迷走の魔神(脚本)
〇体育館裏
良子先生「えっ?この学校に居た小手川君について何か無いかって?」
高科朗久「はい、」
高科朗久「実はあの時の事を知りたいので」
高科朗久「二人は先生だから、何か知ってるのではと思ったのですが」
良子先生「うーん解らないなぁ」
夏仲先生「そんな事を聞かれてもねー」
高科朗久「夏仲先生はあのときからこの学校に居たんですよね」
夏仲先生「だからって知ってる訳がないでしょ」
夏仲先生「彼は家庭の事情で転校したって聞いているけど」
夏仲先生「何か事情があったんじゃないの?」
良子先生「ごめんなさいね」
良子先生「何もお役に立てなくて」
夏仲先生「いいのよ良子先生」
夏仲先生「そんな気味が悪い話を聞かれても、誰も知らないわよ」
灰人先生「そうだぞ、こらぁ」
灰人先生「お前ら、あんまり先生を困らせるんじゃないぞ」
灰人先生「授業が始まります、二人は行って下さい」
良子先生「す、すいません先生、」
良子先生「それじゃ、失礼します」
灰人先生「君も早く教室に戻りなさい!」
灰人先生「お前、こんな事ばかりしてるから」
灰人先生「最近成績が悪いじゃないか!」
高科朗久「わ、解りましたよ」
灰人先生「はぁ‥全くあいつらといったら」
灰人先生「何時まであんな噂話に興味を持っているんだか」
夏仲教師「ほんと」
夏仲教師「困りますよね‥‥」
〇学校の廊下
戸田司「ろく」
戸田司「そういう事は今まで何度もやったんだ」
戸田司「だが小手川先輩の事を知る者は誰も居なかった」
高科朗久「う~ん」
高科朗久「事の始まりは」
高科朗久「飼の家に迷走の数珠でもある古の書物を誰かが盗んで」
高科朗久「それを小手川先輩が追いかけたんだよね」
高科朗久「その後、彼は学校で行方不明になったのだろ」
高科朗久「だから‥‥」
高科朗久「古の書物を盗んだ者は」
高科朗久「その当時居た生徒か先生だと思っていたのたけどな」
喜佐夫「ろく君」
喜佐夫「その後この学校で妖が出るようになったんだけど」
喜佐夫「妖に取り憑かれた者は、元に戻れば記憶は無くなって」
喜佐夫「結局何事も無かった事で終わるんだよね」
高科朗久「そうか‥‥」
高科朗久「あっ」
高科朗久「飼、急いでいるようだけど」
高科朗久「一体何処へ行くんだ?」
高科朗久「‥‥えっ」
高科朗久「な、夏仲先生!?」
夏仲教師「‥‥それじゃ、水上君」
夏仲教師「後で待ってるからね」
水上飼「はい、解りました」
高科朗久「ど、どういう事だ」
高科朗久「夏仲先生と云えば、この学校長の令嬢でもあるお方だぞ」
高科朗久「そんな彼女が何で‥‥何で飼と!?」
水上飼「フッ、」
水上飼「俺は夏叶先生に呼ばれ」
水上飼「今から二人きりで会うつもりなのだが」
水上飼「それがどうかしたか?」
高科朗久「ゆ、許さん」
高科朗久「どうしてお前だけそんなシチュエーションがあるんだよ!」
水上飼「だったら‥‥お前達も来るか?」
高科朗久「行くか!絶対!」
水上飼「そうか、じゃあな」
高科朗久「くっ、俺はそんな野暮な事はしない」
高科朗久「飼の奴、あんな美人の先生に惑わされやがって」
戸田司「ろく」
戸田司「お前、さっきから否定しつつも」
戸田司「やたら二人に対して喰いつくな」
高科朗久「そ、そんな事は無いぞ」
高科朗久「俺はあいちゃん一筋なんだから!」
戸田司「くだらない」
戸田司「迷走の数珠を持ったお前は」
戸田司「妖を倒す為にあの姿に変わるが」
戸田司「俺はお前など容易く倒せるぞ」
高科朗久「なんだと?」
高科朗久「やれるものならやってみろ!」
戸田司「そうかそうか」
戸田司「あっ、」
戸田司「あそこにあいが居るじゃないか!」
高科朗久「えっ何処に何処に?」
戸田司「‥‥行ったか‥‥‥」
戸田司「しかし、彼女、水着だったから」
戸田司「今からプールで泳ぐのだろうなぁ」
高科朗久(‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥)
喜佐夫「彼、鼻血出して倒れたよ」
戸田司「二秒だったな」
〇明るい廊下
「‥‥‥‥この体も限界が来てる」
「そろそろ新しい体が欲しいわ」
良子先生「あら、先生」
良子先生「どうしたのです?」
「フフフフ‥‥良いのを見つけた」
良子先生「えっ!?」
良子先生「ど、どちら様です?警察呼びますよ」
?「私も‥‥その顔で息切れしたいのよ」
良子先生「だ‥‥誰か助けて」
?「その姿、貰ったよ!」
「あっ、良子先生」
夏仲教師「良子先生、しっかりして下さい!」
?「おのれ、もう少しだったのに」
水上飼「‥‥お前」
水上飼「あの時、古の書物を盗んだ者だろう」
?「そうだよ」
?「私はこの学校の為にあれを盗んで」
?「この姿になったのさ!」
高科朗久「おのれ」
高科朗久「今度こそ逃がさないぞ!」
高科朗久「迷走」
?「ちっ」
戸田司「あっ、迷走の世界に逃げたぞ!」
喜佐夫「僕達も行こう」
高科朗久「おう!」
〇明るい廊下
高科朗久「喜佐夫先輩」
高科朗久「今日はその姿ですか?」
擬似体「そうだよ」
擬似体「じゃ、探そうか」
高科朗久「あっ」
?「ほんとしつこい奴等だな」
戸田司「だまれ」
戸田司「今度こそ仕留めてやるぞ!」
高科朗久「ま、待て」
高科朗久「その前に、お前の話を聞きたい」
高科朗久「お前‥‥この学校に関係者なんだろ?」
高科朗久「そうなる迄には何があったのか?」
高科朗久「それを教えてくれないか」
?「フッ、」
?「よくぞ聞いてくれたわ」
?「察しの通り、私はこの楠高校のいち教師よ」
?「教員生活の中でずっと」
?「上と下の板挟みの中、思い通りにならない現実にもがいていたさ」
?「それでも家庭を心の支えに頑張ってきたのよ」
?「しかし‥‥‥‥」
?「そんな生活に終わりが来たんだ」
〇飾りの多い玄関
注意※この描写はコメディの要素が含まれています
旦那さん「それじゃ行って来るよ」
「行ってらっしゃい、あなた」
「そのルアー、会社に1ケース持って行くの?」
旦那さん「ああ、そうだよ」
旦那さん「休憩の合間に整理しようと思ってね」
「‥‥あなた」
「そんなもの、今必要じゃ無いでしょ」
旦那さん「必要だとも」
旦那さん「これは俺の舎弟、いや、相棒なんだよ」
「何?」
「私よりその舎弟達の方が大事だって言うの」
旦那さん「フッ、」
旦那さん「大事だよ」
旦那さん「これは」
旦那さん「僕が日々会社から受けている過酷なストレスからの」
旦那さん「現 実 逃 避 なんだ~~~~!!!」
心の拠り所にしていた彼は
今では鱸のストーカー(釣り人)となっていた
溝が出来た、そんな私の心の隙間に‥‥闇が入り込んだのさ
〇明るい廊下
高科朗久「どなたか知らないけど、先生」
高科朗久「妖になった理由がつまらないっすね」
?「黙れ」
?「水上家にあった古の書物は魔力が封じられていると聞いて」
?「何度も失敗しながらも盗みに入った」
?「だが、成功したと思った矢先、小手川に奪われ学校の中で行方知れずになっていたのを」
?「生徒が見つけてくれたお陰で迷走の扉が開く事が出来たんだよ」
?「フフフフ‥‥この姿になった私にもう怖いものなど無い」
?「貴様等など片付けてくれるわ!」
?「うぅ‥‥おのれ」
〇学校の廊下
夏仲教師「そんな‥‥」
夏仲教師「妖怪になった方割先生が」
夏仲教師「この学校の生徒を襲っていたなんて‥‥」
高科朗久「でも‥‥」
高科朗久「これで全て終わったのだろうか?」
水上飼「いや、まだだ」
水上飼「夏仲先生」
水上飼「全てを仕向けたのは貴女ですよね」
高科朗久「えっ?」
夏仲教師「何を言っているの?水上君」
夏仲教師「いくら君でも、怒るわよ」
水上飼「ならば、その証拠に」
水上飼「貴女は俺を呼び出して囲い込もうとしたではありませんか」
夏仲教師「‥‥‥‥フッ、」
夏仲教師「あはははは!」
夏仲教師「水上君‥‥いや、楠だったかしら?」
夏仲教師「素性を隠しているけど、君はこの跡地の末裔よね」
水上飼「そういう貴女こそ」
水上飼「妖ではありませんか」
高科朗久「まじ!?」
夏仲教師「黙れ!」
夏仲教師「我等を何百年もあの中に閉じ込めおって!」
夏仲教師「それにね、」
夏仲教師「私はただ、この学校を規律正しくしたいだけなのよ」
夏仲教師「あの方のお力添えでお前を迎え入れようと思ったけど‥‥ムリみたいね」
夏仲教師「出でよ!」
夏仲教師「今から彼が相手してあげるから」
夏仲教師「私はこれで退出するわ‥‥じゃあね」
喜佐夫「あ~」
喜佐夫「なんか滅茶苦茶強そうなのが現れたよ」
戸田司「真面目にやれよ、ろく!」
戸田司「はっ!」
戸田司「くそっ、ナイフが効かない!」
高科朗久「とうっっ!」
「わあっ」
戸田司「あっ、」
高科朗久「司!」
喜佐夫「ろく君」
喜佐夫「一時的に彼奴の動きを封じるから、司を助けてくれ」
戸田司「離せ!」
高科朗久「司!」
高科朗久「邪悪なる者よ」
高科朗久「迷走の数珠の力により、本来の姿を見せたまえ」
高科朗久「はぁっ!!」
戸田司「!!」
戸田司「小手川先輩!」