ヒメユリが咲いています。(脚本)
〇ハイテクな学校
瑠璃「・・・」
「おーい、瑠璃〜」
瑠璃「・・・あ」
黝「はよ!相変わらずのしかめっ面だなw」
瑠璃「ちょっと、朝から酷くない?」
黝「ははっ!冗談冗談!(笑)」
瑠璃「はいはい・・・」
私の名前は著莪瑠璃。中学2年生。
なぜかよくお嬢様みたいって言われるけど、ごくごく普通の人間である。
で、隣のやつが茉莉黝。なんかいつもヘラヘラしてる、まぁある意味ノリの良いやつと言える。
瑠璃「・・・ねぇ、ゆ────」
瑠璃(・・・・・・あ)
同級生A「お、はよ!黝!」
黝「お、やっほ〜」
同級生A「あ、瑠璃もおはよ!」
瑠璃「おはよ〜」
同級生A「てかさ黝聞いてくれよ!この間さ〜・・・」
黝「えっまじで!?なんだそれ(笑)」
瑠璃「・・・」
この通り、黝は人気者。話す頻度も小学生からどんどん下がっていった。
瑠璃(・・・私も早く教室行かないと・・・)
〇教室
瑠璃(・・・)
瑠璃「・・・はぁ・・・」
瑠璃「・・・あ」
風信「おはよ〜・・・・・・」
瑠璃「疲れすぎでしょ・・・おはよ」
風信「だあああああああ疲れた・・・無理ぃ・・・・・」
瑠璃「まぁまぁ・・・ゆっくり休みなよ」
風信「ん〜・・・」
彼女の名前は風信。中学生から仲のいい奴。
最初こそあまり話していなかったものの、趣味が合ってることに気づき、自分だけかもしれないが、今となっては最高の友人だ。
まぁ、そんな彼女も──
黝「おっ、風信じゃん。相変わらず疲れてんなぁ〜」
風信「ん〜・・・」
同級生A「大丈夫?課題やってきた〜?」
風信「大丈夫大丈夫、終わらせた〜・・・」
「適当だな・・・」
瑠璃「・・・」
そう、これが私の日常。
私は空気みたいに薄くて、まるで存在しないかのよう。
・・・誰の一番にもなれない。
〇女の子の部屋(グッズ無し)
瑠璃「・・・はぁ」
・・・いつからだろう。ため息が増えたのは。
最初はそこまで気にしていなかった。
〇教室
瑠璃「おはよう風信〜」
風信「ふぁぁ・・・疲れた・・・・・・」
瑠璃「あはは・・・(笑)とりあえず休んどきな?」
風信「ん〜・・・」
瑠璃「・・・」
〇黒
──そう、これ以上近づいちゃだめ。
〇一軒家
黝「やっほ!」
瑠璃「きょうはなにしてあそぶ〜?」
黝「ん〜・・・とりあえずゲームしようぜ!」
瑠璃「いいよ!でも、るりができるゲームにしてね?」
黝「うん!いいよ!なにしたい?」
瑠璃「んーとね・・・」
〇黒
どれだけ近しい関係だったとしても
〇ハイテクな学校
瑠璃「・・・おはよ〜」
黝「お、はよ〜」
同級生B「おーい黝ー!」
黝「おっ、はよ!なぁなぁ昨日のさ──」
瑠璃「・・・」
〇黒
──あれ
自分、なんで──
悲しいって思ってるんだろ
誰も自分のことを見てくれる人なんて
いないって・・・わかってるのに
こんなのわがままだってわかってるのに・・・
瑠璃「・・・ぁっ・・・ひっ・・・うぅっ・・・ひっぐ・・・」
・・・あぁ、わかった
きっとこの感情は、”嘘”なんだ。
あの頃感じた想いは、”嘘”だったんだ。
・・・”好き”
──好きって、なに。
黝「瑠璃!」
──この好きも
風信「瑠璃っ!」
──この好きも
──全部、”違う”
もう、”恋”の感覚も
”愛してる”の感覚も
──”愛される”感覚も
全部、全部、わからないな
〇女の子の部屋(グッズ無し)
瑠璃「・・・」
瑠璃(・・・もう、どうでもいいや)
私は、二人のことが大好きだ。
心の底から大好き。
だけど、これは・・・
恋してるわけじゃない。
なんでこんなこと考えてるんだろ。
もう──
〇空
瑠璃(・・・どうでもいいや)