第1話 再会(脚本)
〇開けた交差点
河村凪「懐かしい・・・・・・」
河村凪「この町も久々だなぁ・・・・・・」
河村凪「あいつら、元気にしてるかな」
〇田舎の学校
河村凪「えいっ!」
河村凪「やったー!ゴール!」
原田颯太「っ・・・・・・!またやられた!」
久保田海「いつか、勝ってやるからな!」
原田颯太「ああ、それでみんなでサッカーチームに入って、ゆうしょうするんだ!」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
原田颯太「ん?どうした?」
河村凪「ごめん・・・・・・」
河村凪「わたし、もうすぐてん校しちゃうの」
原田颯太「えっ・・・・・・?」
河村凪「お父さんのおしごとで、とおくに行っちゃうの」
河村凪「いつかもどってこられても、わたしは女の子だから・・・・・・」
河村凪「もう勝てなくなっちゃってる・・・・・・」
河村凪「いっしょのチームでもできない」
原田颯太「つまんないこというなよ!」
原田颯太「オレたちはいつだってなかまでライバルだ!」
原田颯太「おまえがどこにいても、オレたちはサッカーをつづける!」
原田颯太「おまえもつづけろよ!」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
河村凪(わたしよりずっと強くなっても、わたしのことをうけいれてくれるのかな)
河村凪(・・・・・・いまは・・・・・・)
河村凪「わたしもがんばるね!」
原田颯太「ああ!」
原田颯太「それで、またいつかあおうな!」
河村凪「うん!ぜったいだよ?」
〇教室
先生「それじゃ河村さん、みんなに挨拶を」
河村凪「埼玉県の光橋高校から来ました、河村凪です」
河村凪「趣味はサッカーです、自分でするのも観戦も好きです」
河村凪「よろしくお願いします」
先生「それじゃ、河村さんは右側一番後ろの空いてる席にすわってくれ」
河村凪「はい」
河村凪「よろし──」
河村凪「颯太!?」
原田颯太「凪!?帰ってきてたのか!?」
河村凪「うん!久しぶり・・・・・・!!」
原田颯太「お前もサッカー──」
先生「おい、話したいのは分かるが後にしとけー」
原田颯太「へーい」
〇教室
原田颯太「それで、お前サッカー続けてたんかよ?」
河村凪「うん!中学でもやってたよ」
原田颯太「俺もあいつもずっと続けてたぜ」
河村凪「そういえば、海はいないの?」
原田颯太「あいつは二組だ、見てくれば分かるがモテまくってるぞ」
原田颯太「全く、あんな奴のどこがいいのか」
久保田海「なんだって?」
原田颯太「うわっ!?海!」
河村凪「海!大きくなったねー!久しぶり!」
久保田海「凪か?」
久保田海「久しぶりだな」
女子生徒「海様!その女は誰ですか!?」
女子生徒「そんな女よりわたくしを見てー!」
原田颯太「相変わらずの人気者だな」
久保田海「おい、颯太」
久保田海「サッカー部の練習行くぞ」
原田颯太「あ、ああそうだった!」
原田颯太「それじゃあな、凪」
原田颯太「すぐ来いよ!」
河村凪「サッカー・・・・・・頑張ってるんだ」
???「ちょっといいかしら?」
女子生徒「あなた、海くんの何なの?」
河村凪「小学時代の友達だよ」
女子生徒「友達だか何だか知らないけど、海くんはサッカーで忙しいの」
河村凪「へぇ、あの海がそんなに上手くなってたんだ!」
女子生徒「あの海ってなんですの?」
女子生徒「海くんはサッカー部のエース!」
河村凪「えっ!?凄いじゃん!」
河村凪「見てこよーっと!」
女子生徒「あっ、ちょっと!」
〇白い校舎
原田颯太「クソっ・・・・・・!」
河村凪「2人で頑張ってるねー」
河村凪(こう見ると、背高いな・・・・・・)
河村凪(やっぱ男子はどんどん成長してっちゃうな)
河村凪「私も混ざりた・・・・・・」
河村凪(でも、2人は男子だから・・・・・・)
原田颯太「あ!凪!」
原田颯太「お前も来いよー!!」
河村凪「えっ、でも・・・・・・」
久保田海「久々に3人でやろうぜ」
河村凪(私は男女だからとかばっか考えてたけど・・・・・・)
河村凪(颯太も海も、そんなの関係無しに言ってくれてる・・・・・・)
河村凪「うん!ユニフォーム貸して!」
〇白い校舎
久保田海「あっ、ミスった」
河村凪「はぁぁっ!」
凪はボールを奪うと、すぐさまシュートを決める。
河村凪「なめないでよね!手加減はいらないよ!」
〇白い校舎
久保田海「っ・・・・・・!」
久保田海「くっ・・・・・・!」
凪は2人を抜かし、シュートを蹴る。
原田颯太「クソっ・・・・・・!これで0‐6だ・・・・・・」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
河村凪「よ、弱っ!?」
河村凪「こういうのって、昔は勝てたのに今は勝てなってるもんじゃないの!?」
河村凪「それでマネージャー頼まれたりするんじゃないの!?」
原田颯太「いやー、凪はやっぱり上手いな」
河村凪「やっぱり上手いなじゃなーいっ!!!」
久保田海「懐かしい気分だった」
河村凪「ねぇ!海がエースっておかしいでしょ!」
河村凪「誰か上手い人いないの!?」
久保田海「俺が・・・・・・上手くない・・・・?」
河村凪「上手くないよっ!」
河村凪「一度くらいボール奪ってみろ!パスしてみろ!!」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
河村凪「マジメにサッカーやってたの、私だけじゃん」
原田颯太「俺達だってマジメに・・・・・・」
久保田海「・・・・・・・・・・・・」
〇女性の部屋
河村凪「なによ・・・・・・」
河村凪「颯太と海も頑張ってると思ったから、私も頑張れたのに・・・・・・」
河村凪「お母さん?入っていいよ」
原田颯太「よっ!」
河村凪「ちょ、ちょっと!」
河村凪「デリカシー無いの!?」
原田颯太「え?でもお母さんに聞いたらいいって」
河村凪「もー、ばか!女の子の部屋だよ!」
原田颯太「わりぃわりぃ、でも昔みたいに話したくてさ」
河村凪「・・・・・・・・・・・・」
河村凪「ごめん、今日は言いすぎた」
原田颯太「お、なんだこれ」
颯太は、飾ってある表彰状を手に取る。
原田颯太「全日本U‐15女子サッカー選手権大会、ベスト8?」
原田颯太「へー!すげーじゃん」
河村凪「あ、ありがと・・・・・・」
久保田海「お前も・・・・・・頑張ってたんだな」
河村凪「"も"って言われるとなんかヤダ!」
河村凪「あとそのクールな強キャラっぽいやつやめて!」
久保田海「クール?俺はただ、無駄話が嫌いなだけだ」
河村凪「今話してるのわりと無駄話だし!」
原田颯太「ともかく!また3人でサッカー出来るな!」
河村凪「まあそれは嬉しいな」
河村凪「けど!早く部屋から出てって!」
河村凪「そもそもなんで家知ってんの!どうせお母さんだろうけど!」
〇教室
女子生徒「ねぇ、河村さんは何部入るか決めたの?」
河村凪「まだ決めてないんだー」
女子生徒「そうなの?てっきりサッカー部のマネージャーかと」
河村凪「弱いじゃん!だったら私がサッカーやりたいよ」
女子生徒「それならサッカーやればいいじゃん」
河村凪「クラブチームとかも考えてるけど・・・・・・」
河村凪「でも、通用するかなって不安もあるんだよね」
久保田海「凪、ん」
河村凪「ん?」
久保田海「練習、行くぞ」
久保田海「他の部員も見せてやる」
〇白い校舎
原田颯太「今日も頑張るぞー!」
河村凪「ねぇ、この人も部員?」
斎藤「なんで女子がここに?イケメン目当てなら帰れ」
河村凪「違うし!ムカつく!」
斎藤「俺の邪魔はするなよ」
河村凪「上手い感じ出すのやめて!」
原田颯太「斎藤は気難しいけど、根は悪いやつじゃないんだ」
蛇島「おい原田、コイツはお前の彼女か?」
河村凪「違うし!!!」
蛇島「へっ、彼女の前でダセェとこ見せねぇようにな」
河村凪「もう見せてるし!」
河村凪「でも性格も弱そうで安心」
西宮「・・・・・・・・・・・・」
原田颯太「こいつは西宮、何考えてるか分からねぇけど、すげぇ上手いんだよ」
河村凪「また変なのきた!」
〇白い校舎
「はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・」
斎藤「も・・・・・・もう無理」
西宮「・・・・・・・・・・・・」
河村凪「普通に・・・・・・」
河村凪「普通に下手・・・・・・」
河村凪「悪いけど・・・・・・」
久保田海「どうだった?」
河村凪「うん、確かに海がエースだよ」
河村凪「でもなんで!?1人くらい上手い人いるもんじゃないの!?」
原田颯太「俺達、中学で出会ったんだよ」
河村凪「高校からじゃなかったんだ、仲悪そうだったのに」
原田颯太「河川敷でサッカーしてて、高校からは部活やってみようぜってなって」
原田颯太「廃部寸前のサッカー部に入ったんだよ!」
河村凪「ちょっとマンガっぽい・・・・・・河川敷でサッカーしてたのはよく分からないけど」
原田颯太「なあ、凪」
原田颯太「お前もサッカー部で、俺達と汗を流そうぜ」
久保田海「そうだな、凪は即戦力だ」
河村凪「断る!!!」
河村凪「何が汗を流そうだよ!」
河村凪「流れないよ!弱すぎて!」
河村凪「それに即戦力とかわざわざ言われたくないし!」
河村凪「戦力がいなかったらそりゃ即戦力だよ!」
原田颯太「でも昔みたいに──」
河村凪「やだ!」
河村凪「そもそも私入れても6人だし!」
原田颯太「そこは大丈夫!助っ人が来てくれるからな!」
原田颯太「めちゃくちゃ上手くて、いつも点決めてくれんだよ!」
河村凪「助っ人に負けんな!バカ!」
原田颯太「一緒にやってくれないのか・・・・・・?」
河村凪「やんないよっ!」
〇開けた交差点
河村凪「なんなのよ・・・・・・」
河村凪「私だけ本気になってて、2人にとっては遊びだったの?」
河村凪「颯太と海はわるく無いって、分かってるけど・・・・・・」
河村凪「あ、あー!着替え忘れた!!」
河村凪「まあ、洗って明日返すからいいけど・・・・・・」
スポーツ系ラブコメの王道パターンを歩まない第1話、そうきたかーと笑ってしまいました!この残念展開を覆すことができるのか見物ですねw