麻木ブレイド物語

甘土礼朝

2-1(脚本)

麻木ブレイド物語

甘土礼朝

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〇森の中
嵐「帰りましょう、姉さん」
麻木 得瑠「そうだね・・・・・・」
  姉は立ち去る前にもう一度怪人の成れの果てを見る。
麻木 得瑠「!?」
  二つになっていたそれは黒い塵のようになり、手にしていた剣に近づいて消えた。
麻木 得瑠「嵐ちゃん?」
嵐「何でしょう今のは?」
嵐「私の方は特に変わった感じはしません」
麻木 得瑠「証拠隠滅・・・」
麻木 得瑠「じゃないよね」

〇山中の坂道
  姉妹は里山の道を降りる。
  追ってくる怪人はもう居ない。
  それだけで体は軽い。
  襲撃時に落としたと思われるカバンを回収して──
  里山を抜けた。

〇住宅地の坂道
  道路に出る。住宅地に向かう道。
  家はもう近い。
麻木 得瑠「こんなに遅くなって母さん怒るだろうな・・・」
嵐「そうですね・・・端末二人とも使えませんでしたし──あ」
麻木 得瑠「何!?」
嵐「姉さんスマホ、もう一度確認してみて」
麻木 得瑠「バッテリー切れてるんじゃないの」
麻木 得瑠「あれ? 電源入る・・・なんで?」
嵐「思った通り使えますか──」
嵐「あの時にはアイツの術中だったみたいですね」
麻木 得瑠「そうだ使えるなら、急いで連絡しなきゃ」
  起動させ確認すると、母からの履歴が一杯になっていた。
  姉はすぐさま連絡をつける。
  心配のあまり狼狽える母の調子に、ひたすら謝ることしかできなかった。
嵐「心配させ過ぎましたね」
麻木 得瑠「うん、連絡繋がらないのが余計にね」
麻木 得瑠「あと、父さんが探してるって」
嵐「連絡は母さんがつけてるはずなので、私たちは急いで帰りましょう」
麻木 得瑠「急ごう」
  姉は頷きながら手にしている剣を見る。
麻木 得瑠(嵐がこれになってるのはどう説明しよう?)
麻木 得瑠(信じてくれるだろうか)

〇シックな玄関
麻木 得瑠「ただいまー」
  玄関に入ると奥から迎えが出てくる。
麻木 母「ずいぶんと遅かったじゃない」
麻木 母「遅くなるときは連絡してって──」
麻木 得瑠「ゴメン、さっき言った通りスマホ使えなくて」
麻木 母「話は中で聞くから 早く上がって」
麻木 母「ところで嵐はまだ外? 一緒じゃなかったの」
麻木 得瑠「・・・うん それについては話長くなるんだ」
麻木 得瑠「本当に──」

〇ダイニング
  食卓にはいつもより少し多めの料理。
  ささやかながらホールのケーキも用意してあった。
  今日は嵐の誕生日。
麻木 母「それで嵐はどうしたのよ」
麻木 母「何か準備してるとか?」
麻木 得瑠「母さん、今から言うことは信じられないと思うけど──」
麻木 母「なんでそんなに前置き長いの」
麻木 得瑠「ら、嵐はこれなのよ」
  そういうと剣を母の前に差し出す。
麻木 母「!?」
麻木 得瑠「ホントに嵐なの」
嵐「母さん、ただいま」
麻木 母「嵐の声がする・・・」
麻木 母「どうしてこんなことに?」
麻木 得瑠「私もわかんないよ」
  姉妹は母に今日のことを話す。
  占いのこと、誰も居ない街のこと、襲撃者の怪人のこと。
  その逃亡中に何故か剣になったこと。
麻木 母「ちょっと色々ありすぎね。でも──」
麻木 母「こうして戻ってきたことがなによりだよ」
麻木 得瑠「母さん・・・」
  ガチャンと玄関ドアに人が来た音がした。
???「今帰ったぞ・・・」
麻木 父「おお、得瑠帰ってきてたか あんまり心配かけるのはよくないな」
麻木 得瑠「ゴメンなさい」
麻木 父「母さんどうした? 何かあったのか?」
麻木 母「ちょっと安心して気が緩んだだけだから」
麻木 父「嵐も戻ってるんだろ?」
麻木 得瑠「ええ」
麻木 父「それなら、ちょっと保険を」
  そういうと姉妹の父は自分の部屋から何か持ち出し玄関を出ていった。
  しばらくすると戻ってきた。
麻木 父「ひとまず結界を張っておくことにするよ」
麻木 父「『魔』避けとして十分だろう」
麻木 父「嵐はどこだトイレか?」
麻木 母「それが」
麻木 得瑠「嵐はこれなの」
麻木 父「剣!? 嵐が剣!?」
嵐「お帰り父さん」
麻木 父「本当に嵐なのか?」
麻木 得瑠「ホントに嵐なんです」
麻木 父「そうか・・・そうなのか」
  父はこのおかしな状況を一人納得していた。
麻木 父「母さん、もう話すしかないなあれを」
麻木 母「こうなったからには得瑠にも知ってもらうしか」
麻木 得瑠「え、なんのこと?」
麻木 父「我が家のことを」
  つづく

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