鈴木は人気配信者を目指し最強の錬金術師と契約する

司(つかさ)

3話(脚本)

鈴木は人気配信者を目指し最強の錬金術師と契約する

司(つかさ)

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〇汚い一人部屋
鈴木「いやいやいやいや」
鈴木「ちょっと待ってくださいよ!」
パンドラ「待ったはなしじゃ」
パンドラ「言ったはずじゃぞ・・・お前は罪を犯したと」
鈴木「罪ってなんですかっ! そんな・・・人聞きの悪い」
パンドラ「か弱いおなごの胸に触れたんじゃ」
パンドラ「許されると思ってるのか?」
鈴木「いや・・・そんな記憶は・・・・・・」
  鈴木は必死に思い出していた
  彼女はいつから居たのか
  自分が誰かの存在を感じたのはどのタイミングだったのか
鈴木(もしかしてさっき停電した時・・・?)
パンドラ「この国では許されることなのか?」
鈴木「い、いやぁもちろんそんな事はないですけど」
パンドラ「なら覚悟を決めるんじゃな」
鈴木「そんなぁ・・・・・・」
鈴木(嘘だろ・・・そんな理由で僕は死ぬのか?)
鈴木(不可抗力で胸を触っただけで!?)
鈴木(そもそもそんな経験なんてないのにっ! 酷すぎるよぉ・・・・・・)
鈴木「うぅ・・・・・・死にたくない」
パンドラ「そうじゃそうじゃ命乞いをせい」
パンドラ「アッハッハッハ」
鈴木「ぼっ、僕を殺したってなんにもなりませんよっ!」
鈴木「僕はお金もなければまともに働けてもいない」
鈴木「社会的に価値がない人間なんだ」
パンドラ「ハッ、だからどうした?」
鈴木「僕はもっと有名になりたいんです・・・配信者として成功したいんですっ!」
  鈴木が泣きながらパンドラに近づき、土下座した
鈴木「あなたの身体に触れたのは不可抗力だったんです。わざとじゃありません」
パンドラ「・・・・・・」
鈴木「お願いします!! 僕に出来る事ならお詫びはしますから」
パンドラ「・・・・・・まったく」
パンドラ「立派な身体をもっておるくせに、心は毛虫並みの小ささじゃな」
鈴木「・・・・・・・・・・・・」
パンドラ「なら一つ聞かせろ。お前が生きたいのは何のためじゃ?」
パンドラ「金か、名誉か、女か、男が求めるものはいつもくだらない物ばかり・・・だが」
パンドラ「最後ぐらいは聞いてやろう」
  鈴木は膝を着いたまま顔だけ上げて答えた
鈴木「・・・僕には、今まで生きる目的なんてなかったんです」
鈴木「親に叱られない程度に勉強して、ゲームが好きだったからなんとなくゲームの学校に行って、ゲームの会社に入って」
鈴木「それで楽しく生きられればいいなって。それだけでした」
鈴木「でも僕が見た現実はそんな曖昧な気持ちの中では生きられない世界で」
鈴木「倒れるまで働いて、自分の作った物なんていつもボツにされて、周りの人にどんどん置いていかれて」
鈴木「僕は・・・・・・辛くなって逃げたんです」
パンドラ「くだらんな。お前は所詮その程度だったというだけじゃ」
パンドラ「なら、なぜ生きようとする?」
鈴木「僕は・・・・・・」
鈴木「まだ、終わりたくなかったんです。辛かったけどどうしてもやり直したかったんです」
鈴木「作る事が上手くいかなくても、面白さを伝えられれば誰かを幸せにすることが出来るって」
鈴木「僕はその生き方が好きなんです」
鈴木「その生き方に賭けてみたいんですっ!」
パンドラ「・・・・・・・そうか、誰かを幸せにか」
鈴木(・・・・・・今更になってやっと気づいた)
鈴木(僕は会社を辞めた後も、ゲームで誰かを幸せにしたくて配信を始めたんだ)
鈴木(それなのに数字が伸びないせいで焦って、イライラして、大切な事を忘れてた)
鈴木(僕の配信で一人でも笑ってくれる人がいれば──それでいいじゃないか)
パンドラ「お前が本当に他者の幸せを望んでいるというなら、運命はどちらを選ぶかの」
鈴木「・・・・・・え?」
パンドラ「いいだろう。ワシも所詮人の子だからの・・・・・・」
パンドラ「一度だけお前にチャンスをやろう」
  そう言ってパンドラは服の中をガサゴソとさぐり始めた

〇汚い一人部屋
鈴木「──ホントですか?」
パンドラ「まぁ説明は後じゃ。とりあえずこれを見ろ」
  そう言って、パンドラは袖口から2本の瓶を取り出した
パンドラ「1つは解毒薬、もう1つはより強力な毒じゃ」
パンドラ「お前は好きな方を飲んでいい」
パンドラ「──ただし、どちらが解毒薬かは教えんがな」
鈴木「それって・・・・・・もし間違えて毒を飲んだりしたら」
パンドラ「──お前は飲んだ瞬間死に至るじゃろ」
鈴木「そんなっ!?」
パンドラ「・・・・・・・・・・・・」
パンドラ「お前、今更何を言っとる」
パンドラ「何もしなくてもこのまま死ぬんじゃぞ?」
パンドラ「やらないという選択はないはずじゃ」
パンドラ「であれば、何を迷う必要がある?」
鈴木「くっ・・・・・・」
鈴木(確かにそうだ。こうしてる間にも僕の命の危機は続いてる)
鈴木(・・・なら迷ってる暇はない)
鈴木(いや待てよ・・・この子を拘束してどちらが正解か聞きだすってのは)
鈴木(・・・ダメだリスクが高すぎる。どっちが正解か僕にはわからないんだ。騙される可能性もある)
鈴木(落ち着け・・・落ち着けよ)
鈴木(まずは情報を集めるんだ・・・攻略の基本は情報にあるはず)
鈴木(必ずあるはずだ)
鈴木「なら一つだけ・・・一つだけ質問させてください。パンデラさん」
パンドラ「わしはパ・ン・ド・ラじゃ!! ふざけておると薬は没収するぞ?」
鈴木「ごめんなさい! ぱぱぱ、ぱぱぱパンドラさんですよね! そうですよね!!」
  鈴木は訴えるようにパンドラの上着の裾を掴む
パンドラ「服を掴むな! 鬱陶しいっ」
  パンドラは鈴木の顔面を足裏で蹴った
鈴木「うぅ・・・・・・」
パンドラ「まったくこの国の男はどうなってるんじゃ」
パンドラ「──で、なんじゃ? いいのか言わなくて」
鈴木「はい・・・・・・質問、させてください」
  鈴木は二つの薬を比べるように注視した
鈴木(右のやつは色がとにかく赤い液体だ。強い野草のような匂いもする・・・・・・)
鈴木(対して左の液体は無色透明で匂いもほとんどしない)
鈴木(明確に特徴が違うのは大きな情報だ)
鈴木(出来ればもう少し情報を集めたかったんだけど)
鈴木「時間的にチャンスは一度、賭けてみるしかないっ──」
鈴木「この薬。どちらがよく売れるのか教えてください」
パンドラ「どちらが売れるか・・・じゃと?」
パンドラ「変な事を言うのぉ。なぜそんな事を聞く?」
鈴木「僕は・・・真剣なんです。茶化さず答えていただけますか?」
パンドラ「ふんっいいだろう。はっきりとは覚えとらんが・・・・・・」
パンドラ「どちらかと言えば右の薬・・・じゃな」
鈴木「そうですか」
鈴木「――なら僕は右の薬を飲みます」
パンドラ「なに!?」
  鈴木は躊躇なく右の赤い液体の入った瓶を掴み
  一気に飲み干した

〇汚い一人部屋
鈴木「ごほっ・・・・・・ごほっごほっ!」
鈴木(苦い・・・・・・)
鈴木(ありとあらゆる野草やハーブの香りが強すぎてめまいがする)
鈴木(あと粘り気が強くて熱い・・・喉が焼けそうだ)
  薬を飲み干した鈴木は、その薬の衝撃に少し意識を失いかけていた

〇汚い一人部屋
  暫くの静寂が二人の間に流れる
鈴木「とりあえず・・・・・・」
鈴木「僕の死はなんとか免れたみたいですね」
  すでに、5分以上が経過していた
  鈴木は自分の身体から青筋が消えているのを確認した
パンドラ「お前・・・なぜその薬を選んだのじゃ?」
パンドラ「なぜ躊躇せずに飲んだ?」
鈴木「理由は複数あります」
パンドラ「複数・・・じゃと?」
鈴木(僕はイメージした)

〇暖炉のある小屋
鈴木(それは大好きな推理ゲームの探偵のように)
鈴木(静かな口調で鋭い推理が冴えわたる・・・そんなシーンだ)
鈴木「まず・・・あなたが『パンドラ』と名乗った事です」
パンドラ「名じゃと?」
パンドラ「それがどうした?」
鈴木「あの時、すぐに薬を飲まされちゃって慌ててましたけど」
鈴木「実はずっと引っかかってました」
鈴木「僕は今日、ゲームであなたと同じ名前の錬金術師に会おうとしてたんですから」
パンドラ「ワシと同じ名前じゃと・・・どういう事じゃ」
鈴木「どうしてあなたが僕の作ったゲームと同じキャラ名なのかはわかりません・・・わかりませんけど」
鈴木「あなたは僕の作ったゲームのパンドラだという前提で話します」
鈴木「そのキャラクターはすごく何というか・・・・・・」
鈴木「根暗なんです」
パンドラ「ねくら・・・・・・」
パンドラ「なんじゃそれは?」
鈴木「まぁ、何というか言い方が難しいんですけど」
鈴木「パンドラは自分の家から出ないんですよ」
鈴木「外とは交流を断っているはずなんです」
鈴木「だからその・・・・・・薬なんて売った事は最初からないんです」
パンドラ「くっ・・・お前っ!」
鈴木「図星でしたか?」
パンドラ「ふざけるな! お前にワシの何が分かる!!」
鈴木「わかりますよ。全部分かるんです」
鈴木「パンドラさん。あなたは本当は薬を売りたかったんです」
鈴木「自分の薬が役に立つことが嬉しいと思っていた。でもあなたは国から逃げて一人でずっと研究をしていたから」
鈴木「あなたはずっと一人だったんですっ!!」
パンドラ「やめろっ!!」
パンドラ「ワシは・・・低俗な魔術師共と群れのなすのが嫌だっただけじゃ」
鈴木「そうです。まさにそうなんですよ」
鈴木「でも時折薬が盗まれることがあった。その透明な液体が」
パンドラ「・・・・・・・・・・・・」
鈴木「左の液体は暗殺用に使われる毒薬ですよね。色が透明で無臭だから飲み物に混ぜてもバレない」
鈴木「逆に右の赤い液体は緊急時にも発見しやすい」
鈴木「匂いも強烈でわかりやすい薬だ」
鈴木「右の薬が・・・・・・解毒薬ですよね」
鈴木「細かい薬の設定まで考えてなかったんですけど、僕がプランナーならそう作ります」
パンドラ「何を言っている? お前は・・・何を言ってるんじゃ!!」
鈴木「僕はね・・・・・・パンドラさん」
鈴木「あなたを生み出した人間なんです」
鈴木「孤高で最強の錬金術師であるあなたをっ!!」

〇汚い一人部屋
  鈴木は一気にまくし立てていた
  部屋に静寂が訪れる
  パンドラと名乗った少女
  彼女が来たタイミング、彼女が来ている衣装、彼女の能力
  それには鈴木が考えたパンドラと当てはまる共通点がいくつもあった
  それが鈴木にとって生死を分ける一手となる
鈴木「どうですか?」
鈴木「僕はバカな事を言ってるかもしれません」
鈴木「でもあなただって非常識ですよ。薬で人を殺そうなんて犯罪です!」
鈴木「いきなりそんな事をやる人がこの世にいる筈ないんですから」
鈴木「今のこの世界・・・この日本にはねっ!!」
  パンドラは押し黙ったまま何も答えない
  表情も変化していない
  鈴木にはそれが肯定なのか、否定なのか判断出来なかった
  しかし、今の鈴木にとってそれは些細な問題だった
  彼は少女を論破した事によって、ある感情が芽生えていたのだ
鈴木(・・・・・・よしっ!!)
鈴木(これだよ。コレコレ!)
鈴木(・・・まるで推理ゲームのワンシーン。完全に決まったよぉー)
鈴木(くぅーたまらん気持ちいいっ!!)
鈴木(えっーとあとは鉄板の流れとして・・・)
鈴木(犯人が真実を自白して、僕がなだめて)
鈴木(事件は解決!!)
鈴木(やった! 思った通り)
パンドラ「──お前・・・・・・鈴木、と言ったか」
鈴木「え? あ、はい。そうですけど」
鈴木(もう来ちゃう? まだ僕の心の準備は出来てないけど(笑))
パンドラ「お前は・・・・・・その、なんじゃ」
パンドラ「なんというか一人で勝手に考え、勝手に解釈し、勝手に誇張し」
パンドラ「走ってしまうタイプの人間じゃろ?」
鈴木「・・・・・・ん? なんのお話しですか?」
鈴木(あれ・・・・・・なんだか想像と)
パンドラ「それで暴走し周りの人間を振り回してきた・・・違うか?」
鈴木「いや・・・・・・そんな事はっ!」
鈴木「ん・・・待てよ。そういえば現場ではよく注意されていたような・・・・・・」
鈴木「ってあなたっ何が言いたいんですか!」
パンドラ「要はな」
パンドラ「お前の推理なぞ、所詮は独りよがりの妄想に過ぎんかったという事じゃ」
鈴木「・・・・・・え?」
パンドラ「いいか? よく考えてみろ」
パンドラ「ワシがお前のような小物を殺すわけがない」
鈴木「・・・は?」
鈴木「はぁあああああああああああああああああああああーー!!」
  鈴木の想像とは180度違う展開
  先程までの勝ち誇った笑みが鈴木からみるみる内に消えていった

〇汚い一人部屋
パンドラ「鈴木よ。お前に最初に飲ませた薬・・・あれは契約のための薬じゃ」
鈴木「契約?」
パンドラ「そうじゃ。お前を殺すための薬ではない」
鈴木「・・・・・・・・・・・・」
パンドラ「・・・まずワシが分かっている事を話した方が良さそうじゃな」
  パンドラは何か思い出すように目を閉じ語り始めた
パンドラ「ワシは今、この名前と自身の力以外の記憶は曖昧な部分が多い」
パンドラ「だがおそらく、お前が言った通りこの世界の人間ではないとは思っている」
鈴木「おそらくって・・・・・・」
パンドラ「目覚めた時にはこの得体の知れない場所におったからの」
パンドラ「衝撃で一時期的に忘れてしまったのかもしれん」
鈴木「・・・・・・つまりあなたは、記憶喪失って事ですか?」
パンドラ「完全にではないがな」
パンドラ「まぁとりあえずそれはよい」
パンドラ「ここに来てまず目の前にいたのは鈴木、お前だ」
パンドラ「お前は異国の人間・・・それがいきなり無礼を働いてきた」
鈴木「それはっ、ワザとじゃっ──!」
パンドラ「分かっておる」
パンドラ「最初から殺す気などなかったが、お前に薬を飲ませる必要はあった」
鈴木「薬を?・・・・・・最初に飲ませたあれはどういった薬だったんですか?」
パンドラ「血の契約じゃ」
鈴木「血の・・・契約?」
パンドラ「あの薬にはワシの血液が仕込まれておる」
パンドラ「そしてその薬を飲んだ物はワシと契約する権利を得る事が出来る」
パンドラ「あの青筋・・・あれはお前にワシの魔力が入った証拠じゃ」
鈴木「ちょっと待ってくださいっ!」
鈴木「契約? 権利? どうして僕があなたとそんなものを結ばないといけないんですか!?」
パンドラ「・・・・・・・・・・・・」
パンドラ「ワシにはずっと仲間がいた記憶がない」
パンドラ「ここに飛ばされた時ワシが持っていたのは、血の契約に関する薬だけじゃった」
パンドラ「なぜそれだけ持っていたのかはわからない。だが・・・・・・」
パンドラ「ワシの頭が訴えていたのじゃ。その薬で契約を結べと」
パンドラ「仲間を作れとな」
パンドラ「そうしなければ決して望みを叶えられんと訴えていた」
鈴木「・・・・・・・・・・・・」
パンドラ「それは強制力の強い魔力が働いた呪縛じゃった」
パンドラ「だからワシは、気が付いたら薬を手に取っていた」
鈴木「だから・・・・・・僕に薬を飲ませたと?」
  パンドラは鈴木と目を合わせゆっくりと頷いた
鈴木(パンドラ・・・・・・確かにゲームの設定では彼女には仲間がいない。だけど)
鈴木(血の契約の薬・・・・・・そんなものゲームにはなかった)
鈴木(それに魔力の呪縛って・・・・・・)
鈴木(まだ分からない事だらけだな)
鈴木(仮に、仮にこの子言ってる事が全部本当だったとして)
鈴木(・・・なぜ、あんな事を言ったんだ?)
鈴木「パンドラさん。あなたが僕に薬を飲ませた理由はわかりました」
鈴木「でも・・・・・・それならなんであんなテストをしたんですか? 僕を脅そうとしてまで」
鈴木「僕は・・・僕はっ! 本気で殺されると思ったんですよ」
パンドラ「──いいか。血の契約はな」
パンドラ「2種類の薬を飲ませる事で初めて成立する」
パンドラ「だから最初の薬はあくまで契約の権利を与えたに過ぎない」
鈴木「2種類・・・・・・・・・」
鈴木「まさかそれって!?」
  鈴木は自分の顔から血の気が引いていくのが分かった

〇汚い一人部屋
パンドラ「思い出したか?」
パンドラ「最初にお前に飲ませた薬が契約の第一段階、次の薬が第二段階じゃ」
パンドラ「それを持って契約を成立させる」
鈴木「そんなっ・・・・・・」
鈴木「でもっ、それなら最初から説明してくれれば──」
パンドラ「鈴木、少しは冷静にならんか」
パンドラ「得体の知れない人間の薬を、誰が好き好んで飲みたいと思う?」
パンドラ「そんな事・・・考えずとも分かるじゃろ」
鈴木「くっ・・・・・・」
鈴木「でもなんで2回も? 最初から1回で済ませればこんな手間は──」
パンドラ「血の契約はとても強く危険なものじゃ」
パンドラ「それ故に2回に分けて薬を飲ませるという条件が必要になる」
パンドラ「だが・・・・・・2回目の薬はあえて飲ませないという選択肢もあった」
パンドラ「魔力の呪縛はまだ続いていたが、1回目の薬さえ飲ませればやりようはいくらでもあったからの」
パンドラ「呪縛を無理やり解いて、お前と契約を進めない事も出来た」
鈴木「それなら、なんで僕を巻き込んで・・・」
パンドラ「解毒薬と言えばお前は勝負を受けざる負えない」
パンドラ「ワシはお前の選択や行動が見たかったのじゃ」
パンドラ「そして見て思った」
パンドラ「鈴木・・・・・・お前は使えそうだとな」
鈴木「・・・・・・つまり、僕が真剣に考えた答えに特に意味はなくて」
鈴木「どういう行動をしたか。どういう考えで答えを出したかが重要だったと」
パンドラ「そういう事じゃ」
パンドラ「お前は気弱そうだが命令には逆らわない」
パンドラ「そして薬を選んだ理由を答えたように、時に冷静な思考が働く事がある」
パンドラ「そこに今後ワシの助けとなる可能性を見た」
パンドラ「まぁ暴走するのは玉にキズじゃが、贅沢は言っておれんかったからな」
鈴木「そんな・・・・・・」
パンドラ「残念だが、諦めろ」
パンドラ「というよりお前は寧ろ運がいい。ワシのような天才と契約を結べたんだからな」
鈴木「・・・・・・パンドラさん」
パンドラ「ん、どうした?」
鈴木「血の契約ってなんなんですか? 僕は一体どうなったんですか!?」
パンドラ「なんだそんな事か」
パンドラ「お前はな鈴木」
パンドラ「ワシと命を共にする存在になったんじゃ」
パンドラ「ワシの命が尽きる時、お前の命も尽きる」
パンドラ「それが、血の契約じゃ」
鈴木「あなたが死ぬ時・・・・・・僕も死ぬ?」
  その言葉は鈴木の心を打ち抜いた
  パンドラに騙され結ばれたその契約は
  二人の運命を引き剥がさないよう動いていく
  これから何があったとしても
  二人は共に歩んでいかなければならない
  そんな鎖だった

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コメント

  • 鈴木さんの名推理による長口上、からのまさかのどんでん返し、もう楽しいです!
    2人の性格や、ゲーム内設定などが作り込まれているので、深みのあるストーリーで引き付けられます!

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