月下美人

ホマ

エピソード9(脚本)

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〇黒

〇イルミネーションのある通り
  PM 21:00
  二人はイルミネーションのある通りを訪れる
  周りには、数組のカップルや
  家族連れが姿を見せていた。
寺島「うわぁ、キレイだなぁ」
寺島「花さんもそう思いませんか?」
  隣を見ると、花は綺麗に彩られた電飾を
  しばらくずっと見詰めている。
  彼女の横顔は、とてもキレイだった。
花「ごめんなさい。つい見とれてしまってて──」
寺島「いえ、とてもキレイです」
寺島「イルミネーションも、花さんも・・・」
寺島「すっ、すみません。俺、何言ってんだろ」
寺島「ちょっとその辺で、飲み物でも買って来ます」
花「はっ、はい」

〇公園通り
寺島「やばっ。俺、彼女に対して何言ってんだろ」
寺島「絶対に聞こえてたよな?」
  近くで飲み物を買おうと店を探していたら、ある一軒の店に目が止まった。

〇宝石店
店員「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
寺島「あの、 シンプルなイヤリングとかありますか?」
店員「イヤリングですね。ありますよ」
店員「どんなデザインがご希望ですか?」
寺島「そうですね。 花の形のイヤリングとかないですか?」
店員「花のイヤリングですね。少々お待ち下さい」
  店員は、別のショーケースから
  幾つかイヤリングを取り出し持って来た。
店員「お待たせしました。こちらになります」
寺島「どれにしよっかな。 こんなにあると迷いますね」
店員「でしたら、こちらはどうですか?」
店員「クリスマスローズと言って、 今の季節にピッタリだと思いますよ?」
寺島「クリスマスローズかぁ。いいですね」
寺島「じゃあ、こちらでお願いします」
店員「かしこまりました。只今、お包みしますね」
  店員は、ラッピングに取り掛かる。
店員「大変お待たせしました」
  店員は俺に紙袋を渡した。
店員「お相手の方、喜んでくれるといいですね」
寺島「はい。ありがとうございました」
  宝石店を後にし、急いで
  花の元へと向かった。

〇イルミネーションのある通り
花(寺島さん、遅いな。何かあったのかな?)
花(もしかして、事故にでも?)
  花は不安でたまらなかった。
寺島「花さん、遅くなってすみません」
花「寺島さん、今までどちらに?」
寺島「飲み物を買おうとしたら、 ある店に目が止まってしまいまして・・・」
花「ある店・・・ですか?」
寺島「はい。花さん、 これ受け取ってくれませんか?」
  寺島は花に、紙袋をそっと渡す。
花「あの、これは一体?」
寺島「とりあえず、開けてみて下さい」
花「分かりました」
  花は紙袋を受け取り、中身を取り出す。
  すると、小さな箱の中には
  クリスマスローズのイヤリングが入っていた
花「可愛いイヤリングですね」
寺島「はい。花さんに似合うと思って、 つい買ってしまいました」
寺島「その花、 クリスマスローズって言う花みたいです」
花「素敵なお花ですね」
花「ありがとうございます。寺島さん・・・」
花「ですが、どうして私に ここまでしてくれるんですか?」
寺島「それが、自分でも分からなくて」
寺島「けど── 何か花さんには、してあげたくなるんです」
寺島「変ですよね?俺って・・・」
  そう答えると、花は目に涙を浮かべていた。
寺島「花さん?どうしました?」
花「ごめんなさい。何でもないんです・・・」
花「ただ嬉しくて──」
花「けど、私は・・・・・・」
  花はそれ以上、答えることが出来なかった。
寺島「花さん、涙を拭いて下さい」
寺島「折角のキレイな顔が台無しですよ?」
  寺島は、花にハンカチを手渡した。
花「寺島さん、ありがとうございます」
  花は寺島からハンカチを受け取り、
  涙を拭いた。
寺島「そうだ、花さん」
寺島「このイルミネーションをバックに 写真撮りませんか?」
花「はい」
  2人は寺島のスマホで、写真を撮った。

〇SHIBUYA109
  PM 23:00
寺島「すっかり遅くなってしまいましたね」
寺島「花さん、一人で大丈夫ですか?」
寺島「やっぱり送って行きましょうか?」
花「大丈夫です。寺島さん、」
花「今日は本当に有難うございました」
花「それに、 こんな素敵なイヤリングまで頂いて・・・」
寺島「気に入って頂けましたか?」
花「えぇ。とっても・・・」
寺島「それならよかったです」
寺島「花さん、次はいつ会えますか?」
寺島「よかったら、連絡先交換しませんか?」
花「寺島さん、すみません。 私、携帯持ってないんです」
花「だから、連絡は取れません」
寺島「そうですか・・・」
花「新月。新月の時に、お会い出来ませんか?」
寺島「新月の時にですか?」
花「はい。ダメでしょうか?」
寺島「花さんって、不思議な方ですね」
寺島「神秘的と言うか、まるで月下美人みたいです」
花「・・・えっ?」
寺島「花に例えたらです」
寺島「分かりました。新月の時ですね。 時間と場所は、今日と同じでいいですか?」
花「はい。お願いします」
寺島「では、新月の時に・・・」
花「はい。必ず・・・」

〇森の中
「やっと見つけた──」
「私の望みを叶えてくれる人・・・」
「1度と言わず、2度も会えるなんて・・・」
「どうして私は、花なの・・・?」
「どうして私の命は、こんなにも儚いの──?」
「花じゃなかったら、私はあの人と ずっと一緒に居られるのに・・・」
「触れたい・・・あの人に・・・」

次のエピソード:エピソード10

コメント

  • 関係を深めていく花さんと寺島刑事、このまま恋人関係へと至りそうな雰囲気ですが、その一方で刑事と捜査対象という関係性も。。。お話がどう帰結するのか先が楽しみです!

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