家族戦隊ファミリーレンジャー(連載版)

ひであき

第2話 予期せぬ出会い(脚本)

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ひであき

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〇組織の廊下
〈邪恋〉のサレンダ「ふふっ、今回も手酷くやられたようね」
〈悲恋〉のレンカ「サレンダ姉」
〈邪恋〉のサレンダ「これで何度目? いい加減成果を出さないと降格もあり得るわよ」
〈邪恋〉のサレンダ「あなたが私と同じモテナインダー様のお気に入り〈四恋王〉の一人でもね」
〈悲恋〉のレンカ「すまない。次こそはヒーく、いや、ブラザーピーチの首を取る」
〈悲恋〉のレンカ「私のこの手で、必ずな」
〈邪恋〉のサレンダ「期待しているわ。さあ、みんなのところへ行きましょう」

〇謎の施設の中枢
〈狂恋〉のアレンダ「あっ! サレンダ姉、レンカ!」
〈悲恋〉のレンカ「アレンダ姉」
〈邪恋〉のサレンダ「あら、もう来てたの。いつもは遅いのに珍しいわね」
〈狂恋〉のアレンダ「うん! マッチングアプリへのハッキングが上手くいったからね!」
〈狂恋〉のアレンダ「年収二百万の男を二千万に書き換えて高望みの女とマッチングさせたら面白いくらいに破談してさ!」
〈狂恋〉のアレンダ「お互いの顔写真も勝手に変えて会わせたせいかな? 顔が全然違うって大騒ぎだよ!」
〈狂恋〉のアレンダ「見てて滑稽だったね! あはは!」
〈邪恋〉のサレンダ「そう。よくやったわ。カレンのほうはどうなったのかしら?」
〈狂恋〉のアレンダ「そこにいるよ。本人に直接訊いてみれば?」
〈失恋〉のカレン「ぐすっ。どうしてカレンだけいつもこんな目に遭うの」
〈悲恋〉のレンカ「カレン姉」
〈邪恋〉のサレンダ「どうしたの? そんなところで蹲って」
〈失恋〉のカレン「うん。また新しい彼氏と喧嘩したんだ。何で他に男がいるんだって」
〈失恋〉のカレン「彼氏は他にもたくさんいるから誰のことを言ってるかわからなくて」
〈失恋〉のカレン「それで他の彼氏に相談したら、彼氏たちがカレンを取り合って大喧嘩を始めたんだ」
〈失恋〉のカレン「そしたらみんな女の子のことがトラウマになって心療内科に通うようになっちゃった」
〈失恋〉のカレン「カレンはみんなを幸せにしたかっただけなのに。ぐすっ」
〈邪恋〉のサレンダ「さすがね、カレン。その調子でこれからもよろしくね」
〈失恋〉のカレン「ぐすっ。また新しいカモ、彼氏を見付けないと」
〈邪恋〉のサレンダ「あなたも二人を見習いなさい、レンカ」
〈悲恋〉のレンカ「わかってるよ、サレンダ姉」
〈独身総帥〉モテナインダー「皆揃っているようだな」
〈邪恋〉のサレンダ「ああ、モテナインダー様。今日も御身は光り輝いておられます」
〈狂恋〉のアレンダ「えへへ、やっぱりモテナインダー様はカッコイイなぁー」
〈失恋〉のカレン「にゃう~。モテナインダー様今日もエッチすぎだよぉ~」
〈悲恋〉のレンカ「あなたの忠実な僕〈悲恋〉のレンカ、ここに」
〈独身総帥〉モテナインダー「ふ、ふむ。愛しい我が娘たちよ。お前たちの活躍は耳にしている。実に素晴らしい働きぶりだ」
〈邪恋〉のサレンダ「勿体ないお言葉。これもすべてあなたを想えばこそです。愛しい我が君」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクすっごく頑張ったからあとでナデナデしてね!」
〈失恋〉のカレン「はにゃ~。声を聞いてるだけで腰が砕けちゃうよぉ~」
〈邪恋〉のサレンダ「ですがモテナインダー様。一人働きが足りない者がいる。そうは思いませんか?」
〈悲恋〉のレンカ「──」
〈独身総帥〉モテナインダー「レンカのことか? 別に良いではないか。失敗を糧に今後も頑張ってくれればそれで」
〈独身総帥〉モテナインダー「家族戦隊ファミリ―レンジャーと言ったか? 奴ら随分狂暴だって話じゃないか」
〈独身総帥〉モテナインダー「怪我でもしたら大変だ。無理だと思ったらすぐに退いてもいいんだからな」
〈独身総帥〉モテナインダー「そ、それにだな。私としてはそこまでこの活動を頑張らなくてもいいんじゃないかなって思って──」
〈邪恋〉のサレンダ「モテナインダー様はレンカに甘すぎます!」
〈独身総帥〉モテナインダー「ひえ!?」
〈邪恋〉のサレンダ「末妹だから贔屓しているのだと他の二人に思われますよ? もちろん私にもです」
〈狂恋〉のアレンダ「ボクはレンカちゃんのこと好きだから別に──」
〈邪恋〉のサレンダ「何か言ったかしら!?」
〈狂恋〉のアレンダ「な、何でもないよー。あはは」
〈失恋〉のカレン「カレンもサレンダ姉と同じ気持ち。レンカばかりズルい」
〈失恋〉のカレン「体の関係を持たないで上手く彼氏たちに貢がせてるカレンと同じ扱いは不公平だよ! ぷんぷん!」
〈独身総帥〉モテナインダー「そ、そうか。それもそうだな。うん」
〈悲恋〉のレンカ「面目次第もございません。罰は如何様にでも」
〈独身総帥〉モテナインダー「ば、罰とかそういうのはいいんじゃないかなー。なんて──」
〈邪恋〉のサレンダ「モテナインダー様?」
〈独身総帥〉モテナインダー「ふ、ふむ! そこまで言うなら罰を与えねばなるまいな!」
〈独身総帥〉モテナインダー「だが今日は何も思い浮かばないから明日にしよう! いいな?」
〈邪恋〉のサレンダ「そう言ってまたはぐらかすおつもりでは?」
〈独身総帥〉モテナインダー「な、何を言う! ちゃんと考えておくぞ! 今日の会議はこれで終わりだ! 皆ご苦労だったな!」
〈邪恋〉のサレンダ「まったく、モテナインダー様の甘さには困ったものね」
〈邪恋〉のサレンダ「そんな優しいところがとても素敵だわ」
〈狂恋〉のアレンダ「あーあ。モテナインダー様のお嫁さんになれたら良いのになー。ボクたちのこと娘として見てるからなー」
〈失恋〉のカレン「カレンはまだ諦めてないよ。いつかモテナインダー様と──」
〈邪恋〉のサレンダ「ふふっ、二人ともその調子で頑張ってね」
〈邪恋〉のサレンダ「あなたもよ、レンカ」
〈悲恋〉のレンカ「わかってる。必ず期待に応えてみせる」
〈悲恋〉のレンカ「ブラザーピーチ! 首を洗って待っていろ!」

〇宇宙船の部屋
〈独身総帥〉モテナインダー「ふー。今日も疲れたな」
〈独身総帥〉モテナインダー「この姿は肩肘が張っていけない。よいしょと」
独活山国男「やれやれ。四人の前で総帥役を演じるのは骨が折れる」
独活山国男「まったく、どうしてこんなことになってしまったんだろうな」
独活山国男「科学一筋四十五年。親の遺産を元手に研究に明け暮れる毎日」
独活山国男「家族も友達もいない天涯孤独の日々」
独活山国男「彼女いない歴=年齢で異性とは縁のない人生。今更風俗で童貞を捨てる度胸もない」
独活山国男「思えば婚活が上手くいかなかったのがすべての始まりだった」
独活山国男「私を一目見た途端に落胆する女に、親の遺産目当てで擦り寄って来る女。無視をしてくる女もいた」
独活山国男「そんな現実の女に嫌気が差して自らの手で伴侶を生み出そうとした結果、生まれたのが四恋王だった」
独活山国男「人造人間の創造に成功したときは歓喜したな。私の理論は間違っていなかったと証明できたのだから」
独活山国男「成功体第一号──サレンダを妻にし、他の三人は養子に迎える。五人で幸せな家庭を築いていく」
独活山国男「そうするつもりだったが、四人は私の境遇を知ると怒りを露わにした」
独活山国男「特にサレンダは手に負えなかった」
独活山国男「私を無下にしてきた人間が繁栄するのは許せないと、過激な男女分断工作をするようになってしまった」
独活山国男「他の三人もそれに追随し、私はそれを止めることができず、サレンダに言われるまま数々の怪人を生み出してしまった」
独活山国男「そして気付けば秘密結社ロンリネスの総帥に祭り上げられてしまった」
独活山国男「四人が私を慕ってくれるのは嬉しいが、あの心酔ぶりは正直引く」
独活山国男「今更四人を異性として見ることはできないし、結局私は童貞のままだ」
独活山国男「こんなはずじゃなかった。もう後には引けない状況になってしまったし、これからどうすればいいんだ」
独活山国男「──ここで愚痴をこぼしていても仕方がない。気晴らしに飲みにでも行くか」

〇飲み屋街

〇大衆居酒屋
女将「いらっしゃい!」
女将「おや! 独活山さんじゃないかい! 久しぶりだねえ」
独活山国男「こんばんは女将さん。席は空いてるかな?」
女将「それが生憎と満席でねえ。相席で良ければ案内できるけど」
独活山国男「相手の方がそれでも良ければお願いできないかな?」
女将「そこまで言うなら聞いてみようかねえ」
女将「ちょっと! そこのカッコイイお兄さん!」
広瀬英雄「ひっく。俺のことか?」
女将「そうだよ。まったくもう。何があったかは知らないけど一人でそんなに飲んで」
広瀬英雄「放っておいてくれ。俺の気持ちなんて誰にもわからないんだ。ひっく」
女将「ああそうかい。この人が相席お願いしたいって言ってるんだけど、構わないかい?」
独活山国男「こんばんは」
広瀬英雄「好きにすればいいさ。もう俺なんかどうなっても。ひっく」
女将「だってさ。独活山さんは大丈夫かい?」
独活山国男「彼が良ければ私は別に」
女将「それは良かった。生で良かったかい?」
独活山国男「ああ。ついでに彼の分の水も頼むよ」
女将「はいよ。ちょっと待ってておくれ」
独活山国男「お邪魔してすまないね。私も今日はどうしても飲みたい気分だったんだ」
広瀬英雄「俺のことは放っておいてください」
広瀬英雄「どうせ俺なんて、俺なんて、うっうっ」
女将「はい! お待ちどおさま!」
女将「ごゆっくりね」
独活山国男「ありがとう、女将さん」
独活山国男「はいこれ。君は水を飲んで気持ちを落ち着かせなさい」
広瀬英雄「優しくしないでください。余計みじめな気分になります」
独活山国男「君に何があったかは知らないけど、こんなおじさんで良かったら話を聞くよ」
独活山国男「おっと、今の若い子はおじさんの意見なんて求めてないよね」
独活山国男「しかも見ず知らずのおじさんが相手だ。嫌だったら無視してくれてもいいからね」
広瀬英雄「いえ、そんな!」
広瀬英雄「一人で酔っ払ってる俺に声をかけてくれるなんて、親切なんですね」
独活山国男「親切、か。そう思える君は人を疑うことを知らない真っ直ぐ子なんだね」
独活山国男「今の時代、現実でもネットでもおじさんは腫れ物扱いされる存在だ」
独活山国男「私はこんな見た目をしてるから不審者扱いされることが多くてね」
独活山国男「存在しているだけで痴漢と言われたときはさすがに堪えたよ」
広瀬英雄「笑いごとじゃないですよ。そういうときは毅然と言い返さないと」
独活山国男「そうなんだけどね。できる限り揉め事は起こしたくなくて」
独活山国男「ただでさえ多くの人に迷惑をかけているからね」
広瀬英雄「何の話ですか?」
独活山国男「何でもないよ」
独活山国男「話を聞くつもりが愚痴になってしまった。悪かったね」
広瀬英雄「気にしないでください」
広瀬英雄「そうですよね。誰にだって悩みや不安はある」
広瀬英雄「一人でヤケ酒してたのが恥ずかしくなってきました」
独活山国男「酔わないとやってられないときはあるよ。それこそ誰にだってね」
広瀬英雄「──実は俺、好きな子がいるんです」
広瀬英雄「その子も俺のことを好いてくれているはずなんですけど、いつも擦れ違ってばかりで」
広瀬英雄「関係も複雑なんです。仕事上はライバル同士で、お互いの家族も俺たちのことを良く思ってない感じで」
広瀬英雄「それでも彼女とならって思ってるんですけど、お互いの家族が邪魔をして、中々関係が進展しない状況なんです」
広瀬英雄「そのせいでこの間も、うっうっ」
独活山国男「君は本気で彼女のことが好きなんだね」
広瀬英雄「はい。世界で一番愛しています」
独活山国男「そこまで言ってくれるなんて、彼女は幸せ者だね」
独活山国男「私には娘が四人いてね。今は懐いてくれているけど、いつかは私の元を離れていくと思うと心配でね」
独活山国男「君のような好青年が娘の恋人だったら安心できるんだけどね」
広瀬英雄「四人の娘に懐かれるなんて、良いお父さんなんですね」
独活山国男「どうかな。娘たちの我が儘にいつも振り回されてばかりだよ」
独活山国男「特に長女には頭が上がらなくてね。何を言われても言う通りにしてしまうんだ」
独活山国男「自分の意志薄弱ぶりに嫌気が差す毎日だよ」
独活山国男「君みたいにはっきりと好意を口にできる度胸があれば良かったのにね」
広瀬英雄「そんなに褒めないでください。調子に乗っちゃいます」
独活山国男「乗っていいんだよ。自分に自信を持ちなさい」
広瀬英雄「ありがとうございます。話したらすっきりしました」
独活山国男「そんなに畏まらなくていいよ。私は話を聞いただけで、解決策を提案したわけじゃないからね」
広瀬英雄「そこまでしてもらう義理はありませんよ」
広瀬英雄「それに、これは俺と彼女の問題です」
広瀬英雄「俺と彼女で解決しなければならないんです」
独活山国男「うん。さっきより元気が出たみたいだね」
広瀬英雄「いつまでもめそめそしていられませんからね」
独活山国男「上手くいくといいね。君の恋路を応援してるよ」
広瀬英雄「ありがとうございます」
広瀬英雄「俺は広瀬英雄って言います。あの、お名前は」
独活山国男「独活山国男だよ。よろしくね」
広瀬英雄「こちらこそよろしくお願いします」
独活山国男「広瀬くんのような好青年に出会えるなんて、今日は来て良かったよ」
広瀬英雄「俺も独活山さんのような親切な人に会えて良かったです」
独活山国男「また何か嫌なことがあったらここにおいで。私で良ければ話を聞くよ」
広瀬英雄「俺の話だけじゃなくて独活山さんの話も聞かせてください」
独活山国男「こんなおじさんの話で良ければいつでも」
広瀬英雄「すみません。急用が入ったので俺はこれで失礼します」
独活山国男「こんな遅くに大変だね。気を付けて行っておいで」
広瀬英雄「ありがとうございます。ではまた!」
独活山国男「広瀬くんか。真っ直ぐな性根の良い子だったな」
独活山国男「彼のような男なら娘を安心して任せられるのにな」
独活山国男「私だ」
  モテナインダー様? 今どこにいるの? またファミリーレンジャーが暴れ出して大変なことになってるよ!
独活山国男「すぐに戻る。現場には誰が?」
  レンカちゃんが飛び出して行ったよ! 今日こそはブラザーピーチの首を取るんだって張り切ってたよ!
独活山国男「わかった。指揮はそのままレンカに任せる。サレンダは引き続き情報統制を頼む」
  了の解! あっ! まだナデナデしてもらってないからこの仕事が終わったらしてね!
独活山国男「忙しない子だ」
独活山国男「さて、束の間の休息は終わりだ。また四人が望む総帥に徹しなければな」
独活山国男「──いつまでこの生活を続ければいいのだろうね」

〇飲み屋街

〇SHIBUYA109
  お互いの正体を知らずに出会った広瀬英雄と独活山国男!
  この出会いが示すのは、希望か、絶望か
  彼らの運命は如何に──!?

次のエピソード:第3話 あたしより強い男

コメント

  • おっさん頑張れ!って応援したくなってきました😃

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