#4 エンジン再始動(脚本)
〇墓地
プロイデル兵「弔砲、撃て!」
プロイデル兵「・・・・・・」
プロイデル兵「ブルードン軍曹の高潔かつ忠実な奉仕と」
プロイデル兵「誇り高き軍人としての最期に」
プロイデル兵「最大限の敬意を表して・・・」
プロイデル兵「敬礼!」
〇墓地
ヘルマー「あの、ドヴィッヒ将軍は?」
エディントン「さあね。ケガで療養中と聞いたけど」
ヘルマー「それは、心配であります・・・」
エディントン「勝手に行動して、それで仲間を死なせて」
エディントン「そりゃ自暴自棄にもなるだろうよ」
ヘルマー「・・・・・・」
〇西洋の街並み
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍、自分であります、ヘルマーであります」
ヘルマー「少しお話したいことがあるであります」
ヘルマー「・・・いないでありますか?」
ヘルマー(あっ、鍵が開いてるであります・・・)
ヘルマー「し、失礼しますであります!」
〇英国風の部屋
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍、お加減はいかがで──」
「うおおおっ!」
ヘルマー「!?」
ヘルマー「や、やめてくださいであります!」
ドヴィッヒ「ヘルマー!?」
ドヴィッヒ「くっ、放せ!」
ドヴィッヒ「我はもう、こんな足などいらんのだ!」
ドヴィッヒ「こんな・・・」
ドヴィッヒ「仲間を死なせる愚か者の足など!」
ヘルマー「そんなことしても」
ヘルマー「ブルードン軍曹は帰ってこないであります!」
ドヴィッヒ「これはケジメなのだ、やらせてくれ!」
ヘルマー「足が無いと」
ヘルマー「戦車のペダルが踏めないであります!」
ドヴィッヒ「戦車だと?」
ドヴィッヒ「ふざけるな!」
ドヴィッヒ「我はもう戦車など乗らぬ」
ドヴィッヒ「ブルードンを殺した兵器など!」
ヘルマー「・・・自分は今回の戦闘が評価されて」
ヘルマー「戦車隊の指揮官に任命されたであります」
ドヴィッヒ「そうか。お前ならきっとやれるだろう」
ヘルマー「主要部隊の隊長は」
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍にお願いしたいであります」
ドヴィッヒ「バカな! 貴様、正気か!?」
ヘルマー「本気であります」
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍無しでは」
ヘルマー「プロイデルの戦車隊は成立しないであります」
ドヴィッヒ「我はまともに操縦することも出来んのだぞ」
ヘルマー「そんなものは練習でどうとでもなるであります」
ヘルマー「でも、ドヴィッヒ将軍の魔力量だけは」
ヘルマー「替わりがいないのであります」
ドヴィッヒ「無駄に魔力があるだけだ・・・」
ヘルマー「今回、フランツ軍を追い返せたのは」
ヘルマー「たまたまハッタリの奇襲が成功しただけであります」
ヘルマー「次は無いであります」
ヘルマー「やはり我が軍には圧倒的な戦闘力を持った」
ヘルマー「リーダーが必要なのであります!」
ドヴィッヒ「・・・・・・」
ヘルマー「お願いであります」
ヘルマー「再び戦場に立ち」
ヘルマー「我々を導いて欲しいであります!」
〇白
「・・・ブルードンは階級に差こそあれ」
「良き友であった」
「幾多の戦場を共に戦ってきた」
「・・・しかし、もういないのだ」
「我の心には埋めようの無い」
「大きな喪失があるのだ」
「ブルードン軍曹は最期に」
「なんと言ったでありますか?」
「・・・我のことを英雄だと」
「同感であります」
〇英国風の部屋
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍が戦車を乗りこなせるようになれば」
ヘルマー「もう誰も死ななくて済むであります」
ヘルマー「恐怖に怯える人々を」
ヘルマー「守ることができるであります」
ドヴィッヒ「人々を・・・守る」
ヘルマー「ブルードン軍曹に守られた命で」
ヘルマー「また別の誰かを守って欲しいであります」
ドヴィッヒ「・・・・・・」
〇白
ブルードン、我は・・・
〇教習所
ヘルマー「そう、その調子であります!」
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍は魔力量が多すぎるので」
ヘルマー「魔力を開くのではなく」
ヘルマー「閉じるイメージでOKであります!」
ドヴィッヒ「うむ、段々と車体に」
ドヴィッヒ「自分の身体がなじんでいくようだ」
ヘルマー「ここまでくれば魔力のコントロールで」
ヘルマー「戦車全体の動きを制御できるであります」
ヘルマー「進みたい方向に魔力が流れていくイメージを持って」
ヘルマー「それに合わせてハンドリングをするであります」
ドヴィッヒ「こ、こうか」
ヘルマー「流石であります!」
ヘルマー「ブレーキを踏みつつ」
ヘルマー「魔力量を少し多めに供給すると」
ヘルマー「カーブでドリフト出来るであります」
ヘルマー「市街戦で役に立つであります!」
ドヴィッヒ「ヘルマー、お前・・・」
ヘルマー「はっ! す、すみませんであります!」
ヘルマー「調子に乗ってベラベラと余計なことを・・・」
ドヴィッヒ「いや、お前はすごい」
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