先輩の戦い(脚本)
〇学校の下駄箱
「おはよう」
「おはよう」
「‥‥‥‥」
高科朗久「ど、どうしたんだ二人とも、なんかいつもと違うぞ」
戸田司「‥‥あのさ」
高科朗久「うん」
戸田司「‥‥あの魔神は」
戸田司「小手川先輩だった」
高科朗久「‥‥‥‥ああ」
戸田司「だから」
戸田司「俺は一刻も早くあの魔神を見つけ」
戸田司「彼を救いたいんだ」
高科朗久「おいおい早まるなよ」
高科朗久「あの魔神はかなり強かったんだぞ」
高科朗久「闇雲に近付けば、また同じことになるかもしれないし、危険だ」
喜佐夫「そうだ」
戸田司「まだ話の途中だから入らないでよ」
戸田司「だから、兄貴には」
戸田司「妖に対しての効力を強くして貰おうと」
戸田司「昨夜そう話していたんだよ」
喜佐夫「そういう事だ」
喜佐夫「まあ、出来る限りはやってみるよ」
喜佐夫「‥‥‥‥だけど司」
喜佐夫「これで知っただろ」
喜佐夫「彼の正体を」
戸田司「‥‥ああ」
戸田司「魔神だよ」
喜佐夫「‥‥だから」
喜佐夫「‥‥例え妖の力から救いだしたとしても」
喜佐夫「彼は‥もう元に戻るか解らない」
戸田司「そんなの解らないよ!」
戸田司「‥‥あの時」
戸田司「一瞬だけ目にした先輩は‥‥ずっと苦しんでいるようだった」
戸田司「俺はあの姿がずっと‥‥」
戸田司「頭から離れないんだ」
戸田司「‥‥だから、一刻も早く奴等を倒して」
戸田司「先輩を助けたいんだ!」
高科朗久(な‥‥何という事だ)
高科朗久(あの、司が女の子に見えるじゃないか!)
戸田司「このままでは、先輩は魔神のままに攻撃を繰り返し」
戸田司「この学校が妖に占領されるのだぞ!」
水上飼「司の言う通りだ」
水上飼「夏仲教師の素性がバレた今となっては、」
水上飼「このまま引き下がる筈が無いだろう」
水上飼「妖を今までのようにチマチマと取り憑かせずに」
水上飼「魔神で一気に叩き込むかもしれない」
高科朗久「‥‥くそぅ、夏仲先生め、何を企んでいるんだ」
水上飼「それに、校内にまだ妖に取り憑いた者がいるかもしれない」
高科朗久「それを見つけないといけないな」
高科朗久「あっ、そういえば」
高科朗久「丁度今から朝礼だし、全員集まるんだよな」
高科朗久「妖なら何か仕掛けてくるかもしれないから、様子見しようぜ」
戸田司「‥‥そうだな」
高科朗久「‥‥とにかく、二人とも」
高科朗久「兄妹喧嘩はもう終わりにしよう」
喜佐夫「ありがとう、ろく君」
喜佐夫「心配かけさせて」
高科朗久「いいっすよ喜佐夫先輩!」
高科朗久「二人とも、仲直りして下さいよ!」
戸田司「‥‥わかった」
喜佐夫「‥‥‥‥‥‥」
〇体育館の中
校長「あ~あ 、あ、全生徒の皆さんは、栄えあるこの楠校下に於いて」
校長「若さをバネに!気高き信念をモットーに」
校長「この学校の誇りとなりて」
校長「光輝く、明るい学校生活を送って欲しいと、存じる次第です」
高科朗久「‥‥おい、司」
高科朗久「夏仲先生は学校長の令嬢なんだよな」
高科朗久「あの校長先生は妖に操られているのかな?」
戸田司「見たところいつもと変わらないと思うけど」
戸田司「‥‥それよりこのお話はいつまで続くんだ?」
校長「え~そして、君達の」
高科朗久「あっ、校長先生の背後から怪しい気配が!」
校長「未来を築く、扉はココにあるのだぁ!」
高科朗久「こ、校長先生!」
校長「な、なんだチミは、まだ話は終わって無いぞ」
高科朗久「あ、あの、校長先生の背後ろから」
高科朗久「妖気を感じるのです!」
校長「失礼な、ワシは妖怪か!」
戸田司「否定する気もありませんが」
戸田司「とにかく生徒達を避難させた方がいいですよ」
灰人先生「おい、お前らぁ」
灰人先生「校長先生に向かって何を言い出すんだぁ」
灰人先生「人に対し、愚弄する言葉を使うなど、許さんぞぉ!」
校長「そ、そうだ」
校長「神聖な我らが校長先生のお言葉に」
校長「水を差すなど言語道断、神への冒涜」
高科朗久「そ、そんな気持ちは一ミリも無いよ!」
校長「黙れ、チミたちはワシをバカにしたくせに」
校長「チミたちには」
校長「ぽるしぇーというものを」
校長「持っていないのかぁあ!!」
高科朗久「はぁ‥‥ポ○シェなんて持って無いですけど」
戸田司「多分ポリシーと言いたかったんだろうけどね」
校長「とにかく話はこれで終わりだ。ワシは帰る!」
高科朗久「あぁっ校長先生が妖になってしまった!」
灰人先生「こ、これはどういう事だぁ!?」
灰人先生「あっ!」
高科朗久「あっ、灰人先生まで妖に!」
夏仲教師「手っ取り早くこの学校を乗っ取ろうとしたのに」
夏仲教師「邪魔しおって!」
戸田司「ふざけるな」
戸田司「小手川先輩をあんな姿にして!」
戸田司「先輩を元に戻せ!」
夏仲教師「フフン」
夏仲教師「だったらお前も此方に来れば良いだろう」
戸田司「なんだと!?」
夏仲教師「お前、ずっと想っているのだろう」
夏仲教師「その気持ち、解るぞ」
夏仲教師「そうすれば」
夏仲教師「永久に一緒に居られるのよ」
戸田司「‥‥‥‥」
夏仲教師「とにかくこの学校は我らが手に入れる」
夏仲教師「お前らは全員その中に加わるのだ」
高科朗久「ぬぬぬ、おのれ」
高科朗久「迷走」
高科朗久「妖よ、俺のエンジョイ学生生活を邪魔するな」
高科朗久「この学校は、俺達が守る!」
高科朗久「‥‥て言うか、一人足りなくね?」
戸田司「あっ!」
戸田司「兄貴!兄貴がいつの間にか居ないぞ」
高科朗久「喜佐夫先輩、何処に行ったんだ?」
水上飼「まさか‥‥」
〇理科室
その頃の迷走の世界
喜佐夫「やあ」
喜佐夫「僕は君と話したくて此処に来たんだ」
喜佐夫「今ならこの子を通して話すことができるよ」
魔神「貴様‥‥俺をこんな罠に嵌めて」
魔神「どうするもりだ」
喜佐夫「君の中には小手川がいる」
喜佐夫「僕達は‥‥ずっと彼を探してきたんだ」
喜佐夫「特に‥‥司の方が真剣でね」
喜佐夫「だが、この前君を見て、」
喜佐夫「理解した」
喜佐夫「君の中の小手川は」
喜佐夫「もう元の世界には戻れないと」
魔神「‥‥‥‥くっ、」
魔神「くははははは!!」
魔神「その通り」
魔神「あの男が腕を吹き飛ばされたままに迷走を彷徨っていたところを」
魔神「俺の中に取り込んだのだ」
魔神「‥‥‥だから」
魔神「奴の魂は、俺が存在しないと滅びるのだよ!」
喜佐夫「‥‥そうか」
喜佐夫「だけど司は」
喜佐夫「君を小手川だと思ってこれからも追いかけるだろう」
喜佐夫「‥‥あんなじゃじゃ馬でも」
喜佐夫「僕にとっては大事な妹なんだ」
喜佐夫「出来る限り、司を身の危険に合わせたくないんだよ」
喜佐夫「だから、もう」
喜佐夫「司には君の事を忘れて欲しくてね‥‥」
喜佐夫(擬似体)「!!」
魔神「小癪な!」
喜佐夫(擬似体)「喰らえ、雷電!」
喜佐夫(擬似体)「くっ!」
魔神「クックックッ」
魔神「トドメだ!!」
高科朗久「喜佐夫先輩!」
魔神「ちっ、邪魔が入ったな」
魔神「?」
高科朗久「な‥‥何だこれは?」
魔神「クックックッ」
魔神「だがもう終わりだな」
魔神「二つの世界が一つになろうとしている」
「えっ!?」
〇体育館の中
夏仲教師「フッ」
夏仲教師「あの魔神を葬ろうなどと」
夏仲教師「奴が手助けしたところで無駄な事」
夏仲教師「‥‥それにもう手遅れよ」
夏仲教師「聞け、生徒諸君!」
夏仲教師「これからの楠高校は新しいカリキュラムで能力を開発する!」
夏仲教師「その為には」
夏仲教師「この迷走の扉と現世を一体化させるのよ!」
校長先生「そうじゃ」
校長先生「この楠高校は、ワシと娘の城となるのじゃ」
夏仲教師「‥‥実はお父様」
夏仲教師「私‥‥好きな人が出来たの」
校長先生「なっ!」
校長先生「ナンジャト!?」
夏仲教師「だからお父様にはこれからは」
夏仲教師「あの人の礎となって支えて頂きますわ」
校長先生「ギャァ」
校長「ォウ、娘よ‥‥」
夏仲教師「こんな雑魚、幾ら倒してもしても無駄よ」
水上飼「要するに」
水上飼「お前も奴に操られているとは、お笑い草だな」
夏仲教師「黙れ!!」
「!?」
〇地下室への扉
戸田司「あい!」
〇体育館の中
高科朗久「‥‥司」
戸田司「ごめん、みんな」
戸田司「みんな妖の中に入ってしまった」
戸田司「‥‥あいも」
高科朗久「‥‥うっ、あいちゃん」
喜佐夫「このままじゃみんな妖に襲われてしまう」
喜佐夫「学校の妖を倒していかないといけない」
戸田司「‥‥あの魔神も」
喜佐夫「‥‥司」
戸田司「先輩の事も気にかかるが、今は皆の事が先だ」
戸田司「その為には」
戸田司「あの魔神を滅ぼしてもいい」
高科朗久「‥‥そうか」
水上飼「それじゃ行こう」
高科朗久「おう!」
高科朗久「一刻も早くあいちゃんと、みんなを元に戻すぞ!!」