第九話 「梅雨終わり 決意鈍らす ポラロイド」(脚本)
〇教室
三鷹 哲也(みたか てつや)「思い出せ!思い出すんや一咲!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「グ、グェ・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「哲ちゃん! 一咲君、苦しそうだよぉ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「え!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ゲホッ、ゲホゲホ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ハァハァ・・・、哲也!力入れすぎだぞ!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「わるい、つい興奮して・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「思い出したくても思い出せないだろ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ホンマすまん」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なんか、出会った気もするんだけど」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺、中2の夏休み明けに 金輝市に引っ越してきたから」
古林 一咲(こばやし いっさ)「どっちの学校の同級生も、 よく覚えてないんだよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そっか・・・、でもなんで一咲のこと知りたいって聞いてきたんやろうな?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「わからん」
古林 一咲(こばやし いっさ)「けど何か知ってるかもしれない」
古林 一咲(こばやし いっさ)「めぐみん、いつでもいいから 彼女と会って話がしたいんだ」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「うん、今から部活だし話しておくね」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「じゃあ、翔君いこうかぁー」
松尾 翔(まつお しょう )「う、うん・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「じゃあね、また明日」
松尾 翔(まつお しょう )「じゃあ・・・また・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「え?え?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「翔のやつ部活入ってたの?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「めぐみんに勧誘され 体験入部にいくって言ってたな」
古林 一咲(こばやし いっさ)「文芸部は部員が少なくて、 存続の危機らしいぞ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺、誘ってもらってへんで!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「哲也は小説とか興味あるのか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いや全く無いけど」
古林 一咲(こばやし いっさ)「だからだろ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「だからか」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「哲ちゃん部活探してるの?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いや探してるわけじゃ無いけど」
三鷹 哲也(みたか てつや)「少しは興味あるよ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「じゃあ哲ちゃん、 ちょっと遅いけど部活見て回らない?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「え──!! 絵美ちゃんのお誘い!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「嬉しいわ、何処でも付き合うでー!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「ってことで、ごめんね恋! 先に一咲君と帰ってて」
与謝野 恋(よさの れん)「ああ、うん・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「・・・がんばってね恋」
与謝野 恋(よさの れん)「ちょ・・・、え、絵美!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「じゃあね2人とも!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ほなまたな!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、またな」
〇学校の下駄箱
古林 一咲(こばやし いっさ)「恋は部活入らないのか?」
与謝野 恋(よさの れん)「ん・・・、 私、集団行動苦手だからパス」
古林 一咲(こばやし いっさ)「だろうな!そんな感じする!」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲だって、むいてなでしょ”あぽ!”」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ごめん、ごめん!」
〇路面電車のホーム
古林 一咲(こばやし いっさ)「なぁ恋・・・、機嫌なおせよ」
与謝野 恋(よさの れん)「怒ってないよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「怒ってるだろ、悪かったって」
与謝野 恋(よさの れん)「・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・はぁ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そういえば次の駅までの間に ジェラート屋できたの知ってる?」
与謝野 恋(よさの れん)「ジェラート?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そこにあるストロベリーアイスが 評判なんだって」
与謝野 恋(よさの れん)「そ、そう・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「すっごく大きいのに安くて、噛んだ瞬間にジュワ~ッと苺の果汁があふれ出る」
古林 一咲(こばやし いっさ)「食べたくない?」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「食べたい!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「決まりだな、一駅歩くけどいいな」
与謝野 恋(よさの れん)「もちろん!」
〇道玄坂
与謝野 恋(よさの れん)「フゥフゥ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「チラッ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「この坂道登るの地味にキツイよな」
古林 一咲(こばやし いっさ)「カバン貸して」
与謝野 恋(よさの れん)「え・・・、カバン?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「少しは楽になる、持ってやるよ」
与謝野 恋(よさの れん)「いいよ、重いから!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「だから重いからだよ!」
与謝野 恋(よさの れん)「・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「あ、ありがとう・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ん・・・、おう・・・」
〇レトロ
古林 一咲(こばやし いっさ)「あと少しだぞ!頑張れ恋!」
与謝野 恋(よさの れん)「うん・・・!!」
与謝野 恋(よさの れん)(優しいな一咲・・・)
〇商店街の飲食店
与謝野 恋(よさの れん)「もう、へとへとだよ──」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あった!あそこだ!」
与謝野 恋(よさの れん)「やったー!空いてるみたい!」
与謝野 恋(よさの れん)「早く入ろ、入ろ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ちょ、引っ張んなって」
〇カウンター席
古林 一咲(こばやし いっさ)「な、なぁ・・・恋」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺こういう所 来たことないんだけど・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「そうなの? その割にはオープンしたとか知ってんだね」
古林 一咲(こばやし いっさ)「哲也が言ってたんだよ。 恋が好きそうな店が出来たって・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「だ、だから覚えてた」
与謝野 恋(よさの れん)「そ、そうなんだ」
古林 一咲(こばやし いっさ)(・・・、なんか俺が恋のために 調べたみたいじゃないか)
古林 一咲(こばやし いっさ)(あぁ──!学校なら意識しないのに!)
古林 一咲(こばやし いっさ)「えーっと、アイス・・・、 頼んだDXアイス気になるな──」
店員「お待たせいたしました。 ご注文のストロベリーハニーDXです」
与謝野 恋(よさの れん)「思っていた以上に・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「でかい・・・」
店員「DXを頼まれたお客様にポラロイドカメラによるお写真をプレゼントしています」
店員「記念に一枚いかがですか?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え?それって無料ですか? 後でお金取ったりしない?」
与謝野 恋(よさの れん)「ちょっと一咲!」
店員「もちろん無料です。 さらにスマホにも転送できますよ!」
店員「こちらのメンバーズカードにお名前と」
店員「メールアドレスさえ 記入していただければ完了です!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「これでいいですか?」
店員「はい、ありがとうございます」
店員「ではお二人ともハニーDXに近づいてー!」
店員「彼女さん、もう少し彼氏さんの方に」
与謝野 恋(よさの れん)「えっ、・・・はひっ!」
店員「彼氏さんも彼女さんの方に」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あっ・・・、はい」
店員「では撮りまーす。 はいチーズ!」
〇幻想
「・・・ ・・・」
〇開けた交差点
古林 一咲(こばやし いっさ)「うぅー、お腹いっぱいだ」
与謝野 恋(よさの れん)「スゴいボリュームだったね」
古林 一咲(こばやし いっさ)「美味しいから、 ついつい食べすぎちゃったな」
与謝野 恋(よさの れん)「わかる・・・美味しかったもん」
与謝野 恋(よさの れん)「ね!写真見せてよ」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲なんか写真撮る時、緊張しちゃってさ」
与謝野 恋(よさの れん)「店員さんに”彼氏さん”って呼ばれた時、 動揺してたでしょ?」
与謝野 恋(よさの れん)「肩がロボットみたいになってたし!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「な、なに──!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「恋だって”彼女さん”って言われて ”はひっ”って答えてたろ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「手だってピーンってなってたし!」
与謝野 恋(よさの れん)「そ、そんなになってない!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なってたよ」
与謝野 恋(よさの れん)「じゃあ、さっき撮った写真見せてよ」
「ウフフ・・・ ククク・・・」
「アハハ・・・! ハハハ・・・!」
「ハハハハハハハ────!!」
与謝野 恋(よさの れん)「ねぇ、その写真って一枚しかないの?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ。そういえばスマホに 転送できるって言ってたな」
与謝野 恋(よさの れん)「この裏のQRコードかな?」
与謝野 恋(よさの れん)「あれ?エラーが出る・・・なんでだろ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「俺は普通に画面に出るけど」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そうか俺、登録したからでるんだ」
与謝野 恋(よさの れん)「じゃあ・・・一咲この、 PINE(連絡アプリ)ってもってる?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それぐらい俺もやってるっての」
与謝野 恋(よさの れん)「そっから写真送ってよ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「いや俺、お前の番号知らないし・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「じゃ、じゃあ・・・する?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えっ!?何を?」
与謝野 恋(よさの れん)「PINE友達に・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あ・・・、そうだな・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「どうだ?」
与謝野 恋(よさの れん)「きたきた!ガチガチの一咲が」
古林 一咲(こばやし いっさ)「こんにゃろ!かえせ!」
与謝野 恋(よさの れん)「やぁ──だよ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「まて──!」
〇路面電車
古林 一咲(こばやし いっさ)「行っちゃったか・・・ 次の電車まで少し待つな」
与謝野 恋(よさの れん)「なんか曇ってきたし雨降りそうで嫌だなぁ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「仕方ないよ、まだ梅雨明け前だし」
与謝野 恋(よさの れん)「・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「・・・ねぇ、一咲」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ん?どうした」
与謝野 恋(よさの れん)「前から聞こうと思っていたんだけど」
古林 一咲(こばやし いっさ)「何を?」
与謝野 恋(よさの れん)「初恋の人のこと」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲は、その人と出会って何がしたいの?」
与謝野 恋(よさの れん)「その・・・付き合いたいの・・・?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「いや・・・そうだな・・・、」
古林 一咲(こばやし いっさ)「それは、あの日からずっと考え続けてきた」
古林 一咲(こばやし いっさ)「彼女とは付き合って欲しいとか そんなんじゃなくて」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ただ『見てほしい』」
与謝野 恋(よさの れん)「『見てほしい?』」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、あの日から成長した俺を 見てもらいたいんだ」
与謝野 恋(よさの れん)「付き合いたくは・・・ないの?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「本音でいえば、付き合いたいけど 彼女は言ったんだ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「出会った時、 お互い好きになってたら付き合おうって」
与謝野 恋(よさの れん)「そうなんだ・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「じゃあ、その人に会うまで 誰とも付き合わないの?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「まぁ・・・、そうなるかな」
与謝野 恋(よさの れん)「ふーん・・・、」
与謝野 恋(よさの れん)「一途なんだね”あぽ”のくせに」
古林 一咲(こばやし いっさ)「な、なにー!」
与謝野 恋(よさの れん)「でもさ・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「でも、そういう所が私──」
与謝野 恋(よさの れん)「超──、かっこいいと思うよ!!」
与謝野 恋(よさの れん)「うふふ!」
与謝野 恋(よさの れん)「あ、電車きたよ」
与謝野 恋(よさの れん)「よーし! 私1人で乗ってみるから後ろで見てて」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ・・・」
似ている・・・
声も背丈も
初恋のあの子とかぶる
でも、恋は俺の事を知らないと
あの時の顔は
初めて会った人の表情だった
でも、もしかしたら──
古林 一咲(こばやし いっさ)(あ──!!何バカな事、考えてんだ俺は)
古林 一咲(こばやし いっさ)(なんかもうモヤモヤする!なんだよこれ)
「恋『一咲!電車出ちゃうよ』」
古林 一咲(こばやし いっさ)(とりあえず帰って寝よう それで解決だ!)
古林 一咲(こばやし いっさ)「いまいく!」
〇女の子の部屋
与謝野 恋(よさの れん)「ふー、今日は疲れたなぁ──」
与謝野 恋(よさの れん)(ふふふ・・・)
与謝野ママ『恋──、ご飯にするわよー!
降りてらっしゃ──い』
与謝野 恋(よさの れん)「はーい、いま行くー」
〇黒背景
わかってるよ・・・
一咲には私から
ちゃんと伝えるから──
下校時に、女の子と一緒にジェラートを食べに行くなんて羨ましすぎる、、、相手もいなければ、そんなオシャレな店なかったよ😭
それにしても恋さんのカバンを持ってあげるなんて、本当に一咲くんは出来る男ですね、、、自分だったら言われるまで気づけない、、、
あんだけ食べたのに、夕飯まだ食べるんかいと思っていましたが、まさかのラストの思わせぶりな引き、、、気になる、、
今回も甘酸っぱい!💕カレカノ扱いされてドキドキする展開、王道の良さがありますね😆✨️✨️
パイン、アイコンまで凝ってて使いたくなっちゃいますね!連絡先交換して、仲がどんどん深まる様子が自然でキュンとします😊
恋は色々と過去が複雑そうなので、まだまだ隠された事情がありそうですね。
何が出てくるか興味津々です。
あれ?もう一人のKY、出番なしか。彼女はどういう立ち位置かな。そして恋ーー昔好きだった人が好きな一咲が好きとか、まだ自分の心のうちに気づいてないようですね。
最後のシーンは気になりますねぇ!
果たして同一人物か、メッセージを託された他人か。
次回も楽しみです