迷走楠高校

嬌乃湾子

司の過去(脚本)

迷走楠高校

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迷走楠高校
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〇学校の廊下
戸田司「全くバカな奴だ」
戸田司「あの流れから次の日に早々と迷走の数珠を無くしたなんて」
喜佐夫「何か心当たりはあるのかい?」
高科朗久「ま、まあ」
戸田司「どういう意味だ、ちゃんと話せ」
高科朗久「実は、昨日」
高科朗久「学校終わった後ゲーセン行ったんだけど」
高科朗久「こんな事があったんだ‥‥‥‥」

〇ゲームセンター
高科朗久「よし、今からクレーンゲームで景品を取って」
高科朗久「あいちゃんにプレゼントするぞ!」
高科朗久「どれにしようかな」
高科朗久「あっ、あれは」
高科朗久「今人気のあるっていうアニメキャラのぬいぐるみじゃないか」
高科朗久「よし、これならあいちゃんも喜ぶぞ」
高科朗久「いざ、参る!」
高科朗久「ああくそっ」
高科朗久「ぬぬぬ、おのれ~!」
高科朗久「も‥‥もう後(お金)がないぞ」
高科朗久「集中しろ、気合いだ!」
高科朗久「よし、行けぇ!!」
高科朗久「やった、とうとうゲットしたぞ!」
店員「おめでとうございます~!袋どうぞ」
高科朗久「ありがとうございます!」
高科朗久「よし、戦利品は手に入れたから帰ろう!」
高科朗久「!?」
ユメミ「‥‥‥‥」
高科朗久(なんだ、この異様な雰囲気は)
ユメミ「あっ、あのっ、すいません‥‥‥‥」
ユメミ「その制服」
ユメミ「楠高ですよね」
ユメミ「私も同じなんです‥‥あ、名前はユメミって言います」
高科朗久「あ、そうなんだ」
ユメミ「‥‥‥‥」
ユメミ「あ、あのっ」
ユメミ「その袋に入っているぬいぐるみ、実は私の推しキャラなんです」
ユメミ「どうか私の持っているのとトレードして下さいっ、お願いします!」
高科朗久(えっ‥‥折角手に入れたのに)
高科朗久(‥‥まあ、あいちゃんがこれをそんな好きじゃ無いかもしれないし、別にいいか)
高科朗久「じゃあ‥‥あげるよ」
ユメミ「本当ですか?」
ユメミ「あ、ありがとうございます!」
高科朗久「じゃあ‥‥どうぞ‥‥」
高科朗久「あの娘‥‥一瞬で景品を奪って行った」
  という訳でやっとの事で手に入れた景品は奪持ち去られたのだけど
高科朗久「あれっ、無いぞ」
  気がつくと、手首の数珠も無くなっていたんだ

〇学校の廊下
戸田司「しかし手にしていた物と一緒に腕に付けていた物まで取られるなんて」
戸田司「何度聞いてもバカな奴だ」
戸田司「しかし同じ高校ならすぐに見つけられるじゃないか」
戸田司「授業は終わった事だし、その娘を探そう」
高科朗久「すまない」
高科朗久「あっ、」
高科朗久「居た、ユメミちゃんだ」
戸田司「あの娘か」
戸田司「彼女、あれを腕に付けていたな」
高科朗久「‥‥‥‥何とかして取り返さないと」
戸田司「よし、後をつけるぞ」
高科朗久「あ、あの部屋に入って行ったぞ‥‥」
「‥‥‥‥‥」
高科朗久「出て来た、隠れろ!」
「‥‥‥‥‥」
戸田司「彼女は今から部活に行くのだろう」
戸田司「ろく、今がチャンスだ」
高科朗久「ええっ‥‥‥‥」

〇鏡のある廊下
高科朗久「チャンスって‥‥」
高科朗久「‥‥あの部屋は更衣室だぞ」
戸田司「彼女はこの場所に荷物を置いている」
戸田司「今なら探しに行けるが、どうする?」
高科朗久「な、な、な、何を言っているんだ」
高科朗久「そんな事をすれば、俺の主役生命が絶たれてしまうだろ!」
戸田司「そうか」
戸田司「ならば俺が行ってきてやろうか?」
高科朗久「い、いくらお前が、イケメンだからって」
高科朗久「それは許されない行為だぞ!」
高科朗久「お、おいっ」
高科朗久「‥‥お、俺は知らないぞ」
高科朗久「おわっ!!」
戸田司「見つけたぞ、はい」
高科朗久「おおおお前‥‥女だったのか!?!!」
戸田司「お前、ずっと俺を男だと思っていたのか?」
仮名相「あっ、司君」
仮名相「何してるの?早く行きましょ~!!」
戸田司「ああ」
戸田司「それじゃ、部活があるんで」
高科朗久「こ‥‥れはどういう事だ?」
高科朗久「まさか、知らなかったのは俺だけだったとか!?」

〇ゆるやかな坂道
高科朗久「司」
高科朗久「どうしてそんな姿で学校に来ているんだ?」
高科朗久「ましてやあんな武器を持って妖と戦っているなんて‥‥」
戸田司「‥‥‥‥ろく」
戸田司「俺が兄貴や飼とこの学校で妖と戦っているのは」
戸田司「ある人を探しているからなんだ」
高科朗久「えっ」
戸田司「それは」
戸田司「俺がこの学校に入る前の事だった」

〇住宅街
  その頃俺は中学生で兄貴は楠校に通っていた
司(擬似体)「あっ、」
司(擬似体)「兄貴、小手川先輩!」
司(擬似体)「学校終わったんですよね、一緒に帰りましょ~」
喜佐夫「こら司、彼はお前の先輩じゃ無いんだぞ」
司(擬似体)「だってもうすぐ同じ高校に通うんだから、先輩でいいでしょ?」
司(擬似体)「それに春だからってこの辺にも変なのが現れるっていうから気を付けないと!」
司(擬似体)「最近じゃ同じクラスの水上君が」
司(擬似体)「何度も家に泥棒が入るっていうからキケンなんだよ~!」
小手川「そうか」
小手川「だったらお前も道草食っていないでさっさと家に帰れ」
司(擬似体)「え~そんな」
司(擬似体)「待って、小手川先輩~!」
  俺は兄貴と小手川先輩達と一緒に普通の学校生活を送るつもりでいた。
  そんな他愛も無い日々を送っていたその日までは‥‥

〇住宅街
司(擬似体)「あ~あ、すっかり遅くなっちゃった」
司(擬似体)「兄貴、また怒るだろうな」
「ドロボー!!」
水上飼「誰か、ドロボーです!」
司(擬似体)「あっ、水上君!どうしたの?」
水上飼「司ちゃん!」
水上飼「誰かが家の中に入ってきて、昔から伝わるある古書を盗んだんだ」
水上飼「あの学校の方に逃げて行ったんだ、捕まえて!」
司(擬似体)「わかった、誰か頼んで来る!」
水上飼「!?」
喜佐夫「どうしたんだ司」
司(擬似体)「ドロボーが出たって、楠高に逃げたんだ」
小手川「よし、待ってろ!」
司(擬似体)「先輩、私も行くよ!」
喜佐夫「バカっ、お前は行くな!」

〇学校の廊下
司(擬似体)(うわ‥‥夜中の学校ってメチャ怖いじゃん)
司(擬似体)「先輩‥‥居るんだったら返事して下さいよ~」
司(擬似体)「そうだ‥‥スマホ鳴らせば何処か解る筈」
司(擬似体)「あ‥‥あっちから聞こえる」
司(擬似体)「先輩の声だ」

〇明るい廊下
司(擬似体)「‥‥先輩、何処ですか」
司(擬似体)「あっ」
司(擬似体)「‥‥‥‥これ、先輩のだ」
司(擬似体)「せっ、」
司(擬似体)「先輩!?」

〇大きな木のある校舎
  あれから先輩は見つかっていない
水上飼「‥‥‥‥」
水上飼「彼はあの学校で妖になっている」
司(擬似体)「そんな‥‥」
水上飼「俺の先祖は代々妖に詳しかったんだ。彼を見つけよう」
  それから楠高校に入学して俺達は
  この学校で妖を戦いながら先輩を探す事にしたんだ

〇ゆるやかな坂道
戸田司「先輩は妖になったまま元に戻らないかもしれないし」
戸田司「もう死んでしまったかもしれない」
戸田司「だけど」
戸田司「何かはっきりと解るまでこの姿でいたいんだ」
高科朗久「そんな事があったんだ」
高科朗久「だったら」
高科朗久「俺も協力するよ!」
高科朗久「心配するな、俺が何とかするから」
高科朗久「その先輩、無事で見つけられるといいな」
戸田司「すまない」

〇明るい廊下
?「例の物を取って来てと命令したのにどうしたの?」
ユメミ「えっ‥‥‥‥」
ユメミ「私は推しを手に入れたから‥‥‥‥もういいの」
?「もういいわ、下がりなさい!」
?「くそっ、失敗したけど大丈夫」
?「フフフフ」
?「私には彼が居るから‥‥‥‥」

次のエピソード:迷走の魔神

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