バディ・ザ・アローン

ひであき

エピローグ(脚本)

バディ・ザ・アローン

ひであき

今すぐ読む

バディ・ザ・アローン
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇上官の部屋
スカーレット「昨晩は大活躍だったそうだな」
アレク「何の話だ?」
スカーレット「惚けるな。裏で糸を引いていた魔族を倒したそうじゃないか」
スカーレット「魔法薬の影響で暴れていた住民は全員保護した。騒ぎに乗じて悪さをしていたカスディアの末端もな」
スカーレット「お前が倒した魔族が司令塔だったようでな。残りは烏合の衆も同然だった」
スカーレット「井戸に混入された魔法薬の解毒も進んでいる」
スカーレット「お前の家にいた小便小僧は尋問中だ。下っ端のくせに事情通で有益な情報を吐いているぞ」
スカーレット「カスディアに関与していた上層部の何人かは夜も眠れないほど不安になっているだろうな」
スカーレット「証拠を上げたらすぐに捕まえるつもりだ。もちろんカスディアの上の連中もまとめてな」
スカーレット「一先ず、今回の事件はこれで一件落着と言ってもいいだろう」
アレク「それは何よりだ」
スカーレット「一連の出来事についてリンスから報告があった。あの様子だと、あいつにも昔のことを話したようだな」
アレク「何で何でと訊いてくる子供みたいにしつこかったからな。仕方なくだ」
スカーレット「ふふっ」
アレク「何が可笑しいんだ?」
スカーレット「いや何、お前が昔のことを話すほどリンスに心を開くとは思わなくてな」
スカーレット「もちろん、そうなることを期待して宛がったんだが、予想以上の成果が出たようで何よりだ」
スカーレット「本当は私がお前の隣に立ちたかったのだがな」
アレク「そう言うな。お前にはいつも助けられてる」
アレク「──あのとき俺を庇わなければまともに戦えない体にならずに済んだのにな」
スカーレット「何度も言っているが後悔はしていない」
スカーレット「現場で指揮を執るくらいなら今でもできるしな」
スカーレット「これでも昨日は大活躍だったんだ。褒めてもいいぞ?」
アレク「レディはよくやってくれてる。感謝してる」
スカーレット「本当にそう思うなら今度ディナーに招待してくれ。もちろん二人きりだぞ」
アレク「考えておく」
スカーレット「またそうやってはぐらかす」
スカーレット「どうもお前は私よりリンスのほうが好みのようだな」
アレク「冗談じゃない。子供に手を出す趣味はないぞ」
スカーレット「何だ? 照れてるのか?」
アレク「お前こそ嫉妬してるのか?」
スカーレット「してると言ったらどうする?」
アレク「お前は恩人の娘で、俺にとっては妹も同然だ」
アレク「嫉妬されるほど慕われるのは悪くない」
スカーレット「誰がお前みたいなろくでなし」
スカーレット「何てな。気が変わったらいつでも口説いていいんだぞ? アレクお兄ちゃん」
アレク「その言い方は背徳感がえぐいから止めろ」
スカーレット「それで、今日は何をしに来たんだ? 今は見回りの時間のはずだが」
アレク「あいつからもう聞かされてるんじゃないのか?」
スカーレット「コンビ解消の件だな?」
アレク「それなら話は早い」
アレク「俺は──」

〇城の廊下
リンス「あっ! アレク先輩!」
アレク「どうした? 朝っぱらからしかめっ面をして。腹でも痛いのか?」
リンス「誤魔化さないで下さい!」
リンス「昨日も言いましたけど、私諦めませんからね! そのことはスカーレット少佐にも──」
アレク「何だ、腹が痛いわけじゃないのか」
リンス「当たり前じゃないですか!」
アレク「それは良かった。朝飯は食ったのか?」
リンス「えっ? いや、まだですけど」
アレク「そうか。サンドイッチとコーヒーが美味しい店を知ってる」
アレク「俺は今からそこに行くつもりだが、お前はどうする?」
リンス「えっ、そ、それってつまり──」
アレク「給料が出てる時間に食う飯は美味いぞ」
アレク「これからについては食いながら話そう」
リンス「アレク先輩!」
アレク「この俺に向かってデカい口を叩いたんだ。簡単に音を上げるなよ、リンス」
リンス「あっ! 今私の名前!」
アレク「名前を呼ばれたから何だって言うんだ?」
リンス「いいえ、何でもありませんよー」
リンス「これからもよろしくお願いしますね! アレク先輩!」
アレク「足を引っ張るなよ」
アレク「──ありがとうな、リンス」
リンス「今何か言いましたか?」
アレク「何も。それより寝癖が付いてるぞ」
リンス「えっ! 嘘!? ちょっと待っててください! すぐ治してきますから!」
アレク「やれやれ。忙しない奴だ」
アレク「あの暴れ馬を育てるのは苦労しそうだな」
アレク「あんな小娘の口車に乗せられたって聞いたら、あいつらはどんな顔をするだろうな?」
アレク「何にせよ、やれるだけのことはやってみるか」
アレク「だから、もう少しだけ待っててくれ。みんな」
  Fin

コメント

  • 楽しく読ませていただきました😁
    いつかハードボイルド系に挑戦してみたいと思います👍
    ありがとうございます😃

  • ラストまでしっかり楽しませてもらいました!
    ハードボイルド的な要素をベースに、ファンタジーや時折コメディカルな要素も加わり、重層的な構成がステキですね!
    読み応えのある作品をありがとうございました!

ページTOPへ