episode3「目覚めの刻-とき-」(脚本)
〇秘密基地の中枢
シリコンバレー
廃研究所の中にて
カイト・シュナイダー「えっ、あれっ!?」
カイト・シュナイダー「僕のMUの姿が・・・変わってる──!?」
カイト・シュナイダー「ありえないだろ!? 部品を交換じゃなくて、変形してるぞ──!!」
カイト・シュナイダー「どうして、こんなことに・・・」
???「聞こえているか??」
カイト・シュナイダー「うわっ!? 誰っ!?」
???「私の存在に気づかないとは、君は鈍感なのかね??」
カイト・シュナイダー「まさか・・・」
カイト・シュナイダー「このデバイスから話していたのか!? えっ、AIでもあるのか!? もうわけ分からないよ──!!」
???「まあ、落ち着くのだ」
???「打開策ならある」
カイト・シュナイダー「どういう・・・??」
O/D「・・・」
カイト・シュナイダー「うわっ、人が出たっ!!」
カイト・シュナイダー「というより、ホログラム??」
O/D「私にもよく分からないが、この姿で会話するのがいいかと判断したまでだ」
カイト・シュナイダー「は、はあ・・・」
O/D「ともかく、ジークで応戦するんだ!!」
カイト・シュナイダー「でも、どうやって、あの怪物を倒せば・・・」
O/D「まずは、ジークが手にしてる武器を使うのだ」
O/D「こういった武器種は得意かね?」
カイト・シュナイダー「はいっ、あります!!」
O/D「なら、よしっ!!」
O/D「では早速、”バルムンク”の性能を試すとしよう」
カイト・シュナイダー「バルムンクか・・・」
カイト・シュナイダー「よしっ、やるぞ!!」
カイト・シュナイダー「行きます!!」
カイト・シュナイダー「危なかった・・・」
カイト・シュナイダー「すごい、これがジークなんだね」
O/D「そうだ、君が以前乗っていたMUだと思ってはいけない」
O/D「ざっくりだが、1.5倍ほど強化されているみたいなようだ」
カイト・シュナイダー「よし、これなら」
O/D「何を突然目を閉じているんだ??」
O/D「敵は迫ってるぞ!?」
カイト・シュナイダー「大丈夫です、相手のタイミングを見極めたいんです」
カイト・シュナイダー「ここからは1回で仕留めます!!」
O/D(なるほど、これはもしや)
O/D(武士や武闘家などが極めるといわれている技の一つか)
O/D(明鏡止水・・・かそれに似たものか、面白い!!)
カイト・シュナイダー「・・・」
カイト・シュナイダー「今だ──!!」
カイト・シュナイダー「た、倒せた・・・」
カイト・シュナイダー「これで、終わったんだ・・・」
カイト・シュナイダー「・・・」
O/D「おや、浮かれない顔だね?」
カイト・シュナイダー「救えなかった仲間がいたんです・・・」
カイト・シュナイダー「僕の大切な・・・仲間だったんです・・・」
O/D「おっと、それ以上はいい」
O/D「こっちから聞いといてあれだが、空気を読めていなかったな」
O/D「とりあえず申し訳ないと言っておこう」
カイト・シュナイダー「・・・」
Finish Processing SIEG.....
OK
Shut down.......
カイト・シュナイダー「あれっ!? 元に戻った!?」
カイト・シュナイダー「どうなってるんだ、これ!? またわけ分からないよ──!!」
O/D(これは、また興味深いね・・・)
O/D(MUの姿が元に戻るとは、信じられないが・・・)
O/D(これは何かありそうだね)
〇研究装置
ネメシス軍本拠地
とある部屋にて
ネメシス軍のリーダー兵士「ようこそ、閣下こちらへ」
ネメシス軍のリーダー兵士「閣下が入られるぞ!!」
ウォルフガン・ウルマン「ご苦労」
ウォルフガン・ウルマン「それで、”例のもの”はどうなっている??」
ネメシス軍のリーダー兵士「実は妙な反応をキャッチしまして・・・」
ウォルフガン・ウルマン「それは、どういうことかね?」
ネメシス軍のリーダー兵士「はい、説明が難しいのですが・・・」
ネメシス軍のリーダー兵士「無可動だったMUに動きがあったんです」
ネメシス軍のリーダー兵士「ですが、すぐに停止してしまって、まだ原理がよく解明できていないんです・・・」
ウォルフガン・ウルマン「それは、いつごろ発生した現象かね?」
ネメシス軍のリーダー兵士「だいたい2、3時間くらい前ですね」
ウォルフガン・ウルマン「ほほう」
ウォルフガン・ウルマン「そうであったか・・・」
ネメシス軍のリーダー兵士「閣下??」
ウォルフガン・ウルマン「いや、なんでもない」
ウォルフガン・ウルマン「ところで、昨年奪取したMUの研究成果はいかがかね?」
ネメシス軍のリーダー兵士「はい、まだ作業中ですが、変わったシステムを搭載しているみたいでして」
ネメシス軍のリーダー兵士「それも、解明がまだ進んでいないんです」
ウォルフガン・ウルマン「ほう、それはどうしてなのかな?」
ネメシス軍のリーダー兵士「実はですね、何人か被験者を募って協力を要請したのですが・・・」
ネメシス軍のリーダー兵士「テストパイロットが全員死んでしまって・・・」
ウォルフガン・ウルマン「なに──!?」
ネメシス軍のリーダー兵士「──!!」
ウォルフガン・ウルマン「1人も成功しておらんのか!?」
ネメシス軍のリーダー兵士「はい・・・その通りでございます・・・」
ウォルフガン・ウルマン「──!!」
ネメシス軍のリーダー兵士「閣下・・・??」
ウォルフガン・ウルマン「いや、大丈夫だ」
ウォルフガン・ウルマン「では、引き続き作業を続けたまえ」
ウォルフガン・ウルマン「だが、何か分かれば、すぐに私に報告するのだ!!」
ウォルフガン・ウルマン「どんな小さなことでも構わん!!」
ウォルフガン・ウルマン「価値があるかどうかは、私が全て判断する!!」
ネメシス軍のリーダー兵士「はっ、閣下の仰せのままに!!」
ウォルフガン・ウルマン「・・・」
ウォルフガン・ウルマン(なるほど、噂通りの人殺しマシンだな)
ウォルフガン・ウルマン(その力、いつか見せてもらうぞ)
〇廃墟の倉庫
廃研究所にて
カイト・シュナイダー「まずい、もう一個のターゲットのこと忘れるところだった・・・」
カイト・シュナイダー「ただでさえ暗いのと、レーダーの反応悪すぎだよ・・・」
カイト・シュナイダー「どこにあるかなぁ・・・??」
O/D「もしかしたら、私が力になれるかもしれんな」
カイト・シュナイダー「本当ですか!? でも、自分のことあまり覚えてないって言ってませんでした?」
O/D「確かにそうなんだが、先ほどの戦闘を通して少しずつ分かってきたよ」
O/D「どうやら、私はこの研究所で誕生したことは間違いないらしい」
O/D「ただ残念ながら、MU以外の用途は分からんがな・・・」
カイト・シュナイダー「やっぱり、そうですよね・・・」
O/D「しかし、君が探しているターゲットのカプセル装置については、なぜだが心当たりがあるようなんだ」
O/D「ということで、デバイスをもう一度MUにセットしてみてくれ」
カイト・シュナイダー「分かりました」
カイト・シュナイダー「よ~し、頼むぞ・・・」
カイト・シュナイダー「あった!! すごい、さっきより分かりやすいぞ!!」
O/D「なるほど、ジークを起動しなくても、出力アップはできると・・・」
O/D「ふむ、興味深い」
カイト・シュナイダー「よしっ、行きましょう!!」
カイト・シュナイダー「そういえば、あなたの名前は? 僕はカイトって言います!!」
カイト・シュナイダー「デバイスの中身を見たところ、参考になる情報が見つからなくてですね・・・」
O/D「う~ん、そうだな・・・」
Name:XYZ O/D
CPU:5.0GHz
RAM:20GB
ID:13008-01416-62300-LLFCJ
O/D「そうだな、私のことは・・・」
O/D「O/D(オーディー)と呼んでくれ」
O/D「システム情報にO/Dという文字があるだろう?」
O/D「たぶん、私はO/Dだろう」
カイト・シュナイダー「えっ、そうなんです??」
カイト・シュナイダー「でも、呼べないのはあんまりなんで、そういうことにしましょう!!」
カイト・シュナイダー「よろしくお願いします、O/Dさん!!」
O/D「さんはいらん!!」
O/D「あと、敬語じゃなくていい!! 必要以上の気遣いなんてなくても構わんだろ?」
カイト・シュナイダー「おっと!? そしたらじゃあ・・・よろしく、O/D!!」
O/D「ああ、たった今から君の専属アシスタントとなろう」
O/D「よろしく頼む」
〇実験ルーム
廃研究所内
とあるカプセル装置の部屋にて
カイト・シュナイダー「着いた──!!」
カイト・シュナイダー「ここがターゲットの部屋か・・・」
O/D「さて、さっさとターゲットを回収して脱出するぞ」
カイト・シュナイダー「回収って言っても中のものをどうやって・・・」
カイト・シュナイダー「──!?」
カイト・シュナイダー「中に人がいる!?」
カイト・シュナイダー「これが・・・ターゲット!?」
カイト・シュナイダー「うそだろ!? 人が入ってるって、そんあことありえない・・・」
O/D「落ち着け、助ける方法はある!!」
O/D「私を使え」
カイト・シュナイダー「分かった・・・また使わせてもらうね」
Start System......
OK
Access.......
not found Key Code
カイト・シュナイダー「えっ、キーコード!? そんなの、知らないよ・・・」
カイト・シュナイダー「何で分かるっていうんだ・・・」
O/D「このキーコードのことも任せなさい」
O/D「私の方で分かるかもしれない」
カイト・シュナイダー「でも、そんなのどうやって・・・??」
Matching Key Code........
OK
Access.......
OK
Open Key Code HILT
カイト・シュナイダー「うわっ!?」
カイト・シュナイダー「勢いよく、開いたな・・・って──」
カイト・シュナイダー「──!?」
カイト・シュナイダー「女・・・の子・・・??」
カイト・シュナイダー「どうして、こんなところに・・・??」
O/D「おそらくこの研究所の被験者なのかもしれんな」
O/D「全く、道徳を忘れたものたちは、こんなことを平気でやれるもんなのだな」
カイト・シュナイダー「ひどいよ、こんなのあんまりだって・・・」
カイト・シュナイダー「って、そんなこと言ってる場合じゃない!!」
カイト・シュナイダー「しっかりして!! 聞こえる!?」
カイト・シュナイダー「起きて!! ここから、逃げるんだ!!」
???「う・・・ん・・・」
カイト・シュナイダー「気がついた!? しっかり!!目を覚ますんだ!!」
???「ここは・・・??」
カイト・シュナイダー「よかった、目を覚ましたんだ──!!」
カイト・シュナイダー「僕はカイト、君の名前は??」
???「私??私は・・・」
???「アイネ・・・ アイネ・ラハリア・・・です」
カイト・シュナイダー「まだ調子が良くないようだね? 立てる??」
アイネ・ラハリア「はい、なんとか」
カイト・シュナイダー「アイネ、君はずっとここにいたようなんだけど、覚えている??」
アイネ・ラハリア「私が・・・ここに?」
アイネ・ラハリア「私は今まで・・・何をしていたのでしたでしょうか?」
アイネ・ラハリア「よく・・・分かりません・・・」
カイト・シュナイダー「あっ、なんかごめんいきなり」
カイト・シュナイダー「起きたばかりなのに、質問攻めは良くなかったね・・・」
カイト・シュナイダー「・・・」
アイネ・ラハリア「・・・それは何でしょうか?」
カイト・シュナイダー「えっ、これ?」
カイト・シュナイダー「これは、スマートデバイスのO/Dってものだけど・・・」
アイネ・ラハリア「O・・・D・・・」
???「──!!」
???「──!! 知らないはずなのに、く、苦しい・・・」
カイト・シュナイダー「どうしたの!? 大丈夫!?」
???「──!! 頭・・・が痛・・・い・・・」
カイト・シュナイダー「どうなってんだ、いったい・・・」
カイト・シュナイダー「しっかり、しっかりして──!!」
カプセル装置から出てきたのは、アイネと名乗る少女だった
突然の出来事で、困惑するカイトとO/Dたち
しかし、この出会いが、カイトの運命を大きく変えることになってしまうのだった
To be continued・・・