ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.15 / THE RELENTLESS ENFORCER#2(脚本)

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〇綺麗な一戸建て

〇男の子の一人部屋
  俺は昔のヒーロー映画、「奇傑ゾロ」のポスターをじっと見つめていた。
御子柴歩「・・・・・・」
御子柴歩「しゅーちゃん・・・」
  コンコン
御子柴歩「あ・・・どうぞ!」
  入ってきたのは、父さんだった。
  父さんは険しい表情を浮かべていた。
御子柴歩「父さん! しゅーちゃんは!?」
御子柴勇馬「ああ。さっき署から連絡があった。 紫雲くんを保護したそうだ」
御子柴勇馬「怪我もない。何かしら、ショックを受けている様子だったらしいが・・・」
  父さんは俺を気遣って、微笑んだ。
御子柴勇馬「ひとまず、彼は無事だよ」
御子柴歩「・・・よかった」
御子柴勇馬「今、署で事情を聞いているそうだ」
御子柴勇馬「私もこれから行くが・・・歩、来るか?」
御子柴歩「え・・・いいの?」
御子柴勇馬「友達だろう。安心させてあげなさい」
御子柴歩「はいっ」

〇警察署の入口

〇警察署のロビー
  俺と父さんが警察署に入ると、しゅーちゃんのお父さん、久常誠(くじょう・まこと)さんと朱丹ちゃんがいた。
御子柴歩「朱丹ちゃんに・・・おじさん」
久常誠「御子柴さん、すみません。うちのが」
御子柴勇馬「久常さん、こういう時のための警察ですよ。 紫雲君の無事を喜びましょう」
久常誠「そう、ですね・・・それで、紫雲は」
御子柴勇馬「事情聴取、そろそろ終わるはずです」
  朱丹ちゃんは泣きそうだった。
久常朱丹「歩くん・・・お兄ちゃん、だいじょうぶ・・・なの?」
久常朱丹「ひどいこと、ならない?」
  俺とまったく同じ不安を口にした。
御子柴歩「朱丹ちゃん・・・」
  俺は答えに窮した。
  でも気づいたら、こう答えていた。
御子柴歩「・・・うん。大丈夫、だよ」
久常朱丹「お兄ちゃん、帰ってくる?」
久常朱丹「お母さんみたいに、いなくなったりしない?」
御子柴歩「・・・いなくならないよ。大丈夫」
  根拠はない。
  きっとしゅーちゃんなら、こんな感じの強がりを言うと思っただけだ。
  俺はおそるおそる朱丹ちゃんの頭を撫でた。
  朱丹ちゃんは少し表情を和らげた。
久常朱丹「歩くん・・・ありがとう」
御子柴歩「・・・うん」
  そこに父さんの後輩の刑事、神保五郎さんが駆けこんできた。
神保五郎「勇馬さん! ちょっと」
御子柴勇馬「五郎。事情聞けたか? 様子は?」
神保五郎「それが・・・妙なんですよね」
  五郎さんが父さんに耳打ちする。
  父さんの表情が、険しくなった。
御子柴勇馬「わかった。私も行こう」
御子柴勇馬「・・・歩も来なさい。 お前からも話が聞きたい」
御子柴歩「・・・えっ?」
久常誠「紫雲になにか、あったんですか?」
御子柴勇馬「念のためです。すみません。 もう暫くここでお待ちを」
御子柴勇馬「・・・歩、行くぞ」
御子柴歩「あっ。はい!」

〇大会議室
  応接室に入ると、しゅーちゃんがいた。
  しゅーちゃんの正面には、婦警さんと年配の刑事さんが座っている。
  しゅーちゃんはどこか目の焦点が定まっていない、呆けた表情をしていた。
久常紫雲「歩。と、おじさん」
御子柴歩「しゅーちゃん・・・」
  父さんは一瞬怪訝な表情を浮かべたが、すぐに柔和な笑顔をつくった。
御子柴勇馬「やあ。紫雲くん。長々とごめんね。 もう1回、お話聞かせてくれるかな」
久常紫雲「あ・・・はい」
婦警「紫雲くん、今日の夕方は歩くんたちと公園で遊んでいたんだよね?」
久常紫雲「うん・・・あと美結と、ちーちゃんと」
久常紫雲「それで、ちーちゃんが帰るっていうから、バイバイって・・・」
御子柴勇馬「その子を見送って、それから?」
久常紫雲「・・・ばいばい、してから・・・ここに、いた」
婦警「ここに来る前。ばいばいした後は?」
久常紫雲「・・・わかんない」
御子柴勇馬「・・・・・・」
吉田毅士「彼、ずっとこの調子でな。 ここに来る間のことも、覚えていないようだ」
御子柴勇馬「怪我はないんですよね? 薬物は?」
吉田毅士「検査結果はシロだ」
御子柴勇馬「記憶の失い方が不自然ですね」
御子柴勇馬「・・・まさか、マイクロマシン!?」
吉田毅士「脳に入り込んで、記憶をいじるやつか。 実用化されたって話は聞いたな」
神保五郎「!」
神保五郎「そんなことができるのって」
御子柴勇馬「ああ。使いこなす技術を持っているのは、この街じゃ連中だけだ」
吉田毅士「そこらで止めておけ。ろくな事にならんぞ」
吉田毅士「それが事実でも、おそらく体内で分解されるタイプだ。証拠は出ない」
御子柴勇馬「はい。分解されて、明日には彼も回復するでしょう」
御子柴歩「・・・父さん・・・」
御子柴勇馬「すみません。少し外します。 歩、来なさい」
久常紫雲「おう、歩。またな~~」

〇大会議室
御子柴歩「父さん・・・」
御子柴勇馬「・・・歩。心して聞いてくれ」
御子柴勇馬「どうやら紫雲くんの身に、私が思っていたよりも大変なことが起こっていたようだ」

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