エピソード9 救われたのは(脚本)
〇研究開発室
キール(「あれ」が完成したら私は・・・)
キール(この研究所ともお別れですね・・・)
キール「アーザル・・・ちょっといいですか?」
〇魔法陣のある研究室
レイベル「・・・・・・」
キール「レイベル、外に出たいとは思いませんか?」
レイベル「何を・・・言って・・・」
レイベル「え? マジで言ってる?」
キール「ええ。 本当です・・・」
キール「あなたを逃がしてあげます」
レイベル「でも、どうやって・・・」
レイベル「この城、海に囲まれてるし空でも飛べない限りジャミラスの追手から逃げ切れる気がしないんだけど・・・」
キール「・・・あなたに翼を授けます」
〇魔法陣のある研究室
キール「その前に「ちょっとした仕掛け」をさせてください」
キールはレイベルの舌に何かの設計図が書かれた紙を押し当てた。
レイベル「なあに、これ・・・にがい、不味い・・・」
キール「あなたが脱出する時に、この研究所の扉が全てロックされてしまうので、その時の為です」
キール「さて・・・ 私は最終調整があるので、また夜に来ます」
レイベル(フィアーノ・・・ やっと俺の方から迎えに行けるよ・・・)
〇魔法陣のある研究室
その日の夜──
レイベル(いよいよか・・・)
キール「さて、レイベル・・・やっていいですよ」
レイベル「分かった!」
レイベル「それで、次は?」
キール「これは、あなたが自由になるためのもの そして、私の最後の実験です・・・」
レイベル「また、ソレかよ・・・」
キール「はい!」
レイベル「いっ・・・」
レイベル「ああ・・・うう・・・」
レイベルは床に倒れ苦しみ出した。
「痛い・・・痛いよう・・・ ああああ!」
「キール、騙したのか?」
「痛い・・・痛い・・・ああ、ああああああああああ!」
〇魔法陣のある研究室
「はあ・・・はあ・・・」
「な、なんだよこれ? 腕が!」
キール「これがあなたの「飛翔形態」ですかね・・・」
キール「よく耐えました・・・成功です」
キール「では、行きますよ」
レイベル(飛翔形態)「待〜ってえ・・・」
キール「肩くらいなら貸しますよ・・・」
レイベル(飛翔形態)「あ、ありがと・・・」
レイベル(飛翔形態)(キールが何を考えているかは分からない でも今は・・・信じよう)
〇研究施設の廊下
キール「セキュリティ、自分で強化しましたがなかなか面倒でして・・・」
キール「レイベル、ドアロックを解除しながら進むので舌出しておいてください」
レイベル(飛翔形態)「ん、分かった」
レイベルが舌でタッチパネルに触れるとバリアが一枚解除され閉まっていたドアが開いた。
キール「その調子です」
〇綺麗な部屋
その頃フィアーノは──
アーザル「フィアーノ、起きろ」
フィアーノ「あ、アーザルさん? どうして、ここに?」
アーザル「いいか、よく聞け もうすぐレイベルが迎えに来る ここから逃げるんだ」
フィアーノ「レイベル様が来てくれるの? 分かりました!」
アーザル「これを渡しておこう」
フィアーノ「これは?」
アーザル「レイベルの身体についての研究資料と」
アーザル「この瓶はレイベルの毒を無毒化する血清だ」
アーザル「キールから頼まれた・・・」
フィアーノ「ありがとうございます!」
フィアーノは封筒と血清の瓶を鞄に入れアーザルと一緒に部屋を出た。
〇謎の部屋の扉
キール「もう少しです・・・」
キール「このエレベーターで屋上まで行けますよ」
ジャミラス「キール、これはどういう事ですか?」
キール「ふっ、フフフフ・・・」
キール「あっハハハハハ・・・」
キール「ああ、飽きてしまったんですよね・・・ はい、それだけですよ」
キール「邪魔ですね・・・」
キールは右腕を鉱物の触手に変化させてジャミラスを捕まえるとエレベーターから引っ張り出した。
キール「レイベル、ここで時間稼ぎしてあげます 早く行ってください」
レイベル(飛翔形態)「うん・・・お世話になりました・・・」
レイベル(飛翔形態)(あれ? こんなやつに・・・? まあ、いいか・・・)
キール「ええ・・・それでは 上手くやってくださいね」
エレベーターのドアが閉まった・・・
〇城壁
「・・・・・・・・・」
サナム「これはこれは・・・」
イザナス「邪神様・・・お初にお目にかかります」
レイベル(飛翔形態)「誰だか知らないけど、邪魔しないで!」
レイベル(飛翔形態)「はぁ・・・はぁ・・・」
レイベル(飛翔形態)(身体が重い・・・ こんなので本当に飛べるのか・・・?)
レイベルは翼に変化した両腕を引きずりながらフィアーノの元へ這っていく。
サナム「あなたの邪魔をするつもりはありません」
イザナス「フィアーノをよろしくお願いします」
レイベル(飛翔形態)「え? 味方・・・なの?」
サナム「今ここに居る者は皆、フィアーノを逃がしてやりたいと思っていた者です」
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