前編(脚本)
〇駅前広場
リコ「今日のデートで確信したわ」
リコ「・・・」
リコ「あなたとは、幸せになれないって」
リコ「・・・さよなら」
〇黒
「・・・んでだよ?」
「なんでなんだよ!」
〇学生の一人部屋
ヒロト「ううう・・・」
半年間ツキ合った彼女にフラれた
〇駅前広場
リコ「・・・山田さん、好きな人いるんですか?」
最初に近づいてきたのは、
彼女のほうだった
〇居酒屋の座敷席
ヒロト「・・・でさ、どうにかなったらしいよ」
リコ「あはは、そうなんだ〜」
うまくいってると思ってた
〇黒
今日までは──
〇学生の一人部屋
ヒロト「リコ・・・」
ヒロト「オレのなにがダメなんだよぉ・・・」
ヒロト「気にさわることあったなら 謝るからさぁ・・・」
今ではすっかり、
こっちのほうがホレていた
ヒロト「え」
ヒロト「リ、リコ!? リコから・・・返信・・・?」
『都市伝説!?過去の自分に電話できる?』
ヒロト「なんだよ! ニュースアプリの通知かよ!」
ヒロト「過去の自分に電話だなんて・・・ そんなの・・・」
ヒロト「過去の、自分に──」
〇黒
フラれてこんなツラい思いをするなら
いっそ最初からツキ合わなければ──
〇学生の一人部屋
ヒロト「『・・・スマホの設定画面の 自分の番号を10回タップすると」
ヒロト「過去の自分に電話が繋がる・・・」
ヒロト「とのことだが、早速試してみたところ なにも起こらなかった』・・・?」
ヒロト「ガセじゃねぇかよ!!」
ヒロト「いいかげんにしろよ! そんなネタ配信すんなよ!」
ヒロト「・・・」
ヒロト「『だが、機種やタイミングによる というさらなる噂もある・・・」
ヒロト「信じるか信じないかはあなた次第・・・』」
ヒロト「やれやれ、結局こういうオチか・・・」
〇黒
でも──
〇学生の一人部屋
ヒロト「・・・」
ヒロト「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10!!」
ヒロト「・・・なにやってんだ、オレ」
ヒロト「バカバカしい、そんなことあるわけ──」
ヒロト「え」
ヒロト「・・・過去から電話があるのか?」
ヒロト「そっちのパターンなのか?」
ヒロト「着信画面の名前は・・・」
ヒロト「リコ・・・」
ヒロト「リコ?」
ヒロト「はあああああ!?リコ!?」
ヒロト「も、もしもし!?」
「・・・もしもし、ヒロくん?」
ヒロト「・・・リコ?」
「・・・さっきはごめんなさい」
「あのあといろいろ考えてたら、 やっぱり私にはヒロくんしかいないなって」
ヒロト「え」
「別れるの、やっぱやめる」
「・・・いいかな?」
ヒロト「・・・あのね」
ヒロト「そんな勝手なこと」
ヒロト「いいに決まってんじゃ〜ん!!」
ヒロト「よ、よかっ、うぐっ、よか・・・」
「え?泣いてる?」
ヒロト「な、泣いてない!!」
「絶対泣いてるじゃ〜ん!」
〇居酒屋の座敷席
ヒロト「・・・なんだってさ」
リコ「そうなんだ〜 ウケる〜」
その後、オレたちは
何事もなかったかのようにヨリを戻した
リコ「あ〜、やっぱりヒロくんと 一緒にいると楽しい」
ヒロト「・・・リコ」
リコは、なんだか前よりも
オレに対して優しくなった気がする
そんなリコのことを、
オレも前よりずっと愛おしく思えた
〇黒
そして──
〇白
二年後、オレたちは結婚した
〇黒
ここまでなら、ありふれたラブストーリー
なのだが──
つ づ く
後編を読んでから前編を読み直してみたらヒロトの「なんだか前より優しくなった気がする」というセリフも恐ろしい。お化けよりも怖いのは女性の強欲さですね。いつもながら全体を通して起承転結の流れと過不足のないエピソードの配分が絶妙でした。
とんでもなく気になるヒキなのですが……しかも、タイトルのサービス提供ってもう……
とにかく続きが気になって仕方ないです!