家族戦隊ファミリーレンジャー(連載版)

ひであき

第6話 いつも見ている(脚本)

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ひであき

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〇諜報機関
〈狂恋〉のアレンダ「ふんふんふーん♪」
〈狂恋〉のアレンダ「マッチングアプリのプロフィールを改竄した状態でそうとは知らずに男女を引き合わせるのと」
〈狂恋〉のアレンダ「決定的な浮気の証拠写真をカップルの男女に送り付けるのと」
〈狂恋〉のアレンダ「酷い女遊びをしてた新郎がコレクションしてる歴代彼女とのお楽しみ動画を結婚式中に流して」
〈狂恋〉のアレンダ「マッチョのお兄さんに夢中になってる奥さんのあられもない姿を旦那さんの仕事場のPCに送信して──」
〈狂恋〉のアレンダ「これで良しっと!」
〈狂恋〉のアレンダ「いやあ! 今日もたくさん破局させちゃった! ボクってば働き者だね♪」
〈狂恋〉のアレンダ「大体酷い話だよ。みんなして浮気に不倫にやりたい放題してるんだもん」
〈狂恋〉のアレンダ「こんなのボクが後押ししなくてもいつか別れるだろうけど、これが仕事だもんね」
〈狂恋〉のアレンダ「ネットを介した男女分断工作も順調だし、この国はこのまま少子化まっしぐらだね」
〈狂恋〉のアレンダ「──でもこういう仕事をしてると愛なんて幻じゃないかって思っちゃうのは辛いかな」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクのモテナインダー様を慕うこの気持ちも偽物なんじゃないかって、疑いそうになるんだもん」
〈狂恋〉のアレンダ「何てね!」
〈狂恋〉のアレンダ「モテナインダー様だけは違うんだってボクは知ってるからね♪」
〈狂恋〉のアレンダ「さてと、お仕事も終わったことだし、ちょっと様子を見てみようかなー」

〇組織の廊下

〇宇宙船の部屋
〈独身総帥〉モテナインダー「ふはははは! 我こそは〈独身総帥〉モテナインダー! 貴様ら人間の愛を否定する者なり!」
〈独身総帥〉モテナインダー「矮小で愚かな人間どもよ! 貴様らが抱くその想いが愛だといつから錯覚していた?」
〈独身総帥〉モテナインダー「それらは獣と同等の本能に過ぎない!」
〈独身総帥〉モテナインダー「貴様らは愛と性欲を履き違えているのだ!」
〈独身総帥〉モテナインダー「真実の愛とは性を伴わないものだ! それがわからんから不幸な身の上で生れ落ちる子供が後を絶たないのだ!」
〈独身総帥〉モテナインダー「それでも愛を騙るならかかってこい! この〈独身総帥〉モテナインダーが手ずから始末してくれよう!」
〈独身総帥〉モテナインダー「か、勘違いするでないぞ! 決してイチャイチャしてるのが羨ましいとか、そんなことは思っていないからな!」
〈独身総帥〉モテナインダー「さて、こんなところか」
〈独身総帥〉モテナインダー「やれやれ。秘密結社の総帥を演じるのは一苦労だな」
〈独身総帥〉モテナインダー「しかし弱音を吐いてはいられない」
〈独身総帥〉モテナインダー「暴走に拍車がかかって手に負えなくなった可愛い娘たちのためだ」
〈独身総帥〉モテナインダー「あの子たちの罪は私が引き受ける。例え行き着く先が地獄であっても止まるわけにはいかないのだ」
〈独身総帥〉モテナインダー「こうして毎日欠かさず悪の秘密結社の総帥に相応しい立ち振る舞いを練習をしなければならないのだ!」
〈独身総帥〉モテナインダー「ふはははは! 我こそは〈独身総帥〉モテナインダー! 貴様ら人間の相手を否定する者なり!」

〇諜報機関
〈狂恋〉のアレンダ「えへへ、モテナインダー様今日も素敵だなー」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクに覗き見されてることに気付かないで一生懸命練習してる。本当いつ見ても可愛いなー」
〈狂恋〉のアレンダ「あの子たちの罪は私が引き受ける。だって」
〈狂恋〉のアレンダ「きゃー! カッコイイよー! 可愛いよー! 悶絶しちゃうよー!」
〈狂恋〉のアレンダ「もう本当どうしようこの気持ち。モテナインダー様を見てるとオカしくなっちゃうよー」
〈狂恋〉のアレンダ「だってだって、こんなに誰かを壊したいなんて思ったのは初めてだもん」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクがモテナインダー様の秘密を全部知ってるって言ったら、どんな顔をするのかな?」
〈狂恋〉のアレンダ「焦るのかな? 言い訳するのかな? それとも謝るのかな?」
〈狂恋〉のアレンダ「全部見てみたいなー」
〈狂恋〉のアレンダ「ううん。それだけじゃなくて他の表情も、全部全部見てみたい」
〈狂恋〉のアレンダ「喜びも怒りも哀しみも楽しみも、全部全部綯い交ぜになった表情をさせるにはどうしたら良いのかなー」
〈狂恋〉のアレンダ「もしボクと一線を越えたらモテナインダー様はどんな顔をするのかな?」
〈狂恋〉のアレンダ「きっと娘も同然の女に手を出した罪悪感に苦しむよね」
〈狂恋〉のアレンダ「良いなー。そんな表情も見てみたいなー」
〈狂恋〉のアレンダ「でも最期に見たい表情は決まってるんだ!」
〈狂恋〉のアレンダ「二度と覚めない眠りに就いた、モテナインダー様の寝顔」
〈狂恋〉のアレンダ「永遠の眠りに就いたモテナインダー様をこの体が朽ち果てるまで眺めていたいなー」
〈狂恋〉のアレンダ「いけないいけない。これ以上モテナインダー様を見てたらオカしくなっちゃう」
〈狂恋〉のアレンダ「他のみんなと違ってデスクワークがメインでずっと引き籠ってるから、たまにはお外に出ないとね」

〇組織の廊下
追跡怪人ストー・カー「おや、お出掛けですかな?」
〈狂恋〉のアレンダ「うん。そこ退いてくれる?」
追跡怪人ストー・カー「ぶひぃ!」

〇繁華な通り
〈狂恋〉のアレンダ「ふんふんふーん♪ おっでかけ♪ おっでかけ♪」
〈狂恋〉のアレンダ「やっぱりたまには外に出ないとね! 今日は良い気分転換になりそう」
〈狂恋〉のアレンダ「さてさて、どこに行くか決めないで出て来たけど、これからどうしようかなー」
〈狂恋〉のアレンダ「わっ! びっくりした!」
〈狂恋〉のアレンダ「あっちから音がしたよね? 観に行ってみよ」

〇街中の道路

〇SHIBUYA109
〈悲恋〉のレンカ「ブラザーピーチ! 今日こそお前に引導を渡してやる!」
ブラザーピーチ「ま、待ってくれレンカ! 俺の話を聞いてくれ!」
〈悲恋〉のレンカ「ウソつきと話すことは何もない! おとなしくその首を差し出せ!」
ブラザーピーチ「何度言えばわかってくれるんだ! 俺は君のことが──」
〈悲恋〉のレンカ「うるさいうるさいうるさい!」
〈悲恋〉のレンカ「またそうやって私を騙そうとしているのだろう?」
〈悲恋〉のレンカ「もうたくさんだ! お前の言葉は信じるに値しない! 覚悟しろ!」
〈狂恋〉のアレンダ「うわー。今日のレンカちゃんいつになく荒れてるねー」
〈狂恋〉のアレンダ「ブラザーピーチしかいないみたいだし、あの様子なら助太刀は必要ないかな?」
戦闘員「クソ―! またジョーカー引いちまったよ! これで何回目だよ!」
戦闘員「お前顔にすぐ出るからなー。チョロくて助かるぜ」
戦闘員「もう一回だ! 次こそ俺が勝つ!」
戦闘員「へへっ、またたんまり稼がせてもらうぜ」
〈狂恋〉のアレンダ「戦闘員くんもあんな感じだし、大丈夫そうだね」
ブラザーピーチ「レンカ! 俺は、俺は君のことが──」
〈悲恋〉のレンカ「お前のウソは聞き飽きた! ここで散れ!」
ブラザーピーチ「頼むから俺の話を聞いてくれー!」

〇繁華な通り
〈狂恋〉のアレンダ「さてさて気を取り直して、どこへ行こうかなー」
〈狂恋〉のアレンダ「そうだ! せっかくだからまた新しい隠しカメラ買ってこよっと!」
〈狂恋〉のアレンダ「最近のは高性能だよねー。ネジにしか見えない小型なやつとかさ」
〈狂恋〉のアレンダ「またモテナインダー様の部屋に仕掛けてもっと色んなアングルから覗き見できるようにしよっと♪」

〇電器街

〇繁華な通り
〈狂恋〉のアレンダ「いやー! ついつい買い込んじゃった!」
〈狂恋〉のアレンダ「お店のおじさん、可愛いからサービスしてくれるって言ってくれて嬉しかったなー」
〈狂恋〉のアレンダ「えへへ、早く帰ってモテナインダー様の部屋にたくさん仕掛けよっと」
〈悲恋〉のレンカ「待て! 逃がさんぞ! ブラザーピーチ!」
ブラザーピーチ「頼むから冷静になってくれ! どうやったら俺の話を聞いてくれるんだ?」
〈悲恋〉のレンカ「泣き言を言って同情を引こうとしても無駄だぞ!」
〈悲恋〉のレンカ「泣きたいのは私のほうなのに! 信じてたのに!」
ブラザーピーチ「れ、レンカ」
〈悲恋〉のレンカ「ヒーくんのウソつき! 絶対に許さないから!」
ブラザーピーチ「れ、レンカ―ーーー!!」
〈狂恋〉のアレンダ「あの二人まだやってたんだ」
戦闘員「お疲れー。明日休みだし飲みに行こうぜ」
戦闘員「次の連休キャンプに行くんだろ? 今のうちに打ち合わせしておこうぜ」
戦闘員「うちはちゃんと有給が取れるから良いよな。働き甲斐があるぜ」
戦闘員「戦闘員同士の仲も良好だし、アットホームな良い職場だよな!」
戦闘員「何も知らないでアットホームって聞くとブラックっぽいけどな!」
戦闘員「確かに! あはは!」
〈狂恋〉のアレンダ「うんうん。モテナインダー様の総帥としての手腕がすごいから戦闘員くんたちの満足度も十分みたいだね」
〈狂恋〉のアレンダ「今日は久々に外に出て良かったかな! 良い気分転換になったよ」
〈狂恋〉のアレンダ「あとは家に戻ってからのお楽しみだね♪」

〇組織の廊下

〇諜報機関
〈狂恋〉のアレンダ「さてと、監視カメラの設置も終わったし、あとはモテナインダー様が帰って来るのを待つだけだね」
〈邪恋〉のサレンダ「おかえりなさい。今日は珍しく出かけてたのね」
〈狂恋〉のアレンダ「あっ、サレンダ姉。ただいま。ここに来るなんて珍しいね」
〈邪恋〉のサレンダ「可愛い妹がどうしてるのか気になって見に来たのよ」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクちゃんと仕事はしてるよ! サボったりなんてしてないからね!」
〈邪恋〉のサレンダ「わかってるわ。あなたが頑張り屋さんだってことくらい」
〈邪恋〉のサレンダ「それより例のはまだできてないの?」
〈狂恋〉のアレンダ「えっ、ああ。モテナインダー様を隠し撮りした動画集だっけ。もうちょっとだけ待っててくれる?」
〈邪恋〉のサレンダ「早めによろしくね。でないとあなたが盗撮してるってモテナインダー様に言い付けるんだから」
〈狂恋〉のアレンダ「それは勘弁して! モテナインダー様に怒られちゃうよ!」
〈邪恋〉のサレンダ「冗談よ。完成したら教えてね。待ってるわ」
〈狂恋〉のアレンダ「ふぅー。行ったみたいだね」
〈狂恋〉のアレンダ「実はまだ手を付けてないなんて言ったら怒られるよね」
〈狂恋〉のアレンダ「今日の隠し撮り分もまとめて編集して今度渡せばいいかな」
〈狂恋〉のアレンダ「あっ、そうこうしてるうちに帰ってきたみたい! 今日は何をするんだろ?」

〇組織の廊下

〇宇宙船の部屋
〈独身総帥〉モテナインダー「今日も一日疲れたな。悪の組織の総帥をやるのも楽ではない」
独活山国男「総帥の衣を脱いで休める場所が自分の部屋しかないのは辛いものがあるね」
独活山国男「いや、そうでもないかな」
独活山国男「何せ広瀬くんと飲み友達になれたからね。こんなおじさんの相手をしてくれるなんて嬉しい限りだ」
独活山国男「今日も飲みに行く約束をしているから、そろそろ出かけようかな」
独活山国男「よし、行くとしよう」

〇諜報機関
〈狂恋〉のアレンダ「ふむむ。最近モテナインダー様ボクたちに何も言わないで出かけてるんだよね」
〈狂恋〉のアレンダ「もしかして女と会ってるとか!?」
〈狂恋〉のアレンダ「そんなの許せない! 蚊型のドローンを飛ばして跡を付けないと!」

〇飲み屋街

〇大衆居酒屋
広瀬英雄「うっうっ、どうしていつも上手くいかないんだ。俺はこれからどうすればいいんだ」
独活山国男「まあまあ、落ち着いて。喧嘩するほど仲が良いって言うじゃないか。そんなに落ち込むことはないよ」
広瀬英雄「そうなんですかね? 最近彼女のことがわからなくなってきて、もうどうしたらいいか」
独活山国男「愛に衝突は必要不可欠だよ。相手の顔色を窺って本心を言い合えないのは愛じゃない」
独活山国男「言いたいことを言い合って、ぶつかるときはぶつかっていいんだ」
独活山国男「それを乗り越えていくことで愛が育まれていくんだよ」
広瀬英雄「なるほど、勉強になります」
広瀬英雄「さすが独活山さん! 四人の娘に慕われるだけのことはありますね!」
独活山国男「ど、どうだろうね。私の場合は少し、というか大分事情が違うからそうとも言えないんだけどね」
広瀬英雄「いやいや、そう謙遜ならさずに。さあさあ、飲んでください」
独活山国男「ああ、ありがとう。少しは元気が出たみたいで良かったよ」
広瀬英雄「これも独活山さんのおかげです」
広瀬英雄「腐らずにこれからも頑張ります!」

〇諜報機関
〈狂恋〉のアレンダ「何だ相手は男か。モテナインダー様の知り合いにこんな若い男がいたなんて知らなかったよ」
〈狂恋〉のアレンダ「名前は広瀬くん、だっけ? 顔写真と声紋を政府のデーターベースに照合してっと」
〈狂恋〉のアレンダ「ふむふむ。広瀬英雄くん。サラリーマンの父親と専業主婦の母親、ジムを経営してる姉と小学生の妹と同居中」
〈狂恋〉のアレンダ「職業は、へー。俳優をやってるんだ。脇役がメインだけどモデルも兼業してて知名度はそこそこ」
〈狂恋〉のアレンダ「なるほどなるほど。見た感じは特に怪しいところはないけど、それが逆に怪しいねー」
〈狂恋〉のアレンダ「妙に作為的な情報の匂いがするというか、こういうときのボクの勘は当たるんだよね」
〈狂恋〉のアレンダ「広瀬英雄。その名前覚えたよ」
〈狂恋〉のアレンダ「モテナインダー様と懇意にしてるみたいだけど、安全な人とはまだ言い難いからね」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクが化けの皮を引き剥がしてあげるよ!」

〇組織の廊下
  ──〈狂恋〉のアレンダに目を付けられた英雄
  ──果たして彼の運命や如何に
〈狂恋〉のアレンダ「ブタくんジュース持って来てー」
追跡怪人ストー・カー「ぶひ! た、ただいまお持ちしますぅ!」
  何だかんだ美味しい思いをしているストー・カーであった。

次のエピソード:第7話 大切なものは目に見えない

コメント

  • 父親をストーカーする娘怖っ😱
    敵対相手であり、彼女の父とも知らず酒飲見ながら相談する展開いいですね😊

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