月下美人

ホマ

エピソード10(脚本)

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〇警察署の資料室
  翌日、寺島はいつも通り仕事をする。
  だが、昨夜のことが頭から離れず
  スマホで撮った写真を眺めていた。
寺島(しかし、花さんってほっんとに美人だなぁ)
寺島(おまけに、いい匂いもしてたし)
寺島(けど、自分自身のことは あまり話してくれないよな)
寺島(もしかして俺、警戒されてんのか?)
  そう考え込んでいると
長谷川「いい女だな」
  背後から長谷川が現れ、
  寺島のスマホを覗き込んでいた。
寺島「ちょ、ハセさん。 びっくりさせないで下さいよぉ」
長谷川「さっきからスマホ見て ニヤニヤしてると思ったら、女だったのか」
寺島「はっ、はい・・・」
長谷川「もしかして昨日早く上がったのは、 この女の為だったのか?」
長谷川「ん?どうなんだ?」
寺島「実はそうなんです」
長谷川「ちっ、目の前の事件が大事とか言ってた奴が結局恋愛を取りやがって」
寺島「ちゃんと、事件は事件で捜査しますよ?」
長谷川「ふんっ、どうだかな。 で?お前、この女に告ったのか?」
寺島「まだなんですが、 いつかは告白しようと思ってます」
長谷川「ふ~ん。お前、次はいつ会うんだ?」
寺島「次は、新月の時に会う約束をしてるんです」
長谷川「新月の時に!?何故だ」
長谷川「連絡先とか聞いてないのか?」
寺島「彼女、スマホ持ってないらしくて。 だから、連絡交換は無理だと・・・」
長谷川「今時、スマホを持ってないなんて 古風な女だなぁ」
長谷川「しかも、新月の時に会うなんて 何かのおとぎ話しみてぇじゃねーか」
寺島「それがいいんですよ」
寺島「彼女、花さんって言うんです」
寺島「すごく不思議な女性と言うか、 ミステリアスと言うか」
寺島「とにかく神秘的な女性なんです」
長谷川「お前、相当惚れ込んでんな」
寺島「はっ、はい」
長谷川「なら交通課の佐藤に、お前のことは諦めろと伝えた方が身の為だな・・・」
寺島「佐藤さんがどうかされたんですか?」
長谷川「寺島、今から交通課の佐藤に会いに行け。 お前に伝えたいことがあるってよ」
寺島「佐藤さんが俺にですか?」
長谷川「そうだ。佐藤を泣かすんじゃねーぞ」

〇警察署のロビー
寺島(佐藤さんが俺に伝えたいこと? 一体何だろう・・・)
  交通課に向かおうとロビーを通り掛かった時寺島は偶然にも佐藤と会った。
寺島「佐藤さん」
佐藤はるひ「あっ、寺島刑事お疲れ様です」
寺島「お疲れ様です」
寺島「あの、さっき長谷川刑事から聞いたんですが」
寺島「佐藤さん 俺に何か伝えたいことでもあるんですか?」
佐藤はるひ「あっ、あの・・・」
佐藤はるひ「実は私、ずっと前から 寺島刑事のこと気になってたんです」
寺島「おっ、俺をですか!?」
佐藤はるひ「はい」
佐藤はるひ「寺島さん、 今お付き合いしてる女性とかいますか?」
佐藤はるひ「もしよかったら、私と お付き合いしてくれませんか?」
寺島「佐藤さん、お気持ちは大変嬉しいのですが」
寺島「実は俺、気になってる女性がいるんです」
寺島「なので、お付き合いは出来ません」
佐藤はるひ「そうでしたか。なら、仕方ありませんね」
佐藤はるひ「分かりました。ありがとうございます」
  佐藤は寺島にそう告げると、笑顔で
  ロビーから去って行った。
  だが佐藤の目には、
  うっすらと涙が浮かんでいた。
寺島(何だか、佐藤さんに申し訳ないことしたな)
寺島(けど現に 俺は今、花さんを気になってるしなぁ)
長谷川「佐藤、何だって?」
寺島「ハセさん、もしかして見てたんですか!? 付きまとわないで下さいよ」
長谷川「あぁ、佐藤が気になってな。 で?お前、佐藤に何言われたんだ?」
寺島「付き合ってほしいと言われました」
長谷川「それで返事は?」
寺島「断りました。 俺、花さんのことが気になってますから」
長谷川「そうか・・・」
長谷川「仕方ねぇ、佐藤には 別の男でも紹介するしかねーな」
寺島「ハセさん、何でそんなに 佐藤さんの世話焼くんですか?」
長谷川「佐藤はな、新人だった頃 俺が色々と面倒見てたんだよ」
長谷川「時には、愚痴や悩みも聞いたりしてな」
長谷川「言わば、アイツは俺の娘みたいなもんなんだ」
寺島「そうでしたか」
寺島「けど、何かすみません」
寺島「俺、佐藤さんの気持ちに 応えること出来なくて・・・」
長谷川「謝ることじゃねーよ。だから、気にすんな」
長谷川「お前は、花って女のことでも考えてりゃいい」
長谷川「ただし、事件は事件だ。いいか?」
寺島「分かりました」

〇白

〇警察署の廊下
  12月13日
長谷川「寺島のヤツ。今日は昼上がりか」
長谷川「ってことは、あの女と会う日だな」
  長谷川は一人呟いていた。
長谷川「そういや、アイツ」
長谷川「まだ月下美人が咲いてるとこ、 見たことないって言ってたよな」
長谷川「代わりに俺が一足先に見といてやるか」

〇森の中
  PM17:00
  長谷川は寺島に内緒で、
  月下美人が咲いているあの殺害現場を訪れた
長谷川「ここで張り込んでりゃ、そのうち咲くだろ」
長谷川「月下美人は、夜に咲くって言ってたからな」
  長谷川は月下美人が咲くまで、
  その場を離れなかった。

〇渋谷のスクランブル交差点
  PM17:30
  寺島は以前と同じ場所で、花を待つ。
寺島(花さん、来てくれるんだろうか・・・)
寺島(新月って、今日で合ってるよな・・・?)
  寺島はスマホで新月の日を、再度確認した。
寺島「間違いなく今日だ」
寺島(花さんを信じて待とう・・・)

〇黒

〇森の中
  一方の長谷川は、
  月下美人が咲くのをひたすら待った。
長谷川「ほんとに夕暮れ時に咲くのか?」
長谷川「もうすぐで18:00だぞ?」
  長谷川が、そうぼやいていると
長谷川「ん?なっ、何だありゃあ・・・」
  長谷川は、ある光景に目を疑った。

次のエピソード:エピソード11最終回

コメント

  • ストーリーが恋愛要素強めになったところ(佐藤刑事カワイイですねw)での、長谷川刑事の行動が……このヒキ、続きが物凄く気になります!

  • 大体予想はつきますが、長谷川刑事が見た光景は、あれってことですか?

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