IT’S A SIN TO TELL A LIE(脚本)
〇空
人は死んだら
どこへ行くのか──
空か──
〇魔界
地か──
〇東京全景
どちらに行くのかは
知らないけれど
どこにも行けない魂が
あるのは知っている
〇商店街の飲食店
〇モヤモヤ
アルコールの香りが染みついた密室
ここに閉じ込められて、何カ月だ?
なぜ、アタシがこんな目に・・・
ミツセ「ううっ・・・」
???「アナタに役立ってもらう時が来ましたよ」
ミツセ「嫌だ!! それより、ここからアタシを出せ!!」
〇黒背景
〇ジャズバー
常盤「ここに来て半年──」
常盤「彼を呪う気持ちは、落ち着きませんか?」
ミツセ「無理ッツ!!」
ミツセ「アタシは、アイツを殺さなきゃ 成仏できない!!」
常盤「浮気は、一時の気の迷い」
常盤「十股されたのも いつかは笑い話になります」
常盤「ふふ、十股──」
常盤「聖徳太子ですかな?」
ミツセ「お前が、笑い話にするなぁあ!!」
ミツセ「そんな十人の相手をする 聖徳太子がいて堪るかあぁああ!!」
ミツセ「あたしは、アイツを呪い殺すんだぁあ!!」
常盤「その怨念が無くなるまでは ここから出せません」
ミツセ「ア、アタシも反省しますぅ」
ミツセ「呪い殺すのはやり過ぎですよね・・・」
常盤「では、彼の浮気を許すので?」
ミツセ「祟り殺します♡」
ミツセ「行くぜ、ミツセ!!」
ミツセ「アイツを祟り殺しに!!」
常盤「出口封印──」
ミツセ「うわあぁぁん!!」
ミツセ「あたしをここから出してぇ!!」
常盤「人の迷いを晴らすことで 自らの迷いを晴らしなさい」
常盤「成仏こそが、死せるモノの道筋──」
ミツセ「えぇ・・・ もしかして、客か?」
常盤「えぇ、お客様です」
常盤「おいでなさい、迷える死者の魂よ──」
タイガ「ヘッヘッヘッ──」
ミツセ「人じゃねぇ!!」
常盤「後は宜しくお願いしますね」
ミツセ「犬をどうしろって言うの!?」
常盤「成仏です」
ミツセ「待てぇええ!! アタシに丸投げするなぁあ!!」
ここは死者の為のバー
酒と音楽で心を癒す
だが、それで癒えない死者もいる──
ミツセ「お前もそのクチか?」
タイガ「ワン!」
ミツセ「なんだ?」
タイガ「ワン!!」
ミツセ「ふむ──」
タイガ「ワンワン!!」
ミツセ「分かったよ」
ミツセ「犬語は分からないことが」
タイガ「クゥン・・・」
ミツセ「さて、ここはバーだ なにか飲むか?」
タイガ「ワン!!」
ミツセ「ワンカップは置いてないぞ」
ミツセ「ミルクにしておけ、な」
タイガ「ワン!!」
ミツセ「ワンショットは多いな」
ミツセ「乳糖不耐性の犬も多い」
ミツセ「ハーフショットの水割りでどうだ?」
タイガ「ワン!!」
ミツセ「待ってな」
ミツセ「ミルクハーフショットの水割りです」
ミツセ「どうぞ、お客様」
タイガ「ワン♪」
ミツセ「たまには美味しいモノを飲んでも バチは当たらない」
ミツセ「死んでいたって たまには許されるべきだ、な♡」
タイガ「ワン♪」
ミツセ「さて、一応は振られた仕事だ」
ミツセ「大人しく従うのは癪だが こなしてやるか──」
ミツセ「記憶を分けて貰うよ」
ミツセ「カクテル・メモリーズ」
ミツセ「これは記憶を交わす盃──」
ミツセ「君は、なぜ死んだんだ?」
〇川に架かる橋
としえ「大河、今年も戻ってこれないのかい?」
タイガ「ワンワン♪」
タイガ「ワンワン♪」
としえ「タイガ、道路の方に行かないの」
タイガ「ワン?」
としえ「仕事が忙しいのも分かるけど、ねぇ」
としえ「でも、顔くらい見たいんだよ」
としえ「分かったよ・・・」
としえ「体には気を付けるんだよ」
としえ「そういえば保険には入ったかい?」
としえ「はぁ・・・」
としえ「今年も、一人だね・・・」
タイガ「ヘッヘッヘッ♪」
としえ「そうだね、お前がいるもんねぇ」
としえ「あっ・・・」
としえ「タ、タイガ・・・」
としえ「タイガッ!!」
〇川に架かる橋
女性A「ひき逃げですって、可哀想ね・・・」
女性B「でも轢かれたのは犬なんでしょ」
女性B「法律だと物扱いなのよね」
女性B「慰謝料も10万円ですって」
女性A「気の毒ね・・・」
〇ジャズバー
ミツセ「車に轢かれたのか?」
タイガ「クゥーン・・・」
ミツセ「復讐したいよな──」
タイガ「クゥン?」
ミツセ「復讐!!」
ミツセ「お前を殺したヤツに復讐したいだろ?」
タイガ「クゥン・・・」
ミツセ「なんでだよ!!」
ミツセ「お前を殺したヤツなんだぞ!!」
タイガ「ワン・・・」
ミツセ「自分より 飼い主の方が大事、か?」
タイガ「ワン♪」
ミツセ「でも、お前は死んだ」
ミツセ「悲しむことには変わりはない」
タイガ「クゥン・・・」
ミツセ「悲しませない方法もある」
タイガ「ワン?」
ミツセ「お前の記憶を消すんだ」
タイガ「ワン♪」
ミツセ「それで、良いのか・・・お前?」
タイガ「ワン♪」
ミツセ「はぁ、バカみたい・・・」
ミツセ「分かった──」
ミツセ「お前の死を装飾しよう」
ミツセ「メモリーズ・ジャケット」
ミツセ「このカクテルは偽りの記憶だ──」
ミツセ「真実を嘘で覆い隠す──」
常盤「できましたかな?」
ミツセ「死因は、老衰 天寿全うだ──」
ミツセ「そこに悲劇の別れはない」
常盤「では、お客様の元にお届けしましょう」
タイガ「ワン♪」
ミツセ「こんなんで喜ばれても 嬉しくないんだけど・・・」
〇昔ながらの一軒家
としえ「こっちにおいでタイガ」
としえ「ご飯の時間だよ 家にお入り」
常盤「死者の為にも、よい人生を──」
〇ジャズバー
ミツセ「お前は、飼い主と共に 幸せに過ごし、亡くなった」
ミツセ「お前は先に死んだけど その子供が彼女の隣にいる」
ミツセ「そんな人生のジャケットだ──」
ミツセ「それで、満足か?」
タイガ「ワン、ワンワン、ワンワンワン♪」
ミツセ「消えた──」
ミツセ「成仏したのか?」
ミツセ「犬語じゃ 何言ってるか、分かんないよ・・・」
常盤「お客様は満足して還られました」
常盤「お見事ですな」
ミツセ「あれで、当人は満足なのかな?」
ミツセ「アタシには分かんないや・・・」
常盤「これからの人生を思いやる」
常盤「死者が生者に祈る 唯一の願いです」
ミツセ「そんなものかな?」
常盤「そうあって欲しい」
常盤「願望ですな」
ミツセ「ところで、ひき逃げしたヤツは どうしたんだ?」
常盤「それなりの制裁を──」
常盤「内容は秘密です」
ミツセ「死んだ人間より 生きてる人間の方が怖いね・・・」
ミツセ「よし、アタシもアイツに 制裁してくるかな♡」
常盤「貴方はダメです」
常盤「本当に悪霊になってしまいますよ」
ミツセ「悪霊で結構!!」
ミツセ「浮気をするロクデナシは 呪い殺してやる♡」
常盤「では、ここで 頭を冷やしていてくださいね」
ミツセ「そんなぁあああ」
ミツセ「アタシも制裁がしたいのッツ!!」
〇ジャズバー
霊は人を祟り、死に至らしめる
そう、まことしやかに囁かれる
でも、本当は違うのだ
強い念を残した霊は
死の因果を書き換える
それが時として──
呪いにも──
祟りにも──
そして死後に伝わる愛として
生きる者に想いを託すのだ
素敵なスチル…!!
写真と同時に流れるグラスの音が好きです。
お話もとっても良かったし、最後の実写版ワンちゃんもとっても可愛かったです。
ジャズが流れてるクラシカルなバーのような雰囲気が素敵でした🍷
タイガ可愛い❤
もしかしたらおそなえさん家のワンコなのでは?
スチル使いでワンコの意思が表現出来ていて、面白かったです。
ハートフルなお話で主人公の恨みも変わるかと思いきや…🤣
オサレでハートフルは最高!
表紙にある文章のラスト、「ミツキ達の物語」これはミツセかなと思われました。
これはエンディングがいつでも作れる、アノベタイプとでも言いましょうか。共同編集が生きそうな素材ですね。そして結末次第によっては賛否両論が分かれそうな題材です。死を修飾することは善か悪か。
音楽はもっと欲しいですね。あとカクテルのアイテム。TNCで物が審査通らなくなりましたからもっぱらスチルになるので大変ですね。