4話 臆病者(脚本)
〇黒背景
ボクは・・・
臆病者だ・・・
〇大きな木のある校舎
──中学校──
〇教室
クラスの不良「おーい、今日課題ノートの提出なんだけど」
クラスの不良「お前、借してくんね?」
クラスのDQN生徒──
誰がこんな奴にノートを借すもんか
クラスの不良「あぁ!?」
クラスの不良「クソ陰キャが、 別に減るもんじゃないし良いだろが!」
クラスの不良「舐めてんのかてめぇ、ぶっ◯す!」
『ご、ごめん・・・借してあげるよ』
クラスの不良「へへっ、サンキュー」
(クズめ・・・)
???「ちょっとアンタ! ”卑怯”なことやってんじゃないわよ!」
〇教室
委員長「人のノートを脅して借りるなんて最低! ”卑怯”よ!」
クラスの不良「あぁ!? なんだよガリ勉委員長!」
クラスの不良「同じガリ勉だからこいつの肩を持つのか?」
委員長「関係無いわよ!」
委員長「私はアンタみたいな不良が大嫌いなだけ!」
『委員長、それ以上煽らない方がいいよ』
委員長「”川島君”、何怯えてるの!?」
委員長「しっかりしなさい!」
委員長「あなたがそんなふうに”臆病者”っぽく振る舞うから」
委員長「こんな奴が調子に乗るのよ!」
クラスの不良「さっきから言いたい放題言いやがって!」
クラスの不良「女子だからって容赦しねえぞ!」
委員長「なに? 女子だから容赦しないって具体的にどうするつもり?」
委員長「もしかして殴るの?」
委員長「ほんっと落ちぶれものねアンタ」
委員長「不良の風上にもおけないわ」
委員長「ダサ・・・」
クラスの不良「くっ・・・」
クラスの不良「じょ、女子を殴るわけねえだろ!」
クラスの不良「あとノート返してやるよ!」
『あ、うん・・・』
クラスの不良「チッ・・・」
『ありがとう委員長』
委員長「どういたしまして」
委員長「それより川島君!」
委員長「あなたもっと”男らしく”なりなさいよ!」
委員長「ああやってツッパれば嫌な事を跳ね除けれるんだから!」
『ツッパるなんて僕には無理だよ、
怖いし・・・』
委員長「この”臆病者”!」
委員長「見ててイライラするわ!」
委員長「だから私が鍛え直してあげる!」
『ええ・・・!?』
こうして僕は、委員長に鍛え直してもらう事になった。
〇体育館の中
──放課後、体育館の隅──
委員長「”侠気塾”開始ぃー!!」
・・・
『侠気塾ってなに?』
委員長「侠気塾とは文字通り、侠気溢れる男子を育成する私の塾よ」
委員長「私ね、普段”乙女ゲー”やってるんだけど」
委員長「こんな子や──」
委員長「こんな感じの優しいイケメンが登場する訳」
「ハハハ・・・委員長ちゃん♡」
委員長「アーー! もう、くっそイライラするわ!」
委員長「この優男共が!」
委員長「私が求めてる男は──!」
委員長「こういう侠気溢れる男性や・・・」
委員長「鍛え上げられた肉体を持つ男性なの」
「誰にも手は出させない。 俺がお前を守ってやる!!」
委員長「はあぁぁん♡ デュフフ♡」
『あのー・・・委員長』
『妄想から帰って来てー・・・』
委員長「ハッ!?」
委員長「──と、言うわけだから川島君」
委員長「貴方は”私の為に”侠気溢れる男子になりなさい!」
『”委員長の為”?』
委員長「ち、違っ──そこは間違い!」
委員長「川島君は素質があると思うから特訓するのよ!」
『”素質”かぁ・・・』
『わかったよ委員長』
『せっかくだし僕、委員長の特訓受けてみるよ!』
『いつまでもあんなDQNの言いなりになりたくなんかない!』
委員長「川島君! その意気よ!」
その後、僕達は毎日放課後に特訓した。
「・・・」
クラスの不良(チッ・・・陰キャ同士仲良くしやがって)
〇体育館の中
侠気塾──数日目──
委員長「川島君、そろそろ気弱そうな言葉遣いを直しましょう」
委員長「リピートアフタミー」
委員長「おどりゃ! ワシを舐めとんのか? (あなたは私を侮ってるの?)」
委員長「えらい目見して、 (どんでもないことして)」
委員長「しごうしたるけえの! (懲らしめてやるよ)」
委員長「・・・さぁ川島君、言って?」
『委員長・・・流石にガラが悪すぎるからちょっとそれは・・・』
委員長「なんでよ!?」
『えーと・・・ヤンキー漫画みて言葉遣いを予習復習しとくから勘弁して』
委員長「・・・まぁ、それならいいでしょう」
委員長「それじゃ次は”喧嘩”の仕方の勉強よ!」
委員長「まずは先手必勝!」
委員長「弱点が集中する、人体の真ん中に攻撃!」
委員長「カウンターが来るなんて考えないで!」
委員長「よっぽどうまくないと、中々カウンターなんて狙えないから」
委員長「寧ろ逆にカウンター狙いの方が勢いに負ける事が多いわ!」
『うん分かった』
『それにしても委員長、詳しいね』
『・・・もしかして裏で喧嘩してるの?』
委員長「バカ言わないで!」
委員長「私はか弱い乙女だからそんな事しません!」
委員長「ただの格闘技マニアよ!」
(委員長が・・・か弱い乙女?)
(疑問だけど黙っとこう)
委員長「あっ、そうそう・・・言っとく事があったわ」
委員長「とても”重要”なことよ」
委員長「もしも”複数人”を相手にするなら、必ず反撃を食らっちゃうから」
委員長「その時は”逃げて”いいわ」
委員長「”勇気”と”蛮勇”は違うから、時には臆病者になっていいの」
『へぇ・・・委員長がそういうなんて意外だね』
委員長「そりゃね・・・」
委員長「実力が伴ってないうちは、川島君に怪我なんてしてほしくないもの・・・」
(委員長・・・そんなふうに僕を思ってくれてるんだ・・・)
僕は特訓を通して、だんだん委員長に惹かれていった
そして、このまま自分自身を変えて、委員長と付き合えたらいいなと思った・・・
けど・・・そうはならなかった
〇大きな木のある校舎
〇学校の廊下
今日はなんだか、学校に来た瞬間から空気が思い
嫌な予感がする・・・
〇教室
クラスの不良「よぉ委員長、お前最近・・・」
クラスの不良「クソ陰キャの川島といつも一緒に居るよな」
クラスの不良「マジでキショ・・・」
クラスの不良「お前らデキてんのか?」
委員長「あんたには関係無いでしょ!」
クラスの不良「・・・」
クラスの不良「いやさぁ、確かに関係ねえけど」
クラスの不良「陰キャ同士で”仲良く”してるの見ると、」
クラスの不良「なんか腹が立ってイライラすんだわ」
クラスの不良「・・・だからあいつと居るの辞めろよ」
委員長「はぁ~〜〜〜〜〜!!???」
委員長「なんでアンタにイライラされなくちゃいけないのよ」
クラスの不良「そりゃ・・・えっと──さっきも言った通りお前ら見てるとイライラすんだよ!」
委員長「・・・」
委員長「えっ・・・ちょっと待って」
委員長「まさかアンタ・・・それって」
委員長「私と川島君が仲良くしてるのに嫉妬してるの?」
委員長「えっ、ちょ・・・嘘!?」
委員長「マジであり得ないだけど!」
委員長「私、アンタみたいなクズ野郎大嫌いだから」
クラスの不良「くぅ・・・」
『委員長!』
委員長「あっ、川島君、ちょっと聞いてよ」
委員長「なんかコイツ、私と川島君が仲良くしてるのに嫉妬してるんだって(笑)」
委員長「マジでウケルよね!」
委員長「まあ最近、川島君も変わって来てるみたいだし」
委員長「コイツが焦る気持ちもわからなくも無いけど・・・」
クラスの不良「・・・」
(ダメだ委員長)
(それ以上DQNを煽っちゃいけない)
クラスの不良「・・・うぜえ」
〇黒背景
〇教室
委員長「えっ・・・? えっ・・・?」
委員長「ウソ・・・私殴られた? 痛いんだけど・・・」
クラスの不良「ハァハァ・・・調子に乗んなクソブス」
『なっ・・・!?』
〇教室
委員長「痛い・・・痛いよぉ」
委員長「そうだ・・・」
委員長「川島君・・・助けて!」
『──っ!』
クラスの不良「川島ぁ!!」
クラスの不良「俺とやんのかぁっ!?」
・・・
(怖い・・・)
委員長「川島君・・・私と特訓したでしょ?」
クラスの不良「かかってこいよオラァ!!」
・・・
・・・っ
(怖い・・・やっぱり無理だ)
委員長「川島君・・・!」
クラスの不良「やっぱりな!」
クラスの不良「コイツは喧嘩もできねえ”臆病者”なんだよ」
クラスの不良「残念だったな委員長」
委員長「・・・」
その後、委員長は帰って来なかった。
そしてずっと学校に来なくなった
〇黒背景
僕が”臆病者”だったせいだ
委員長を守れずに失ってしまった
だから・・・
今度こそ変わってやる!
〇ミリタリー
川島朋也「ウオオオオオ!!!!」
川島朋也(だから俺は!)
川島朋也(自衛官になって、侠気を身につけた!)
川島朋也(もう臆病者なんかじゃねえ!!)
〇荒廃したセンター街
──現在──
川島朋也「ウオオオオオ!!」
川島朋也「先手必勝突きいいいっ!!」
マーガル軍残党兵「──!?」
川島朋也「へへっ! 武器を持ってても関係ねえ」
川島朋也「速攻。殴って沈めてやればいいんだよ」
木村英介「川島危ない!!」
川島朋也「ハッ・・・?」
川島朋也「ぐふっ・・・」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「(エア・カッター)」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「(くっ・・・コレ以上は”魔素”が少なすぎて魔法が放てない)」
マーガル軍残党兵(魔法使い)「(撤退よ!)」
川島朋也「・・・」
〇体育館の中
委員長「とても”重要”なことよ」
委員長「もしも”複数人”を相手にするなら、必ず反撃を食らっちゃうから」
委員長「その時は”逃げて”いいわ」
委員長「”勇気”と”蛮勇”は違うから、時には臆病者になっていいの」
・・・
あぁ・・・そういや
委員長がそんな事言ってたっけなぁ・・・
けどよぉ・・・
どうしても、臆病者になりたくなかった・・・
続く。
陰キャが喧嘩っ早い自衛官に成長するとは意外でした。訓練は人を変えますね。
複数人というか一見二人なのですが、魔法は良くない。銃持ってる相手と対峙するようなものですからね。さて、無事なのか…。
しかし休暇になにも危ないとこに行かず歓楽街で散財してくれば良さそうなものですがね…。
川島の過去にジーンと込み上げるものがありました。
普通なら、ヤンキーをやっつけて良い所を見せる流れなのに、やっぱりやられてしまう、彼女にも逃げられてしまうなんて切なすぎる…。でも、その過去があっての、今の強気な川島という人格の理解が増しました。
いつか、川島が委員長と再会できますように。(すぐに眞来教にやられませんように🙏)