エピソード5「……絶望なの」(脚本)
〇大教室
月見 時雨(つきみ しぐれ)「陽葵、さっきの授業わかった? 俺、全然だったんだけど・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・ちょっと、寝た」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あぁ、な! 俺も結構、眠かった!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・復習、しなきゃ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「復讐!? そんなに教授に恨みが!?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・勉強だよ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あぁ、そっか! ごめんごめん!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・次の教室、行こ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あ、ごめん。俺、次の授業は取ってなくてさ。っていうか、この後バイトだから、もう帰らなきゃ」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うん」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・バイト、頑張って」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「ありがと! じゃあ、陽葵も次の授業、頑張って!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・頑張る」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「さて、バイト行くか」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「うーっす、バイト行こうぜ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「おぅ、結人。行こうぜ!」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「・・・あの子が、お前の彼女か。 実際に会うのは初めてかも」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あぁ、彼女の陽葵。 授業が一緒だったからさ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「まぁ、見た目の感想は言わねぇよ。揉め事の原因になるからな。ただ・・・」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「お前、大学の教室でもイチャってんのかよ。周りから嫌われっぞ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「やっぱそうかなぁぁぁぁああああ!!!!!!!!」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「学校で泣くなよ、気色悪ぃ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「最近、少し距離が縮まったからさ、学校でもちょくちょく話すようになったんだよ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「朝なんかも、駅で落ち合って学校に行って、そのまま授業を受けて・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「イチャつき過ぎかなぁぁぁぁああああ!!!!!!!!」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「まぁ、〇ねってぐらいにしか思わねぇよ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「いや最悪、俺は周りに嫌われても良くてな? 俺は陽葵にさえ嫌われなければいいから」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「でも、イチャつくカップルってすぐ別れるって言うじゃんかぁぁぁぁああああ!!!!!!!!」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「おー、別れろ別れろ。周りに害なす奴等は別れちまえ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「とはいえ、イチャつく奴が100%別れるってわけでもねぇだろ。別に付き合い方なんて人それぞれじゃね?」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「ただ、周りの目は気にしておけよ。お前が良くても、お前の彼女が周りに嫌われんのは嫌だろ?」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「それは、確かに嫌だぁ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「でも、こればっかりは俺にはどうすることも出来ねぇんだよ・・・」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「どういうことだ?」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「実は、陽葵が大学でも一緒に居たいって言い出してさ、だから一緒に居るようにしてるんだよ・・・」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あいつがそう言うなら、その願いは叶えなきゃだろ? それが彼氏の務めだ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「そうか、彼女がか・・・。じゃあ、無下にすることも出来ねぇな」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あと、一緒に居れて幸せ///」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「楽しんでんじゃねぇか」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「まぁどうでもいいけど、程々にしろよ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「どーせ、べたべた触り合ったりするようなタイプじゃねぇだろうけど、お前らは」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「会話は最低限しか出来ていません。 授業中は無言です、授業に集中したいから」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「なんで一緒にいるんだよ・・・」
〇女性の部屋
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
千華「陽葵~、ご飯~」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
千華「陽葵~!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「陽葵、ご飯だって!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・お姉ちゃん」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・絶望なの」
朝喜 千華(あさき ちか)「絶望? 何かあったの?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・不安でいっぱいなの」
朝喜 千華(あさき ちか)「え、そうなの? 大丈夫?」
朝喜 千華(あさき ちか)「普段そんなことを言わないあーたがそう言うなら、よっぽどのこと・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「・・・・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「とりあえず、悲しい曲を携帯から流すの、やめよっか」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「はーい」
朝喜 千華(あさき ちか)「はぁ・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「それで、どうしたの? 何があったの?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・時雨と」
朝喜 千華(あさき ちか)「うまくいってないの? 気持ちわかる~! 私もマッチングアプリで会った男と全然うまくいかなくてさ~」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・違うんだけど」
朝喜 千華(あさき ちか)「・・・ごめんなさい。 今、他人の不幸が嬉しくて嬉しくて・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・お姉ちゃんは、人間の底辺なの」
朝喜 千華(あさき ちか)「そこまで言わないでよぉ。 それで、何があったの?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・逆なの。時雨と仲良くなったの」
朝喜 千華(あさき ちか)「え? ウザくていいじゃん! それがなんで駄目なの?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・前よりも、ずっとずっと好きになっちゃって」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・どんどん、不安になっていくの」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・ずっと一緒に居ないと不安なの」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・嫌われたくないの」
朝喜 千華(あさき ちか)「あぁ、なるほどねぇ」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・私のこと、好きじゃなかったらどうしよう」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・時雨が、他の子を好きになっちゃったらどうしよう」
朝喜 千華(あさき ちか)「そかそか~。あーたもそんな気持ちになっちゃったか~」
朝喜 千華(あさき ちか)「私も昔、そんな時期あったな~。彼氏のことが好きすぎて、毎日、「私のこと好き?」って聞いてたっけ~」
朝喜 千華(あさき ちか)「・・・あいつとまだ付き合ってたら、今頃は結婚とか出来たのかなぁ。中学時代の話だけど」
朝喜 千華(あさき ちか)「あの頃みたいな恋愛、したいなぁ・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・泣いちゃった」
朝喜 千華(あさき ちか)「ぐすん、ごめんごめん。 それで、頼りになるお姉ちゃんからのアドバイスなんだけど・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「頼りにはならないよ」
朝喜 千華(あさき ちか)「一切、気にしないこと!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・!!」
朝喜 千華(あさき ちか)「だって、前よりも仲良くなったんでしょ? だったら、時雨君はちゃんと陽葵のことが好きってこと」
朝喜 千華(あさき ちか)「不安になる必要なんて無し! それよりも一緒にいる時間を楽しむこと!! その方が、時雨君も喜んでくれるよ!!」
朝喜 千華(あさき ちか)「逆に、不安になって連絡し過ぎると迷惑をかけて嫌われちゃうからね。私はそうやって振られたのよ・・・」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・わかった、気を付ける!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・お姉ちゃん、ありがとう」
朝喜 千華(あさき ちか)「ううん。陽葵は時雨君と、私はマッチングアプリ、頑張ろ!!」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・うんっ!」
朝喜 千華(あさき ちか)「じゃあ、ご飯にしよ~。 お腹空いちゃった~」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・待って、時雨にメッセージ送る」
朝喜 千華(あさき ちか)「え、なんで?」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・こまめなメッセージ、5分毎に送ってるの」
朝喜 千華(あさき ちか)「・・・・・・」
朝喜 千華(あさき ちか)「今すぐにやめなさい」
朝喜 陽葵(あさき ひまり)「・・・?」
〇大衆居酒屋
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「バイト終わりの酒はさいっこうだな~!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あんま飲みすぎんなよ? お前は明日、一限あるんだからよ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「んなもん気にしてられっか!! 酒に失礼だろーがぁっ!!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「意味わかんねー」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あ、陽葵からLIMEだ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「おいてめぇ、ダチとの飲みで彼女とイチャしてんじゃねぇよ!! 奢らせっぞ!!」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あぁ、わりぃわりぃ! 陽葵からのLIME、30件ぐらい溜めちゃっててさ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「・・・それは返してやれよ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「っつか意外だな、お前はそういうのマメに返すイメージがあったんだが」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あぁ、毎日返してるよ。 ただ、バイト中は流石に返せないからさ」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「・・・は?」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「は? 30件って、バイト中に来たのか?」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「あぁ、まぁそんな感じ」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「普段は無口だけど、LIMEだとお喋りなの、可愛いよなぁ~!」
浦霧 結人(うらぎり ゆいと)「・・・お前って、良い彼氏だな」
月見 時雨(つきみ しぐれ)「・・・?」
エピソード5
「・・・絶望なの」
~完~
今回は、ネガティブとポジティブが入れ替わった感じで、見ていて新鮮な感じです😊
時雨クンの泣きっぷりと効果音が大人しい回だと思ったら、まさかの千華お姉ちゃんにあの効果音が🤣🤣