ひめおと~ 姫が男に転生しても勇者の愛は変わらないのか?~

イトウアユム・いわさきなおみ

第6話「初デート?」(脚本)

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〇教室
  葵に連絡先を渡した翌日──
大和要「――ってわけで、次の週末 葵さんと遊びに行くことになったんだ」
大和要「歩み寄れたのは2人のおかげだと 思ってる、ありがとう」
黒須雫「・・・・・・」
大和要「雫?」
黒須雫「マーーーージかよォォ! ここに来て2人きりでデートっ! まさかの急展開じゃねーの!」
大和要「ちょっ、雫! 声が大きいよ」
大和要「あと、べつにデートってわけじゃ」
江西紫「確かに雫はうるさいが、そこはデートと 言い切っても良いんじゃないか?」
大和要「紫までなんてことを・・・!」
黒須雫「なあなあ、要は連絡先を渡して逃げたん だろ? その後なんて連絡来たんだよ?」
江西紫「ああ、それは俺も気になるな」
大和要「それは・・・」

〇学生の一人部屋
大和要「葵さんからの連絡、まだかなあ・・・」
大和要「勢いで押しかけて友達になりたい宣言 しちゃったけど、迷惑じゃなかったかな」
大和要(そもそも俺、自分の都合ばかり考えて 葵さんの気持ちそっちのけだった)
大和要(俺だって、オニキスの頃とは違うわけだし)
大和要(冷静になれば葵さんだって、今の俺の ことなんてどうでもいいんじゃないのか・・・?)
  やり場のないモヤモヤを抱えながら2時間――ようやく着信音が鳴った。
大和要「っ、葵さん!?」
  逸る気持ちを抑えつつ
  スマホのロック画面を解除する。
  『姫野です』
大和要「・・・やった!」
  あまりの喜びに、葵からの次のメッセージを待つ余裕もなく、返信を打ち始める。
  『連絡ありがとう! さっそくだけど
  次の休みにどこか行かない?』
  要のメッセージと
  『要くんの気持ちが嬉しくて
  つい連絡してしまったけれど
  本当に良かったでしょうか』
  葵のメッセージが
  ほぼ同時に画面上に表示された。
大和要(う・・・ もしかして俺、舞い上がりすぎた?)
  穴があったら入りたいほど、1人羞恥に
  頬を染めていると、少し遅れてスマホの
  着信音が鳴る。
  『ぜひ。・・・嬉しいです』
大和要「~~~やったあ!」

〇教室
大和要(冷静になって振り返ると 我ながら恥ずかしいな)
大和要(でも、嬉しかったのは本当だし 週末も楽しみだ)

〇駅前広場
  葵との約束の日
  時間ぴったりに待ち合わせ場所に着く要。
大和要(葵さん、もう来てるかな)
大和要(・・・いた!)
  背が高く、体格の良い葵は遠目からでも
  すぐに見つけられた。
  要はしばし、その姿に見惚れてしまう。
大和要(葵さんって、こうして見ると 本当にカッコいいな)
大和要(背が高くて男らしくて 俺がなりたい理想の男そのものだ)
大和要(カーネリア姫は 今の葵さんとはまるで違ってた)
大和要(背も俺より低くて華奢で 守ってあげなきゃって思えるような・・・)
  要の姿に気づいた葵が手を上げる。
姫野葵「要くん! 来ていたんですね」
大和要「うん。今来たところ。待たせてごめんね」
姫野葵「いえ、時間ぴったりですよ」
姫野葵「私も今来たばかりですし・・・」
  向かい合った状態で
  葵がしばし口をつぐむ。
  そして少しだけ寂しそうに微笑んだ。
姫野葵「・・・本当に要くんは あの頃と全然変わらないですね」
大和要「そんなことないよ。背も縮んじゃったし もう少し身長が伸びないかなって 毎日牛乳飲んでるんだけど」
姫野葵「ふふ。まだまだこれからですよ」
姫野葵「それに比べて、私は・・・」
大和要「ん?」
姫野葵「いいえ、なんでも。さあ、行きましょうか」

〇ショッピングモールの一階
大和要「クリスタリアにいた頃は、こんなふうにゆっくり過ごすことなんてできなかったよね」
姫野葵「そうですね」
姫野葵「それでも私にとって、あなたと2人で いられる時間はかけがえのないものでした」
大和要「それは俺も同じ」
大和要「戦いに明け暮れる日々だったけど カーネリアと過ごす時だけは安らげたんだ」
  穏やかな笑みを浮かべる葵の姿に
  要はどことなく落ち着かない気分になる。
大和要(見た目はまったく違うのに、時々葵さんがカーネリアに見える。不思議だな)
  しかし、ショーウィンドウに映る2人の
  姿は、前世とは似ても似つかないもので
  それはまるで兄と弟のようだ。
大和要(気分はともかく 見た目はあの頃とは全然違うなあ)
大和要(・・・もっと俺の身長が伸びれば もう少し違ったかもしれないのに)
  理想と現実のギャップに
  要は思わずため息をこぼす。
大和要「はあ・・・」
姫野葵「・・・・・・」
  それを寂しげに見つめる葵の瞳に
  要は気づかなかった。
大和要「クリスタリアにいた頃とはちょっと違う形だけど、やっぱり2人で過ごす時間が俺は好きだな。葵さんはどう?」
姫野葵「・・・ええ、そうですね 私も要くんの隣にいられて嬉しいです」
姫野葵「・・・こんな形でなければ、もっと」
大和要「え? なに、今なんて──」
小早川翠「あ、要くん!」
大和要「翠? こんなところで、偶然だね」
小早川翠「ちょっと買い物をね」
小早川翠「要くんは・・・何してたの?」
  翠が葵に訝しげな目を向ける。
大和要「ああ、この人は俺の友達の姫野さん」
大和要「なんていうか、昔からの知り合いなんだ 今日は一緒に遊んでた」
姫野葵「はじめまして、姫野葵です 要くんのクラスの子ですか?」
小早川翠「はい。はじめまして、小早川翠です」
小早川翠「要くんに大人の友達がいるなんて 知らなかったな」
大和要「まあ、わざわざ学校で言うような ことでもないからね」
小早川翠「ふうん、まあいいけど」

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