家族戦隊ファミリーレンジャー(連載版)

ひであき

第9話 許されない恋(脚本)

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ひであき

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〇SHIBUYA109
〈悲恋〉のレンカ「今日こそ覚悟しろ! ブラザーピーチ!」
ブラザーピーチ「待ってくれレンカ! 俺の話を──」
〈悲恋〉のレンカ「問答無用!」
ブラザーピーチ「い、痛い! 思ってたより痛い!」
〈悲恋〉のレンカ「痛いのは私のほうだ!」
〈悲恋〉のレンカ「お前を叩く度に胸が痛くなるんだ!」
ブラザーピーチ「れ、レンカ──」
〈悲恋〉のレンカ「どうして、どうして私たちはこんなことになってしまったんだ?」
〈悲恋〉のレンカ「こんな、こんなことになるくらいなら──」

〇広い公園
  ――×年前
〈悲恋〉のレンカ「はあはあ。ここまで来ればもう大丈夫だろう」
〈悲恋〉のレンカ「家族戦隊ファミリーレンジャーとか言ったか? あいつら無茶苦茶だ」
〈悲恋〉のレンカ「町の被害を考えずに暴れ回るし、巨大ロボで建物は破壊するし、まるでテロリストだ」
〈悲恋〉のレンカ「あれが正義の味方では世も末だな」
戦闘員「レンカ様ー。俺ら定時なんでそろそろ帰りますね」
〈悲恋〉のレンカ「もうそんな時間か。気を付けて帰るんだぞ」
戦闘員「俺らのことより自分のこと心配してくださいよ」
戦闘員「レンカ様可愛いんだからナンパとかされないうちに帰ったほうがいいっすよ」
〈悲恋〉のレンカ「じ、上司をからかうな。まったく」
戦闘員「お疲れしたー」
〈悲恋〉のレンカ「さて、私も帰るか」
ナンパ男「あれれ? こんなところに可愛い子はっけーん」
〈悲恋〉のレンカ「私のことを言ってるのか?」
ナンパ男「他に誰がいんのよ。あっべー。マジウケる」
ナンパ男「こんなところに一人でいるってことは暇してるってことっしょー?」
ナンパ男「近くで見るとマジ可愛いじゃん! これから俺と遊ぼうよー」
〈悲恋〉のレンカ「断る。私は帰る途中なんだ。他をあたれ」
ナンパ男「あっべー。ツンツンしてるところも良さげーみたいなー?」
ナンパ男「俺そういう女を屈服させるの得意みたいなー? くっ殺マジウケるみたいなー?」
〈悲恋〉のレンカ「な、何をする!? 放せ!」
ナンパ男「てかそんなエロい恰好して歩いてるってことはそういうことっしょー?」
ナンパ男「売女のくせに口答えしてんじゃねえぞ!」
〈悲恋〉のレンカ「い、痛──」
ナンパ男「オラさっさと歩けよ! 俺のダチも呼んで楽しませてやるからよ!」
〈悲恋〉のレンカ「い、嫌! 放して!」
ナンパ男「一発じゃ足りねえってのかよ! ああ!?」
広瀬英雄「そこまでにしておけよ」
〈悲恋〉のレンカ「!」
ナンパ男「な、何だてめえは!? 放せよ!」
広瀬英雄「放すわけないだろ。女に手を上げやがって」
ナンパ男「てめえには関係ねえだろ! すっこんでろ!」
広瀬英雄「女を殴る奴を見てすっこんでられるか! このチンピラが!」
ナンパ男「ぐえ!」
広瀬英雄「失せろ! 二度とそのツラ見せんじゃねえぞ!」
ナンパ男「ち、ちくしょう! 覚えてやがれ!」
広瀬英雄「行ったか。とんでもない奴だったな」
〈悲恋〉のレンカ「あ、あの──」
広瀬英雄「目の前で暴力を振るってごめんな。ああでもしないと懲りそうになかったからさ」
〈悲恋〉のレンカ「そ、それは大丈夫だ」
〈悲恋〉のレンカ「その、助けてくれてありがとう」
広瀬英雄「どういたしまして」
広瀬英雄「君のほうこそ大丈夫か? さっき叩かれてただろ?」
〈悲恋〉のレンカ「も、問題ない。少し赤くなっただけだ」
広瀬英雄「念のため病院に──」
広瀬英雄「あれ? 君は確か──」
〈悲恋〉のレンカ「どうかしたのか?」
広瀬英雄「い、いや、何でもない」
広瀬英雄「家の人が心配してるかもしれない。早く帰ったほうがいいよ。それじゃ!」
〈悲恋〉のレンカ「あ、あの! お名前は!」
〈悲恋〉のレンカ「行ってしまったか」
〈悲恋〉のレンカ「あれ? あの人何かを落としていったみたいだな」
〈悲恋〉のレンカ「──広瀬英雄」
〈悲恋〉のレンカ「そうか。あの人は広瀬英雄と言うんだな」
〈悲恋〉のレンカ「──また会えるといいな」

〇公園通り
  ――数日後
戦闘員「ふぃー。今日もカップルがイチャつくのを邪魔してやったぜ」
戦闘員「あいつらかごめかごめで囲ってやったらびびってたっすね!」
戦闘員「これに懲りて町中でイチャつくことはもうないだろうな」
戦闘員「明日はどうやって邪魔するか楽しみっすよ!」
戦闘員「あっ、俺らもう帰るっすけどレンカ様はどうします?」
〈悲恋〉のレンカ「私はもう少し町を見て回る。気にせず帰っていいぞ」
戦闘員「わかりました。気を付けて帰ってくださいね」
戦闘員「お疲れしたー」
〈悲恋〉のレンカ「行ったか」
〈悲恋〉のレンカ「確か名刺に書いてあった事務所の住所はこの辺りだったな」
〈悲恋〉のレンカ「ちょっと待て。これではまるでストーカーではないか」
〈悲恋〉のレンカ「いやいやいや、落とし物を届けるために行くだけであって他意はない」
〈悲恋〉のレンカ「だから大丈夫。うん。大丈夫だ」

〇オフィスビル前の道
〈悲恋〉のレンカ「あそこだな」
広瀬英雄「お疲れ様でしたー」
〈悲恋〉のレンカ「わっ! 出てきた! まさか本当にいるとは!」
広瀬英雄「ん? 今誰かいたような」
広瀬英雄「気のせいか」
〈悲恋〉のレンカ「よし、バレなかったようだな」
〈悲恋〉のレンカ「待て待て。これでは本当にストーカーみたいではないか」
〈悲恋〉のレンカ「私は落とし物を届けに来ただけなんだ。コソコソする必要はどこにもない」
〈悲恋〉のレンカ「堂々としていいんだ。よし!」
〈悲恋〉のレンカ「きゃ! び、びっくりしたー!」
〈悲恋〉のレンカ「今の音は一体?」
広瀬英雄「今の音は!? さてはまたロンリネスの奴らだな!」
〈悲恋〉のレンカ「ああ! 行ってしまった!」
〈悲恋〉のレンカ「とはいえ、ここに来れば会えるのがわかったし、今日はそれで良しとするか」
〈悲恋〉のレンカ「わわっ! 今度は何!?」
〈悲恋〉のレンカ「って、何だスマホの音か。びっくりしたじゃないか、まったく」
〈悲恋〉のレンカ「もしもし?」
  あっ、レンカちゃん? 今大丈夫かな?
〈悲恋〉のレンカ「アレンダ姉か。何かあったのか?」
  うん! 実は調整中だった怪人が基地から逃げ出しちゃったんだ!
  それで行き先を調べてたらレンカちゃんが近くにいたから連れ戻すのをお願いしようと思って!
〈悲恋〉のレンカ「事情はわかった。あとは私が何とかする」
  ありがとう! レンカちゃん頼りになるぅ―♪
  あとから戦闘員くんたちも派遣させるからよろしくね!
〈悲恋〉のレンカ「ああ。任された」
〈悲恋〉のレンカ「調整中の怪人か。基地から逃げ出したとなると狂暴な個体に違いない」
〈悲恋〉のレンカ「町に被害が出る前に何とかしなければ!」

〇センター街

〇荒廃した街
「ひぃ! 誰か助けてくれー!」
「死にたくない! こんなところで死にたくない!」
〈悲恋〉のレンカ「何てことだ! 火の手がこんなに回っているなんて!」
〈悲恋〉のレンカ「うちの組織は破壊活動は専門外だ! 調整中の怪人は一体どんな化け物なんだ!?」
女の子「うわーん! ママー! どこにいるの? ママ―!」
ナンパ男「退けクソガキ! ぼさっとしてんじゃねえぞ!」
女の子「きゃあ!」
〈悲恋〉のレンカ「あの男なんて酷いことを!」
〈悲恋〉のレンカ「まずい! 建物が崩れて! このままではあの子が──」
ブラザーピーチ「うおおおおお!!」
ブラザーピーチ「間一髪だったな! 大丈夫か?」
女の子「う、うん。ありがとう、お兄ちゃん」
ブラザーピーチ「よかった。ママとははぐれちゃったのか?」
女の子「うん。ママどこにもいなくて、それで私──」
〈悲恋〉のレンカ「二人とも大丈夫か!?」
ブラザーピーチ「き、君はロンリネスの──」
〈悲恋〉のレンカ「怪我はしていないか? 痛いところは?」
女の子「私は大丈夫だよ。お兄ちゃんが助けてくれたから」
〈悲恋〉のレンカ「そうか。それは良かった」
〈悲恋〉のレンカ「ブラザーピーチ! ここは休戦といこう!」
〈悲恋〉のレンカ「私はこの子の母親を探すから怪人を何とかしろ!」
ブラザーピーチ「何とかって、君たちのところの奴じゃないのか?」
〈悲恋〉のレンカ「説明はあとだ!」
ブラザーピーチ「わ、わかった。その子のことは任せたぞ!」
〈悲恋〉のレンカ「この場はあのお兄さんが何とかしてくれる」
〈悲恋〉のレンカ「私があなたのママを探してあげる。一緒においで」
女の子「わかった。ありがとう、お姉ちゃん!」

〇荒廃した街
女の子「ママ! ママー!」
女の子のママ「ああ! 良かった! 本当に無事で良かったわ!」
女の子「あのね! このお姉ちゃんがママを探すの手伝ってくれたんだよ!」
女の子のママ「そうだったの。何てお礼を申し上げていいか」
〈悲恋〉のレンカ「気にするな。この子もあなたも無事で良かった」
〈悲恋〉のレンカ「それよりここは危険だ。早く離れたほうがいい」
女の子のママ「はい。本当にありがとうございました」
女の子「お姉ちゃんありがとう! ばいばい!」
〈悲恋〉のレンカ「他に逃げ遅れた人はいないようだな」
〈悲恋〉のレンカ「あとは戦況がどうなっているかだな」
〈悲恋〉のレンカ「!」
ブラザーピーチ「ちっ! デカい図体して素早いな!」
ブラザーピーチ「おっと!」
ブラザーピーチ「くっ! 一度でも噛みつかれたら一巻の終わりだな!」
〈悲恋〉のレンカ「何だあの化け物は!? あんなのを作ってたなんて聞いてないぞ!?」
ブラザーピーチ「ブラザーヒッププレス!」
ブラザーピーチ「あまり効いてないか! 俺一人じゃ足止めが精一杯だ!」
ブラザーピーチ「くはっ!」
ブラザーピーチ「な、何て強さだ! ロンリネスにこんな化け物がいたなんて!」
ブラザーピーチ「クソ! このままじゃ持たないぞ! 他のみんなはまだなのか!?」
〈悲恋〉のレンカ「まずい! このままではブラザーピーチが!」
〈悲恋〉のレンカ「うちの不始末で死なれたら寝覚めが悪いぞ!」
〈悲恋〉のレンカ「だが私ではあんな化け物を相手には! 一体どうすれば!」
戦闘員「行くぞみんな! ブラザーピーチを助けるんだ!」
〈悲恋〉のレンカ「あ、あれは!?」
戦闘員「うへぇ! 何だあの化け物! うちにあんなのいたか!?」
戦闘員「言ってる場合じゃないぞ! 早くしないとブラザーピーチがやられちまう!」
戦闘員「俺たち流血沙汰は望んでないからな! これ以上被害が広がる前に何とかするぞ!」
〈悲恋〉のレンカ「良かった! 増援が間に合ったみたいだな!」
ブラザーピーチ「あ、あいつら何で俺を?」
〈悲恋〉のレンカ「ブラザーピーチ!」
ブラザーピーチ「君か! 女の子はどうなったんだ!?」
〈悲恋〉のレンカ「母親に引き渡した! 避難はもう完了している!」
ブラザーピーチ「そうか。それは良かった」
ブラザーピーチ「それはそうと何で俺を助けて──」
〈悲恋〉のレンカ「そんなことはどうでもいい! それより怪我をしているではないか!」
ブラザーピーチ「こんなの掠り傷だ。どうってこと──」
ブラザーピーチ「うっ」
〈悲恋〉のレンカ「ブラザーピーチ!? しっかりしろ!」
〈悲恋〉のレンカ「ダメだ。気を失っている。こんなところに置いていったら──」
〈悲恋〉のレンカ「戦いに巻き込まれてしまう!」
戦闘員「レンカ様! ここは俺らに任せて避難してください!」
戦闘員「俺らは平気っす! 帰ったら結婚する約束してる幼馴染とかいないんで!」
戦闘員「新入りにきっちり焼き入れて先輩の威厳を見せ付けてやりますよ!」
〈悲恋〉のレンカ「お前たち! すまない! ここは任せたぞ!」

〇廃ビルのフロア
〈悲恋〉のレンカ「よし、ここなら巻き込まれる心配はないだろう」
ブラザーピーチ「ううっ」
〈悲恋〉のレンカ「酷い怪我だ。このままでは出血死もあり得るぞ」
〈悲恋〉のレンカ「手当てするにはタイツが邪魔だな。しかし勝手に脱がせていいものか」
〈悲恋〉のレンカ「ええい! 命には代えられない!」
〈悲恋〉のレンカ「ぬ、脱がすぞ! あとで文句を言うなよ! 敵の前で気を失っているお前が悪いんだからな!」
広瀬英雄「ううっ」
〈悲恋〉のレンカ「えっ!? ウソ!? 何で!?」
〈悲恋〉のレンカ「そ、そんな! あなたが、あなたがブラザーピーチだったなんて!」
〈悲恋〉のレンカ「私は、敵に恋をしていたというの?」
〈悲恋〉のレンカ「こ、恋!? ち、違う! 私は、私はそんなつもりじゃ──」
広瀬英雄「うぐっ、こ、ここは一体?」
〈悲恋〉のレンカ「ブラザーピーチ! 起きたか!」
〈悲恋〉のレンカ「そのままじっとしていろ! 今手当てをするから!」
広瀬英雄「そうか、君が俺を助けてくれたんだな」
〈悲恋〉のレンカ「喋るな! お前は大怪我を負っているんだ! おとなしくしていろ!」
広瀬英雄「ははっ、君は優しいんだな」
〈悲恋〉のレンカ「や、優し!? バカ! おだてても何も出ないぞ!」
広瀬英雄「本当、何で君がロンリネスの幹部をやってるのか、疑問でならないよ」
広瀬英雄「うぐっ」
〈悲恋〉のレンカ「もういい! 喋るな! 私が看ていてやるから安心しろ」
広瀬英雄「ああ、今回ばかりは、そうさせてもらうよ」
広瀬英雄「すーすー」
〈悲恋〉のレンカ「眠ったか。まったく世話が焼ける」
〈悲恋〉のレンカ「手当ては、こんなところでいいだろう」
広瀬英雄「すーすー」
〈悲恋〉のレンカ「休戦中とはいえ、敵の前で眠りこけるなんてどうかしてるぞ」
〈悲恋〉のレンカ「──こうして見ると、意外と柔らかそうな唇をしているんだな」
〈悲恋〉のレンカ「はっ! わ、私は一体何を!?」
〈悲恋〉のレンカ「そ、そうだ! 向こうはどうなったんだ? 部下たちは無事だろうか?」
  ふぅー。久しぶりに血沸き肉躍る戦いだったぜ!
  さすがイエローちゃん! あの化け物を倒すなんてさすがだぜ!
  いや倒したらマズくね? 連れ戻すように言われてなかったか?
  あっ
〈悲恋〉のレンカ「どうやら何とかなったようだな」
〈悲恋〉のレンカ「休戦はこれまでだ。いつまでも敵と一緒にいるわけにはいかない」
〈悲恋〉のレンカ「よ、よし、周りには誰もいないな」
広瀬英雄「すーすー」
〈悲恋〉のレンカ「──今日もカッコ良かったよ」

〇SHIBUYA109
〈悲恋〉のレンカ「あの日から私はあなたの正体を知りながら敵として対峙し続けた」
〈悲恋〉のレンカ「この気持ちには蓋をしないといけないんだって自分を言い聞かせた」
〈悲恋〉のレンカ「戦いの中で必死にあなたを忘れようとした」
〈悲恋〉のレンカ「なのに、あなたは私を好きだって言ってくれた」
ブラザーピーチ「れ、レンカ」
〈悲恋〉のレンカ「嬉しかった。でも同時に悲しくもあった」
〈悲恋〉のレンカ「だってこれは許されない恋だから」
〈悲恋〉のレンカ「この先待っているのはきっと、残酷な結末だけだよ」
ブラザーピーチ「そんなことない! 俺たちならきっと──」
〈悲恋〉のレンカ「これ以上私に期待させないで!」
ブラザーピーチ「!」
〈悲恋〉のレンカ「あなたの気持ちは嬉しい。すごく嬉しいよ」
〈悲恋〉のレンカ「だけどやっぱりダメ。あなたの気持ちには応えられない」
〈悲恋〉のレンカ「あなたを倒して、この気持ちに終止符を打つ」
〈悲恋〉のレンカ「だからあなたも私を倒すつもりでかかってきて」
ブラザーピーチ「──それが君の答えなんだな」
〈悲恋〉のレンカ「そうだ! 死ぬ気で抵抗してみせろ! さあ!」
ブラザーピーチ「抵抗なんかするわけないだろ」
ブラザーピーチ「君の手にかかるなら本望だ」
〈悲恋〉のレンカ「な、何を! 放して!」
ブラザーピーチ「放さない。やっと君に触れることができたんだ」
ブラザーピーチ「この手は二度と放さない」
〈悲恋〉のレンカ「わ、私の話を聞いてなかったの? 私たちの恋は──」
ブラザーピーチ「許されないだって? それが何だって言うんだ」
ブラザーピーチ「許してくれなんて頼んだ覚えはない」
ブラザーピーチ「前にも言った。これからも何度だって言う」
ブラザーピーチ「──君が好きだ。君を愛してる」
〈悲恋〉のレンカ「ひ、ヒーくん」
ブラザーピーチ「君が恐れるものはすべて俺が打ち砕く」
〈悲恋〉のレンカ「で、でも──」
ブラザーピーチ「心配いらない。全部俺に任せておけ」
ブラザーピーチ「だから今は、しばらくこうさせてくれ」
〈悲恋〉のレンカ「──うん」
〈邪恋〉のサレンダ「何て素敵な恋なの。憧れちゃうわ」
〈悲恋〉のレンカ「きゃあ!」
ブラザーピーチ「れ、レンカ!」
〈邪恋〉のサレンダ「この子は私の可愛い妹なの。あっさりとくれてやるわけにはいかないわ」
〈悲恋〉のレンカ「うっ!」
ブラザーピーチ「お前! 妹に手を上げるなんて!」
〈邪恋〉のサレンダ「聞き分けのない悪い妹にはお仕置きが必要でしょ?」
ブラザーピーチ「ふざけるな! レンカを放せ!」
〈邪恋〉のサレンダ「ふふっ。返して欲しければ私たちのアジトまで来ることね」
〈邪恋〉のサレンダ「もちろん、あなた一人でね。言う通りにしないとこの子がどうなるか、わかるわよね?」
ブラザーピーチ「くっ!」
〈邪恋〉のサレンダ「前に私が何を言ったか忘れたの?」
〈邪恋〉のサレンダ「絶望の舞台を用意する。そう言ったわよね?」
ブラザーピーチ「だからって妹を巻き添えにするのか!?」
〈邪恋〉のサレンダ「お喋りはここまでよ」
〈邪恋〉のサレンダ「あなたの顔が絶望で歪むのが楽しみだわ」
〈邪恋〉のサレンダ「ふふっ! あはははは!!」
ブラザーピーチ「クソ! 逃がしたか!」
ブラザーピーチ「──待ってろよ、レンカ! 俺が必ず助け出してやるからな!」

〇塔のある都市外観
  ──ついに動き出した〈邪恋〉のサレンダ
  ──彼女の秘めた思惑は、一体何なのか
  ──英雄とレンカの恋の行方は果たして!?

次のエピソード:第10話 邪悪の発露

コメント

  • いいお話でした😊
    やっぱり優しい悪の組織ですね😊
    ピーチが父親に会った時の反応も気になるとこです😀

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