約束のフルーツティー

深都 英二

約束のフルーツティー(脚本)

約束のフルーツティー

深都 英二

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約束のフルーツティー
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〇謁見の間
セス姫「結婚の条件を発表する」
セス姫「それは・・・」
セス姫「フルーツティー!」
セス姫「この世で一番おいしいフルーツティーを持ってきた者と結婚しよう」

〇西洋の街並み
村人「聞いたか?姫様の結婚条件!」
村人「フルーツティーだってよ!まじかよ」
村人「俺にもチャンスがあるってことだよなあ!」
村人「バーカ!」
村人「えっ?」
村人「世界一うまいフルーツティーだぞ?無理に決まってんだろ」
村人「くそっ!やっぱりダメか・・・」
村人「今ごろ各国の王子が血眼になってフルーツティーを作ってるだろうよ」
村人「こりゃ見ものだな」

〇西洋の城
アラン王子「最高のフルーツティーを用意できたぞ」
アラン王子「姫は私がもらう」

〇謁見の間
セス姫「アラン王子。久しぶりね」
アラン王子「ああ!麗しき姫!」
アラン王子「美しい姫にふさわしい、最高のフルーツティーをお持ちしました」
セス姫「楽しみだわ」
アラン王子「総額5億円のフルーツティーです」
セス姫「5億円!?」

〇新緑
アラン王子「茶葉は100g/1億円!」

〇果物
アラン王子「さらに、10種類の最高級フルーツを贅沢に使用!」
アラン王子「フルーツだけで総額2500万円だ!」

〇幻想3
アラン王子「そして極めつけは・・・」
アラン王子「ダイヤモンド!」
アラン王子「スパイスとして、ダイヤモンドの粉をふんだんに散りばめました」

〇謁見の間
アラン王子「どうですか、姫!」
アラン王子「これこそ、この世で一番おいしいフルーツティーです!」
セス姫「贅を尽くしたフルーツティーね」
セス姫「潤沢な資金がある王国ならではの強み」
アラン王子「姫には5億のフルーツティーがふさわしい」
アラン王子「では早速、結婚式の準備を・・・」
セス姫「ごめんなさい」
アラン王子「え?」
セス姫「結婚の条件である「この世で一番おいしいフルーツティー」」
セス姫「これではありません」
アラン王子「え!なぜですか!?」
セス姫「おかえりください」
アラン王子「そんな・・・!姫!」

〇西洋の城
ローレン王子「ふっ、バカなやつめ」
ローレン王子「金をかければいいというものではない」
ローレン王子「姫の結婚相手は、この私と決まっている」

〇謁見の間
セス姫「あら、ローレン王子。わざわざ来てくれたの?」
ローレン王子「もちろんですよ、姫!」
ローレン王子「私に会いたくて、わざとあんな条件を出したのですね」
ローレン王子「そんなことをしなくても、私の心はあなたのものですよ」
セス姫「ローレン王子、お噂はかねがね」
セス姫「色んな姫と仲良くされているみたいね」
ローレン王子「えっ!」
セス姫「最近は、ルナ姫にご執心だとか」
ローレン王子「そ、それは・・・!」
ローレン王子「各国と友好関係を築くために仲良くしているまでです」
ローレン王子「私は姫だけを愛していますよ」
セス姫「ふふっ。さすがお上手ね」
ローレン王子「嘘ではありません」
ローレン王子「私の愛の証として、姫のために最高のフルーツティーをお持ちしました」

〇地球
ローレン王子「名だたるシェフを世界中から集めて、フルーツティーを作らせました」

〇コンサート会場
ローレン王子「シェフたちが熟練の技術や知識を駆使して作り上げた極上のフルーツティーです」
ローレン王子「茶葉やフルーツの旨味が最大限に引き出されたフルーツティーは」
ローレン王子「シェフたちが世界一おいしいと太鼓判を押した逸品」
ローレン王子「これこそ、この世で一番おいしいフルーツティーです!」

〇謁見の間
ローレン王子「ご満足いただけましたか?」
セス姫「そうね・・・」
セス姫「シェフたちに礼を言っておいて」
セス姫「最高のフルーツティーをありがとうって」
ローレン王子「姫!」
ローレン王子「ああ、やはり私とあなたは結ばれる運命!」
ローレン王子「では婚約の証に、誓いのキスを・・・」
セス姫「何を言ってるの?」
ローレン王子「えっ?」
ローレン王子「結婚の条件は満たしたはずだが」
セス姫「今のはシェフへの労い」
セス姫「条件は満たしていないわ」
ローレン王子「は・・・?」
セス姫「残念だけど・・・」
セス姫「これは、この世で一番おいしいフルーツティーではありません」
ローレン王子「な!何を言って・・・」
ローレン王子「これ以上のものなど、世界中のどこを探してもありませんよ!」
セス姫「おかえりください」
ローレン王子「あ・・・姫!」

〇西洋の城
イブラ王子「バカなやつらめ」
イブラ王子「あの姫が普通のフルーツティーで満足すると思うか?」
イブラ王子「格の違いってやつを見せてやるよ」

〇謁見の間
イブラ王子「よお、セス姫」
セス姫「お久しぶりです」
イブラ王子「俺に会えなくてさみしかっただろ?」
セス姫「・・・」
イブラ王子「会いにきてやったぜ。最高の手土産を持ってな」
セス姫「相変わらず自信満々ね」
イブラ王子「結婚相手を募集してるって聞いてな」
イブラ王子「この世で一番おいしいフルーツティー、か」
イブラ王子「どうせ結婚の申し出を断るための適当な条件だろ?」
セス姫「何を言ってるの?」
イブラ王子「俺と結婚しろ。俺が幸せにしてやるよ」
セス姫「私の結婚相手は「この世で一番おいしいフルーツティーを持ってきた者」です」
イブラ王子「はいはい」
イブラ王子「持ってきてやったぜ。ご所望のフルーツティーだ」
セス姫「これは・・・!」

〇ポップ
イブラ王子「世にも珍しいマジカルフルーツで作ったフルーツティーだ」
イブラ王子「マジカルフルーツは100年に一度しか咲かない幻の植物と言われている」

〇果物
イブラ王子「さらに驚くべきことに、こいつは味が次々と変わる」
イブラ王子「一口目はりんご、二口目はぶどう、といったように」
イブラ王子「飲む人の好みによって、次々と味が変わる魔法の飲み物だ」
イブラ王子「これこそ、この世で一番おいしいフルーツティーだろ」

〇謁見の間
イブラ王子「どうだ?これで満足だろ?」
イブラ王子「ったく。世話が焼けるぜ」
イブラ王子「素直に俺と結婚したいって言えばいいのに」
セス姫「これではありません」
イブラ王子「は?」
イブラ王子「どういうことだよ?」
セス姫「これは、この世で一番おいしいフルーツティーではありません」
イブラ王子「はあ?そんなわけねえだろ!」
イブラ王子「これは間違いなく、世界一のフルーツティーだ!」
セス姫「おかえりください」
イブラ王子「おい!待てよ!」

〇要塞の廊下
メイド「姫様、また断ったらしいわ」
メイド「そうでしょうね」
メイド「この世で一番おいしいなんて無理難題すぎるもの」
メイド「もしかして最初から全て断るおつもりなのかしら?」
メイド「さあ、どうかしらね」
メイド「姫様・・・大丈夫かしら」
メイド「え?どうして?」
メイド「最近また夜な夜などこかに行ってるみたいだし」
メイド「密会」
メイド「えっ?」
メイド「だったら素敵よね」

〇美しい草原
セス姫「はあ・・・」
セス姫「誰!?」
ノア王子「驚かせてすみません」
ノア王子「夜風はお身体にさわりますよ」
セス姫「一人になりたいの。放っておいて」
ノア王子「この世で一番おいしいフルーツティー」
セス姫「えっ?」
ノア王子「結婚の条件だと伺いました」
ノア王子「好きなんですか?フルーツティー」
セス姫「・・・ええ」
ノア王子「では、こちらのフルーツティーはどうでしょう?」
セス姫「えっ?」
セス姫「これはどんなすごいフルーツティーなの?」
ノア王子「これは私が作った、ただのフルーツティーです」
セス姫「え・・・?」
ノア王子「市場で買ったフルーツと茶葉で作りました」
セス姫「これが、この世で一番おいしいフルーツティーだと言うの?」
ノア王子「はい」
ノア王子「少し、昔話をしてもいいでしょうか」
セス姫「・・・どうぞ」

〇西洋の城
  昔、とある少女と出会いました
  その少女は、時々お城を抜け出して町に遊びにきていました

〇西洋の街並み
  同い年だった少女と私は、よく遊ぶようになりました
  少女と会うのはいつも夜でした
  少女はフルーツティーが好きだったので
  私はいつか彼女に手作りのフルーツティーを飲ませてあげようと思っていました

〇美しい草原
  ある月の綺麗な夜、少女が丘の上で泣いていました
ノア「どうしたの?」
???「もう会えない」
ノア「えっ?」
???「今日で会えるのは最後なの」
ノア「どうして!?」
  理由を訊いても教えてくれませんでした
  私は何とか少女に泣き止んでほしくて
  彼女に渡すために持っていたフルーツティーをあげました
  それを飲むと、少女はやっと笑顔になりました
???「おいしい」
  そしてまた泣きそうになったので、私は少女に言いました
ノア「いつか必ず会いに行くよ」
???「えっ?」
ノア「その時にまたこうやって一緒にフルーツティーを飲もう」
???「・・・うん」
???「約束だよ」
ノア「ああ、約束だ」

〇荒廃した市街地
ノア王子「やがて戦争が始まり、私と彼女は敵国同士になった」
ノア王子「彼女と会うことは二度とありませんでした」
ノア王子「あの時に彼女はわかっていたんです」
ノア王子「敵国の王子である私には、もう会えないと」
セス姫「・・・」

〇美しい草原
ノア王子「しかし、それもようやく終わった」
ノア王子「両国の和解が成立した今、私たちはもう争う必要がない」
ノア王子「心の底から嬉しかった」
ノア王子「ずっとこの日を夢見ていたのだから」
ノア王子「これでやっと姫に会いに行ける」
ノア王子「あなたに、会いに行ける」
セス姫「っ・・・!」
ノア王子「この世で一番おいしいフルーツティー」
ノア王子「私にとってそれは・・・」
ノア王子「あの時あなたと一緒に飲んだ、このフルーツティーなのです」
セス姫「ノア王子・・・」
ノア王子「待たせてごめん」
ノア王子「また一緒にフルーツティーを飲んでくれますか?」
セス姫「・・・」
セス姫「おいしい・・・」
ノア王子「セス姫・・・」
セス姫「ねえ、ノア王子」
ノア王子「何?」
セス姫「待ちくたびれたわ」
ノア王子「っ・・・!」

コメント

  • この作品は、セス姫が結婚条件として「この世で一番おいしいフルーツティーを持ってきた者と結婚する」と宣言し、各国の王子たちがフルーツティーを用意して求婚するというストーリーです。

    感想としては、「約束のフルーツティー」はとても面白い恋愛作品でした!セス姫の結婚条件に挑む王子たちの競争が熱く、どのフルーツティーが一番おいしいのか、どの王子がセス姫と結ばれるのか気になりました。

    また、作品内でのフルーツティーの説明や王子たちの努力も魅力的でした。フルーツティーへの情熱や、セス姫が求める本当のものを突き詰める姿勢に感動しました。

    ストーリーの展開もスリリングで、意外な結末に驚かされました。結婚条件に込められたセス姫の真の目的や、最後の王子とのやり取りは感動的でした。

    全体を通して、恋愛要素がしっかりと描かれており、読んでいてほっこりとした気持ちになりました。作品を通じて、愛とは何か、真の幸せとは何かを考えさせられました。

    「約束のフルーツティー」は、恋愛好きな方にぜひオススメしたい作品です!

  • 姫と王子の約束の物語!!楽しませていただきましたー!!✨💓😍キュンっとしました!!✨😆

    前に現れる王子たちもそれぞれに個性が豊かで、面白かったです✨☺️BGMもマッチしてますね✨☺️

    ノア王子とセス姫がこれからもフルーツティーのように甘酸っぱくて美味しい毎日になると良いなぁと想像して楽しい気持ちになりました✨(*´꒳`*)🍎🍏🫖🍓🍊🍇

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