家族戦隊ファミリーレンジャー(連載版)

ひであき

第4話 甘く見ないでよね(脚本)

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ひであき

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〇女性の部屋
  ――今話には暴力的、残酷的シーン、犯罪等にあたる行為等、過激な表現が含まれています
  ――気分を害する恐れがありますのでご注意ください。また、犯罪にあたる行為を絶対に真似しないでください
〈失恋〉のカレン「みんな今日も配信見てくれてありがとね!」
〈失恋〉のカレン「いっぱいスパチャしてくれたのは嬉しいけど無理しないでね」
〈失恋〉のカレン「あっ、明日もみんなと出会えて良かった記念配信するからよろしくね」
  記念配信やりすぎだろ
  付き合いたてのカップルみたいだな
  カレンちゃんマジ好き
  これで何度目だよw
〈失恋〉のカレン「カレンも忘れちゃった。細かいことは気にしない気にしない♪」
  露骨に稼ごうとしてて草
  クレカの限度額越えちゃったよ
  両親のクレカがあるだろ!
  次は生命保険だな
〈失恋〉のカレン「そんなこと言うなんて酷い。カレンのこと嫌いになっちゃったの?」
  カレンちゃん泣かすなよ
  さっきの奴マジ何なんだよ
  ブロックしたほうがいいよ
  明日もたくさんスパチャするからね
〈失恋〉のカレン「うん! 明日も楽しみにしてるね♪」
〈失恋〉のカレン「これで今日の配信はお終い! バイバイニャーン!」
〈失恋〉のカレン「ふー。今日も彼ニャンのみんなといっぱいお喋りしたから疲れちゃった」
〈失恋〉のカレン「でもやっぱりVアイドルになって良かったなー」
〈失恋〉のカレン「彼氏に貢がせるのは効率が悪いから他に良い方法はないかなって思ってたけど」
〈失恋〉のカレン「Vアイドルはすごいね! たくさんの人が見に来てくれるし、いっぱいスパチャもしてくれる」
〈失恋〉のカレン「カレンは稼げるし、彼ニャンたちも幸せな気持ちでスパチャしてくれる。これ以上のwi-winな関係はないよ」
〈失恋〉のカレン「もっともっと稼いで、モテナインダー様に褒めてもらえるように頑張らないとね」
〈失恋〉のカレン「それでそれで最後はモテナインダー様と──」
〈失恋〉のカレン「きゃー!」
〈失恋〉のカレン「あっ、そうだ。また際どい写真をメン限でアップしないと!」
〈失恋〉のカレン「見えそうで見えないのを撮るとみんな想像を膨らませて興奮してくれるんだよねー」
〈失恋〉のカレン「あとはグッズのデザイン案のチェックと、新衣装のお披露目の件と、新しい3Dモデルを確認して──」
〈失恋〉のカレン「うんうん。大忙しだけど稼ぐためならいくらでも頑張れちゃうね!」
〈失恋〉のカレン「あっ、ウーパーの人かな」
〈失恋〉のカレン「今日はからあげ弁当を頼んじゃった。アレンダ姉に頼んで経費で落としてもらおっと!」

〇マンションの共用廊下
〈失恋〉のカレン「ええっと、ご飯はどこに」
〈失恋〉のカレン「あったあった!」
〈失恋〉のカレン「ここのお店のからあげ大好物なんだよね! 見てるだけでお腹空いてきちゃった」
〈失恋〉のカレン「あれ? 紙が落ちてる。扉に挟まってたみたいだけど、何だろこれ?」
  あ い し て る
〈失恋〉のカレン「まただ。この間も同じのがあったんだよね」
〈失恋〉のカレン「いつも違うウーパーのお兄さんに頼んでるのにどうやってここまで来てるんだろ」
〈失恋〉のカレン「だ、誰もいないよね?」
不審者「──」
〈失恋〉のカレン「い、今階段から誰かこっち見てたよね?」
〈失恋〉のカレン「うー、恐いよぉ。お巡りさんに話しても全然取り合ってくれないし、管理人さんがいない時間にここまで来てるみたいだし」
〈失恋〉のカレン「これじゃ安心して眠れないよ。モテナインダー様に頼んで戦闘員の人を護衛に付けてもらわないと」

〇女性の部屋
〈失恋〉のカレン「あっ、モテナインダー様? 今大丈夫?」
  おおっ、カレンか。こんな遅くにどうかしたのか?
〈失恋〉のカレン「うん。実は──」

〇女性の部屋
  事情はわかった。すぐに手の空いてる者をそちらに向かわせよう
〈失恋〉のカレン「ありがとう! やっぱりモテナインダー様は頼りになるね!」
〈失恋〉のカレン「他の誰かじゃなくてモテナインダー様が来てくれてもいいんだけどな」
  そうしたいのは山々だが、今手が離せなくてな
〈失恋〉のカレン「モテナインダー様は忙しいもんね」
〈失恋〉のカレン「添い寝は次の機会にお願いするね」
  ふ、ふむ! お前がそこまで言うなら吝かではないが、それはさておき、お前の身に何かあってはいけない
  しっかり戸締りをして待っていなさい
〈失恋〉のカレン「うん! カレン良い子にして待ってるね!」
〈失恋〉のカレン「これでよし。戦闘員の人が来るまでお仕事して気を紛らわせよっと」

〇女性の部屋
〈失恋〉のカレン「あっ、もう来たんだ! さすがモテナインダー様。仕事が早いね」
〈失恋〉のカレン「はーい!」
ストーカー「うふっ。やっと会えたね、カレンちゃん」
〈失恋〉のカレン「えっ、あれ? 新しい戦闘員の人?」
ストーカー「ああ、そうだよ。僕は君専属の戦闘員さ」
ストーカー「うへへ、この部屋良い匂いがするね。これがカレンちゃんの匂いかぁー」
〈失恋〉のカレン「えっ、あの」
ストーカー「近くで見るとこんなに可愛いんだね。いつも遠くから見守ってたよ」
ストーカー「僕の手紙は読んでくれたかい? 今日こそお返事を聞かせてくれるよね?」
〈失恋〉のカレン「何で手紙のこと。それじゃまさか──」
ストーカー「ああ、もう我慢できない! 愛してるよカレンちゃん!」
〈失恋〉のカレン「い、いきなり何するの? 離して!」
ストーカー「うふふっ。お薬の時間だよ。あとでゆっくりと楽しもうね」
〈失恋〉のカレン「い、嫌! 助けて! モテナインダー様!」

〇可愛い部屋

〇怪しげな部屋
〈失恋〉のカレン「う~、頭が痛いよぉ」
〈失恋〉のカレン「あれ? ここどこ?」
〈失恋〉のカレン「そうだ! 部屋に怪しい男が入って来て、それから──」
ストーカー「あっ、起きた? カレンちゃんおはよう」
〈失恋〉のカレン「さ、さっきの! ここはどこ? カレンをどうするつもりなの!?」
ストーカー「ここは僕とカレンちゃんの愛の巣さ。見てわかるだろう?」
〈失恋〉のカレン「わからないよ! あんな気持ち悪い手紙を送ってきて何考えてるの!?」
ストーカー「何って、ナニに決まってるだろう?」
ストーカー「うふふ。やっとカレンちゃんを捕まえられたよ」
ストーカー「さあ、僕と愛し合おうか」
〈失恋〉のカレン「ち、近寄らないで! 悲鳴を上げるからね!」
ストーカー「構わないよ。ここでいくら声を上げても外には届かないからね」
ストーカー「カレンちゃんの可愛い声を独り占めにしたくて防音加工してあるんだ。すごいだろう?」
〈失恋〉のカレン「こ、来ないで! 来ないでよぉ!」
ストーカー「うふっ! 泣き顔も素敵だ! そんな顔されたら僕──」
ストーカー「もう我慢できないよぉ!」
〈失恋〉のカレン「嫌ぁ! 助けて! モテナインダー様ぁ!」

〇ビルの裏
戦闘員「急ぐぞ! カレン様の身に何かあったら俺たちはお終いだ!」
戦闘員「ま、待ってくれよ兄弟! 急ぐったって場所はわかるのかよ!?」
戦闘員「モテナインダー様からGPS情報が送られてきた! 四恋王全員に位置情報を送信するチップを植え付けてるんだとよ!」
戦闘員「親バカ極まってんな! 全員可愛いから気持ちはわかるけどよ!」
戦闘員「だから急げって言ってんだ! モテナインダー様は四恋王にはゲロ甘だが俺ら下っ端には容赦がねえ!」
戦闘員「この間ヘマやらかした兄弟がどうなったか知ってるか?」
戦闘員「い、いや、何の話だ?」
戦闘員「──フランスに左遷されたんだよ。あそこは恋愛大国だ。恋路の邪魔をするなんてほぼ不可能だ」
戦闘員「あの国に送られるのは実質死刑みたいなもんだぜ!」
戦闘員「じ、冗談じゃねえ! 何としてでもカレン様を助け出さねえと!」
戦闘員「だから急げって言ってんだ! この先にカレン様がいる! 死ぬ気で走りやがれ!」
ブラザーピーチ「こんな夜遅くまで悪巧みとは精が出るな」
戦闘員「げっ! ぶ、ブラザーピーチ!?」
戦闘員「な、何でここに!?」
ブラザーピーチ「自分たちが目立つって自覚はないのか? SNSで目撃情報がタグ付きで呟かれてたから駆け付けたんだ」
戦闘員「お、おのれ! 今はお前の相手をしている場合ではないというのに!」
戦闘員「カレン様の身に何かあったら責任取れるのか!?」
ブラザーピーチ「カレン様だと? レンカと何か関係があるのか?」
戦闘員「知れたこと! カレン様は三人いるレンカ様の姉の一人にして四恋王に名を連ねる御方だ!」
戦闘員「そのカレン様が誘拐されたと報告があったんだ! 俺たちはカレン様を助けに現場へ急いでいるところなんだ!」
ブラザーピーチ「レンカの姉が誘拐された? 一体誰に?」
戦闘員「それを調べるためにも俺たちは急いでいるんだ!」
戦闘員「カレン様の身に何かあったら俺たちはお終いだ! 頼むから道を開けてくれ!」
ブラザーピーチ「──」
ブラザーピーチ「その話は本当なんだろうな?」
戦闘員「嘘を吐くならもっとマシな嘘を吐くさ!」
戦闘員「敵のお前にうちの幹部が誘拐されたなんて言いたくなかったが急を要する事態なんだ!」
戦闘員「邪魔をするならいつものお遊び半分では済ませんぞ!」
ブラザーピーチ「なるほど。事情はよくわかった」
ブラザーピーチ「俺も手を貸す。案内しろ」
戦闘員「何だと? 本気で言っているのか?」
ブラザーピーチ「ああ。レンカの姉というなら俺にとっては身内も同然──ごほん」
ブラザーピーチ「姉の身に何かあったらレンカが悲しむ──じゃなくて」
ブラザーピーチ「ここで好印象を与えておけばレンカとの交際を後押ししてくれるかもしれない──でもなくて」
ブラザーピーチ「とにかくレンカの姉に良い顔をしておきたいんだ!」
戦闘員「何一つ誤魔化せてねえ」
戦闘員「嘘が下手とかそういう次元じゃねえな」
ブラザーピーチ「喋ってる暇はないぞ! 早くレンカの姉の元に案内しろ!」
戦闘員「言われるまでもねえ!」
戦闘員「待っててください! カレン様!」

〇廃倉庫
戦闘員「ここだ! ここにカレン様の反応がある!」
戦闘員「クソ! 鍵がかかってる! 他の入口を探すしか──」
ブラザーピーチ「退いてろ!」
戦闘員「す、すげえ。あんなに分厚かった扉がこうも簡単に」
戦闘員「お前やればできるじゃねえか!」
ブラザーピーチ「言ってる場合か! 急いでレンカの姉を助け出すぞ!」
戦闘員「恩に着るぜ兄弟!」
ブラザーピーチ「お前らあとで俺の印象が良くなるようにレンカの姉に言っておけよ!」
戦闘員「そういうこと言わなければ好印象だったのに」

〇怪しげな部屋
ブラザーピーチ「カレン義姉さん! 助けに来まし──」
〈失恋〉のカレン「ほら! ほら! もっと鳴きなさいよ! このブタ!」
ストーカー「ぶ、ぶひ! ぶひいいい!」
ブラザーピーチ「えっ? あれ?」
〈失恋〉のカレン「あれくらいでカレンをどうこうできると思ってたの! 甘く見ないでよね!」
ストーカー「ぶ、ぶひぃ! も、もう勘弁してください!」
〈失恋〉のカレン「誰が喋っていいって言ったのよ!」
ストーカー「ぶ、ぶひぃぃぃ!」
ブラザーピーチ「えっと、何だこの状況?」
戦闘員「いや俺らも聞きてえよ」
戦闘員「あ、あの、カレン様? 何してんすか?」
〈失恋〉のカレン「何って、カレンに恐い思いをさせたブタにお仕置きしてるんだよ」
ストーカー「ぶひぎぃぃ!」
戦闘員「めっちゃ叩くじゃん」
戦闘員「か、カレン様その辺にしておいたほうが」
〈失恋〉のカレン「君たちも叩かれたいの?」
戦闘員「い、いやー、カレン様の鞭捌きはさすがっすね!」
戦闘員「な、ナイスショット! ホールインワン!」
ブラザーピーチ「──俺もう帰るわ」
戦闘員「あっ! お前だけズルいぞ!」
ブラザーピーチ「いやこれ挨拶とかできる状況じゃないし。今日は何も見なかったことにするわ」
戦闘員「お前正義の味方だろ!? あの可哀想な民間人を放っておくのかよ!」
ブラザーピーチ「全然可哀想じゃないだろあれ」
ストーカー「ぶぴぃぃい!」
ブラザーピーチ「じゃそういうことで」
戦闘員「あいつマジで帰りやがった!」
戦闘員「く、クソ! この状況上に何て報告すればいいんだよ!」
〈独身総帥〉モテナインダー「カレン! カレンは無事か!?」
〈失恋〉のカレン「も、モテナインダー様ぁ! 来てくれたんだ!」
〈独身総帥〉モテナインダー「おおっ、カレン! 無事で良かった!」
〈独身総帥〉モテナインダー「お前が攫われたと聞いて仕事を放り出してきたんだ。本当に無事で何よりだ」
〈失恋〉のカレン「モテナインダー様ぁ! カレン恐かったよぉ!」
戦闘員「いや恐いのはあんたのほうだから」
戦闘員「ここで流す音楽じゃねえ」
〈独身総帥〉モテナインダー「恐い思いをさせてすまなかった。私が来たからにはもう大丈夫だ」
〈失恋〉のカレン「にゃう~。もっとナデナデしてぇ~」
戦闘員「さっきまでノリノリで鞭振り回してた女の姿じゃねえな」
戦闘員「てかこのブタどうします? その辺に捨てたら動物愛護法違反になりますよね?」
〈失恋〉のカレン「そうだった! ねえねえモテナインダー様、あのブタうちで飼ってもいい?」
〈独身総帥〉モテナインダー「カレンがそれでいいなら構わないが、どうするつもりだ?」
〈失恋〉のカレン「うん! 怪人に改造してカレンの奴隷にしようかなって思って!」
〈失恋〉のカレン「何ぼさっとしてるの? 早く椅子になってよ!」
ストーカー「ぶ、ぶひ! はい! ただいま!」
戦闘員「これもうあのブタにはご褒美だろ」
戦闘員「ちょっと羨ましいって思う自分が嫌になるな」
〈失恋〉のカレン「帰ったらカレンをエッチな目で見ないように去勢手術しないとね!」
戦闘員「いや恐いって」
戦闘員「全然羨ましくなかった」
〈独身総帥〉モテナインダー「さあ、もう帰ろう。お腹は空いているか?」
〈失恋〉のカレン「うん! カレン豚の生姜焼きが食べたい!」
戦闘員「これあのブタを食う流れじゃないよな?」
戦闘員「さすがにそれはないだろ。ないよな?」
〈独身総帥〉モテナインダー「お前たちもご苦労だったな。せっかくの機会だ。お前たちも一緒に来るか?」
戦闘員「えっ、良いんすか!?」
戦闘員「バカお前! よく見ろ!」
〈失恋〉のカレン「じーーーーーっ」
戦闘員「い、いやー! せっかくのお誘い光栄っすけど今日のところは遠慮させてもらうっす!」
戦闘員「み、水入らずで食べてきたらどうっすか?」
〈独身総帥〉モテナインダー「むっ。そうか。そういうことなら二人で食べに行くとしよう」
〈失恋〉のカレン「やったー! モテナインダー様だーーーい好き!」
戦闘員「行っちまったな」
戦闘員「さて、俺たちもこのブタを連れて帰るか」
戦闘員「オラ立て!」
ストーカー「ぶ、ぶひ!」

〇廃倉庫
  その後、ストーカーは怪人に改造されたのだった──
追跡怪人ストー・カー「以後お見知りおきを」

次のエピソード:第5話 恋は複雑

コメント

  • 幹部が民間人に攫われ、からのそっちでしたか、残念(謎)
    敵とはいえ、恋人(?)の姉を助けに行ピーチカッコいい(間抜けだけど)😅

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