渋谷Restart

藤崎羽琉

渋谷Restart(脚本)

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藤崎羽琉

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〇渋谷のスクランブル交差点
  (久しぶりの渋谷だ・・・)
  (随分と駅周辺の様子は変わってるけど、工事はまだ続いてるんだ・・・)
  (あの頃からこの街は変化し続けてる)
  (あたしは、どうなんだろう。あの頃から少しでも成長出来てるのかな・・・)
ユキ「あ、ミヤコ! ようやく見つけたー!」
ミヤコ「あ、ユキ」
ユキ「も〜ハチ公前で待ち合わせって言ったじゃん!」
ミヤコ「ゴメンゴメン。 久し振り過ぎて、色々目移りしちゃってさ」
ユキ「6年振り、だっけ?」
ミヤコ「うん」
ミヤコ「新卒の時だからね、渋谷で働いてたの。結局は3年で地元に戻っちゃったし」
ミヤコ「それにしても──」
ミヤコ「やっぱり渋谷ってスゴいよね。 人の多さもそうだけど、この街の熱量っていうのかな・・・」
ミヤコ「すごく、圧倒される」
ミヤコ「いつの間にかこんなに街並みも変わってて・・・なんだか、あたしだけあの頃のまま取り残されちゃってる気分」
ユキ「・・・もしかして、渋谷での再出発にちょっと不安あり?」
ミヤコ「・・・まさか」
ミヤコ「だって自分で決めた事だもん。弱音なんか吐いてられないよ」
ユキ「別に弱音くらい言ったっていいと思うけどな」
ユキ「私がいくらでも聞いてあげちゃう!」
ミヤコ「大丈夫だって」
ミヤコ「ほら、早く行こう。信号変わっちゃうよ」
ユキ「ちょ、ちょっと待ってよー!」
ユキ「もう!ミヤコは相変わらず一人で抱え込んじゃうんだから・・・」
ユキ「──そうだ!イイコト考えた!」

〇渋谷ヒカリエ
ミヤコ「ヤバい。ユキと逸れた・・・」
ミヤコ「電話にも出ないし・・・」
  (この建物は・・・ヒカリエ、かな)
  (これもあの頃にはなかった建物だ)
  (大きいし、オシャレ・・・あたしには、場違いだ)
  (ホント、なんでまたこの街に戻って来ちゃったんだろう・・・)
  (また自分の実力の無さに嫌気が差して、地元に逃げ帰る羽目になるかもしれないのに・・・)
???「そこのお主!」
ミヤコ「???」
???「アカラサマな苦悩の表情を浮かべているそこのお主じゃ!」
ミヤコ「?!」
スノウ子「ワシは世の中の悩める子羊達を教え導く占い師のスノウ子じゃ!」
ミヤコ「・・・えと」
ミヤコ「何してるのユK──」
スノウ子「ワシは占い師のスノウ子じゃー!」
ミヤコ「あー・・・はい。じゃあそれでいいと思います」
スノウ子「今、お主はとても大きな悩みを抱えとるな!」
ミヤコ「いえ、別に」
スノウ子「抱えとるんじゃ!」
スノウ子「良いか、今からワシの質問に答えるのじゃ」
スノウ子「きっと、己の内なる真理を見つける事が出来るじゃろう」
ミヤコ「なるべく手短にお願いします」
スノウ子「うむ。では、質問じゃ」
スノウ子「お主はなぜ、再びこの渋谷の街に戻って来たんじゃ?」
ミヤコ「なんでって・・・」
ミヤコ「──仕事をするため、だよ」
ミヤコ「仕事をして、お金を稼ぐため」
スノウ子「それでは答えになっとらん!」
スノウ子「お金を稼ぐためだけなら、日本全国どこでも出来る!」
スノウ子「じゃが、お主はそのための場所として敢えてこの渋谷を選んだ!」
スノウ子「なぜじゃ? なぜまた渋谷なんじゃ??」
  (・・・あたしが渋谷を選んだ理由?)
  (あたしが今、ココにいる理由・・・?)
ミヤコ「・・・確かに、あの頃は自分の無力さや不甲斐なさを感じることが多かった」
ミヤコ「でも・・・でもさ──」
ミヤコ「渋谷で過ごした毎日は、それ以上にワクワクして、楽しかったんだよ」
ミヤコ「この街でなら、また一から挑戦が出来る。新しい自分になるコトが出来るんじゃないかって、そう思ったんだ」
スノウ子「つまり、お主はこの渋谷の街が好きだと言うコトじゃな!」
ミヤコ「好き・・・うん、そうだね」
ミヤコ「結局、あたしはこの渋谷っていう街が好きなんだよね」
ミヤコ「色んなお店があって、色んな人がいて、色んな考え方がある」
ミヤコ「いつも元気いっぱいじゃなくたっていい。落ち込んだり、泣いたりしてもいいんだ」
ミヤコ「この街は、いつだって自分らしくいられるんだよ」
ミヤコ「スノウ子のおかげで、大切な気持ちを思い出せたよ──ありがとね」
スノウ子「・・・うん、良かった」
スノウ子「おっほん! では、質問は以上じゃ!」
スノウ子「己の内なる真理に到達したお主にコレを授けよう!」
ミヤコ「コレは・・・?」
スノウ子「渋谷SKYのチケットじゃ!」
スノウ子「その展望台にお主の探し人もおるじゃろう!」
ミヤコ「おー!すごーい!」
ミヤコ「いつの間に買ってくれたの? ちょっと待ってね。今、お金渡すから──」
スノウ子「ちがーう! コレはワシの大いなる力で手に入れたものじゃ!金などいらん!」
ミヤコ「あーはいはい」
ミヤコ「じゃあ、先に行ってるから。早く追いかけて来てね」
スノウ子「うむ。また悩みがある時は、いつでもワシに相談するんじゃぞー!」

〇SHIBUYA SKY
ミヤコ「あ、ユキ!やっと見つけた!」
ユキ「あ、ミヤコ!今で何してたの?探したんだよ〜」
ミヤコ「いや、その言葉そっくりそのまま返すから」
ユキ「まぁまぁ。無事に会えたんだから細かいコトはいいじゃない」
ユキ「それより、ほら。見てみてよー!」
ユキ「ここからの景色、スゴくない? 渋谷の街が一望出来るんだよー!」
ミヤコ「うん、スゴい! キレイ!」
  (時代に合わせて、この街はこれからも変化していくんだろう)
  (着実に、一歩ずつ。今よりもより良い未来を目指して)
  (それは私達も同じだ。きっと私達もこの街と一緒に成長していけるんだ)
ミヤコ「ねぇ、ユキ」
ユキ「んー?」
ミヤコ「本当に、ありがとね」
ユキ「えー何のコトー??」
ユキ「それよりも、ほら!」
ユキ「これからお世話になるこの街にこそ、挨拶しとかなくちゃ!」
ミヤコ「いや、ちょっと意味がわからない・・・」
ユキ「いいから、いくよー!」
ユキ「声を合わせて、せーの!」
  これからよろしくね、渋谷!

コメント

  • とても良い関係の2人ですね😌
    「何でそこがいいの」と問われて、
    「好きだから」と答えられることは素敵なことだと思います☺️

  • テンポよく楽しい会話の中から、お互いを思うやさしさが伝わってきます。

  • ユキの素晴らしい友情が、渋谷という大都会で再スタートするための大きな後押しになりましたね。ただなんとなく何かをするのではなく、明確な自覚をもって行動することの大切さを考えさせてもらいました。

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