寒椿が咲く頃に

槻島 漱

1話(脚本)

寒椿が咲く頃に

槻島 漱

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〇大教室
???「・・・ら」
???「・・・くら」
板垣知世「さくらったら!」
小野町さくら「ほああっ!!」
小野町さくら「ち、知世・・・!?」
小野町さくら「あ、あれ?私・・・」
板垣知世「まったくもう・・・」
板垣知世「授業、とっくに終わったよ?」
板垣知世「もしかして、ずっと寝てたの?」
小野町さくら「えーっと・・・」
小野町さくら「そう、かも・・・?」
板垣知世「あんたねぇ・・・」
小野町さくら「えへへ」
板垣知世「えへへ、じゃないよ!」
小野町さくら「ご、ごめん」
小野町さくら「またノート貸して?」
板垣知世「しょうがないなあ・・・」
板垣知世「今度、駅前のカフェでケーキ奢りね」
小野町さくら「やったあ!!」
小野町さくら「知世、ありが・・・」
板垣知世「いっちばん高いやつ!」
小野町さくら「うぐっ・・・」
小野町さくら「あそこの一番高いケーキって2000円するやつじゃん・・・」
板垣知世「首席であるこの私のノート貸すんだから、それくらい妥当でしょ?」
小野町さくら「くうっ・・・!」
小野町さくら「背に腹はかえられぬ・・・!」
板垣知世「ふふ、交渉成立ね!」
板垣知世「ケーキ楽しみだなあ!」
板垣知世「ほら、帰ろ!」
小野町さくら「あ、待ってよ知世〜!」

〇開けた交差点
板垣知世「そういえば、もうすぐ冬休みだね」
板垣知世「さくらは帰省するの?」
小野町さくら「いやあ、それがさあ・・・」
小野町さくら「お母さんが近所のくじ引きでハワイ旅行のペアチケット当てたらしくてさあ・・・」
小野町さくら「お父さんと二人でハワイ旅行だって・・・」
板垣知世「へえ、そうなんだ」
板垣知世「いいなあ、ハワイ」
板垣知世「私たちも卒業旅行はハワイにしちゃう?」
小野町さくら「ははは、気が早すぎない?」
小野町さくら「私たちまだ2年だよ?」
板垣知世「こういうのは早めに決めといた方がいいでしょ?」
板垣知世「どうせ、卒業辺りはいろいろ忙しいんだからさ」
小野町さくら「まあ、それも一理あるかあ」
板垣知世「それより、ご両親がハワイ旅行ってことは帰省しないってこと?」
小野町さくら「誰もいない家に帰ったって寂しいだけだしね」
小野町さくら「今年は自分の部屋で年越しするかな」
板垣知世「じゃあさ、私と旅行とかどうよ?」
小野町さくら「え!?」
小野町さくら「それは楽しそうだけど・・・」
板垣知世「民俗学のレポート課題で調べたいことあってさ」
小野町さくら「わあ、真面目ぇ・・・」
板垣知世「はいはい、なんとでも」
板垣知世「それに付き合ってほしいんだよね」
板垣知世「人手は多いほうがいいしさ」
板垣知世「どう?」
小野町さくら「うーん・・・」
小野町さくら「行く!」
板垣知世「即決は草」
小野町さくら「だって知世、勉強ばっかでなかなか遊べないんだもん」
小野町さくら「こんな絶好の機会ないでしょ!」
小野町さくら「旅行の内容は勉強だけどね!」
板垣知世「学生の本分は勉強でしょうが」
板垣知世「でもまあ、たまには息抜きも大事だよね」
板垣知世「レポート終わったら遊ぼ!」
小野町さくら「やった〜!!」

〇黒背景
  数日後・・・

〇広い改札
小野町さくら「おーい!知世ー!」
板垣知世「もう、やっと来た・・・」
板垣知世「遅いよ、さくら」
小野町さくら「ごめんごめん」
小野町さくら「ついうっかり暖房消し忘れちゃって」
板垣知世「危な・・・」
板垣知世「ちゃんと確認してから出なさいよ」
小野町さくら「えへへ」
小野町さくら「確認したはずなんだけどなあ」
板垣知世「さくらは3回くらい確認しなきゃダメよ」
小野町さくら「今度からそうする・・・」
板垣知世「やばい!電車出ちゃう!」
板垣知世「もう、さくらが遅いから!」
小野町さくら「ごめんって〜!」
板垣知世「ほら、急いでさくら!」
小野町さくら「待ってよ、知世〜!」

〇電車の中
小野町さくら「ねえ、知世」
板垣知世「んー?何?」
小野町さくら「そういえばまだどこ行くか聞いてなかったなあ、と思って」
板垣知世「・・・あ、忘れてた」
小野町さくら「それ、忘れちゃダメなやつなんですけど」
板垣知世「ごめんごめん」
小野町さくら「で、どこ行くの?」
板垣知世「『椿村』ってところだよ」
小野町さくら「『椿村』?」
板垣知世「そう」
小野町さくら「なんでそんなところに?」
板垣知世「ある不思議な昔話が伝わってる村なんだよね」
板垣知世「今、それについて調べててさ」
小野町さくら「へえ、そうなんだ」
小野町さくら「どんな昔話なの?」
板垣知世「それがさ、結構悲しい話でさ・・・」

コメント

  • 壮大な冒険、ロマンスを感じます…

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