・・・」
メモリア「いらっしゃいませ!」
メモリア「ロイエへようこそ!」
メモリア「店主のメモリアです」
メモリア「ヨモギ様ですよね」
メモリア「一応、招待状を見せていただいてもよろしいですか?」
メモリア「たしかにうちの招待状ですね」
メモリア「それでは、どんな後悔を解決しに来たんですか?」
ヨモギ「それは・・・」
ヨモギ「・・・」
メモリア「お辛い後悔なんですね」
メモリア「あそこのお席に座って話しましょうか」
ヨモギ「すいません」
メモリア「どうぞ、お水です」
ヨモギ「ありがとうございます」
メモリア「それでは、ゆっくりで構いませんので」
メモリア「どういった経緯でこのカフェに来たのか 教えてください」
ヨモギ「はい」
〇シックなリビング
私には、カズキというお付き合いしている男性がいました
とても順調で、結婚の話もしていました
でもある日・・・
些細なことで大喧嘩をしてしまって
喧嘩した次の日一言も喋らず彼は仕事に行きました
ヨモギ「・・・」
ヨモギ(冷静に考えると、意地を張りすぎたかも)
ヨモギ「今日はカズキの好きなカレーにしよう!」
〇綺麗なキッチン
ヨモギ「あ!」
ヨモギ「隠し味のリンゴがない!」
ヨモギ「もう少しでカズキ帰ってきちゃう・・・」
ヨモギ「早く買ってこなくちゃ!」
〇市街地の交差点
ヨモギ「リンゴ安かった」
ヨモギ「嬉しい」
ヨモギ「早く帰ってカレー完成させなきゃ!」
〇黒
「カレー・・・作らなきゃ・・・」
〇カウンター席
ヨモギ「・・・」
メモリア「そんなことがあったんですね・・・」
メモリア「それでは、ヨモギ様の後悔は」
ヨモギ「カズキに・・・カレーを作ってあげたいです」
ヨモギ「あの日・・・完成できなかったから」
メモリア「分かりました」
メモリア「それでは一緒にいきましょうか」
メモリア「私の手を握ってください」
〇シックなリビング
ヨモギ「ここは・・・」
メモリア「さぁ、早くしないとカズキ様が帰ってきますよ」
メモリア「カレー、作ってあげてください」
ヨモギ「はい」
数十分後──
ヨモギ「できました」
メモリア「とっても美味しそうですね!」
「ただいま・・・」
メモリア「カズキ様が帰ってらっしゃいましたね」
メモリア「私たちの姿はカズキ様には見えないので大丈夫ですよ」
カズキ「・・・」
ヨモギ「カズキ・・・」
カズキ「・・・?」
カズキ「カレーの匂い?」
カズキ「!?」
カズキ「どうして、カレーが!?」
ヨモギ「食べてくれるかな・・・」
メモリア「きっと食べてくれます」
メモリア「さっき、メモを置いたじゃないですか」
カズキ「カレーの隣にメモ?」
カレー作ったんだ
よかったら食べてね
カズキ「これは、ヨモギの字!?」
カズキ「・・・」
カズキ「いただきます」
カズキ「・・・」
カズキ「ヨモギのカレーだ・・・」
カズキ「・・・」
ヨモギ「カズキ・・・」
カズキ「ヨモギ・・・ごめん・・・」
カズキ「あの日、お前を殺したのは・・・」
カズキ「俺だ・・・」
ヨモギ「!?」
カズキ「本当にすまなかった」
カズキ「あの日・・・喧嘩して・・・」
カズキ「謝りたかったけど・・・変な意地張っちゃって・・・」
カズキ「行ってきますを言えなかった・・・」
カズキ「もしあの日・・・意地を張らず・・・」
カズキ「お前に行ってきますを言えてたら・・・」
カズキ「・・・」
ヨモギ「・・・カズキ」
カズキ「あの日、本当は・・・」
カズキ「ヨモギにプロポーズをする予定だったんだ・・・」
カズキ「だから、指輪を買って帰った」
カズキ「つい、浮かれてしまってた・・・」
ヨモギ「・・・」
ヨモギ「メモリアさん・・・」
メモリア「どうしましたか?」
ヨモギ「もう1つわがままを言ってもいいですか?」
メモリア「それでヨモギ様の後悔が無くなるのであれば」
ヨモギ「・・・カズキ」
カズキ「!?」
カズキ「ヨモギ・・・なのか・・・」
ヨモギ「うん」
カズキ「これは夢か?」
ヨモギ「違うよ」
カズキ「ヨモギ・・・すまなかった・・・」
ヨモギ「そんな言葉を聞くために、来たんじゃないよ」
カズキ「えっ!?」
ヨモギ「ほら、あの日私に渡すものがあったんじゃないの?」
カズキ「!!」
カズキ「ヨモギ・・・」
カズキ「いつも、こんな俺を支えてくれてありがとう」
カズキ「俺にもお前を支えさせてくれ」
カズキ「一生をかけて、精一杯支える」
カズキ「だから・・・」
カズキ「俺と結婚してくれ!!」
ヨモギ「・・・」
ヨモギ「うん」
ヨモギ「カズキ、お願いがあるの」
カズキ「なんだ?」
ヨモギ「引っ越して」
カズキ「えっ!?」
ヨモギ「きっと、この部屋で過ごしてたらカズキはダメになる」
ヨモギ「私のことを思い出しちゃうから」
カズキ「それは・・・」
ヨモギ「だから、新しい部屋に引っ越して」
ヨモギ「新しい生活を始めて」
カズキ「・・・」
ヨモギ「ほら!分かったら今すぐ不動産にダッシュ!」
カズキ「嫌だ」
カズキ「そんなことしたら、ヨモギを忘れてしまうことがあるかもしれない」
ヨモギ「それでいいんだよ」
ヨモギ「私のことなんか忘れて」
ヨモギ「楽しい日々を過ごしてほしい」
ヨモギ「あっ!でも、お墓参りには来てよ!」
カズキ「もちろん」
ヨモギ「ほら泣かない!」
ヨモギ「不動産行ってきて」
カズキ「分かった・・・行ってくる」
ヨモギ「あっ!ちょっと待って!」
カズキ「どうした?」
ヨモギ「カレー美味しかった?」
カズキ「ああ!とっても!」
ヨモギ「私のこと好き?」
カズキ「宇宙1好きだ!」
ヨモギ「!!」
ヨモギ「よろしい!」
カズキ「ヨモギは?」
ヨモギ「え!?」
カズキ「俺のこと好きか?」
ヨモギ「・・・」
ヨモギ「・・・だよ」
カズキ「なんて?」
ヨモギ「大好きだよ!!!!!!」
ヨモギ「じゃあ・・・」
ヨモギ「いってらっしゃい」
カズキ「・・・!!」
カズキ「・・・」
カズキ「行ってきます」
ヨモギ「・・・」
ヨモギ「・・・」
ヨモギ「ううぅ」
メモリア「ヨモギ様、泣かずによく頑張りました」
ヨモギ「お別れしたくなかった」
ヨモギ「でも・・・」
ヨモギ「スッキリしました」
ヨモギ「ありがとうございました」
メモリア「それなら良かったです!」
メモリア「ヨモギ様、私たちもどうやらお別れらしいです」
ヨモギ「成仏ですか・・・」
ヨモギ「メモリアさん、本当にありがとうございました」
メモリア「いえいえ」
メモリア「それではヨモギ様」
メモリア「よい来世が訪れることを願ってます」
ヨモギ「はい!」
メモリア「さて、それではお店に帰りましょうかね」
〇カウンター席
メモリア「閉店の準備をしなければ」
メモリア「閉店の時間になりましたので、帰っていただいてもよろしいですか?」
「よく分かったのぉ」
迷夢「気配は隠しておったつもりだったんじゃが」
メモリア「だだ漏れでしたよ」
迷夢「いちいちムカつく奴じゃ」
メモリア「それで、何しに来たんですか?」
メモリア「まさか世間話をしに来たわけではないのでしょう」
迷夢「それはもちろんじゃ」
メモリア「それでは用件を言って早くお帰りください」
迷夢「その記憶を回収しに来たのじゃ」
メモリア「!?」
迷夢「そなたの商売は噂でよく聞く」
迷夢「なんでも後悔で成仏できない霊たちを招待し」
迷夢「その者たちの後悔を解決し」
迷夢「成仏させ、そのお代として」
迷夢「後悔の原因であった記憶をもらう」
迷夢「じゃが、その噂を聞くたび疑問に思う」
迷夢「その記憶、何に使うんじゃ?」
メモリア「何って・・・」
メモリア「それはもちろん、後悔があれば たとえ解決していても」
メモリア「良い気持ちで成仏できませんから」
メモリア「なので私が貰って・・・」
迷夢「そうだったんじゃな」
メモリア「え・・・」
迷夢「妾の勘違いだったようじゃな」
迷夢「すまなかったな、閉店時間に来てしまって」
メモリア「え・・・あ、いえ」
迷夢「それでは失礼する」
メモリア「絶対渡すものですか」
メモリア「これは・・・」
あと引く面白さです‼
何故記憶を集めてるのかが謎で面白いですね🤔
短編としても感動的な良いお話でした‼
謎もあるので、メモリアさんの狙いと正体と共に続きが楽しみですね😃