ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.18 / THE RELENTLESS ENFORCER#5(脚本)

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〇オフィスビル
  2040年

〇簡素な一人部屋
  あれから8年。
  今や秘密の活動拠点になった父さんのセーフハウスで、俺はタブレットに表示された写真を眺めていた。
  中学時代の空手大会の写真だ。
  俺が優勝トロフィーを持って、朱丹ちゃんも小学生の部で優勝。
  肝心のしゅーちゃんはといえば、入賞のメダル。
  この人は昔から飽きっぽい。
  もう少しまじめに稽古すれば伸びるのに。
  そういえばこの頃から、朱丹ちゃんのしゅーちゃんへの態度がきつくなった気がする。
  俺は苦笑しつつ、時刻を確認した。
御子柴歩「さてと・・・そろそろ。AI、報告を」
  俺の瞳に装着されたコンタンクトレンズ型のAR端末が起動し
  街の地図や、各種データのファイルが表示されたウィンドウを展開する。
  そのとき、通知音と共に新しいウィンドウが立ちあがった。
御子柴歩「うん? この通知・・・」
  そのウィンドウには、夜の公園でジャージとドミノマスク姿で生放送をしているしゅーちゃんが映っていた。
  やあ。ナイトホークス(夜更かしさんたち)!
  僕、ナイトホークのヴィランハンター攻略WEB生へようこそ!
御子柴歩「しゅーちゃん・・・またやってる。 夜の公園は危険だって言ってるのに」
御子柴歩「・・・AI。 公園の周囲のカメラをチェック」
御子柴歩「不審者がいたら警察に通報。 その他、いつも通り対処。実行」
  これで安全だ。まったく世話が焼ける。
  すると続いて、通知音と共に赤いウィンドウが立ちあがった。
御子柴歩「やれやれ忙しいな。今度こそ本命か」
  赤いウィンドウには、迫力のある書体で「羅漢幇(ルォハンバン)」と表示されている。
  繁華街で勢力を伸ばすチャイニーズマフィアだ。
御子柴歩「お待ちしていました。 羅漢幇の李(リー)さんで?」
  そうだ。李だ。情報屋。今夜のゼニスの動き、時間。変化ないか
  俺はあらかじめ入手しておいた、ゼニスの機密資料を確認する。
御子柴歩「・・・変更ありません」
御子柴歩「ゼニスの医薬品搬入トラックのルーチンも警戒レベルもいつも通り」
御子柴歩「事前の仕込みで、キルポイントに誘導済みです。そちらで待機を」
  郊外の空き地だな。16人手配した。トラックの警備は?
御子柴歩「通常装備の警備員が2名。 皆さんでしたら、問題なく制圧できます」
御子柴歩「警察もゼニスの軍隊も到着まで15分以上かかります」
御子柴歩「余裕をもって撤退できるはずです」
  讃(素晴らしい)!
御子柴歩「恐縮です。今後も末永く、ご贔屓に」
  羅漢幇のウィンドウが閉じる。
御子柴歩「さて、最前列で観戦といくか」

〇ビルの屋上
御子柴歩「・・・時間だ。羅漢幇の悪党ども。 俺のゼニス退治のためだ」
御子柴歩「良い働きしてくれよ」
  コンタクトレンズ型AR端末を起動する。  
  すると郊外の空き地が、クローズアップして表示された。
  そこにゼニスのロゴのついたトラックがやってくる。
御子柴歩「よし。ここまでは計画通り」
  直後、トラックの下の地面が爆発した。
御子柴歩「なるほど。地雷か。 バッテリーもタイヤもイカれたら動けない」
御子柴歩「・・・いい感じだ」
  続いて、周囲の建物から羅漢幇の構成員たちが襲いかかった。
  銃撃戦が繰り広げられる。
御子柴歩「・・・遠いな。ドローン映像、表示」
  空地の近くに設置しておいたドローンの中継映像が現れる。
  ゼニスの警備員たちが、羅漢幇の構成員に銃を突きつけられていた。
御子柴歩「さすが。もう制圧完了してる・・・ん?」
  ドローンの映像が一瞬乱れた。
  映像が回復すると、先ほど警備員に銃を突きつけていた羅漢幇の構成員が地面に倒れ、頭から血を流している。
  その脇に、拳銃を持った黒い人影が立っていた。
  カメラが人影をズームする。
  その瞬間、また画面が乱れた。
  黒い人影の左目に白い模様がある以外、何もわからない。
御子柴歩「なんだこいつ!? このノイズ!」
  黒い人影が銃をカメラに向ける。
  銃が火を噴き、ドローンの映像がぷっつりと途絶えた。
御子柴歩「嘘だろ。超小型ドローンを拳銃で。 現場から50mあるのに」
御子柴歩「なんて精度。 それにしても、あの姿・・・まさか」
  俺はとっさに、以前しゅーちゃんが描いた「NIGHT WATCH予想図」を表示する。
  黒いライダースーツを着て、黒いヘルメット。

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