家族戦隊ファミリーレンジャー(連載版)

ひであき

第11話 巡る策謀(脚本)

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ひであき

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〇研究施設の廊下(T字路)
〈狂恋〉のアレンダ「レンカちゃんのところまであと少しだよ!」
戦闘員「あの角を左だ! 間違えるなよ!」
ブラザーピーチ「もうすぐだ! もうすぐ会えるぞ、レンカ!」
ブラザーピーチ「こ、今度は何だ!?」
ブラザーピーチ「なっ!? シャッターが次々と閉じていくぞ!?」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクに任せて! こんなのハッキングしてすぐに──」
〈狂恋〉のアレンダ「アクセスを拒否された!? まさかこのボクが侵入できないなんて!」
ブラザーピーチ「し、シャッターがどんどん閉まっていく!」
戦闘員「このままじゃ閉じ込められちまう!」
〈狂恋〉のアレンダ「大丈夫! ボクが本気を出せばこんなのすぐに──」
〈狂恋〉のアレンダ「そ、そんな! このボクが手も足も出せないなんて!?」
ブラザーピーチ「まずい! 最後のシャッターが!」
戦闘員「うおおおおお!!」
ブラザーピーチ「お、お前! シャッターを受け止めるなんて正気か!?」
戦闘員「ぼさっとしてねえで早く通れ! 長くは持たねえぞ!」
ブラザーピーチ「わ、わかった!」

〇研究施設の廊下(シャッターあり)
ブラザーピーチ「クソ! これじゃあの二人が通れないじゃないか!」
  英雄クン! 聞こえる!?
ブラザーピーチ「アレンダ義姉さん! はい! 聞こえてます!」
  よかった! 無事みたいだね!
ブラザーピーチ「俺は大丈夫です! それよりあいつはどうなったんですか!?」
  俺なら心配要らねえよ! ぺちゃんこになる前に上手く避けたからよ!
ブラザーピーチ「そうか! 無事でよかった!」
  ったく、敵の心配をするヒーローがいるかよ
ブラザーピーチ「珍しい話じゃないだろ。悪の組織の戦闘員がヒーローを助けることもあるんだからな」
  ははっ、言ってくれるぜ
  ボクたちのことは心配しないで! こんなシステムさくっとハックしてすぐに追いつくからさ!
  お前はレンカ様のことだけ考えて突っ走れ! どこまでもよ!
ブラザーピーチ「カッコ付けてんじゃねえぞ、バカ野郎」
ブラザーピーチ「先に行って待ってます! あとで合流しましょう!」
  うん! 気を付けてね! 英雄クン!
  死ぬんじゃねえぞ!
ブラザーピーチ「お前もな!」

〇研究施設の廊下(T字路)
機怪人ロボロボン「シンニュウシャハッケン。クジョシマス」
機怪人ロボロボン「フクロノネズミトハコノコトダナ」
機怪人ロボロボン「オニゴッコハオワリカ? ハチノスニシテヤルゼ」
〈狂恋〉のアレンダ「目に見えて大ピンチだね」
戦闘員「アレンダ様。ここは俺が引き受けます。そのあいだに逃げてください」
〈狂恋〉のアレンダ「自分が何を言ってるかわかってるの?」
戦闘員「こういうときくらいカッコ付けさせてくださいよ」
戦闘員「俺が隙を作ります! 合図をしたら走ってください!」
〈狂恋〉のアレンダ「気持ちは嬉しいけど、可愛い部下を置いて逃げるのはボクの流儀じゃないんだ」
戦闘員「あ、アレンダ様?」
〈狂恋〉のアレンダ「一分。そのあいだにあいつらのシステムにハッキングして無力化するから時間を稼いでくれないかな?」
戦闘員「──死ぬかもしれませんよ?」
〈狂恋〉のアレンダ「死なないよ。ボクもキミもね」
戦闘員「わかりました! アレンダ様を信じます!」
〈狂恋〉のアレンダ「任せて!」
戦闘員「うおおおおお!!」

〇近未来の通路
ブラザーピーチ「またすごいところに出たな。モテナインダーの技術力はどうなってるんだ?」
  あっ、やっと来た
ブラザーピーチ「き、君は!」
〈失恋〉のカレン「ニャンばんは。〈四恋王〉の一人〈失恋〉のカレンだよ」
〈失恋〉のカレン「君とは初めましてだよね? ブラザーピーチくん」
ブラザーピーチ「いえ、実は前にも会ったこと──」
ブラザーピーチ「い、いや、あれは見なかったことにしたんだったな」
ブラザーピーチ「俺に何の用ですか?」
〈失恋〉のカレン「そんなに構えなくても大丈夫だよ。アレンダ姉から話は聞いてるよ」
ブラザーピーチ「ということはカレン義姉さんも──」
〈失恋〉のカレン「うん! 君の手助けをしに来たんだよ」
〈失恋〉のカレン「アレンダ姉は足止めされてるみたいだね」
ブラザーピーチ「はい。戦闘員の奴もです。俺を先に行かせるために体を張ってくれました」
〈失恋〉のカレン「そっか。そこまでしてもらったら何としてもレンカに会わないとだね」
〈失恋〉のカレン「カレンに付いてきて! レンカのところまで案内してあげる!」
ブラザーピーチ「恩に着ます! カレン義姉さん!」
〈失恋〉のカレン「うんうん。これで争奪戦から一人脱落だね」
ブラザーピーチ「何の話ですか?」
〈失恋〉のカレン「こ、こっちの話だから気にしないで!」
〈失恋〉のカレン「レンカが君を待ってる。急がないとね!」
ブラザーピーチ「はい!」

〇研究所の中枢
〈失恋〉のカレン「レンカのところまでもうすぐだよ!」
ブラザーピーチ「レンカ、義姉さんたちの力を借りてここまで来たぞ! 待ってろよ!」
  ところがどっこい!
ブラザーピーチ「なっ──」
〈失恋〉のカレン「だ、誰!?」
寄生怪虫マダネ「お痛はいけませんぜ。カレン様」
〈失恋〉のカレン「君は確かサレンダ姉直属の上位怪人の──」
ブラザーピーチ「何か金玉みたいだな」
寄生怪虫マダネ「誰が金玉だコラァ!」
寄生怪虫マダネ「姉弟揃って俺様をイラつかせるのが得意みたいだな! ええっ!?」
ブラザーピーチ「その口振りだとお前も姉貴にやられたパターンだな」
寄生怪虫マダネ「その通りだ! どうやって復讐してやろうかと思っていたが、弟をボロ雑巾にしたら あの女も強気な態度は取れないはずだ!」
〈失恋〉のカレン「君戦闘型じゃないのにどうやって戦うつもりなの?」
寄生怪虫マダネ「よくぞ聞いてくれました。こうするんですよ!」
ブラザーピーチ「こ、こいつは昔姉貴が倒した──」
寄生怪虫マダネ「暴虐怪人アバレンボだ! 以前のプロトタイプとは訳が違うぜ!」
寄生怪虫マダネ「来い! アバレンボ!」
寄生怪虫マダネ「怪人合体!」
合体怪人ネオマダネ「ぐはははは! ついに俺は究極の力を手に入れたぞ!!」
合体怪人ネオマダネ「さすがは戦闘に特化した怪人の肉体だ! この力があればシスターイエローが相手でも後れは取らないはずだ!」
ブラザーピーチ「が、合体した!? そんなことができる怪人がいたなんて!」
〈失恋〉のカレン「ま、まずいよ! 私戦闘型じゃないから力になってあげられないよ!」
ブラザーピーチ「レンカもそうでしたけど、戦闘型少なくないですか?」
〈失恋〉のカレン「うちの組織は破壊活動は専門外なの! 今まで何を見てきたの?」
ブラザーピーチ「前に街コンを爆破してませんでしたっけ?」
〈失恋〉のカレン「あれは花火だから! 変な勘違いしないでよね!」
ブラザーピーチ「あれ花火だったんだ」
合体怪人ネオマダネ「ここから先は誰も通すなと言われてましてね。カレン様と言えど邪魔をするなら容赦しませんよ」
〈失恋〉のカレン「か、カレン運動は得意じゃないから隅っこで見てるね」
合体怪人ネオマダネ「賢明なご判断です」
合体怪人ネオマダネ「これで舞台は整った! お前の生首を晒してシスターイエローへの復讐とさせてもらうぞ!」
ブラザーピーチ「クソ! レンカのところまであと少しだってのにこんな強敵に出くわすなんて!」
合体怪人ネオマダネ「己の不運を呪うんだな! ブラザーピーチ!」
  プンプンするぜ! 強え奴の臭いがよ!
合体怪人ネオマダネ「なっ! 天井が崩れて!?」
シスターイエロー「悪い奴はブン殴る! シスターイエロー参上!」
ブラザーピーチ「あ、姉貴!? どうしてここが!?」
シスターイエロー「たまたまどこかへ行くのを見掛けてな! あとを付けて来たんだ!」
シスターイエロー「何をするつもりかと思ったらこんな楽しいことをしてたなんてな! 何であたしを呼ばなかったんだよ!」
ブラザーピーチ「それには事情があったんだ! 除け者にしようとしてたわけじゃない!」
シスターイエロー「まあぶっちゃけた話そんなことはどうでもいいんだけどな」
シスターイエロー「それよりあんただ。他の怪人と違って骨がありそうじゃねえか」
合体怪人ネオマダネ「骨がありそうだと? バカめ! 今の俺様はお前より強いぞ!」
合体怪人ネオマダネ「それよりどうやってここまで来た? どの道も封鎖されていたはずだ」
シスターイエロー「まどろっこしいから地上からここ目掛けて蹴り破ってきたんだよ」
合体怪人ネオマダネ「な、何だと!? ここから地上までどれだけの岩盤があると思って──」
シスターイエロー「御託は要らねえ! さっさとかかってきな!」
合体怪人ネオマダネ「ま、待て! 俺様の話を──」
  うぎゃああああ!!
ブラザーピーチ「ここは姉貴に任せても大丈夫そうだな」
〈失恋〉のカレン「き、君のお姉さんすっごく強いね。本当に人間なの?」
ブラザーピーチ「俺も疑ってます」
ブラザーピーチ「それより急ぎましょう! レンカが待ってます!」
〈失恋〉のカレン「そうだね! 行こ!」
合体怪人ネオマダネ「ち、ちょっとストップ! タイムアウト!」
シスターイエロー「寝惚けたこと言ってんじゃねえ! 戦いはどちらかが倒れるまで終わらねえんだよ!」
合体怪人ネオマダネ「戦闘狂にもほどがあるだろ! こうなりゃもうヤケだ!」
シスターイエロー「いいぜ! その調子だ! アガってきたぜ!」
合体怪人ネオマダネ「ぐはっ! ちくしょう! やりやがったな!」
シスターイエロー「喋るより手を動かしな!」
「うおおおおおおお!!!!」

〇魔法陣のある研究室
ブラザーピーチ「レンカ!」
ブラザーピーチ「えっ? 誰もいないぞ?」
〈失恋〉のカレン「どういうこと? レンカはこの部屋にいるはずだってアレンダ姉が言ってたのに!」
ブラザーピーチ「まさか俺を騙したんですか!?」
〈失恋〉のカレン「騙してないってば! レンカを助けたい気持ちは私も同じなんだから!」
ブラザーピーチ「す、すみませんでした」
〈失恋〉のカレン「仕方ないから許してあげる。君の立場から見たらカレンたちを疑いたくなる気持ちはわかるからね」
〈失恋〉のカレン「ここにいないってことは、サレンダ姉に連れて行かれたのか、自力で脱出したかのどっちかだよ」
ブラザーピーチ「強力なバリアが張られてる。レンカが自力で逃げ出したのは考えにくいです」
〈失恋〉のカレン「てことは連れて行かれたってことだね!」
  英雄クン! 聞こえる!?
ブラザーピーチ「この声はアレンダ義姉さん!?」
  基地のシステムの大部分を掌握することができたよ! 君からの声は聞こえないから要件だけ伝えるね!
  レンカは今総帥の間にいるよ! サレンダ姉とモテナインダー様も一緒にいるみたい!
〈失恋〉のカレン「モテナインダー様も!? 一体どういうこと!?」
  詳しいことはわからないけどボクたちの想像が及ばないことが起きてるみたいなんだ!
  カレンもそこにいるよね? 英雄クンを総帥の間まで案内してあげて!
〈失恋〉のカレン「わかった! こっちだよ!」
ブラザーピーチ「はい!」

〇謎の施設の中枢
〈邪恋〉のサレンダ「モテナインダー様。そこをお退きください」
〈独身総帥〉モテナインダー「断る。何故レンカを監禁していた? そんな命令を出した覚えはないぞ」
〈悲恋〉のレンカ「モテナインダー様。サレンダ姉の様子がおかしいんです。まるで別人みたいに──」
〈独身総帥〉モテナインダー「わかっている」
〈独身総帥〉モテナインダー「お前は下がっていなさい。この場は私が何とかする」
〈悲恋〉のレンカ「は、はい」
〈邪恋〉のサレンダ「相変わらずレンカにお甘いようで。嫉妬してしまいますわ」
〈独身総帥〉モテナインダー「質問に答えろ。誰の許しを得てこんな真似をしている?」
〈邪恋〉のサレンダ「これは異なことを。私の行動はすべてあなた様のためなのです」
〈邪恋〉のサレンダ「含むところは一切ございません」
〈独身総帥〉モテナインダー「レンカを監禁していたことも、怪人を勝手に改造して狂暴化させていたことも私のためだと言うのか?」
〈邪恋〉のサレンダ「もちろんでございます。すべてはあなたのため、この星をこの手に収めるために──」
〈邪恋〉のサレンダ「うっ! あ、頭が!」
〈独身総帥〉モテナインダー「さ、サレンダ? 大丈夫か?」
〈邪恋〉のサレンダ「ええい! 忌々しい!」
〈邪恋〉のサレンダ「あなたは私の気も知らないで妹たちにかかずらってばかり! 私がどんな思いでこれまでやってきたかおわかりに──」
〈邪恋〉のサレンダ「い、痛い! 頭が、頭が割れてしまいそうだわ!」
〈独身総帥〉モテナインダー「サレンダ! おいサレンダ!」
〈邪恋〉のサレンダ「ああああああああああああああ!!」
ブラザーピーチ「いた! レンカ!」
〈悲恋〉のレンカ「ひ、ヒーくん!? どうしてここに!?」
〈失恋〉のカレン「カレンがいるのも忘れないでね!」
〈悲恋〉のレンカ「カレン姉!? 何でヒーくんと一緒に!?」
ブラザーピーチ「説明はあとだ! それより一体何が起きてるんだ!?」
〈独身総帥〉モテナインダー「サレンダ! 何があったというんだ!? サレンダ!」
〈邪恋〉のサレンダ「も、モテ、ナインダー、サマ──」
〈邪恋〉のサレンダ「た、助け──」
ジェラシット星人「ふー。ようやく実体化できるほどのエネルギーを溜めることができたな」
ジェラシット星人「お前には感謝しているよ。サレンダ」
〈邪恋〉のサレンダ「うっ、あ、ああ」
〈独身総帥〉モテナインダー「サレンダ!」
〈邪恋〉のサレンダ「うっ、も、モテナインダー、様」
〈独身総帥〉モテナインダー「良かった。生きているようだな」
〈独身総帥〉モテナインダー「貴様一体何者だ!? サレンダに何をした!?」
ジェラシット星人「私か? 私はジェラシット星人」
ジェラシット星人「全宇宙に破滅をもたらす者だ」

次のエピソード:最終話 未来へ

コメント

  • 人生の先輩はここぞという時に頼りになる。

    いい勉強になった。

  • どうなるかと思ったら、まさかの宇宙人の仕業!?これは予想出来ません😄

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