ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.17 / THE RELENTLESS ENFORCER#4(脚本)

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〇書斎
  俺は書斎に侵入してきた男から隠れ、父さんの遺したタブレット端末を握りしめて震えていた。
  早く男が去るのを必死に願って。
  しかしその気配はなく、男は部屋を物色し続けている。
御子柴歩「こ、この端末、探してるんだ・・・」
  男は周囲を見回しながら、徐々に俺の隠れている机に近付いてきている。

〇書斎
ゼニス兵「・・・・・・」

〇書斎
  このままでは、見つかる。
  焦った俺は、端末に小声で囁いた。
御子柴歩「え・・・AI・・・」

〇書斎
ゼニス兵「!」
  男がはっとして、机を見た。
  気付かれた・・・?
  男がナイフを構える。にぶく刃が光る。
  俺は息を殺し、恐怖に縮こまった。
ゼニス兵「・・・気のせいか」
  男は別の机の引き出しを物色しはじめた。
  俺が見つかるのは時間の問題だった。
  見つかったら、確実に殺される。

〇書斎
  ・・・そのとき、タブレット端末に「バックドア・モード」という項目が点滅していることに気がついた。
  そんなものがなぜ父さんの端末に?

〇書斎
ゼニス兵「・・・」

〇書斎
  だが男が、すぐそばまで迫ってきていた。
  迷っている時間はなかった。
  俺は震える指先でタブレットの画面をタッチし、バックドア・モードを起動した。
  端末の画面に一瞬、ハッキングの進行度を表すウィンドウが現れる。
  そして、パッと部屋の照明がついた。

〇書斎
御子柴歩「!」

〇書斎
ゼニス兵「!?」
  直後、けたたましく警報が鳴り響く。
ゼニス兵「くそ! 何でセキュリティが!」
  男は悪態をつきつつ、窓から外へと飛び降りていった。
  俺は安堵するより先に窓に近づき、、カーテンの隙間から外を覗きこんだ。

〇開けた交差点
  街灯に照らされた道路には、見覚えのある黒い車が止まっていた。
  その車の助手席に、さっきの男が滑りこむのが見えた。
  そして後部座席には、世渡刃がいた。
世渡刃「・・・・・・」
  世渡が憎々しげに俺の家を睨むと、車が発進し遠ざかっていく。
  その時、俺は悟った。
  父さんを殺したのも、しゅーちゃんを酷い目に遭わせたのも、今日ここで俺を殺しかけたのも、黒幕はすべてあの男なのだと。

〇書斎
  俺は今まで経験したことのない煮えたぎる怒りと憎しみを自覚した。
御子柴歩「世渡、刃……ッ!!」
  握りしめた端末が、ギシリと軋んだ。
御子柴雪菜「何の騒ぎ?」
御子柴歩「母さん・・・」
御子柴雪菜「歩、何をしてるの?」
  俺はとっさに、父親の死に傷ついて、情緒不安定な子供の泣き顔をつくった。
御子柴歩「・・・ごめんなさい。 つい・・・ガラス、割っちゃって」
  母さんは、はっとして優しく微笑んだ。
御子柴雪菜「・・・いいのよ。ごめんなさい」
御子柴雪菜「あなたも辛いの、気付いてあげられなくて・・・」
  そう言って、僕を強く抱きしめた。
  俺はこの時の感触をよく覚えていない。
  覚えているのは、心の奥底で怒りと憎しみが溶鉱炉のように煮えたぎる感覚だけだ。

〇オフィスビル
  落書きだらけの繁華街の一角に、自動運転タクシーがやってきて止まった。

〇タクシーの後部座席
  俺がタクシーの車内モニターに目をやると、男性運転手の映像が表示される。
  中身は接客AIだ。
  接客AI『ご利用ありがとうございました。料金は790C/Yenです』
  『IDカードかクレジットデバイスをご提示ください』
  俺はタブレット端末をタップする。
御子柴歩「バックドア・モード。音声パスワード。 KNOCK KNOCK OPEN SESAME」
御子柴歩「車内端末から乗車履歴を削除。 偽造履歴を入力。実行」
  タクシーのモニターにノイズが走る。
  接客AI『ジ・・・ジジ・・・ジッ・・・またのご利用をお待ちしております』
  俺はタブレットを複雑な表情で見た。
  画面には、父さんの映像が映っている。

  この端末は、ゼニス製システムのバックドアにアクセスできる
  つまり、ゼニスのシステムなら無条件でハッキングできる機能だ
  ゼニスはあらかじめシステムに裏口を作り・・・おそらく、ゼニス製品が世界を席巻した時に悪用するつもりだろう

〇タクシーの後部座席
御子柴歩「これは悪用じゃないよね。 毒をもって毒を・・・詭弁かな」

〇簡素な一人部屋
  ビルの地下室には、巨大なコンピュータが鎮座し、最低限の家具とトレーニング設備がそろっていた。
御子柴歩「ここが、父さんのセーフハウス・・・」
  俺は壁に「奇傑ゾロ」のポスターを貼った。
御子柴歩「うん、これで。さてと・・・」
  俺はサンドバッグに向かい、ネットで調べた通りにパンチを放つ。
  しかしインパクトの瞬間、手首からゴキリと異音が響き、強烈な痛みが全身を突き抜けた。
御子柴歩「うぎゃーーっ!?」

〇レトロ喫茶
  クラシックな喫茶店、つじさき珈琲。

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