家族戦隊ファミリーレンジャー(連載版)

ひであき

第10話 邪悪の発露(脚本)

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ひであき

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〇魔法陣のある研究室
〈悲恋〉のレンカ「うっ」
〈悲恋〉のレンカ「こ、ここは一体?」
〈悲恋〉のレンカ「そうだ! 私はサレンダ姉に捕まって──」
〈邪恋〉のサレンダ「あら、ようやく目を覚ましたのね」
〈悲恋〉のレンカ「サレンダ姉! 今すぐここから出して!」
〈邪恋〉のサレンダ「出すわけないでしょ。あなたはそこでしばらく頭を冷やしていなさい」
〈悲恋〉のレンカ「どうしてこんなことを!? 一体何が目的なの!?」
〈邪恋〉のサレンダ「言ったでしょ? 聞き分けのない妹にはお仕置きが必要だって」
〈邪恋〉のサレンダ「モテナインダー様の僕でありながら他の男に心を奪われるような悪い子には特に、ね」
〈悲恋〉のレンカ「モテナインダー様は私たちの創造主だ! 裏切るなんてあり得ない!」
〈悲恋〉のレンカ「だから私はこの気持ちに蓋をしてヒーくんを──だけどできなくて、私は、私は──」
〈邪恋〉のサレンダ「可哀想なレンカ。すっかりあの男に毒されてしまったようね」
〈邪恋〉のサレンダ「だけど、もう安心よ」
〈邪恋〉のサレンダ「私があの男を八つ裂きにしてあげるわ」
〈悲恋〉のレンカ「なっ──」
〈邪恋〉のサレンダ「ふふふっ。あの男の腸をこの手で引き摺り出したらあなたはどんな顔をするのかしら」
〈悲恋〉のレンカ「さ、さっきから何を言っているんだ? いくらアレンダ姉が〈邪恋〉の異名を持つ怪人でもそこまでするのは──」
〈邪恋〉のサレンダ「あなたが泣きながら私に許しを請う姿を想像すると期待で胸が膨らむわ」
〈邪恋〉のサレンダ「そしてあの男はあなたを救い出すことができず絶望に溺れて息絶える。何て素敵な喜劇なのかしら」
〈邪恋〉のサレンダ「これは正当な罰よ。敵と恋をするなんてあってはならない間違いを犯したあなたへのね」
〈邪恋〉のサレンダ「そう、許されるわけがないのよ。モテナインダー様を袖にした人類が繁栄するなんてあってはならない」
〈邪恋〉のサレンダ「それだけじゃ飽き足らないわ。地球人には滅んでもらって星を明け渡して──」
〈邪恋〉のサレンダ「うっ!」
〈邪恋〉のサレンダ「あれ? さっきから私は何を言って」
〈悲恋〉のレンカ「さ、サレンダ姉?」
〈邪恋〉のサレンダ「──まあいいわ。あの男が来るまであなたはそこでおとなしくしていなさい」
〈悲恋〉のレンカ「待って! サレンダ姉! サレンダ姉!!」
〈悲恋〉のレンカ「一体何がどうなっている? サレンダ姉の様子が明らかにおかしいぞ」
〈悲恋〉のレンカ「ダメだ。ここに来たらダメだ! ヒーくん!」
〈悲恋〉のレンカ「早くここから出ないと! でもどうすれば──」
〈悲恋〉のレンカ「だ、誰──!?」

〇秘密のアジト
ブラザーピーチ「何だここは? こんなしょぼい建物がロンリネスの秘密基地なのか?」
ブラザーピーチ「今更だけど勢いに任せて一人で来たのはマズかったか?」
ブラザーピーチ「だけど他のみんなを連れて来たらレンカがどうなるかわからないし──」
ブラザーピーチ「そうだ、ここまで来たらもう後戻りはできない! 腹を括って一人で乗り込むか!」
  おい! おいブラザーピーチ!
ブラザーピーチ「だ、誰だ!?」
戦闘員「俺だよ俺!」
ブラザーピーチ「お前か!」
ブラザーピーチ「とは言ってもお前らたくさんいるから区別が付いてないんだけどな」
戦闘員「気にすんな! 実際俺らも誰が誰だかよくわかってないし!」
戦闘員「それよりそんなところに突っ立ってないでこっちに来い! 話があるんだ!」
ブラザーピーチ「話だって? 罠じゃないだろうな?」
戦闘員「疑う気持ちはわかるけどここは俺らの本拠地だぞ? お前一人でどうにかなると思ってるのか?」
ブラザーピーチ「いや、それはまあ確かに」
戦闘員「だろ? お前には一人でも多くの協力者が必要なはずだ」
戦闘員「レンカ様を助けに来たんだろ? 手を貸してやるからこっちに来い!」
ブラザーピーチ「──信じていいんだろうな?」
戦闘員「半信半疑で結構だよ」
戦闘員「俺を敵だと思ったらその場で倒せばいい。そうだろ?」
ブラザーピーチ「──わかった」

〇研究施設の廊下(曲がり角)
ブラザーピーチ「なるほど。地下に基地を造っていたんだな」
ブラザーピーチ「それにしても何て広さだ。これほどの規模の基地を造るのにどれだけの時間がかかって──」
戦闘員「そういうのいいからこっちこっち!」
戦闘員「詳しい話はカメラが切れてる部屋でするから! ほら早く!」
ブラザーピーチ「わ、わかった!」

〇地下倉庫
戦闘員「よし、ここまで来れば一安心だ」
ブラザーピーチ「おい何が起きてるんだ? レンカはどこにいる? 何で俺の手助けをする? 目的は何だ?」
戦闘員「落ち着けよ。そんないっぺんに質問されたら答えられないって」
ブラザーピーチ「落ち着いていられるか! こうしているあいだもレンカは──」
戦闘員「わかったわかった! 順を追って話すから一つずつ質問してくれ」
ブラザーピーチ「すまなかった。頭を冷やすよ」
戦闘員「謝らなくてもいいって。お前の立場ならそうなるのも仕方ないしな」
戦闘員「それで、何から聞きたいんだ?」
ブラザーピーチ「レンカはどこにいるんだ?」
戦闘員「サレンダ様の研究区画に監禁されてる。あそこは下っ端の俺らは立ち入り禁止だから中がどうなってるかはさっぱりわからない」
ブラザーピーチ「どうすればそこへ行けるんだ?」
戦闘員「協力者がいる。その人が研究区画まで案内してくれるはずだ」
ブラザーピーチ「何で俺の手助けをするんだ? 俺はお前らの敵なんだぞ」
戦闘員「そこは込み入った事情があると言うか──話さないと納得しないよな?」
ブラザーピーチ「当たり前だ。敵の侵入を手助けするなんて明らかにおかし──」
  それについてはボクの口から説明するよ
戦闘員「あっ!」
〈狂恋〉のアレンダ「やあ、直接会うのは初めてだね。広瀬英雄くん」
ブラザーピーチ「誰だあんた? どうして俺の名前を──」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクは〈四恋王〉の一人〈狂恋〉のアレンダ。主にネットでの男女分断工作を担当しているんだ」
ブラザーピーチ「〈四恋王〉の一人だって? ということはレンカの──」
〈狂恋〉のアレンダ「うん。ボクはレンカちゃんの姉の一人だよ」
ブラザーピーチ「やっぱりか! えっと、始めまして。俺は広瀬英雄と言います。レンカとはその──」
〈狂恋〉のアレンダ「こらこら、今はそういう挨拶をしてる場合じゃないでしょ」
ブラザーピーチ「えっ、あっ、す、すみません」
〈狂恋〉のアレンダ「実を言うとボクはキミのことをずっと監視していたんだよ、英雄クン。いや、ブラザーピーチと呼んだほうがいいかな?」
ブラザーピーチ「何だって! 一体いつから!?」
〈狂恋〉のアレンダ「それは企業秘密と言うことで。とにかくそういうわけだからキミとレンカちゃんの関係はよく知ってるよ」
〈狂恋〉のアレンダ「あの堅物のレンカちゃんがキミの正体を知りながらボクたちに隠してたなんて驚きだよ」
ブラザーピーチ「そうなのか。レンカの奴、誰にも話してなかったのか」
〈狂恋〉のアレンダ「それだけキミのことが大切なんだろうね」
ブラザーピーチ「い、いきなりそう言われると照れますよ、アレンダ義姉さん」
〈狂恋〉のアレンダ「どさくさに紛れて何を言ってるのかな?」
ブラザーピーチ「す、すみません」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクはキミたちの関係を応援してるんだ。ライバルが減ってくれるのは喜ばしいことだからね」
ブラザーピーチ「それは心強いです! アレンダ義姉、いや、アレンダさんとはこれから仲良くしていきたいです!」
ブラザーピーチ「でもライバルって言うのは一体どういう──」
〈狂恋〉のアレンダ「それはこっちの話だから気にしないで」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクとしてもモテナインダー様と親しいキミとは仲良くなりたいと思ってるんだ」
〈狂恋〉のアレンダ「あっ、でもキミを壊したらモテナインダー様がどんな顔をするのか見てみるのもアリな気が──」
ブラザーピーチ「あの、話がよく──」
〈狂恋〉のアレンダ「いけないいけない。今はこんな話をしてる場合じゃなかったね」
〈狂恋〉のアレンダ「キミはレンカちゃんを助けに来た。そうだよね?」
ブラザーピーチ「はい。俺はレンカを助けにここまで来ました」
〈狂恋〉のアレンダ「うんうん。レンカちゃんのために一人で乗り込んでくるなんて、素敵な王子様だね」
ブラザーピーチ「いやあ、それほどでも」
〈狂恋〉のアレンダ「でも簡単な話じゃないよ」
〈狂恋〉のアレンダ「相手は〈四恋王〉最強の〈邪恋〉のサレンダ。モテナインダー様が作り上げた最初の怪人にしてボクたちの長姉」
〈狂恋〉のアレンダ「その力はボクと他の二人で束になってかかっても勝てないほどの強さだよ」
ブラザーピーチ「危険は覚悟の上です。俺はレンカのためなら死んでもいい」
〈狂恋〉のアレンダ「そこまで言ってくれる男に出会えるなんてレンカちゃんは幸せ者だね。ますます応援したくなっちゃう」
ブラザーピーチ「是非応援してください! レンカは俺が幸せにします!」
〈狂恋〉のアレンダ「その前にやることがあるんじゃないのかな?」
ブラザーピーチ「はい。俺が必ずレンカを助けます」
ブラザーピーチ「力を貸してもらえませんか?」
〈狂恋〉のアレンダ「勿の論だよ! そのためにここまで来たんだからね」
〈狂恋〉のアレンダ「付いてきて。レンカちゃんのところへ案内してあげる」
ブラザーピーチ「お願いします!」

〇近未来施設の廊下
ブラザーピーチ「す、すごい! 扉が次々と開いていく!」
〈狂恋〉のアレンダ「こんなの警備システムにアクセスしてちょちょいとやれば簡単にできるよ」
ブラザーピーチ「さすがです! アレンダ義姉、いやアレンダさん!」
〈狂恋〉のアレンダ「もう、褒めても何も出ないってば」
〈狂恋〉のアレンダ「それより先を急ぐよ!」
ブラザーピーチ「はい!」
ブラザーピーチ「それにしても本当にすごい施設だな。こんなのどうやって地下に造ったんだ?」
〈狂恋〉のアレンダ「モテナインダー様の科学力は世界一だからね。これくらい朝飯前さ」
戦闘員「俺らみたいなはみ出し者にも仕事をくれた最高の上司でもあるんだぜ!」
ブラザーピーチ「そんな人がどうして悪の秘密結社なんか作ったんだ?」
〈狂恋〉のアレンダ「それについては──おっと、お喋りはここまでかな」
機怪人ロボロボン「ギガガガガ」
〈狂恋〉のアレンダ「サレンダ姉が配置した怪人だね。ハッキングして無力化するのに少し時間がかかるかも」
ブラザーピーチ「そんな悠長なことをしてる時間はないです!」
〈狂恋〉のアレンダ「えっ、ちょっと──」
ブラザーピーチ「ピーチブラスター! ON!」
ブラザーピーチ「愛の力が敵を貫く! ピーチキャノン! ファイア!」
ブラザーピーチ「この世に愛に勝る力なし」
ブラザーピーチ「どうですか、アレンダ義姉さん。俺もやればできるってことわかってもらえましたか?」
〈狂恋〉のアレンダ「う、うん。やる気十分なのは伝わったけど──」
  シンニュウシャハッケン。スミヤカニクジョシマス
〈狂恋〉のアレンダ「やりすぎだったかなー」
ブラザーピーチ「アレンダ義姉さん!」
ブラザーピーチ「怪我はありませんか!? アレンダ義姉さん!」
〈狂恋〉のアレンダ「う、うん。大丈夫。庇ってくれてありがとう」
ブラザーピーチ「これくらいどうってことないですよ!」
ブラザーピーチ「それにしても何て数だ! 突破するのは骨が折れそうだ!」
戦闘員「お前が派手にやったせいでこうなったんだけどな」
機怪人ロボロボン「ハイジョ。シンニュウシャヲハイジョ」
機怪人ロボロボン「ドブネズミハクジョシネエトナ!」
機怪人ロボロボン「オラオラチョロチョロニゲマワレ! オレタチヲタノシマセロ!」
戦闘員「ちょっ! こいつらこんな物騒な感じでしたっけ!?」
〈狂恋〉のアレンダ「サレンダ姉が改良を加えたんだと思う。ここまでする人じゃなかったのにどうして──」
ブラザーピーチ「こうなったら手段は一つしかない! 強行突破だ!」
戦闘員「だからお前のせいでこうなったんだって」
ブラザーピーチ「セット! ピーチブレード!」
ブラザーピーチ「閃け! 三☆連ピーチスラッシュ!!」
ブラザーピーチ「愛に斬れぬものなし」
ブラザーピーチ「どうですかアレンダ義姉さん。未来の弟の活躍見てくれましたか?」
〈狂恋〉のアレンダ「わ、わかったよ。わかったから先を急ごう?」
戦闘員「お前良いところを見せようと必死だな」
ブラザーピーチ「そうですね。こうしてるあいだもレンカが俺を待っているんだ」
ブラザーピーチ「待ってろレンカ! 今助けに行くからな!」
〈狂恋〉のアレンダ「レンカちゃん彼のどこを好きになったんだろ?」
戦闘員「アホっぽいところが良かったのかもしれませんね。わからないけど」

〇秘密基地の中枢
〈狂恋〉のアレンダ「この先にレンカちゃんがいるはずだよ」
ブラザーピーチ「もう少しの辛抱だ! 待ってろよレンカ!」
戦闘員「おい待て! あそこに誰かいるぞ!」
ブラザーピーチ「民間人!? どうしてこんなところに!?」
〈狂恋〉のアレンダ「ま、待って! 様子が変だよ!」
ギャル「排除せよ。侵入者を排除せよ」
世直し系WhoTuber?「犯罪者を好きなだけ叩いても許されておまけに金も稼げて有名になれるとかマジボロすぎだろろろろ」
ブラザーピーチ「な、何だ!? 急に風が──」
猫怪人ニャンギャル―「マジ超ウケるー。みたいなー?」
撮影怪人バズリタイン「チャンネル登録と高評価よろしくお願いします!」
ブラザーピーチ「なっ! か、怪人に変身した!?」
戦闘員「あいつらこのあいだサレンダ様に連れて来られた人間だ! 怪人に改造されたのか!」
〈狂恋〉のアレンダ「ああなったらもう元の姿には戻れないよ! まさかここまでするなんて!」
猫怪人ニャンギャル―「ウケるー! マジ超ウケるー!」
ブラザーピーチ「くっ! 見た目の割に鋭い攻撃だな!」
撮影怪人バズリタイン「今度コラボしましょうよ! コラボ!」
ブラザーピーチ「くはっ!」
ブラザーピーチ「クソ! さっき力を使い過ぎたせいで体が──!」
戦闘員「カッコイイところを見せようとして張り切るからこうなるんだぞ」
〈狂恋〉のアレンダ「ど、どうしよう! ボクは戦闘型じゃないから戦いの手助けはできないよ!」
ブラザーピーチ「レンカのところまであと少しなのにこんなことになるなんて!」
猫怪人ニャンギャル―「ウケるウケるマジウケる―!」
撮影怪人バズリタイン「目指せチャンネル登録者数百万人越え!」
ブラザーピーチ「ちくしょう! こんな、こんなところで!」
追跡怪人ストー・カー「手を貸して差し上げますよ」
猫怪人ニャンギャル―「にゃわ!?」
撮影怪人バズリタイン「低評価!?」
ブラザーピーチ「う、うわっ! 誰だお前は!?」
追跡怪人ストー・カー「私は〈四恋王〉の一人〈失恋〉のカレン様の忠実なる奴隷ストー・カーと申します。以後お見知りおきを」
〈狂恋〉のアレンダ「ブタくん! 来てくれたんだ!」
追跡怪人ストー・カー「ぶひっ♡ は、はい。皆様を助けるようにとカレン様から指示を受けました」
戦闘員「良いタイミングで登場しやがって! こいつめ!」
追跡怪人ストー・カー「ぶひん♡ 皆様が無事で良かったです」
追跡怪人ストー・カー「ここは私に任せて先へ行ってください。さあ!」
ブラザーピーチ「誰だかよくわからないけど助かった!」
〈狂恋〉のアレンダ「レンカちゃんはこの奥だよ! 行こう!」
戦闘員「死ぬんじゃねえぞ!」
追跡怪人ストー・カー「あなた方もね」
追跡怪人ストー・カー「やれやれ。怪人に改造されてから騒がしい毎日ですね」
追跡怪人ストー・カー「美少女揃いの〈四恋王〉の皆様にいたぶられる毎日最高ですぞ」
猫怪人ニャンギャル―「こいつマジキモイマジぶっ殺す!」
撮影怪人バズリタイン「低評価爆撃止めてもらえませんか!?」
追跡怪人ストー・カー「あなたたちの相手はこの私が引き受けます」
追跡怪人ストー・カー「さあ、かかってきなさい!」

次のエピソード:第11話 巡る策謀

コメント

  • この展開は予想していなかったです😊
    ハリセンがキレッキレには笑いました😆

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