Imperial Dawn 設定資料『研修プログラム』

石坂 莱季

4日目『ナノマシン技術についての研修プログラム』(脚本)

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石坂 莱季

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〇黒

〇小さい会議室
アルマ・リコット「やあ。おはよう」
アルマ・リコット「今日も引き続き研修プログラムを行う。よろしくな」
アルマ・リコット「本日のプログラムは『ナノマシン技術について』だ」
アルマ・リコット「ナノマシンは帝国独自の技術であり、この国で働く上で最も重要なファクターとなる」
アルマ・リコット「しっかり理解を深めてくれ」
アルマ・リコット「それでは早速始めよう」

〇電子回路
アルマ・リコット「まず基本として、ナノマシンとは一体どんなものなのかを説明しよう」
アルマ・リコット「ナノマシンとは、読んで字の如く『ナノサイズの機械』だ」
アルマ・リコット「正しくは、『目には見えない微細な情報機器の集り』であると言える」
アルマ・リコット「専用の注射器で体内に取り込む事で効力を発揮するのは、既に施工済みの君なら知っているだろう?」
アルマ・リコット「体内に取り込まれたナノマシンは、血流に乗る事によって充電され、やがて体のあらゆる神経に定着。接続される」
アルマ・リコット「神経に接続されたナノマシンは、人体から発せられる微弱なアナログ信号をデジタル変換する」
アルマ・リコット「つまり人それぞれの個体値、例えば視力や聴力、嗅覚などの五感や、」
アルマ・リコット「血中の酸素濃度、不足している栄養素に至るまでを具体的な数値に変換し、可視化する事を可能にしたのだ」
アルマ・リコット「一つとして同じもののない生物としての個体差をデジタル化し、並列化を可能にするだけでも画期的な技術だが、」
アルマ・リコット「逆にナノマシンによってデジタル値を操作・可変する事で、人体のアナログ値を自在に制御出来ると言う側面も持っている」
アルマ・リコット「人体アナログ値の可変についてわかりやすく説明しよう」
アルマ・リコット「例えば、『視力』は、皆個人個人バラバラであり、人それぞれ違うアナログ値である。目のいい者もいれば悪い物もいる」
アルマ・リコット「だが、ナノマシンを使ってその個人の視力をデジタル値に置換する事で、」
アルマ・リコット「今よりいい視力の数値を入力すれば目を良くすることも出来るし、」
アルマ・リコット「逆にうるさい場所では聴力の入力レベルを下げて音が聞こえない様にしたりする事が、自らの体一つで出来る。と言うわけさ」
アルマ・リコット「ナノマシンは、人間と言う概念そのもののデジタル化を可能にし、人体におけるあらゆるアナログ値の可変をも可能にしたのだ」
アルマ・リコット「そうして人体との接続が完了すると、次にナノマシンはネット接続される事となる」
アルマ・リコット「体内のナノマシンがネットされる事で、今まで使用されていた携帯電話やコンピュータなどの外部デバイスは必要なくなり、」
アルマ・リコット「私達は自らの体そのものを媒介してネットワークの海に漕ぎ出せるようになったのだ」

〇小さい会議室
アルマ・リコット「自らの脳内ストレージにある景色や情報を他者と相互共有したり、ARディスプレイとして視界に投影したりと、」
アルマ・リコット「ナノマシンの使い道は様々だ」
アルマ・リコット「人々の生活は格段に便利で豊かになったが、ナノマシンの普及によって他国と大きな差をつけたのは医療技術と軍需産業だろう」

〇近未来の病室
アルマ・リコット「医療技術においては、ナノマシンによって体内の情報をデジタル化、可視化が可能になった事で、」
アルマ・リコット「個人個人のカルテを随時リアルタイムで更新する事が可能となった」
アルマ・リコット「ナノマシンが常にその個人の健康状態を管理し、医療機関に掛かるタイミングや、必要な治療法、薬品の情報に至るまでを」
アルマ・リコット「自らアラートしてくれる様になったから、医師はその情報を元に必要最低限の治療を施すだけで良くなった」
アルマ・リコット「それによって医療機関の逼迫は起きにくくなったし、患者にはピンポイントで必要な治療が行える様になったわけだ」

〇キャンプ地
アルマ・リコット「軍においては、各兵士のナノマシンをリンクさせる事で、作戦内容の確認や進行率といった各情報の共有を簡易化し、」
アルマ・リコット「また、個体値の低い部分をナノマシンで補う事によって、兵士の能力の差を並列化する事を可能にした」
アルマ・リコット「弱い兵士も強い兵士も、やる気のある者も無い者も、ほぼ均一の能力で作戦を遂行する事が可能なんだ」
アルマ・リコット「兵士一人一人の能力の差が無くなり、作戦の質は格段に上昇した」

〇小さい会議室
アルマ・リコット「よし。ここまで説明したところで、具体的に君には『体内通信』を経験してもらおうと思う」

〇数字
アルマ・リコット「今、私は君のナノマシンに対して体内通信を発した」
アルマ・リコット「ナノマシンには各々違う識別コードがあり、相手と自分の識別コードをリンクさせることによって通信が可能となる」
アルマ・リコット「この会話は実際に声に出して喋っている訳ではなく、ナノマシンの補完によって脳内空間で行われているものだ」
アルマ・リコット「こうして仮想空間で話が出来るという事は、敵に会話を盗聴される心配がないという事でもある」
アルマ・リコット「もちろん会話だけでは無い。脳内にストレージされたこのような画像情報も、自分が見たそのままの形で他者に共有することができる」
アルマ・リコット「ネット上の映像や資料を再生して確認しながら互いに情報共有する事も可能だ」
アルマ・リコット「体内通信中もナノマシンによって身体機能が補完されるから、脳内で味方と会話しながら通常業務をリアルワールドでこなす事も可能」
アルマ・リコット「わかったかな?ナノマシンは無限の可能性を秘めている」
アルマ・リコット「外部デバイスに縛られる事なく、ネットの海に漕ぎ出し、並行して通常通りの生活をすることを可能にした画期的な技術なのだ」

〇小さい会議室
アルマ・リコット「最後に、そんなナノマシンの歴史について軽く触れよう」
アルマ・リコット「ナノマシンの技術は、今から約20年程前に帝国の『とある機関』によって開発された」
アルマ・リコット「第一世代ナノマシン。人類初となるナノマシンの誕生だ」
アルマ・リコット「第一世代ナノマシンを実際に人間に投与する実験に成功した機関は、」
アルマ・リコット「それを元に第二世代ナノマシンの開発を開始。つまりは量産型だ」
アルマ・リコット「しかし、第二世代ナノマシンの開発はなかなか思うようには進まなかった」
アルマ・リコット「実験の失敗等を乗り越え、ようやく完成した第二世代ナノマシン」
アルマ・リコット「現在では使用している人間は限られているが、第二世代ナノマシンは暗号化通信に特化しており、」
アルマ・リコット「我々E.I.Aのベテランエージェントなどは今だにこの第二世代を使用しているようだ」
アルマ・リコット「まぁそもそも新しいナノマシンが完成したとしても、ナノマシンには『世代の法則(ジェネレーション・ラウ)』という特性があり、」
アルマ・リコット「一度施行されたナノマシンは交換が出来ないのだが・・・」
アルマ・リコット「第二世代ナノマシン開発によりナノマシンの量産体制が整った帝国は、更なる軍事利用の為の研究を進めた」
アルマ・リコット「そうして出来上がったのが第三世代ナノマシンらしいのだが、」
アルマ・リコット「どうやら第三世代は軍務総省の一部でしか使われていない特殊なものらしい」
アルマ・リコット「その様な理由から、第三世代の開発とほぼ並行して新たなナノマシンの開発は続けられた」
アルマ・リコット「そして現在」
アルマ・リコット「ナノマシンは第四世代まで開発が進み、今では民間にも普及している」
アルマ・リコット「出生とともに公共の医療機関での施工が全国民に義務づけられ、現在では帝国国民の全てがナノマシンを有しているのだ」
アルマ・リコット「我が国は、これからもこのナノマシン技術を使い、世界各国を併合していくだろう」
アルマ・リコット「君も、直ぐに慣れるさ」
アルマ・リコット「さて、本日の研修プログラムはここまでとする」
アルマ・リコット「次回はこの国に存在している特殊部隊についての研修プログラムだ」
アルマ・リコット「それではお疲れ様。また次の研修プログラムで会おう」

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