追う恋は追われる恋に勝る!

びわ子

番外編 「手のひらで 咲く鬼くるみ 望むらく」(脚本)

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〇白い校舎
  高校生──
  それは、一番食欲旺盛な時期
  つまり高校の購買で
  昼飯を買うという行動は
  自ら”紛争地帯”に
  飛び込む様なことである
  『レイクサイドラブ学園』より一部抜粋
  びわ子 著
  ──

〇研究施設の守衛室前
高校生「おばちゃん!アンパンにジュースね!」
売店のおばちゃん「あいよ!250円!」
高校生「このパックジュースと 蒸しパンお願いしまーす!」
売店のおばちゃん「はいはい──、210円だよ!」
「すいませーん」
売店のおばちゃん「横入りダメだよ、順番だよ──!!」

〇階段の踊り場
三鷹 哲也(みたか てつや)「すごい人やないか!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「出遅れたか!」
松尾 翔(まつお しょう )「僕、残ったのにするよ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えっ!?翔?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「早く行かな買われへんで!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いくで!相棒!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「おう!!」

〇研究施設の守衛室前
高校生「どうもで──す!」
高校生「おばちゃん、またねー♪」
売店のおばちゃん「はいまたね! メロンパン売り切れだよー!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「おばちゃーん!コレとコレとコレ!! 頼んま──す!!」
売店のおばちゃん「おっ!迷いがないねー」
売店のおばちゃん「あいよ!440万円!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「アハハハ!! ちょうど440万円払うわ────」
売店のおばちゃん「まいど──!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「おおきにー!!」
売店のおばちゃん「さぁ、残りわずかだよ──!」
古林 一咲(こばやし いっさ)(やばい!すぐ取らなきゃなくなる!)
「コレとコレください」
古林 一咲(こばやし いっさ)「なっ!?それ俺のだろ!!」

〇パチパチ
「はぁ?なんだってぇ──? え、えっ!?」
「一咲ぁ──!? 山田先生──!?」
「・・・・・・ ・・・・・・」

〇パチパチ
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「一咲くーん・・・!ここは年長者の顔を立てて譲るべきじゃないかぁ──!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「いやいや、教師たるとも人に譲る優しさを身をもって教えるために譲るべきですよ!」
「はは・・・は・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ジャンケンだ・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「望むところです」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ここじゃ邪魔だ、ちょっとズレるぞ」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ええ・・・」

〇炎
「いくぞ!! 最初はグー・・・」
「ジャンケ──ン、ポン!」
「あいこでしょ!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「しょ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「しょ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「しょ──!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「よしっ!!もらった──!!」

〇研究施設の守衛室前
古林 一咲(こばやし いっさ)「山田先生、 手を抜いてもらい感謝します!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(くっ!、一咲のやつ──!)
古林 一咲(こばやし いっさ)「おばちゃん──!俺にパン2つよろしく!!」
売店のおばちゃん「あれ?もう売れ切れちゃたわよ」
売店のおばちゃん「残念だねぇ、また宜しくね」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え──!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ク・・・ククク・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「残念だったなぁ、一咲ぁ──」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「まぁ、俺たち昼飯抜き同士で 午後も頑張ろうな──!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「では水道水でも飲みにいくかぁ──」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ハハハハハ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・うそ」

〇階段の踊り場
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・はぁ、お腹すいた」
松尾 翔(まつお しょう )「一咲君?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「翔・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)(翔も無理だったろう、可哀想に──)
松尾 翔(まつお しょう )「買えなかったの?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ああ、邪魔さえ入らなければ買えたんだが」
松尾 翔(まつお しょう )「僕、2つ買えたから1つどう?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「え?マジで!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「ありがとう翔──!助かったよ!!」
松尾 翔(まつお しょう )「そんな・・・大袈裟だなぁ」

〇散らかった職員室
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「・・・ん?誰もいない? 今日は会議だったか?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「まぁ、いい・・・サボるか」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それよりも・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「空腹すぎて倒れそうだ・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生!?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「うわっ!海野先生!?」
海野 桃(うみの もも)先生「もうすぐ会議ですよ?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あっ、はい!そうでしたね」
海野 桃(うみの もも)先生「さぁ、会議を終わらせて ご飯にしましょう!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「は、はい!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(ダメだ・・・、お腹が空いて気分悪い)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(とりあえず眠って 食欲を抑えてみるとするか)

〇役場の会議室
高校の先生「・・・チラッ」
高校の先生「有意義な時間を過ごせました。 本日はどうもお疲れさまでした」
高校の先生(まったく、この男は毎回毎回・・・ 話すのも嫌になる)
高校の先生「海野先生、そこの瞑想中の彼に 説明しといて下さいね!」
海野 桃(うみの もも)先生「は、はい・・・」
海野 桃(うみの もも)先生(くぅ──!なんで私が怒られるのよ・・・)
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生!」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生!!会議終わりましたよ!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「っはい!私も同じ意見です!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「・・・なんだ夢か」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生・・・、会議中に寝るなんて 何考えてるんですか!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「いや、ほんとに・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「マジメに出来ないなら参加しないでください!何を話してたか聞いてました?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「すいません・・・聞いてません」
海野 桃(うみの もも)先生「もう! お昼ごはん食べながら説明しますから!」
海野 桃(うみの もも)先生「早く行きますよ!!」

〇学校の廊下
海野 桃(うみの もも)先生「なんであの場で寝られるんですか!」
海野 桃(うみの もも)先生「私にも、とばっちりがくるし!」
海野 桃(うみの もも)先生「ガミガミガミガミ──!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(しまった・・・ 海野先生に恥をかかせてしまった)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(バカ、俺のバカ──!!)
海野 桃(うみの もも)先生「次は会議サボるのも寝るのも禁止ですよ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「・・・は、はい」
海野 桃(うみの もも)先生(・・・少し怒りすぎたかな)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「す、すいません」
海野 桃(うみの もも)先生「いいえ、お腹が空きましたねー」
海野 桃(うみの もも)先生「天気もいいし、外でお昼にしましょうか!」
海野 桃(うみの もも)先生「あれ?手ぶらみたいですが お昼ごはんは、どうしたんです?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「実は購買のパンが買えませんで・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「え!?それは残念でしたね・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「・・・」
海野 桃(うみの もも)先生(まったく・・・)
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生、もし良かったら 私のお弁当少しいかがですか?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「えぇっ!海野先生のお弁当──!」
海野 桃(うみの もも)先生「よかったらですけど・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「いります!いただきます!」
海野 桃(うみの もも)先生「じゃあ中庭にでも行きましょうか」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「よろしくお願いします!!」

〇学園内のベンチ
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あっちに風が心地良いベンチがありますよ」
海野 桃(うみの もも)先生「じゃあ、そこにしましょうか」

〇中庭
海野 桃(うみの もも)先生「はい、恥ずかしいですが、 どうぞ──」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「いただきます!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「う!美味い!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「こんなに美味しい食べ物は 生まれて初めて食べました──!!」
海野 桃(うみの もも)先生「またまた、おおげさですね──」
海野 桃(うみの もも)先生「お腹空いてるからですよ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「いえそんなことない!パクッ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「作った人が素晴らしいから 料理も素晴らしいんですよ!パクッ!」
海野 桃(うみの もも)先生「はいはい、わかりました」

〇ハート
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(最高だ・・・、パクッ!)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(毎日この弁当が食べられたら・・・、 パク、パクッ!)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(俺は天国へ 旅立ってしまうかもしれない、パクッ!)
海野 桃(うみの もも)先生「あの・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「は、はい・・・」

〇中庭
海野 桃(うみの もも)先生「全部食べてます・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あゝ──!!!!!!!!」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生・・・あなたって人は・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「すいません!!すいません!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「なんでもします!許してください!!」
海野 桃(うみの もも)先生「なんでも?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「はい!なんでもします!!」
海野 桃(うみの もも)先生「わかりました・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「では、こういうのはどうでしょうか?」
海野 桃(うみの もも)先生「明日から毎日、 自分のご飯を炊いて持ってくる」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「へ・・・!?毎日ご飯を?」
海野 桃(うみの もも)先生「そうです。できますか?」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生には、 まず規則正しい生活をしてもらいます」
海野 桃(うみの もも)先生「本来ならオカズも自分で作り 持ってきてもらいたいですが」
海野 桃(うみの もも)先生「初心者には、ハードルが高いでしょうし」
海野 桃(うみの もも)先生「最初は私がオカズを作りますので、 ご飯を炊くことから始めてもらい」
海野 桃(うみの もも)先生「最終的には 自分でお弁当を作ってください」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それは・・・ 私としては逆にありがたいんですが・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「もちろん材料費は支払ってもらいますよ!」
海野 桃(うみの もも)先生「オカズ代は一回300円ですので!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「えぇ────!!」
海野 桃(うみの もも)先生「あれ? 先程なんでもするって言ってましたよね?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「はい!します!喜んで!!」
海野 桃(うみの もも)先生「じゃあ頑張っていきましょう!」
海野 桃(うみの もも)先生「えへへ・・・ 私もお腹なっちゃいましたね」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(か、かわいい・・・)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「う、海野先生!!」
海野 桃(うみの もも)先生「・・・どうしました?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「いや、あの・・・ですね」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ご飯は毎日炊きます!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それとは別に・・・、 今日の件のお詫びに・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あの・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「晩御飯・・・、食べに行きませんか?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「よかったらですけど・・・(小声)」
海野 桃(うみの もも)先生「・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「・・・山田先生」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「はい・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「今日の私は、いっぱい食べますよ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「は、はい!!」
海野 桃(うみの もも)先生「じゃあ、戻りながら どこにいくか決めましょうかー」
「海野 桃『私、美味しくて高い料理が大好きです!』」
「山田 山東火『 お、お手柔らかに──』」
「『ハハハハ──』 『ウフフ──』」
「────── ──────」

次のエピソード:第八話 「傷触れて 落ちた蛇衣 まじまじと」

コメント

  • この学校、いつも青春してんなぁ😆
    大人げない山田先生ですが、海の先生の前ではタジタジですね!
    全部食べてしまうぐらいだから、海野先生のお弁当は相当美味しかったんでしょうね😊
    でも、そこからお食事にお誘い出来たんだから、パン買えなくて結果的には良かったですね!

  • 特別編、笑いから始まり最後はほっこりでした! 海野先生の天使のような母性がまぶし過ぎる…
    私は高校の時は購買でなくお弁当だったので、こういう昼休みの争いに憧れてましたね。何気ない昼休みの一コマを描いた素敵なストーリー、学生の読者にもぜひ届いてほしいです^^

  • 嫌いな人にお弁当作っては来ないですよね。
    年齢が近いせいか、こちらの恋模様の方が気になります。一咲くん、恋ちゃん、すまぬ。

    "いります、いただきます"、の台詞は"要ります"かなと、少し思いました。

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